まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

イケメン獄中記

2012-10-31 | フランス、ベルギー映画
 風も世間も冷たい秋ですね♪早いもので、明日からもう11月…
 寒くなると体温を上げようとする人間の本能でしょうか。私は最近、食欲が旺盛で…外食も多いせいか、まさに天高く馬肥ゆる状態で戦々恐々としてます。
 やばい!という危機感は死ぬほど抱いてるのですが、何食べても美味しくて…おかげで、ベルトしなくてもパンツがはけるし、風呂に入ればお湯があふれるし~?!いやー!!!
 決めた!明日からダイエットします♪キツいのは無理だし体こわしたくないので、間食しない、夜はおかずだけ、21時以降は何も食べない、寝る前に30分ウォーキング&筋トレする、夜遊びせずに早寝早起き、ぐらいで頑張ります!これって美肌にも良さげじゃん?明日から、というところがダメ人間な私です。今夜は、最後のポテチを噛みしめて食べます♪

 「預言者」
 「真夜中のピアニスト」のジャック・オディアール監督作の、2009年カンヌ映画祭グランプリ受賞作品。
 刑務所に収監された19歳のマリクは、監内を牛耳るマフィアの親分セザールに脅され殺人を犯す。以来、セザールに目をかけられるようになったマリクは、サバイバルのための知力を培っていくが…
 フランスの堀の中ものです。ありがちな友情や人情の色合いは薄く、無知で無力だった若者が過酷な状況下で、強く賢く成長する姿をリアルに血なまぐさく描いた映画です。
 刑務所内の、あまりなアナーキーさが衝撃的。まさに弱肉強食のジャングル状態。そして、かなり自由なのも驚いた。シャバと大して変わりのない生活してるし。煙草やヤクなんかフツーに吸ってるし、外から娼婦呼んで性処理もしてるし、マリクとか重犯罪者じゃない囚人は、外出許可まで出るし。そんなに簡単に外に出していいのかなあ、と呆れました。あれじゃあ、犯罪者を刑務所にブチこむ意味ないじゃん。マリクなんてセザールのパシリで外に出て、犯罪行為してるし。刑務所側や弁護士が、がほとんど見て見ぬふりなのも唖然。日本じゃ考えられないフランスの刑務所の実態です。殺し合いやリンチなど、とにかく血なまぐさくヴァイオレントなシーンが多いので、気の弱い繊細な方は観ないほうがいい映画かもしれません。

 ムショ内はかなり自由なんですが、それはごく一部の権力を握ってる者に限定された特権。それを死守または奪取するため男たちが繰り広げる、血で血を洗う激闘暗闘が怖くて面白いです。こーいうのが、ヤクザ映画好きな人にはたまらない要素なんですよね。強い者と弱い者で構成された実力主義の不平等さは、まさに社会の縮図。その中で、本人が自覚しないまま本能で戦いのし上がっていくマリク、その血まみれ下克上サクセスストーリーに引き込まれます。
 汚くて劣っている扱いをされているアラブ人への、露骨で非道い人種差別が怖かったです。イザベル・アジャーニの「La Journée de la jupe」(奇しくも同年の映画)もそうでしたが、フランスにおけるアラブ人への差別偏見って、根深く深刻な社会問題なんですね。
 マリク役のタハール・ラヒムが、すごくカッコカワイいです。

 アラブ系なんですが、いかにもアラブ人!なコテコテな濃さではなく、西洋人の血も混じってるのかな?と思わせる、ほどほどな濃さ。美男子ではないけど、黒い瞳がきれいなイケメンです。時にあどけなく見える顔もですが、首筋とか肌に張りがあるピチピチ感が、ああ若い~と感嘆させられました。
 はじめの頃の、たよりない無垢な感じだった少年が、悪事で汚れていくごとに雄々しく凛々しくなっていく変貌を、外見でも内面でも時に激しく時に静かに表現していたラヒムくんの演技も素晴らしかったです。凄味も出しつつ、芯の優しさ純真さは失わないところも好感度が高かった。マリクを熱演したラヒムくんは、セザール賞の新人男優賞、だけでなく何と主演男優賞も!という、史上初のW受賞の快挙を成し遂げました
 セザール役で、「真夜中のピアニスト」に続いてセザール賞助演男優賞を獲得した、ニエル・アレストリュブの存在感も強烈です。鬼畜おやぢなんだけど、マリクが非道い目に遭いつつも慕ってしまう、大きな父性のようなものを感じさせるところが秀逸でした。

 ↑タハール・ラヒム、1981年生まれの現在31歳。結構オトナな男だったんですね。若く見えますよね
 
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ワイン色のBL!

2012-10-26 | オセアニア、アフリカ、中東、その他のアジア映画
 秋深しタバコ吹かしてイモ蒸かし
 食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、恋愛の秋etc.皆さまも秋を楽しんでおられることと存じます。
 私は平日休日に、ピーターと呉の野呂山にドライヴしました。紅葉にはまだ早かったのですが、小春日和の秋の山は空気もきれいで快適でした。楽しかったのは、山道を傍若無人に爆走できたことです。野呂山は、地元では有名な走り屋ご用達のコース。平日の昼間だったので、イカした頭文字D野郎どもはいませんでしたが、他の車をあまり気にせず疾走することができました。急カーブが怖くて面白かったです。何度もガードレールを突き破って崖下に転落しそうになりました。どうやら私、普段は臆病なくせに車に乗ると性格が豹変する危険なタイプらしいです。あの~運転かわっていいですかあ?と、ピーターに何度も言われてしまいました。
 野呂山の頂上にある野呂山高原ロッジで、名物の猪ハンバーグを食べました。猪肉は初めてだったのですが、正直あんまし美味しくなかった…びっ○りドンキーのハンバーグのほうが美味しいです。猪カレーを食べてたピーターも、もう二度と来ないと愚痴ってました。完食してたけど。
 それはそうと。去年退職して実家の家業を継いだSくんという子が、ピーターに最近ストーカーのようにつきまとってるらしいのです。毎日毎晩電話やメールがきて、遊びの誘いや相談事攻撃。メールを見せてもらったのですが、読む気も失せるようなものすごい長文で、しかも意味不明な内容。Sくんは今、どうやら情緒不安定らしいのです。しかも、金銭トラブルに直面してるらしい。そのトラブルの内情が、かなりヤバいにおいがするので、百戦錬磨なピーターもさすがにドン引きしてるのです。Sくんのトラブルについては、また今度お話したいと思います。どなたかに、よい知恵をさずけていただきたいので…

