「ハウス・オブ・グッチ」
トラック会社社長の娘パトリツィアは、弁護士志望の青年マウリツィオと恋に落ち結婚する。マウリツィオは世界的ブランド、グッチの創立一族の御曹司で、会社の経営権は父のロドルフォとその兄アルドが握っていた。パトリツィアはしだいに、グッチを自分たち夫婦のものにしようという野心を抱くようになるが…
今年初の映画館鑑賞作(^^♪
王室や財閥一族のお家騒動もの、大好きです。庶民のセコいミミっちいイザコザやゴタゴタと違い、巨万の富と強大な権力をめぐる争いは、ドラマティックでエンターテインメント!血生臭ささえ華やかになります。日本でも、セレブやエリートの隠された醜い実態をのぞいて暴く「家政婦は見た!」が人気でしたが、この映画も観客が市原悦子になって楽しめる内容になってます。ブランド一族のお家騒動といえば、ひと昔前にワイドショーを沸かせた君島ファミリーが思い出されます。君島家の人たち、今どうしてるのかしらん?君島家と違いグッチ家のほうは、世界的な人気と知名度なので騒動も桁違いのスケールとド派手さ。俗悪だけどヨーロッパを舞台にしてるおかげか、まるで時代劇の貴族のような優雅で華麗な生活やファッション、邸宅などが目に楽しいです。
あまりにも庶民とは乖離した世界を描いてるので、現実逃避にはぴったりな映画です。でも、グッチの製品は買いたくなくなります(買えないけど)。お客の使った金で贅沢三昧なグッチ家を見ていて、ちょっとだけK室夫妻のことを思い出しました。税金を納めるのが口惜しくなるのと近しい気持ち。もちろん、グッチ家の人たちは働いて稼いでるので、K室夫妻よりはマシですが。
ゴージャスになった家政婦は見た!なこの映画、かなりコミカルタッチだったのが想定外でした。パトリツィアをはじめ主要人物がみんなキャラ立ちし過ぎていて、ほとんどギャクな人たちなんですよ。序盤の、マウリツィオにロックオンして猛アタックするパトリツィア、二人のやりとりはほとんどラブコメだったし。マウリツィオの伯父アルドとその息子パオロなど、見た目も言動も凝ったコントです。特にパオロ、滑稽すぎて可哀想になるほど。とんだピエロで、ご本人はきっと草葉の陰で泣いてますよ。
パトリツィアは、悪女というより鬼嫁?グッチ家を乗っ取ろうとか支配しようとか、そんな邪悪で強欲な女ではなく、とにかく夫に天下をとらせたい!自分を認めさせたい!と猪突猛進する、バイタリティあふれる頑張り屋さんって感じでした。ある意味けなげなんですけど、あんまり有能ではなく激情的すぎて乱暴なのが致命的でした。彼女がもし冷静に狡猾に陰謀や策謀をめぐらすクールな悪女だったら、グッチ家は崩壊しなかったでしょうし。冷酷で悪賢い美貌の女狐なんて、レディー・ガガにそぐわないヒロイン。愚かなほどに気性が激しく自分に正直なモーレツ女は、ユニークな風貌と強烈な個性の持ち主であるガガに合ってました。女優として高く評価された「アリー スター誕生」より、こっちのガガのほうがチャーミングで女優としての資質や魅力を感じました。
顔も体も迫力ありますよね~。ガガって元々イタリア系なのかな?ムチムチした上半身、デカいケツなどまさにイタリア女。誰にどう思われようと自分の意思を貫くヒロイン像も、ぶっとびアーティストであるガガとカブります。グッチの衣装をとっかえひっかえな彼女のファッションも目に楽しいのですが、泉ピン子のシャネルと同じであまり趣味がいいとは言えない下品さが、これまた愉快ではあります。終盤のガガは、衣装といい見た目と言い言動といい、大阪の派手なおばはんみたいでした。
パトリツィアの夫であるグッチ家の御曹司マウリツィオ役は、「最後の決闘裁判」に続いてのリドリー・スコット監督作出演となったアダム・ドライバー。
