まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

運命の旅は道連れ

2023-10-27 | ドイツ、オーストリア映画
 「ボイジャー」
 国連のエンジニアとして世界各国に赴いているアメリカ人のフェイバーは、ニューヨークからフランスまでの船旅で若く美しいドイツ人の娘エリザベスと出会う。恋に落ちた二人は、エリザベスの母がいるギリシャまで旅を続けるが…

 すごく好きな恋愛映画。運命と禁断の恋なんだけど、全然ドロドロでもなく変にドラマティックな悲劇仕立てもしてない、清々しい感じさえする年の差ラブストーリーです。こんな恋に憧れるわ~と、旅をするとこの映画を思い出します。静かな雰囲気と流れの中に、どこか奇異で冷徹なもの、知的で文学的な台詞やモノローグなど、フツーの恋愛映画とはかなり一線を画してる作風は、さすが世紀の怪作「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ監督の作品。ブリキの太鼓ほどトンデモぶっとびではなく、とても観やすい映画になってるので、クセの強い映画が苦手な方にもお勧めできます。

 運命の出会い…まさしくこの映画の二人がそれ。こんなこと、ありえない!からこそ、甘美な夢となって観る者を酔わせます。運命とか悲恋とか、何だか韓流っぽいけど全然違います。ヨーロッパの香り高い洗練と知性に満ちてます。それにしても。二人を他人として出会わせて恋に落ちさせるなんて、神さまは何て残酷なんでしょう。フェイバーがフツーのおっさんで、エリザベスがブスだったら、恋に落ちずにすんだだろうに。二人を結びつける魅力が不幸と悲劇を招き寄せるのですが、二人の恋があまりも優しく輝いてるので、私の目には奇跡のような恋に映ってしまいました。魅力がないおかげで愛にも恋にも無縁な人間(わしのことですね)のほうが、よっぽど不幸で悲劇的だと思います。

 甘美だけど禁断の恋は、もちろんハッピーエンドになるはずもなく、悲しい結末になるのですが。それさえも、ああこれでよかったんだよな、と安堵させる終わり方。エリザベスが真実を知らずにすんだのは、神さまが最後にくれたせめてもの慈悲でした。もし彼女が知ったら、夢のような恋の物語が一気に、シビアで破滅的な現実世界に陥ってしまってたでしょうから。
 エリザベス役のジュリー・デルピーが、か、可愛い!う、美しい!まるでイタリアの名画から抜け出した天使のような可憐さ、清冽さ!

 デルピー嬢、当時22歳。まぶしいほどの若さで光り輝いてます。抜けるような白い肌、波打つ長いブロンド、清らかな透明感、生活感のないブルジョア感、こんな女優さん今いないですね~。天使みたいな汚れない美しさに加え、エリザベスの闊達で颯爽とした性格や言動には、フェイバーじゃなくても男ならみんな心を奪われるわ。可愛いけど男に媚び媚びなカワイイコぶりっことは真逆な、聡明でドライでクールな女の子なところも、若かりし頃から才媛の誉高かったデルピー嬢らしいヒロインでした。若いのに喫煙が絵になるところも、フランス人女優って感じでカッコいい。そういえば彼女の代表作である「恋人までの距離」も、運命の出会いと恋の話でしたね。神秘的な美しさと行動的な現代女性のたくましさを併せ持つ女優さんです。

 フェイバー役は、作家としても高名だった故サム・シェパード。もう見るからに孤高のインテリって感じな風貌。シャープでシブいイケオジなんだけど、ちょっと顔が鋭すぎて怖く見えることも。グラサンしてたら、某事務所の今は亡き社長に似て見えることがあって戦慄。フェイバーの元恋人でエリザベスの母役を、ドイツの名女優バーバラ・スコヴァが好演してました。
 ラブストーリーを美しく演出する旅先の風景も、この映画の魅力です。冒頭の飛行機が不時着する南米の砂漠、メキシコの奥地、ニューヨーク⇒フランスの船旅(してみたい!)、パリから車でドライブするイタリアとギリシャ。旅心をくすぐられます。