 「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」
 19世紀のフランス。ブルゴーニュ地方の農夫ソブランは、自らの手で最高のワインを造ることを夢見ていた。そんな彼の前に、天使が現れて…
 「クジラの島の少女」のニキ・カーロ監督作品。
 天使とか悪魔とか妖精さんとか、ファンタジーなキャラが出てくる映画が苦手な私ですが、この作品は思ってたほどそっち系の色は濃くなくて、意外すぎる方面で濃かったのが嬉しい驚きでした。
 何が濃かったのかといえば。私が三度の飯より好きなBLです可愛く逞しい農夫と美青年な天使が、女たちを巻き込んでドロドロな刃傷沙汰恋愛!ソブランと天使は、男同士の友情が強すぎ深すぎてちょっと危ない、というよくあるパターンな友情+α的もどかしいBLではなく、かなりガチなBLなのです。ソブランの前に半裸の男天使が現れた時点で、かなり場面は薔薇族色に染まっています。ここで一生涯会おうよ、と約束しあう男二人。妻に内緒で天使とイソイソと密会するソブランの姿は、後ろめたいけど自分を抑えられない隠微な情熱が感じられて、こっちまでドキドキします。末娘が病死して悲嘆に暮れるソブランを、優しく抱きしめる天使。そんな天使にキスを迫るソブラン。戸惑い逃げる天使ですが、ソブランに会うことは止められない。今度は自分の正体を知ったソブランに拒否られた天使のほうが、攻め態勢に入ったり。会いたくて会いたくて震える~♪西野カナも呆れるほど、誤解や駆け引きで盛り上がる男たち。そこに嫉妬に狂ったソブランの妻が、この泥棒猫!死ねー!!と天使に包丁振り回して襲いかかったり、恐ろしくも面白い修羅場が展開されるのです。泥棒猫が女でも人間でもなく、男で天使なところが特異です。とにかくソブランの、単なるヤリチン?と思えてしまうほどのモテ男っぷりが、この映画の主題っぽいです。

 ラブシーンがワイルドです。ソブランとその妻はほんと野生児で、彼らのアオカンや家での夫婦生活は、開放的で原始的な若々しさ、生命力にあふれてます。ソブランの屋外セックスでの腰の動き、高速&激しすぎて笑えました。麻○彰○も驚く空中浮遊なソブランと天使のラブシーンも、変で笑えます。
 この映画を観たのは、もちろん愛しのボーギャルソン二人、ジェレミー・レニエとギャスパー・ウリエルの競演作だからです♪

 ソブラン役のジェレミー・レニエ、男らしくて可愛い愛の妖精」と同じく農夫役なのですが、さらに逞しく頼もしい魅力を加えていて、ますますE男に。あんな農夫にいろんなところを耕されたい♪と思ってしまいます。ジェレミっちの肉体美も見ものです。それはそうと。ジェレミっちとガエル・ガルシア・ベルナルが、私の中ではスゴくカブるんですよね。顔もだけど、ガッチビ(ガッチリしたチビ)なところも似てる。金髪ジェレミっちは薄口で明るくてバカっぽくちょっぴりブサイク入ってて、黒髪ガエルっちは濃口で暗くて賢そうで端麗ですが。

 天使役のギャスパー・ウリエルは、エンジェルのくせに何か耽美的にエロいところがトレビアン。あんな天使が目の前に現れたら、エクスタシーで昇天希望です。ガチムチなジェレミーに対し、ギャス男の裸はイタリアの絵画から抜け出したような柔美さです。ちょっとアゴが尖りすぎて時おりヘンな顔に見える最近のギャス男ですが、美男子であることは間違いありません。優しそうで遠い瞳が好きです。
 ベルギー人のジェレミっちとフランス人のギャス男が、英語で演技してるところも新鮮な映画でした。ぜひフランス語での再共演を!
 ソブランの妻役は、ニキ・カーロ監督の「クジラの島の少女」でオスカーにノミネートされた、ケーシャ・キャッスル・ヒューズ。ワイルドで情念的な風貌とキャラは、なかなかインパクト大。脱ぎっぷりも良かったです。男爵夫人をジト~と睨む目つきや呪いの贈り物が怖いです。あまりにも少女っぽいので、成長した長女のほうが年上に見えました。
 男爵夫人役は、「マイレージ、マイライフ」でオスカーにノミネートされたヴェラ・ファーミガ。美人ですが、貴族っぽくなくて庶民的な親近感のもてる美しさ。手術シーンでヌードも披露。彼女の衣装が目に楽しいです。
 ブルゴーニュの美しい風景や、ワイン製造の過程なども興味深かったです。

 ↑ジェレミっち、いい感じに可愛いおっさん化してますよね

 ↑ギャス男、こーして見ればやっぱ稀有な美男ですよね。こんな外人、そのへん歩いてないもん

 ↑ホントにBLカップルだったら、どっちがタチでネコやろか。リバっぽいですね。
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シークレットガーデン①~⑤ 王子と賎の女

