まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ショーウィンドウに映った変質者!

2021-09-29 | 北米映画 80s~90s
 「愛は危険な香り」
 ショーウィンドウデザイナーのカティアは、独特のエロティックなディスプレイで街の話題をさらう。充実した日々を送るカティアにひとりの男が邪まな欲望を抱き、ひそかに彼女の私生活に侵入し始めて…
 今ではすっかり熟女になってるダイアン・レインですが、80年代は日本で高い人気を誇ったアイドル女優でした。そんな彼女が突然、お色気路線に走ってファンを驚かせたのがこのサスペンス映画です。いったいどーしちゃったの?と戸惑ってしまうようなヌードや濡れ場を披露してます。若くて可愛いだけのアイドル女優からの脱却を試みたのだとは思いますが、やり方が極端だな~とも。オスカーを狙ってるような作品とか、巨匠や名匠の芸術作品とかならともかく、こんなB級変態サスペンスで…何だか痛ましく思えたダイアン嬢の艶技でした。でも、決死の覚悟的な重さや、気取った映画でお高くとまった出し惜しみヌードではなく、敷居の低いチープなサスペンス映画での大胆な脱ぎっぷりは、軽やかに潔くて好感。

 20代とは思えぬ熟した裸体がエロいです。ヌードだけでなく、下着姿や普段着まで必要以上にエロくて、何でそんなカッコしてウロウロしてるの?はしたない!けど、目に楽しいダイアンのハレンチファッションです。変態ストーカー男を刺激して誘ってるとしか思えぬ服装や行動は、女性としていかがなものかな不用心さ。そんなんだから酷い目に遭っても当然!なんて非難は、時代錯誤なアンチフェミニズムになってしまうでしょうか。悪いのはもちろん、エッチな女性におかしなことをする男のほうです。でも、女性に用心深さや慎ましさを求めるのがおかしい、という考えや風潮には違和感を覚えます。
 当時22歳のダイアンは、さすがに若さでピチピチしていて、可愛いというより美人。キリっとしていて心身ともに強そうで、フツーならノイローゼになるような被害を受けてもコワレることなく、百倍返しの逆襲をする気丈なヒロインにぴったりな風貌です。エッチすぎるファッションといい、気持ち悪すぎる怖すぎる目に遭っても引っ越そうとしないところや、犯人と独りで直接会おうとするところなど、勇敢というより無謀すぎる。ストーカー被害に遭ってる女性は、絶対マネしてはいけません。

 ストーカー男の犯行が、どれも気持ち悪すぎ。あまりにも変態でほとんどギャグの域、笑ってしまいましたが。知らない男が留守中にあんなこと自分の部屋でしてたらと思うと独り暮らしってほんと危険。屋上からロープを使って窓から侵入とか、命がけなところも笑えた。何でそこまでして。ストーカー行為って頭のおかしさだけではなく、体力気力と時間が必要。

 変態ストーカー役の俳優が、結構いい男。B’zの稲葉とスティーヴン・セガールを足して二で割ったような顔です。ヒロインの恋人が、卓球の水谷にチョイ似の地味なブサイク寄りのフツメンなのが惜しい。濡れ場もあるので、もっとイケメンにしてほしかったです。日本でリメイクするなら、ストーカーは青柳翔、彼氏は町田啓太にしてほしいです。ヒロインがディスプレイするショーウィンドウが、すごい下品で卑猥で笑えます。あんなショーウィンドウ、ありえない!ヒロインの発想力もストーカーに劣らず変態です。映像がかもす雰囲気、ファッションや音楽など、再現ではないリアルな80年代で、当時を知る者にとっては懐かしさを禁じ得ません。もちろん劇中では、ネットもスマホもないのですが、あればストーカー行為はもっと悪質で巧妙になってたことでしょう。
 
 
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サンドベージュの美男!

2021-09-26 | 北米映画 80s~90s
 「サハラ」
 1927年。事故で急死した父の遺志を継ぎ、サハラ砂漠での国際ラリーに男装して出場するアメリカ人の少女デイル。部族間の抗争に巻き込まれ、誘拐されてしまうデイルだったが…
 80年代前半、日本でも絶大な人気を誇ったブルック・シールズ。皇太子さま(現・天皇陛下)が彼女のファンだったことも話題に。当時18歳、世界一の美女と謳われ、人気絶頂だったブルックが主演したアドベンチャーロマンス映画であるこの作品、公開されるやケチョンケチョンに酷評され駄作の烙印を押される結果に。どんだけひどいんだよと返って気になってた今作、ついに観ることができました。うう~ん?言われてるほどクソ映画じゃないような?まあ確かに名作佳作ではないけど、駄作寄りの凡作だと私は思いました。なので妙な期待ハズレとんでもクソ映画が観られると思ったのに!