 
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風立ちぬ 今は秋♬

2023-10-23 | 旅行、トレッキング
 今日から私は心の病み人、じゃない、旅人~(^^♪
 皆さま、ご機嫌いかがですか?秋深し煙草吹かして芋蒸かし、すっかり秋になりましたね!私は久々に山に登ってきました!去年、四国の石鎚山に登って以来、1年ぶりのトレッキング。今年は体調を崩すことが多かったことに加えて、恐怖の京都わらび採り事件のせいで、山に行けなくなってしまっていたのですが、あまりにも気持ちのいい秋晴れの休日、いつものように家に引きこもって一日を終えるのももったいないと思い、奮起して山を目指しました。今回は、時間と体力を考慮して近場の山、野呂山に登りました。野呂山も久々、前に登った時はコロナ休業だったレストランで、今度こそイノシシ料理を食べるぞ!🐗
 途中でガソリンスタンドに寄ってセルフ給油(これが後に思わぬ事態になろうとは、この時は知る由もなかった!)野呂山登山口までは、車で30分もかからず。山頂までの車道は、地元では悪名高き走り屋の爆走ロード。この日は自転車で駆け上がるヒルクライム大会の開催日だったようで、駐車場前にいたおじさんに昼までは通行止めになりますので、と注意されました。あと10分ほど遅く着いてたら、駐車場にも入れなかったようです。セーフ!

 登山口からのんびり山頂を目指します。野呂山は何度も登ってる、数少ない慣れ親しんだトレッキングコース。久々の足慣らしにはぴったり。キツくないけど適度にしんどいので、初心者にもぴったりな山です。この日は素晴らしい快晴で、木洩れ日は明るく優しく、空気も清らか。マイナスイオンたっぷりな森林浴って、ほんと心身のデトックスになります。でも…他の登山者はまったくいない、静かすぎる山中ってやっぱ怖い。石鎚山みたいなメジャーすぎる山の行軍状態な人・人・人!と違い、人っこひとりいない静寂の山も以前なら、喧噪や煩わしい日常とは別世界のようで心地よかったのですが、あわわ、京都わらび採り事件を知ってしまった私は、解放感ではなく緊張感につきまとわれるように。ちょっと物音がしただけで、ひっと振り返ったり周囲をキョロキョロしたり。ビクビクしつつも、のんびりペースで登り続ける。途中で見かける珍しい野花に足を止めたり。ん?あれはひょっとして、わらび?ヒー!イヤー!!絶対に採ったりしないから、無事に下山させてください山の神さま!



 予定よりかなり早く山頂に到着!展望台にはドライブで来たと思しき高齢者の方々が3、4人いただけで、静かに秋の瀬戸内海を見渡すことができました。瀬戸内海の、穏やかで優しい風情が好きです。まだ紅葉には早く、木々もまだほとんど色づいてませんでした。イノシシ料理を食べたいので、野呂山ロッジのほうへ移動。途中、奥のほうにある弘法寺に行ってみました。弘法大師さまも来られたことがあるという古い寺です。神社に比べると、お寺ってあんまり行くことないな~。近くにある滝は、一滴の水もなくカラカラに乾いてました。


 野呂山ロッジのほうへ向かうと、ヒルクライム大会の真っ最中。ゴールのロッジ前にはたくさんの出場者が。すごいな~。こんなところまで自転車こいで上がってくるなんて!と感嘆するばかりの私。ロッジに入ると、館員が先客に説明してるのが耳に入った。本日はイベントのためレストランは休業です、と。えええ~!?そんな~!また休業の日に来ちゃったとか、ありえんわ~。トホホ。じゃあ温泉だけ入って帰ろうと思い、受付でお金を払おうとサイフを取り出すと、????!!!?サイフの中に、あるはずのお金がない!?え?朝、セルフで給油…あ!?と、私は雷に打たれたようなショックで硬直。一万円で払ったおつり!取るの忘れた!!!2000円分給油したから、8000円が!※▼◍💩!☒🐢!$£¥!!☈€§🔸🦈!!絶叫しそうになるのを必死で抑え、その場に座り込んでしまいました。ああああ~何ということ!バカバカバカバカ!!さっきまでの爽快な気分は雲散霧消。お金も惜しいが、それよりも自己嫌悪のほうがイタい。イノシシ料理も食べられず温泉にも入れず、お金も失くすとは!何しに来たの。来なきゃよかった。どよよ~んと重い足取りで下山したのでした。