2012-10-23 | 韓国のドラマ
 ハ・ジウォンとヒョンビン主演の「シークレット・ガーデン」観始めました♪

☆メルヘンなOP
 私、ファンタジー系が苦手なので、ちょっとイヤな予感…
☆戦うヒロイン
 スタントウーマンであるキム・ライム登場。アクションシーンがカッコいいです。「ファン・ジニ」以来久々のハ・ジウォン。やっぱ彼女、いい女優ですね。ちょっと顔がタヌキ化、うただひかる化してますが、鋭い眼光とツラ構えのよさが好き。男に媚びたクニャクニャしいブリっ子じゃなく、男より逞しく賢い。女に媚びたナチュラル気取りのサバサバ系でもなく、ドロドロした情念も胸の中で燃やしている…そんなヒロインを演じ続けているハ・ジウォンのドラマは、今のところワタシ的には一本もハズレなし。
 今回のキム・ライムも、なかなか魅力的なヒロインです。気が強く男勝りで才能はあるけど、貧乏なせいで泣いたり怒ったりな逆境ヒロインを演じさせればピカイチ、ていうか、それ以外の役を演じるハ・ジウォンは今や想像できません。
☆王子さま?
 財閥の御曹司でデパート社長のチュウォン登場。「雪の女王」以来久々のヒョンビン。あれれ?顔が何か貧相になっちゃって、ブサイクに見える?!顎がとんがってて髭剃りあとが青々しずぎて、ちょっとキモい瞬間も多々ある…
 性格が曲がってる俺様お坊ちゃま、はキム・サムスンの時と同じ。あの時のビニはカッコよかったけど、今回はちょっと見た目もキャラも不気味です…キム・サムスンの時もそうでしたが、ビニって金持ちに見えないんですよねえ。貧しい役のほうが似合うような…

☆本名はウヨン
 チュウォンの従兄で人気スターのオスカー。渡部あつろう似?ちょっと落ち目&おバカなキャラは、なかなかいい味出してます。
☆アクションスクール
 ライムが所属してるアクション俳優養成所。楽しそうなので私も入りたい。ライムの先輩や後輩の中に、結構イケメンがいる♪ライムをひそかに愛している監督も、なかなか男前です。

☆家賃3万円の部屋の住む女
 チュウォン、コロンビア大学を卒業したにしては、世情に疎すぎ。時代劇のお城に住む若殿さまじゃあるまいし、今どき金持ちが貧乏人の生活にカルチャーショックを受けるなんて、ありえない。金持ちと貧乏の差の描写が、陳腐で古臭すぎます。
☆お坊ちゃまはストーカー
 ライムのことが気になり、彼女につきまとうチュウォン。彼女のロッカーを勝手にのぞきこんで私物を物色するなど、かなりヤバい男です。あれがビニじゃなく、岩尾とか山ちゃんだったら、変態犯罪者になるところです。
☆わけのわからない女も韓ドラ名物? 
 チュウォンのお見合い相手で、オスカーの元恋人である令嬢スル。彼女のキャラが、何か一貫性がなさすぎて戸惑います。調子のいいバカ女なのか、クールな悪女なのか、それに何がしたいのか言動が支離滅裂。オスカーとスルの恋バナ、すごく余計な感じがする。韓ドラって、主人公以外のどうでもいいような恋愛ストーリーも盛り込んでくることが多くて、ウンザリしてしまいます。

☆韓国の金持ちファッションって
 韓流ドラマを見ていつも思うのですが、韓国の金持ちってホント悪趣味ですよねえ。ファッションも豪邸も、成金的すぎてセンスなし。洗練された上品さや優雅さ、気高さとかがファッシンだけでなくキャラにも皆無。ほんとに生まれがいいブルジョアジーは、あんな服は着ないし、あんな分かりやすすぎる差別偏見言動しませんよね。貧乏人より返って下品で卑しい韓国の金持ち。あれは格差社会批判の意味で、わざとそう描いてるのでしょうか? 
 でも悪趣味な韓国金持ちファッションは、もはや韓ドラのお楽しみにもなってます。チュウォンはお笑い芸人のステージ衣装だし、チェウォン母はまるで舞踏会にでも出るのかよ?なドレス着て出歩いてるし、スルなんかどう見ても街娼だし。
☆チェジュ島
 韓ドラって、チェジュ島観光アピールが多いけど、国からの命令なのでしょうか?
★総括 
 面白いです。王子さまと貧乏女のラブストーリーじたいはありきたりですが、ハ・ジウォンとヒョンビンがチャーミングで楽しいです。ハ・ジウォンはいつもながらに魅力的ですが、今回はビニも光ってますね。カッコいいけど正直大根だったビニが、まさかのキモカワいいアホ演技で新境地、俳優として確かな成長を感じさせてます。今回はカッコいい姿よりも、エスカレートするビニのキモカワいい珍演に期待♪

↑退役後のカムバック作では、ぜひ大人の男の色気で勝負な演技を頼むぜビニ!
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びんた