ぬおおお~っとした巨体なので、一緒だと小柄なガガが子どもに見える!おっとり気の優しいお坊ちゃんな言動が可愛かった。アダムなのでもっと得体の知れない感じも出せたはずですが、そういうのは極力抑えてた感じだった。あまり個性を炸裂させず、苦労知らず苦労嫌いのお坊ちゃんの凡庸さを巧く出していたのでは。パトリツィアやマウリツィオを見ていて思ったけど、バカと凡人は金と権力をもつべきではありませんね。ろくなことにならん。アダムにはいつか、ロス疑惑の三浦和義役を演じてほしいです。
大物オスカー俳優を配した脇役の豪華さも話題に。マウリツィオの父アドルフォ役のジェレミー・アイアンズが、優雅な美老人!慇懃で底意地が悪いところなど、イギリスの貴族みたいでした。アドルフォの兄でマウリツィオの伯父アルド役のアル・パチーノは、まるでゴッドファーザーのセルフパロディみたいなマフィアの親分風で笑えた。そのバカ息子パオロ役のジャレッド・レトは、原型とどめてないじゃん!誰?!な化けっぷりで、大仰なアホ演技といいちょっとやりすぎ感が否めないけど、目立つことにかけてはガガ以上でした。
目立ってたといえば、ちょこちょこ出てくる弁護士のドメニコ。なかなかの男前だし、敵か味方かわからない、うっすら怪しげなところが妙に気なって仕方なかった。案の定、お家騒動に乗じて下剋上するドメニコですが、乗っ取ったって感じはしなかったな~。あれは仕方ないというか、グッチ家の連中がバカすぎて、俺がやんなきゃみたいな流れだったような。私ブランドに無知なので、グッチの新人デザイナーとして若きトム・フォードが登場した時には驚きました。無名のトム・フォードを起用するよう、さりげなくも熱心にマウリツィオにプッシュするドメニコ。抜擢されたトム・フォードと目くばせし優しく微笑む様子など、ちょっとMY BLセンサーが感知。この二人、恋人同士だったの?ドメニコ役のジャック・ヒューストンは、巨匠ジョン・ヒューストン監督のお孫さんだとか。本物のトム・フォードのこの映画を観た感想が、なかなか手厳しく皮肉で笑えました。
トラック会社社長の娘パトリツィアは、弁護士志望の青年マウリツィオと恋に落ち結婚する。マウリツィオは世界的ブランド、グッチの創立一族の御曹司で、会社の経営権は父のロドルフォとその兄アルドが握っていた。パトリツィアはしだいに、グッチを自分たち夫婦のものにしようという野心を抱くようになるが…
今年初の映画館鑑賞作(^^♪
王室や財閥一族のお家騒動もの、大好きです。庶民のセコいミミっちいイザコザやゴタゴタと違い、巨万の富と強大な権力をめぐる争いは、ドラマティックでエンターテインメント!血生臭ささえ華やかになります。日本でも、セレブやエリートの隠された醜い実態をのぞいて暴く「家政婦は見た!」が人気でしたが、この映画も観客が市原悦子になって楽しめる内容になってます。ブランド一族のお家騒動といえば、ひと昔前にワイドショーを沸かせた君島ファミリーが思い出されます。君島家の人たち、今どうしてるのかしらん?君島家と違いグッチ家のほうは、世界的な人気と知名度なので騒動も桁違いのスケールとド派手さ。俗悪だけどヨーロッパを舞台にしてるおかげか、まるで時代劇の貴族のような優雅で華麗な生活やファッション、邸宅などが目に楽しいです。
あまりにも庶民とは乖離した世界を描いてるので、現実逃避にはぴったりな映画です。でも、グッチの製品は買いたくなくなります(買えないけど)。お客の使った金で贅沢三昧なグッチ家を見ていて、ちょっとだけK室夫妻のことを思い出しました。税金を納めるのが口惜しくなるのと近しい気持ち。もちろん、グッチ家の人たちは働いて稼いでるので、K室夫妻よりはマシですが。
ゴージャスになった家政婦は見た!なこの映画、かなりコミカルタッチだったのが想定外でした。パトリツィアをはじめ主要人物がみんなキャラ立ちし過ぎていて、ほとんどギャクな人たちなんですよ。序盤の、マウリツィオにロックオンして猛アタックするパトリツィア、二人のやりとりはほとんどラブコメだったし。マウリツィオの伯父アルドとその息子パオロなど、見た目も言動も凝ったコントです。特にパオロ、滑稽すぎて可哀想になるほど。とんだピエロで、ご本人はきっと草葉の陰で泣いてますよ。