 ↑ 夏の睡蓮が有名な氷池
 もう食欲もないけど、とりあえず買い物して帰ろう。スーパーは朝に給油したガソスタのすぐ近く。ダメモトで聞いてみよう。オズオズとガソスタの店員さんに尋ねてみると、何時ごろ?車種は?と聞かれた。答えると、え!?8000円がポンと返ってきた!ウソやろ?!奇跡!さっきまでの暗い絶望は消え去り、生きててよかった!神さまありがとう!と歓喜に震えたのでした。登山よりも気分のアップダウンで疲れた一日でした人生って、禍福は糾える縄の如し。山と8000円が、それをあらためて痛感させてくれました(^^♪皆さまも、忘れ物や不注意にご用心の秋をお過ごしください
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壮亮来たりてジャズを弾く

2023-10-20 | 日本映画
 「白鍵と黒鍵の間に」
 ジャズピアニストを目指す博は、修行のため銀座のキャバレーでピアノ演奏のアルバイトを始める。元ヤクザと思しき男からリクエストされた「ゴッドファーザー」のテーマを弾く博だったが、それが思わぬ騒動を巻き起こすことに…
 大好きな池松壮亮主演作を観てきました~(^^♪もう随分と長いこと壮亮くんのファンやってますけど、最近はあんまり観たいと思えるような作品に出てくれなくて、気づけばほとんど昔のオトコと化してました久々の壮亮くん、やっぱ彼っていい役者!と心から再確認しましたよ。わらわらいる同世代の若い俳優とは、十把一絡げにはできない個性と才能、そして魅力の持ち主だと思いましたよ。

 おそらく壮亮くんは、業界でも若手では別格の存在、日本映画界の至宝、と見なされ大事にされているのでは。ヒット作や話題作に出てる人気イケメン俳優たちと違い、監督や共演者から畏怖や敬意を抱かれている名優の風格、重厚さがすでにある、みたいな。最近は横浜流星を、イケメン路線を歩まずヒット狙いもしない稀有な若手俳優、として注目していましたが。やっぱ壮亮のほうが役者が一枚も二枚も上手。人気イケメン俳優は、うかつに壮亮とは共演しないほうがいい。間違いなく食われちゃうから。

 昭和のジャズピアニスト、博/南の2役を演じてる壮亮くん、彼ももう30歳とか隔世の念すぎるわ。南の時の、若いのに酸いも甘いも嚙み分けたニヒルさや倦怠感、そこから滲み出る色気ときたら!ここが、いい年してチャラチャラ子どもっぽいアラサー俳優と違う壮亮の魅力。煙草吸ってるのがこんなにサマになって自然な若い俳優、他にいません。スーツ着てサングラスかけて、煙草吸いながら夜の銀座をアンニュイに歩く壮亮as南、ちょっとイケてるヤーさんっぽくて素敵でした。壮亮くんにはいつかヤクザ役も演じてほしいです。

 博の時の壮亮は、田舎から出てきたばかりみたいな純朴な青年風で、可愛い!すごい童顔なので子どもに見える瞬間も。若い男の色気と少年の愛らしさを併せ持つアンビヴァレントさも、壮亮の強力な個性。お面を被ってキャバレーでピアノを弾くシーンがあるのですが、お面の奥にある瞳がキラキラしてて可愛い&美しい!浮浪者になって髭もじゃ顔な時も、瞳はダイヤモンドな輝き!風貌だけでなく、声や口調でも南と博を巧みに演じ分けてる壮亮くんです。台詞は低音の棒読み調だけど、実は壮亮くんってすごいきれいな声してるんですよね。子役時代に出演した大河ドラマ「義経」で初めて彼を見た時、子どもながらにその美声での端正な台詞まわしに、何この子?!と衝撃を受けたものです。この映画でも、怒鳴ったりした時に美声を聞けて嬉しかったです。