2012-10-21 | フランス、ベルギー映画
 昨夜、ビッグアーチで行われた広島サンフレッチェと柏レイソルの試合を、職場の若い子らと一緒に観戦しました
 サッカーは正直あんまし興味がなかったので(野球と違い、好みのイケメン選手があまりいないから。長友は大好きですが)、つまんなかったらどうしようと不安だったのですが、想定外に面白かったです。現在首位ということもあり、観客も多く盛り上がってました。サンフレッチェで唯一名前を知ってた佐藤寿人より、ミキッチという外国人選手が活躍していたように思えました。サッカーはチンプンカンプンな私に、後輩のOくんが隣で一生懸命に解説してくれました。アルシンドは今どこのチームに所属してるの?とか、中田ヒデ子姐さんはガチでハード○イだよね?とか、ジーコが出てたほのぼのレイクのCM知ってる?とか、くだらないことばかり言い散らかし、Oくんをイラっとさせて喜んでた私です。
 最後の最後で、超唖然&残念な負け方をしてしまったサンフレッチェ。せっかくの首位、頑張って維持してほしいものです。カープの二の足だけは踏まないでね!
 それにしても、寒かった~!今後ビッグアーチでサッカーを観戦される方は、くれぐれも防寒準備を怠りなく!
 せっかく車を買ったので、体がしんどいとか金がないとか年だからとかアレコレ言い訳せず、なるべくアチコチ出かけて秋を楽しみたいと思ってます。

 お松のイザベル・アジャーニ映画祭④
 「La gifle」
 イザベル・アジャーニが「アデルの恋の物語」の前に出演した作品。タイトルを訳すと“平手打ち”。
 教師のジャンは妻エレーヌと別れた後、ひとり娘のイザベルと二人暮らし。互いに愛情で結ばれている父娘だが、堅物なジャンと現代っ子のイザベルは、意見と価値観が合わず衝突することもある。恋人のマリクと同棲したいと言い出したイザベルに、ジャンは動揺し反対するが…
 80年代にソフィー・マルソーをアイドルスターにした「ラ・ブーム」のクロード・ピノトー監督の作品。チャーミングなイマドキ娘と、その家族の絆や愛を明るく描いている点は、ほぼラ・ブームと同じです。ラ・ブーム70年代バージョン、みたいな内容かも。
 イザベルのキャラが、かなりエキセントリックで唖然&笑えます。ジャンだけでなく、出てくる男みんなを振り回しまくります。その予測不可能な暴れん坊ぶりと、それにアタフタする男たちがコミカルです。イザベル、じっとしてることがほとんどなく、常に動き回り喋りまくり、元気がよすぎて見ていて疲れる。かなりギャーギャーとヒステリックで、こんなメンドい娘あんまし関わりたくないなあと思わせるイザベルです。超メンドい娘だけど、見た目が超可愛いのと、男に媚びたクニャクニャしいブリっ子じゃないからか、ムカついたり嫌悪感を抱かせることは全然なく、キュートな珍獣っぽくて自分と無関係で傍から見てるだけなら面白い娘ではあります。いつもバタバタ忙しそうな姿に、時間を無駄にせず一生懸命生きてるんだなあ、と感嘆してしまいます。自分の思うように、あるがままに生きたい!という彼女の強い意志や行動力も、身勝手だなあと呆れる反面、若者だけに許された特権みたいで羨ましくもなりました。

 イザベルをチャーミングに熱演してる、当時18歳のイザベル・アジャーニ。かろうじてまだエキセントリックですむ域にとどまっていますが、後の美しき狂女の片鱗は十分に見てとれます。ジャンに向かって絶叫する声や顔などは、かなりヤバいです。ポッキー少女のようにほっそりしてて、上沼恵美子みたいな現在とは別人のようなハイティーン時代のイザベルが可愛いです。
 ジャン役の故リノ・ヴァンチュラは、シ、シブい!教師には見えません。どう見ても、マフィアの親分かマル暴の刑事。あんなパパいたら、怖がって男が近寄ってこないよ。コワモテですが、娘との距離感や別れた妻への複雑な想いに揺れる姿が、男の哀愁に満ちていてカッコよかったです。
 ジャンの元妻エレーヌ役は、故アニー・ジラルド。「ピアニスト」のエリカ先生ママとは別人のように、サバサバした自由人な中年女性を好演してました。

 イザベルの恋人マリクも、アホだけどよく見ればカッコカワイい男子でした。イザベルに恋してるレミも優しそうなイケメンでした。
 あと驚いたのは、イザベルの友人でレミの妹役の女優。どっかで見たことあるなあ、誰じゃろ?と思ってたら、あ!ナタリー・バイじゃん!若かりし頃のナタリーおばさまも可愛いです。フランスの女の子って、やっぱアメリカンギャルと何となく違いますよね。
 70年代のパリの風景や(過激な学生運動の様子とか。日本のそれとは違って、あんまし悲壮感がなくて何か楽しそうに暴れてるのが印象的)、若者のファッション、車などが目に楽しかったです。
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復讐の妖精

2012-10-14 | フランス、ベルギー映画
 お松のイザベル・アジャーニ映画祭③
 「殺意の夏」
 南仏の田舎町に、エルという美しい娘が両親と共に引っ越して来る。気のいい自動車修理工の青年パンポンは、気まぐれなエルに翻弄されながらも彼女を愛するように。エルはある恐ろしい企みを胸に秘め、パンポンに近づいたのだった…
 フランスの国民的人気作家セバスチャン・ジャプリゾが、イザベル・アジャーニのために自作を脚色した愛と復讐のドラマ。「クリクリのいた夏」や「ピエロの赤い鼻」など、フランスの田舎を舞台にした人情ものが得意なジャン・ベッケル監督作品。 伏線の張られた謎めいた展開や、衝撃的で悲痛で皮肉すぎる結末など、ミステリとしても面白く巧妙な映画です。忌まわしい出生の秘密や戦争の傷跡など、暗く悲しい話なのですが、明るい陽光降り注ぐ、素朴な人々の住む田舎町が舞台なためか、陰惨な感じは皆無。パンポンや彼の家族がみんな善良で、クスっと笑えるシーンも多く、ほのぼのコメディ?と錯覚してしまいそうにもなります。ヒロインのエルも、内面には暗い怨念を隠しもっているのですが、表面的にはアッパラパーなニート娘で頭カラッポそうだけど、的を射たキツい皮肉や毒舌を吐いて相手をギャフンとさせるところなど、かなり笑えます。