パトリツィアは、悪女というより鬼嫁?グッチ家を乗っ取ろうとか支配しようとか、そんな邪悪で強欲な女ではなく、とにかく夫に天下をとらせたい!自分を認めさせたい!と猪突猛進する、バイタリティあふれる頑張り屋さんって感じでした。ある意味けなげなんですけど、あんまり有能ではなく激情的すぎて乱暴なのが致命的でした。彼女がもし冷静に狡猾に陰謀や策謀をめぐらすクールな悪女だったら、グッチ家は崩壊しなかったでしょうし。冷酷で悪賢い美貌の女狐なんて、レディー・ガガにそぐわないヒロイン。愚かなほどに気性が激しく自分に正直なモーレツ女は、ユニークな風貌と強烈な個性の持ち主であるガガに合ってました。女優として高く評価された「アリー スター誕生」より、こっちのガガのほうがチャーミングで女優としての資質や魅力を感じました。
顔も体も迫力ありますよね~。ガガって元々イタリア系なのかな?ムチムチした上半身、デカいケツなどまさにイタリア女。誰にどう思われようと自分の意思を貫くヒロイン像も、ぶっとびアーティストであるガガとカブります。グッチの衣装をとっかえひっかえな彼女のファッションも目に楽しいのですが、泉ピン子のシャネルと同じであまり趣味がいいとは言えない下品さが、これまた愉快ではあります。終盤のガガは、衣装といい見た目と言い言動といい、大阪の派手なおばはんみたいでした。
パトリツィアの夫であるグッチ家の御曹司マウリツィオ役は、「最後の決闘裁判」に続いてのリドリー・スコット監督作出演となったアダム・ドライバー。
ぬおおお~っとした巨体なので、一緒だと小柄なガガが子どもに見える!おっとり気の優しいお坊ちゃんな言動が可愛かった。アダムなのでもっと得体の知れない感じも出せたはずですが、そういうのは極力抑えてた感じだった。あまり個性を炸裂させず、苦労知らず苦労嫌いのお坊ちゃんの凡庸さを巧く出していたのでは。パトリツィアやマウリツィオを見ていて思ったけど、バカと凡人は金と権力をもつべきではありませんね。ろくなことにならん。アダムにはいつか、ロス疑惑の三浦和義役を演じてほしいです。
大物オスカー俳優を配した脇役の豪華さも話題に。マウリツィオの父アドルフォ役のジェレミー・アイアンズが、優雅な美老人!慇懃で底意地が悪いところなど、イギリスの貴族みたいでした。アドルフォの兄でマウリツィオの伯父アルド役のアル・パチーノは、まるでゴッドファーザーのセルフパロディみたいなマフィアの親分風で笑えた。そのバカ息子パオロ役のジャレッド・レトは、原型とどめてないじゃん!誰?!な化けっぷりで、大仰なアホ演技といいちょっとやりすぎ感が否めないけど、目立つことにかけてはガガ以上でした。
目立ってたといえば、ちょこちょこ出てくる弁護士のドメニコ。なかなかの男前だし、敵か味方かわからない、うっすら怪しげなところが妙に気なって仕方なかった。案の定、お家騒動に乗じて下剋上するドメニコですが、乗っ取ったって感じはしなかったな~。あれは仕方ないというか、グッチ家の連中がバカすぎて、俺がやんなきゃみたいな流れだったような。私ブランドに無知なので、グッチの新人デザイナーとして若きトム・フォードが登場した時には驚きました。無名のトム・フォードを起用するよう、さりげなくも熱心にマウリツィオにプッシュするドメニコ。抜擢されたトム・フォードと目くばせし優しく微笑む様子など、ちょっとMY BLセンサーが感知。この二人、恋人同士だったの?ドメニコ役のジャック・ヒューストンは、巨匠ジョン・ヒューストン監督のお孫さんだとか。本物のトム・フォードのこの映画を観た感想が、なかなか手厳しく皮肉で笑えました。