 コミカルな演技もお上手な壮亮くん。博のどこかズレた言動やトボけた表情、南がアメリカ人歌手のリサと話す時の英語(リサいわく、18世紀の修道士みたいな)がヘンで笑えた。笑えるシーンが多く、ほとんどコメディといっていい内容の映画だったのが意外、ていうか、ちょっとガッカリだったかも。昭和の銀座、夜の世界で生きるジャズピアニストが主人公、と聞けばもっとムーディで退廃的なドラマを想像、期待しちゃうじゃないですか。そんなんじゃ全然なかったし。


 博と南の二役も、実は…?な、かなりトリッキーな設定。まるで時空が歪んでるような過去と現在の錯綜、ていうか過去と現在が同じ時に進行してつながってる?いや、どっちかがパラレルワールド?みたいな、え?え?え?な展開は、終盤に向かって現実?悪夢?妄想?と、どんどんカオス化。何この映画?シュールなマルチバース系、いや、精神崩壊系コメディ?!

 とまあ、かなりヘンテコな映画でした。壮亮に絡んでくるワケアリな男たちの役で、森田剛と高橋和也というヤメジャニ俳優が。森田氏は、ちょっと前までアイドルだったとは信じがたいほどのヨゴレ系に。高橋さんはヤメジャニの中では、いちばんクセと味のある役者なのでは。銀座に君臨するヤクザのボス役が松尾貴史、という点でもうおふざけ色濃厚。意外な好演だったのが、リサ役のクリスタル・ケイ。歌を聞いてくれない客にイライラ、粗暴で下品な罵倒英語が笑えた。

 猛特訓したという壮亮くんのピアノも見もの聞きもの。彼の「ゴッドファーザー」演奏と、デモテープを録るためのキャバレーでのセッションシーンが、なかなか胸アツでした。すぐに影響されちゃう私、さっそくサボってたピアノ練習を再開しました昭和の話なのに、映像的にあまり昭和感が出てなかったような。

 ↑ いや~やっぱ壮亮いいですね~ホリプロを辞めて独立した彼が、今後どんな作品を選ぶか楽しみですね
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惨劇の降霊会!

2023-10-15 | イギリス、アイルランド映画
 「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」
 終戦直後のヴェネツィア。探偵を辞め隠棲生活を送っていたエルキュール・ポアロは、旧友の作家アリアドニに誘われオペラ歌手ロウィーナの屋敷で催される降霊会に参加する。超常現象を信じないポアロは、ロウィーナの亡娘の霊を呼び出すという霊媒師レイノルズを詐欺師と見なすが…
 ケネス・ブラナ監督・主演の名探偵ポアロシリーズの第3弾。前作の「ナイル殺人事件」から間を置かずしての公開。精力的なブラナ監督です。原作はアガサ・クリスティの「ハロウィーン・パーティー」。クリスティ女史の推理小説は中学生の時にハマって読破したはずなのですが、ハロウィーン・パーティーは読んだはずだけど全然記憶にないこの映画を観てビツクリしました。こんなオカルトホラーな内容だったっけ?!と。ミステリじゃないじゃん!?いわくありげな古い洋館で、この世に恨みや未練を残す亡霊が人間に襲いかかるといった、よくあるパターンのオカルト映画になってたのが、ちょっと期待外れというか残念でもありました。まさにイギリス!なミステリ映画やドラマが好きで、どんなホラーやオカルト映画を観ても失笑するだけの恐怖不感症な私なので…

 ケネス・ブラナ監督の斬新でスタイリッシュな演出やセンスは、「ベルファスト」とかでは素晴らしい!と感嘆したけど、ポアロシリーズでは何だろう?違う違う、そうじゃないby 鈴木雅之、それじゃない感が否めなくて。ブラナ氏はもともとシェイクスピア俳優として名をはせた人だから、ミステリ映画もシェイクスピア風の悲劇的な人間ドラマにしたいのでしょうね。それはそれでユニークだとは思うのですが、アガサ・クリスティのミステリとはちょっと合ってないのではとも。殺人の話なのに優雅で洒脱な楽しさがあるところが、私にとってはアガサ作品の魅力なんです。あと、意外な真犯人と殺人トリックも。この映画、それらがかなり疎かで雑な扱いになってたような。とにかく面妖な雰囲気と恐怖の演出、舞台劇のような容疑者たちの相克に重点が置かれていて、ミステリの部分は二の次三の次っぽかったです。