 エルの復讐劇を見てると、人間って思い込みが激しすぎるのはよくないなあ、とシミジミ思いました。人目を惹く美貌と、悪だくみを計画し実行する頭脳を備えていたのも、エルを不幸にするだけでした。もし彼女がブスでバカだったら、彼女も彼女に関わる人々も、運命を狂わされることはなかったはずだし。自分も他人も不幸にしてしまうほどの美しさって、憧れるけど…やはり美しすぎるのは害毒かもしれません。
 エルをチャーミングに熱演して、2度目のセザール賞主演女優賞を受賞したイザベル・アジャーニ。小麦色に焼けた肌を惜しみなくさらし(まさに文字通り、すっぽんぽん!)コケティッシュな天使とクールな悪魔の二つの顔を使い分け、パンポンと観客を翻弄し惑わし魅了するイザベル。少女?売女?無邪気?腹黒?優しい?残酷?彼女特有のアンヴィバレントな魅力を炸裂させています。毎度のことながら、その美しさ、演技もフツーじゃないのですが、イザベルの魔力の源は、やはりその瞳ではないでしょうか。狂気の淵をのぞいているような、常人には見ることができない異郷を見つめてるような、張りつめてるけど虚ろな瞳が美しすぎて怖いです。アッパラパーだけど、精神不安定で今にもコワレそうな脆さは最初からヤバい感じで、だんだん期待通り狂気へと落ちていく姿は、これぞイザベル・アジャーニ!と拍手したくなります。狂ってないイザベルなんて、辛くないキムチみたいなもんだし。

 イザベルのワイルドすぎるヌード(家の中で行水、庭で放尿など)や、ファンシーすぎるカラフルでエッチな超ミニなど、絶対に真似できないけど可愛いファッションも目に楽しいです。
 イザベルのファンにとっては有名なエピソードですが。イザベルは一度エル役のオファーを断ったものの、やっぱやる!と思い直し、代役の女優からヒロインを奪い返したのです。うう~ん。その身勝手さや気まぐれ、情熱がイザベルらしいというか。まさに業の深い女優そのもの。惚れ直した。イザベルほどの特別な大女優だから許されるワガママ、暴挙ですね。

 パンポン役は、フランスの人気歌手アラン・スーシュン。美男とか男前ではないけど、優しそうで女に甘い感じが微笑ましく素敵でした。
 パンポンの耳の遠い伯母さん役は、ベッケル監督作品の常連だった名女優の故シュザンヌ・フロン。おちゃめで可愛いおばあちゃんを好演して、セザール賞の助演女優賞を獲得しています。彼女とイザベルのやりとりは、ほのぼのしててコミカルなんだけど、劇的な展開につながる重要なシーンでもあるので、要注意です。あと、エルの引きこもりパパ(イザベルの「サブウェイ」では刑事役だったミシェル・ガラブリュが好演)も重要な存在なので注意が必要です。
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涜神!き○がい美女の妄乱!

2012-10-11 | フランス、ベルギー映画
 久々にピーターと、夜ごはんを食べてカラオケに行きました。
 禁煙中のピーター、もう1か月近く1本も吸ってないらしいです。有言不実行で自分に甘い彼にしては、奇跡的な快挙です。このまま頑張ってほしいけど、けだるそうに煙草を吹かすピーターは結構かっこよかったので、ちょっと寂しい気もします。
 禁煙のおかげで身も心も清々しくなったせいか、元気で幸せそうなピーターですが…ヘヴィなスモーカーでなくなった代わりに、体型がヘヴィになっていってるのです。ブクブクと明らかに太っていってるピーター。最近は何を食べても美味しいらしく、少食だった喫煙時代とは別人のように油っこいもの甘いものを食べる食べる。がっしりだった体つきも、今やムッチムチ状態。首がなくなってしまってるし。スーツもネクタイもキツそう。鍛えればスゴいマッチョになりそうなのですが、怠け者ピーターにそんな気概はありません。
 吸えば肺がん、吸わねばメタボ。いずれにしても、なかなか健康的な若者になれないピーターが心配です。

 お松のイザベル・アジャーニ映画祭②
 「ポゼッション」
 とうとう…この映画の感想を書く時が来てしまいました…
 ベルリンの壁近くにある西ドイツの街。長い単身赴任から戻って来たマルクは、妻アンナの様子がおかしいことに戸惑う。彼女は不倫しているらしい。狂気に蝕まれていくアンナに困惑するマルクは、探偵に調査を依頼し浮気相手を突き止める。しかし、アンナには第三の愛人がいた。それは…人間ではなかった!
 わしのcinema life 史上、いや、映画史上最狂き○がい作品かも。とにかく、すべてが狂ってて意味不明で不可解で不気味でヤバいです。まともな精神と常識の持ち主が観たら、頭痛と吐き気に襲われること必至。わしも乙女時代に初めて観て、あまりのワケのわからなさ、異常なシーンの連続に、知るべきではない世界に無理やり連行され、心理的拷問を受けたかのような苦しさ・不快感を味わってしまい、しばらく映画を観るのもイヤになってしまったのです。
 封印したはずの悪夢なのに。なぜか無性に観たくなってしまい、おそるおそる、魔魅に誘われるかのごとく、ワクワクと再びパンドラの箱を開けてしまったのでした…
 久々に観た感想は…やっぱワケがわからない、狂った病んだ映画でした。でも…何か楽しめてしまった。ここが乙女の頃とは違う点です。成長したのか?まさか、精神が映画の世界観に近づいてしまったのか?!前は嫌悪感と不快感しか覚えなかったのに、なぜか今回は笑えてしまった。ここまで狂ってると、もはやギャグの域?ひょっとしたら、この映画はシュールすぎるコメディなのかもしれない、とさえ思ってしまった。内容の意味不明さも、もはやどうでもよくなったし。理解したり共感したりするような映画ではないから。ていうか、したくないし。東西ドイツに別れていた時代の政治的なメッセージ映画、という見解もあるみたいですが、そんな高尚な深読みなんかせずに、き○がいっぷりをギャグとして楽しむべき映画、だと私は思うに至ったのであります。ほんとに異常で不思議な映画なので、知る人ぞ知るカルト的な人気が高いのも納得。