 ポアロのキャラと容貌が、原作や有名映画・ドラマとかなりかけ離れているところも、このシリーズの特色です。ここの部分が受け入れられない人って多いのではないでしょうか。私もシリーズ第1弾の「オリエント急行殺人事件」を観た時は、かなり戸惑いました。ポアロの人柄や過去を深掘りしすぎてるところも、それ必要?と首を傾げたし。でも今はもう、一般的なイメージのポワロとは別物、ブラナ氏が創造した新型ポアロ、として魅力も感じています。生真面目で内省的なブラナ氏のポアロはイギリス人っぽくて、本来の高慢で気どったオネエおじさんみたいなベルギー人ポアロより好きかも。

 その他のキャストは、豪華ではないけど通好みの顔ぶれ。霊媒師レイノルズ役は、今年「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でアカデミー主演女優賞を受賞したばかりのミシェル・ヨー。すごい高速でグルグル回る椅子に座ったヨー姐さんのイタコ演技、あれは笑いを狙ってたのでしょうか。無惨な串刺し姿も何か滑稽で、ほとんどイロモノ扱いでした。医者の父子役は、「ベルファスト」から連投出演のジェイミー・ドーナンとジュード・ヒル。同じ父子役でも、ジェイミーは神経衰弱なパパ、ジュードはパパを支え庇う健気で賢い息子、というベルファストとはまったく違う二人の役と演技でした。ポアロの用心棒役はリッカルド・スカマルチョ。最近は英語圏の作品でよくお見掛けしますね。
 ゴンドラや古い建物、街の様子など、水の都ヴェネツィアの風景も趣深かったです。美しいけど、湿気とか水害とか衛生とか考えると、わしヴェネツィアにはよう住まんわ。古めかしくも壮麗な事故物件である、殺人の舞台となる屋敷にも。ハロウィンの亡霊よりも、ハロウィンの梨泰院のほうがはるかに怖いです。それはそうと。どうでもいいけど日本表記、ポアロなのポワロなの?
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インドの恋人

2023-10-13 | フランス、ベルギー映画
 「Maya」
 シリアでテロ組織に拘束されていたフランス人ジャーナリストのガブリエルは、解放後にインドのゴアで静養生活を始める。旧友の娘マヤと親しくなるガブリエルだったが…
 ミア・ハンセン・ラブ監督の日本未公開作。佳作なのにもったいない。ラブ監督の「未来よ こんにちは」でイザベル・ユペールの教え子役だったロマン・コリンカが、主役のガブリエルを演じてます。「未来よ こんにちは」でMYイケメンレーダーをビビビとさせたコリンカくん、主演に格上げされたこの作品では、さらにイケメン!

 ちょっと見、顔はガエル・ガルシア・ベルナル+ザック・エフロン、みたいな?イケメンなだけでなく、雰囲気が優しそうで知的で育ちがよさげ。パリでもゴアでも高価そうな服なんか着てないんだけど、何を着ても洗練されて見えるんですよね~。パリの街を歩きながら、カフェで人を待ちながら煙草を吸ってる時の彼、めっちゃカッコいいんですよ~。ポイ捨てはダメ!だけど、ポイ捨ての仕方さえサマになってるんです。バリバリの主役なので、出ずっぱりなのも嬉しい。どこを切ってもコリンカなコリンカ金太郎飴な映画でした。

 そして、なぜかやたらと脱ぐコリンカくん。初登場からしても、全裸シャワーシーンだったし!美尻を披露した後も、パリでもゴアでも上半身裸になりまくるコリンカ。バキバキに鍛えた筋肉見ろやー!な肉体ではないけど、胸板が厚くいい具合に引き締まって、胸毛とか全然ないきれいな細マッチョ。あれぐらいが理想的ですね~。着衣だとほっそりスマートなところもトレビアン。顔といい体といい雰囲気といい、こんな外人彼氏ほしいわ~なコリンカasガブリエルでした。流暢な英語も、フランス人イケメンだからソソるんですよね~。