 とにかく。この映画のスゴさは私の筆力では到底説明できないので、未見の方にはぜひ挑戦していただきたいです。未知の世界に飛び込みたい方、フツーの映画に飽き飽きしてる方にはオススメ。ただし、気分が悪くなっても責任は負いかねますので、あしからず♪
 この映画のすべては言うまでもなく、憑依的というか神がかり的というか、イザベル・アジャーニの冒涜的なまでなパラノイア演技&美貌から成り立っています。イザベルはこの映画で、カンヌ映画祭女優賞とセザール賞主演女優賞を獲得しました。

 イザベル・アジャーニ…こんな女優が、この世に存在するなんて。これほど美しく透明感があって可憐な女優はいない、そして、これほどディープなインパクトを残す女優もいない。いったん彼女に魅せられると、もうフツーにキレイでフツーに演技が上手な女優では、とてもじゃないけど満足できないカラダになってしまいます。若干19歳で世界中の映画ファンを瞠目させた「アデルの恋の物語」から数年後、当時25、6歳だったイザベルの演技はこの作品で、とうとう人間がやってはいけないような領域に到達してしまったのです。

 もう終始一貫して、狂いまくってるイザベル。一瞬もノーマルなシーンはありません。焦点の定まらぬ目つきとか、ヤバすぎ。これは演技なの?!ほんとに何か悪いものが憑いているのでは?!なイタコちっくな狂態。何でここまでやるの?!と、その女優魂が空恐ろしくなります。20代半ばでこんな役できる演技力&根性あるの、世界広しといえどイザベル・アジャーニぐらいでしょう。捨て身の演技、なんて生やさしいもんじゃない。自分を壊したい、滅ぼしたいという自傷的、自殺的な演技。当時のイザベルと同じ年ぐらいの日本の女優、たとえば犬とのCMが代表作な上戸アヤとか、秘密のアッコちゃんとかやってる綾瀬ハルカとかに、こんなのできるか?!って、やる必要もないし、やれたら返ってヤバいですよ。
 そう、イザベル・アジャーニの素晴らしさは、そのヤバさにもあるんですよね。演技も美しさも、ヤバい。病的。天才的な演技と絶世の美貌は、どこか狂気と死が隣り合わせになっているもの、とイザベルを見るたびに思ってしまいます。演技がすべてな業の深い女優は多いけど、イザベルはそれとはまた違った類の女優のように思えます。自ら演技に生きているというより、神さまか悪魔に演技することを宿命づけられたような女優、みたいな。

 んで、出演作品中もっともイっちゃってるイザベル。ウゲゲゲェ~!?や、ポカ~ンとなってしまうシーン満載なのですが、やはり何と言っても今や伝説と化してる地下道のゲロゲロシーンと、気色悪い魔物とのヌメヌメなファックシーンでしょう。観てるほうも気が狂いそうになります。ホントよーやるよ、あんな演技。頭がおかしい、いや、おかしくないとできない演技かも。でも…狂えば狂うほど、乱れれば乱れるほど、傷めば傷むほど、汚れれば汚れるほど、凄絶に鮮烈になっていくイザベルの美しさは、忘我のため息ものです。

 イザベル最狂演技をイヤというほど堪能できる映画ですが、再観してみれば他にもいろいろ見どころがあることにも気づきました。
 マルク役のサム・ニールのコワレぷっりもアッパレだし、当然ながらまだ若いし結構イケメンです。
 舞台が西ドイツ、というところも独特です。ドイツが壁で東西に隔たれていたこと、今の若い子には実感ないんだろうなあ。静かだけど不穏で荒廃した雰囲気を醸す、青みがかった冷ややかな映像も印象的。撮影監督は、当時イザベルの恋人で彼女の長男の父親でもあり、後年「カミーユ・クローデル」を監督したブリュノ・ニュイッテン。演技とはいえ、恋人が目の前であんな狂乱錯乱してるのを、どんな気持ちで眺めてたんだろう。
 ポーランドの異才アンジェイ・ズラウスキー監督は、この映画でイザベルに心底惚れ込んだらしく、彼女主演の映画を何度も企画しオファーしたらしいけど、どれも実現せず二人の仕事はこれが最初で最後になってしまっています。
 
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籠城!狂った女王の教室

2012-10-07 | フランス、ベルギー映画
 深まりゆく秋の連休、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 わしは昨夜、後輩のR奈ちゃんのお宅に招待され、キムチ鍋をごちそうになりました。R奈ちゃん一家総出で歓迎してくれて、恐縮しつつもすっかりくつろいで鍋をガッツき、酒も勧められるままに飲みまくってしまった私、やっぱ加齢とともに厚顔無恥化してますね…R奈ちゃんの母ちゃんが、のんべえの韓流ファンだったため、すっかり意気投合してしまいました。 R奈ちゃんの弟二人(高1と高2)が、これまた可愛くて。でも、いちばんイケてたのは、R奈ちゃんの父ちゃん。元ヤンのイカしたシブいトラックの運ちゃん。若い頃の菅原ぶん太みたいで、ちょっとときめいてしまいました。危ない危ない♪by 福田和子
 今日は昼過ぎに起きて、顔も洗わず着替えず、まったりダラダラ引きこもってました。あ~明日は仕事…もうちょっと引きこもってたいなあ。
 日本未公開のフランス映画やTVドラマを観たいので、TV5mondeに登録しちゃいました♪月額1200円、元をとるためにガンガン観たいと思ってます。
 イザベル・アジャーニの日本未公開の近作や旧作も放送されるので、これを機に彼女の特集を。
 記念すべき第1作目は…