 コリンカくんのどこかいつも遠い目が、ガブリエルの内省的な性格をよく表していたと思います。異国インドでの独り暮らし、インド国内を独り旅、女性たちとの深入りしない恋愛関係など、独りが好きなんだな思わせるガブリエル。そのせいでマヤを傷つけてしまうのですが、優しく知的で孤独癖のあるイケメンとか、反則に近い魅力ですよね。恋愛には向いてないガブリエルみたいな男、女性にとってはちょっと厄介だけど、ご本人も何か気の毒。モテようとか女とヤリたいなんて全然思ってないのに、女が寄ってきちゃうもんね。ガブリエルの愛を拒む優しい冷たさもまた、イケメンだけに許される魅力でした。

 マヤ役のアーシ・バナルジーも、聡明そうな美人&好演。マヤは18歳ぐらいの設定?年上のイケメンフランス男への、さりげなく遠慮がちなマヤのLOVEモーションが可愛くてけなげでした。マヤの気持ちに気づきながらも、彼女を子ども扱いして優しくスルーするガブリエルの紳士ぶりも、もどかしくて胸キュン。
 インド旅行気分になれるのも、この映画の魅力です。インドといえば、人がいっぱいでゴチャゴチャ混沌、貧乏で不潔というイメージですが、この映画のゴアは清潔で閑静な町でした。マヤのパパが営むホテルも素敵。マヤは富裕層の娘で、ライフスタイルも上品でリッチ。極貧の最下層の描写はなかったけど、インドも格差が厳しそう。ガブリエルが列車で回るインドのローカルや庶民の暮らし、古い宮殿などもインド情緒あふれていて興味深かったです。暑そうだけど乾燥しているので、汗ダクダクベタベタにならないところが、さすがインドだと思いました。

 ↑ ロマン・コリンカ、1986年生まれの現在37歳。名優ジャン・ルイ・トランティニャンの孫というサラブレット。出演作が多くないのは、ガツガツ働く必要がないから?仕事を選んで、秀作佳作にまた出てください
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イケメン銀行

2023-10-11 | 日本映画
 「アキラとあきら」
 大手銀行の新人行員として出会った山崎瑛と海堂彬。育った環境も性格も違う二人は、銀行の在り方について互いに相容れぬ考えを抱いていたが、やがて人生を賭けた試練に協力して立ち向かうことに…
 今を時めく(?)竹内涼真と横浜流星の競演。売れ始めた頃は、どっちも???な存在でしたが、最近は見た目も演技も魅力的になってきて、二人とも今では好きな俳優さんに。なので共演は嬉しかったのですが、映画の内容にはあまり惹かれなかった。みんな大好きな池井戸潤先生の作品、という点でもう躊躇するものが。池井戸先生の作品って、私の好みとはまさに対局にあるといっていいかも。私、善い話より悪い話のほうが好きなので私の大好物である毒、魔、色、とは無縁な池井戸先生の、日曜日の夜に家族で楽しく観られる系の映画やドラマは、つい敬遠してしまう私です。この映画に先んじて映像化されたドラマ版も、向井理と斎藤工の共演だったので観たのですが、うう~ん。あまりの毒・魔・色のなさにトホホ、途中リタイアしてしまいました。なのでこの映画も…?

 W主演の竹内涼真と横浜流星は、どっちもイケメン、いい演技で、20代前半の頃に比べると確実に役者として成長してるし、いい男にもなってると思いました。瑛役の涼真くんは、長身な上にかなりゴツくなってきてて、素敵な体格に。逞しいけど顔ちっちゃくて手足長くて、スタイルもいい!爽やかな男らしさが魅力的。声もいいですね~。長い専門用語台詞も頑張ってた。東大卒のエリート役にはちょっと違和感な、頭悪そうなヘボい顔も可愛いです。静かなる情熱と高い理想を抱く瑛を、優しく熱く演じてた涼真くんでしたが、瑛がどうもいい子すぎ、欠点なさすぎで、人情ドラマなのに人間味が薄く感じられました。それは彬役の流星くんも同じ。

 最近は脱イケメンな仕事ぶりで、個性派俳優へと成長している流星くんですが、今回の彬役はイケメンに回帰、ていうか逆戻りしてた感じ。冷たい美貌、クールなキャラ、見た目のイメージ通りな役と演技は、最近の流星くんを高く評価してた者としては、ちょっと残念でもありました。エリートの御曹司だけど、すごくいい子なところもつまんなかった。ゲスとクズばかりな韓国の財閥御曹司みたいな役を、いっそ演じてほしいわ。長身な涼真くんと一緒のシーンだと、すごく小柄に見えました。

 涼真も流星も、若くてイケメンで演技も悪くない、だからこそ否めなかった物足りなさ。この映画の二人に満足できるのは、彼らの熱烈ファンか、彼らには無関心派でしょう。前者は彼らの姿を見るだけでOKでしょうし、後者はイケメンにしては学芸会じゃないなと感心するでしょう。そのどっちでもない私は、無難な役と演技を二人にさせるのがもったいないと思った。将来を嘱望されてる二人だからこそ、つい厳しい目でこの映画を観てしまいました。役者魂炸裂な、若いうち、きれいなうちにしかできないような役で、衝撃と感激を!と期待しています。

 映画というよりテレビドラマみたいでした。銀行も財閥一家の問題も、結局は人情に訴えて解決!な展開も、いい話だね~…と冷血人間の私は鼻白んでしまった。よかった点は、Wアキラに女が絡んでこなかったこと。余計な恋愛ドラマがなく、女っけがほとんどなかったのが、返って清々しかったです。子どもの時に出会い、大人になって銀行で再会するWアキラ、その運命には腐心を刺激するものが。やはり女には醜い憎悪やキツい敵愾心、男には厚い信頼と深い敬意がドラマになりますね。男同士の強い絆は、ほとんどBL。Wアキラも、キスしそうなほどの近距離で向かい合ったり、せつない表情や優しい笑顔で見つめ合ったり。お互い、俺たちは運命だとかモノローグしてたし。ラストなんて、あんな所にわざわざ互いに会いに行ったの?カップル成立じゃん♡なんて、勝手に妄想応援したくなる二人でしたカップルになったら、やっぱ瑛(涼真)が攻めで彬(流星)が受け?


 特にライバル関係にもならず、早い段階で友好的になる二人なので、緊張感ある火花バチバチな演技やシーンはなし。そこも映画を平凡な出来にした要因です。濡れ場はなくとも、せめて着替えシーンとかシャワーシーンとかで無駄脱ぎぐらいはファンサービスしてほしかったかも。肉体美も二人の武器なんだしね。セックスどころか排便排尿さえしてなさそうな、キレイキレイキャラなWアキラ。若い男があそこまで清潔だと、返って気持ち悪い。もうちょっと人間臭い部分もあればと思いました。

 ↑ この二人でぜひBL映画を!「ブエノスアイレス」や「ブロークバック・マウンテン」みたいなシリアス系でもいいし、こないだ観た「僕と幽霊が家族になった件」みたいなコメディでもいい(^^♪
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イケメン&イケオジ 拳闘プライベートレッスン

2023-10-09 | 日本映画
 「春に散る」
 不公平な判定負けをして以来くすぶっていたボクサーの翔吾は、元ボクサーの老人仁と出会い彼に教えを乞う。重い心臓病を患う仁はそれを拒むが、いつしか翔吾の情熱と才能は仁の闘志を甦らせて…
ヴィレッジ」に続いて今年2作目の横浜流星主演作。再来年のNKH大河ドラマ主演など、まさに現在キャリアは昇竜な流星くんですが、あれれ?この新作、あっという間に劇場上映が終わった。危うくチケット無駄にするところでした。ヴィレッジといい、終わるの早すぎるわ。聞くところによると、両作とも興行成績が芳しくなかったとか。コケ連続で、横浜流星ではヒット無理、なんて言われてるみたいですが。私はヒット狙いの幼稚な漫画映画よりも、流星くんの選んでる出演作のほうに惹かれるし、地味だけどクオリティも高いと思ってます。わらわらいる若手イケメン俳優とは一線を画す、その独自路線は今後も貫いてほしいものです。