 お松のイザベル・アジャーニ映画祭①
 「La Journée de la jupe」
 イザベルが5度目!のセザール賞主演女優賞受賞という、自身の最多記録を五十路にして更新した作品を、やっと観ることができましたタイトルは、“スカートの日”という意味だそうです。
 貧しい移民の子どもたちが通うパリの公立中学校。フランス語教師のソニアは、粗暴で反抗的な生徒たちにうんざりしていた。そんな中、不良生徒が隠し持っていた拳銃をソニアは奪い、生徒たちを人質にして教室に立てこもる。警察やマスコミが学校を包囲する中、ソニアは拳銃で生徒たちを脅しながら授業を続けるのだった…

 世の中いろんな問題教師がいますが…女教師が拳銃で生徒を脅して授業をする、なんてショッキングすぎます。
 イザベル、しょっぱなから狂ってます(笑)。飼いならせない危険な野獣みたいな生徒たちにナメられ脅され、憤懣がマグマのように爆発寸前な様子が、生徒たちより怖くてヤバい。ヒステリックに生徒を叱責する声音とか表情は、もうかなり精神的に追いつめられてるな、何かやらかすな、という不穏な期待感を抱かせてくれます。拳銃を生徒から奪ったイザベルは、どうにも止まらない~♪ブチきれ状態で、狂気の暴走。生徒たちを床に伏せさせたり椅子に縛ったりして自由を奪い、ちょっとでも生徒が口答えしたり言うことを聞かないと、躊躇なく発砲。銃口を生徒の頭に突き付けたり、不良を犯人に仕立てて警察を欺いたり、やりたい放題。図体がデカくてガラが悪そうな不良生徒役の子たち、演技ではなくマジでイザベルに怯えてるみたいだったし。まあ実際、無名の若いフランス人俳優からすると、イザベル・アジャーニは神に近い存在だろうから、さぞかし畏れ多い思いだったことでしょう。ソレハサテオキ。子どもたちを支配下に置き、嬉々として興奮して授業をするイザベルは、完全にイっちゃってる人。狂った“女王の教室”。あ~あ、コワレちゃった、どうすんの、どうなるの、と次の展開が読めない。何が起こるか予測不可能なので、怖くて面白いです。
 狂気といえばイザベルの専売特許。今作でのイザベルのキレまくり演技は、これまで彼女が演じてきた狂気とはちょっと毛色が違ってて、かなりリアルです。今回彼女を狂わせたのは、恋や愛ではなく現実世界のシビアな問題だったからでしょうか。イザベルがリアルな社会派映画に出演するのも、珍しくて新鮮。学級崩壊やいじめが深刻な社会問題となっている日本でも、追いつめられた先生がキレてとんでもない行動に、なんてあり得る話ですよね。
 
 イザベルは、すっかりおばさんになってます。ずっしり感ある体型は、まるで上沼恵美子みたいな貫禄です。あのガラス細工のように繊細で可憐でほっそりしていた若き日のイザベルとは、ほとんど別人。でも太ったためか、シワとかが目立たない。ある意味、アンチエイジングに成功してます。熟女好きなお笑いタレントが今のイザベルを見たら、かなりビンビン来るんじゃないでしょうか。おばはんになったけど、お顔はまだ美しく可愛いです。キワモノ寸前の不思議な魅力を備えてる五十路のイザベル、元は舞台女優として名をはせていただけあって、籠城された教室内で物語が展開される密室劇の中で、いきいきと独り芝居的な狂いっぷりを披露しています。どんどんイっちゃえイッちゃえgo goと応援したくなります。

 しかしながら。日本も相当病んでますが、フランスの教育現場の荒廃ぶりも深刻。社会の縮図というか、今のフランスが抱えている社会問題が浮き彫りになっていて、興味深かったです。特に、人種・宗教問題。日本ではあまり見られない事情や光景に驚かされます。人種と宗教。この二つが原因で、永遠に平和も友好も生まれないのではという悲しみや恐怖を覚えます。人質を解放する条件として、女性がスカートははく日を設立するようソニアは国に要求するのですが。イスラム教徒の多い学校や職場では、女性がスカートをはくと売春婦呼ばわりされて、レイプされても仕方がないという風潮があるのだとか。はぁ~?!と呆れるのは私が日本人だからであって、人間同士の大きな隔たりになり、子ども同士でさえ殺し合いの喧嘩にもなりかねない宗教が、いかにフランスでは複雑で暗い問題となっているか、あらためて知ることができました。

 いろいろあったけど、きっとうまくいく、大丈夫♪な、日本の学園ドラマのような甘っちょろくヌルいハッピーエンドとは大違いな、救いのない苦すぎる結末もインパクト強烈です。いくら理不尽に蔑まれ虐げられても、暴力でそれに逆らうのは間違っている、というメッセージのようなソニアの末路でした。悲惨で無情。だからこそ、痛ましく辛い現実から目を逸らさず。真剣に考えていかねばならないという思いを抱かずにはいられませんでした。
 
 
 
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覇☆愛国無罪な男たち!

2012-10-03 | 中国・台湾・香港映画
 ショッキングな出来事が発生しました…
 広島で起きた、母親が娘を虐待して殺した事件。子どもが殺される、しかも自分の親に。これほど悲痛と悲憤で胸がつぶれそうになることはありません。いたいけな何の罪もない子どもが被害者になるニュースを耳にするのは、もう耐えられないです。しかも今回の事件は、私の身近な所に関係していたから、衝撃も強かった。
 仕事関係で、亡くなった女の子が生前入所していた児童養護施設に何度か行ったことがあるのです。児童養護施設の現実を目の当たりにして、暗澹となってしまいました。どうして子どもたちが、こんな苦しみやみじめさを味わわなきゃならないのか、と。ぬくぬくと幸せな自分に罪悪感を覚えました。
 ゴルフクラブで娘を殴り殺した鬼母。どんな理由があるにしろ、弱い子どもを傷つけ殺すなんて、許されるべきではないと私は思うのですが…子どもを産んで育てたこともないオマエに、何が解かる!とお叱りを受けることでしょうか。でも、子どもを産んで育てた母親の皆様なら、虐待母の気持ちは理解できて同情もできるのでしょうか?
 子どもにとって、本当に受難の時代です。生まれてくる新しい生命を祝福するより、こんな暗い荒んだ狂った世界で無事に育ってくれるだろうか、という心配のほうが先立ちます。

 「レッドクリフ」
 BSで2週連続放送されてたのを録画して、まったり観ました♪
 漢を支配する曹操は、中国統一の野望に燃え、劉備と孫権の国をも手中に収めようと目論んでいた。曹操の猛威に立ち向かうべく、劉備と孫権は同盟を結ぶ。劉備の軍師・諸葛孔明や孫権軍の総司令官・周瑜らが知力を尽くす中、赤壁で天下分け目の決戦を迎えることに…
 すごく面白かったです。まあ、三国志がもともと優れたエンターテイメント戦記なので、面白くならないほうが間違ってるのですが。覇権をめぐる男たちの、血で血を洗うバトル。いつの時代も、血わき肉おどるテーマであり、史実とはいえ平和にどっぷり浸かって生きてる私にとっては、ほとんどファンタジーでもあるので、現実逃避的にもってこいな系統の物語でもあるのです。
 戦国ものが大好きな私なのですが。三国志など中国の戦国ものは、国土の広大さや国民性のためか、熱さ激しさがまさって良い意味でも悪い意味でも単調明快、言い換えれば大味。中華なんだから、もうちょっと油っぽくて濃い味わいがほしかっったかも。私はやっぱ、戦いの中にも盛者必衰の悲哀とか耽美さとかがある平家物語のほうが好きです。
 赤壁の戦いにスポットを当てたこの映画は、まさにエンターテイメントな大作で、工夫を凝らしたアクションやバトルシーンが楽しい。香港で数々の名作娯楽作を放ち、ハリウッドでも活躍しているジョン・ウー監督の面目躍如って感じです。 
 ただもう楽しい、面白い。これが映画にとっては最も重要な条件なので、この映画はその点じゅうぶん合格点をあげられるのですが。観終わった後、すぐに忘れてしまう系の映画でもあります。胸に強く深く残る感動とか衝撃がないから。莫大な制作費をかけているのに、どこか良くできたTVドラマっぽかったし。大作なのに、スケールとか格調がないからでしょうか。CG過多はやっぱチープな感じになりますよね。
 出演者は、豪華なはずなんですが、なぜか地味な印象。今をときめく人気スターではなく、ネームバリューはある元人気スターがメインだったからでしょうか。

 孫権が信頼と敬意を寄せる名将で、この映画の主人公である周瑜役は、トニー・レオン。トニさん、何だか老けたというか、萎びちゃったなあ。脂が抜けたというか色気がなくなったというか…でも、腐ってもトニー・レオン。カッコいい、可愛いと思うシーンもありましたが。
 天才軍師、諸葛孔明役の金城武も、イケメンなんだけど何だか地味になったというか、存在感が薄かった。カリスマな天才というより、不思議くんっぽかったし。キムタクもそうですが、何やってもいつも同じに見えるんですよねえ。
 孫権役のチャン・チェンは、華がある美男だけどコレといって活躍するシーンなし。いちおう男前・イケメンスターということになっているトニさん、金城武、チャン・チェンよりも、シブい系の俳優たちのほうが魅力的でした。

 劉備の勇猛果敢な忠臣・趙雲役は、藍宇の恋人ハントンことフー・ジュン。冒頭から大活躍の彼の勇姿に見惚れちゃいました。大柄で体格がいいので、アクションも迫力がありますね。
 いちばん素敵だったのは、悪役の曹操役、チャン・フォンイーかも。権力者の余裕や覇気をシブく滲ませてた素敵おぢさまぶりに、ときめいてしまいました。あんな覇王にかしずきたい♪チャン・フォンイーって、「覇王別姫」でレスリー・チャンの相手役だった男優ですよね?ずいぶんとシブくなりましたね。
 周瑜と曹操に愛される運命の美女・小喬役は、日本のドラマにも出てたリー・チーリン。美人だとは思うけど、薄いというか地味というか。もうちょっと魔性の色気のある女優のほうが、あの役に合ってたのでは。つっても、ヒロインなんか必要なかったようにも思いますが。いっそのこと腐女子が萌えまくる、ドキ!男だらけの女人禁制バトルフィールド、にしてほしかったです。

 前田あつこ共演予定だった映画は、どうやら降板したらしいトニさん。残念なような、ほっとしたような。いま中国全土で反日の焔が燃え立ってますが…トニさんまで日本のこと嫌いにならないで…
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