 他の若いイケメン俳優が演じないような役を、あえて選んでるような流星くん。その美しい顔にそぐわぬ、いや、美男の彼が演じるからこそユニークでインパクトがある役と演技も、エキセントリックで奇抜なことやれば演技派だと勘違いしてるような自称演技派俳優と違う地味さがあって、そういうところが好ましく感じられます。今回はボクサー役、凡百なイケメン俳優や某事務所タレントだったら、いかに自分をカッコよく見せるかに腐心するだけ、あるいは普段はヘタレだけど実はスゴい奴みたいな漫画演技になるところですが、流星くんはそのどっちでもない。非現実なことや奇をてらったことはせず、すごく人間的で真摯な感じがよく伝わってくる演技。


 もちろん、すごいイケメンなところも彼の魅力。翔吾みたいな一般人、そのへんには絶対いませんし、翔吾みたいなボクサーいたら、アイドル的人気になるでしょう。劇中でそんな扱いされないのが不思議なくらい美男子なのですが、顔だけだと全然タイプじゃない、むしろ苦手系な美形見た目じゃなく役と演技で魅せている若手俳優、という点が私にとって稀有な存在。今回はちょっと田舎のヤンキー風ファッションと髪型、役作りで増量したからか顔がいつもより丸くなってたおかげで、今まででいちばん可愛く見えた。冷たい暗い酷薄なイメージを覆す、単細胞で熱血ド根性な流星くんも新鮮でチャーミングでした。

 この映画の最大の見どころは、もちろん流星くんの美しい体。もともと少年の頃から空手に打ち込んでいたという彼の、イケメン俳優や某事務所アイドルのちょっと鍛えました的なものとは違う、俳優とは思えぬ鍛え抜かれた格闘ボディはお見事の一言。すごいストイックな生活してるんだろうな~。驚嘆の肉体美ですが、私はボクシングよりも柔道、バキバキ筋肉よりもガチムチ系がタイプなので、セクシーさはあまり感じず。「流浪の月」の流星くんのほうがエロいです。特訓シーンやボクシングの試合シーンも、リアルで迫力あり。

 男たちの熱い闘いと絆の物語、確かに女子受けする内容ではないので、ヒットしなかったのも納得。おなごに媚びないと商売になりませんからね。でもイケメンとイケオジのブロマンスは、腐女子なら楽しめるはず。ツーショットだけで腐的妄想を抱いてしまう二人ですが、残念ながら同性愛的匂いは微塵もありません。二人の周囲にあんなに人がおらず、二人だけの濃密な孤独の中での共闘だったら、きっともっと美味しいブロマンス映画になってたでしょう。この人、要る?なキャラが多かったような。特に女性二人。いなくてもいい、むしろ余計と思った。仁と翔吾、まさに咲き誇って散る桜のような命と夢でしたが、刹那でも悔いなく魂を燃やすことができた二人。私には幸せな結末に思えました。

 仁役の佐藤浩市も、相変わらずカッコいいです。老人呼ばわり、爺さん扱いされるのが不自然なほど、まだまだイケる現役熟年。必死に若作りしてるイタいおじさん俳優が見習うべき年齢の重ね方。すごいキレイなロマンスグレイ。それはそうと仁さん、翔吾と出会う前までは、昔の仲間を集めていったい何をするつもりだったんだろ?高齢者シェアハウス?仁が手入れした借家、庭も内装もおしゃれで爺の家っぽくなかった。昔の仲間役は、片岡鶴太郎と哀川翔。二人とも真面目に演じてるんだけど、何だか存在じたいがコントみたいで笑えた。仁の姪役の橋本環奈ちゃん、メイク感がないすっぴんっぽい肌がめちゃキレイ!仁の旧友役の山口智子、久々に見たけど昔と芸風が変わってないですね。顔はさすがに老けたけど、BBA臭ゼロな抜群のスタイルと颯爽とした風情は、まさにハンサムウーマン(死語)。

 ↑ 漫画映画は他のイケメンに任せて、これからもブレない独自路線を歩んでください!でも、若くてきれいなうちに、濃密濃厚な大人の恋愛映画(できればBL)にも挑戦してほしい!

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