 そもそも、作り手にオスカーを狙うような作品を制作する気などサラサラなく、ブルック・シールズのファンのためだけに作ったアイドル映画なのですから。彼女のファン以外、満足できるわけがありません。某事務所のタレントや、何とか坂のアイドルグループの映画やドラマと同じです。彼らのファンのほとんどは、好きなアイドルの出演作や演技のクオリティなど気にもしないはず。お目当てのアイドルがカッコよければ可愛ければ、それでいいのです。この映画も演出や脚本なんか二の次三の次、とにかくブルック・シールズにいろんなことをさせてファンを喜ばせる、潔いほどそれしか意図してません。

 男装したり、水浴びしシャツを濡らして透けた乳首を見せたり、ワイルドスピード運転したり銃撃戦したりアラブの民族衣装を着たり。コテコテのアイドル映画に仕上がってます。ツッコみどころ満載な点も、ある意味愉快。バレバレな男装とか、野蛮で無知なのに英語が流暢な砂漠の部族とか、砂漠のレースシーンがほとんどないとか。見所なはずのカーレースもサハラ砂漠も、びっくりするほどスケールが小さい。比べるのもアレですが、「アラビアのロレンス」ってやっぱスゴい映画なんですね~。あんなアメリカの小娘でもチャラっとサバイバルできるとか、せっかく過酷で壮大で美しいサハラ砂漠を舞台にしてるのに、何だか鳥取砂丘にも劣るショボさになってたのが残念。
 ブルック・シールズにかまけすぎて、壮大かつ甘美な映画になり損ねてしまってますが、そんな欠点も補う美男子がこの映画に!デイルと恋に落ちる砂漠の部族の若き長ジャファール役のフランス俳優ランベール・ウィルソンです。

 現在は素敵な熟年となってるムッシュウ・ウィルソンですが、当時25歳(!)のこの映画の彼、当然若い!そして麗しい~!エキゾティックで優しそうで知的。浅黒い肌が艶っぽくて、ん・色っぽいby 工藤静香!砂漠の蛮族らしからぬ優雅な物腰!180㎝以上もあるデカいブルック・シールズにも見劣りしない長身!美声での美しい英語!見た目は完璧な砂漠の王子さまなのですが、脚本のせいでキャラが薄っぺらくなってたのが惜しい。フツーにいい人だったし。そうじゃなく、砂漠の王子さまはもっと神秘的で誇り高く傲慢じゃないと。でも優しそうなランベールにツンデレは似合わないかも。でもブルック・シールズとはほんと美男美女なカップルで、まさに映画的!

 ブルック・シールズはほんと美女!あんな18歳の女の子、今いないよな~。顔が華やかすぎるというか派手すぎるというか、うっとり見とれてしまうような美しさではないんですよね~。夜中にばったり道端で会ったら怖いかも。立派な眉とか体格とか、野太くて優しさとかデリケートさに欠けてるところに、女優としての魅力をあまり感じません。砂漠でも崩れないメイク、乱れない髪型が失笑ものでした。シールズさん、すっかりあの人は今状態ですが、今でも女優やってるのかしらん?


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妖精、愛人になる

2021-09-22 | イギリス、アイルランド映画
 「カルテット」
 20年代のパリ。夫のステファンが盗品売買で投獄され、路頭に迷いそうになったマイヤは、裕福なイギリス人ハイドラー夫妻に救いの手を差し伸べられる。ハイドラーには美しいマイヤに対して下心があり、妻のロイスはそれを黙認していたが…
 今も昔も素晴らしい女優はあまたいますが、私にとって不動の世界最高女優はイザベル・アジャーニです。その清冽な美貌と神がかり的な演技は、魅力というよりもはや魔力です。他の女優には絶対に演じられないヒロインを演じてきたイザベルですが、中でも80年代の彼女はまさに女優として神ってる(死語)最盛期で、代表作のほとんどはこの頃。最狂映画、最狂ヒロインとして伝説となった「ポゼッション」と合わせてカンヌ映画祭の女優賞を受賞したこのジェームズ・アイヴォリー監督作のイザベルは、全出演作品中屈指の美しさと言っても過言ではありません。当時25、6歳、まさに匂いたつような美しさ。すごい美人、すごい美女って、映画界では珍しくもなく結構ありきたりな人たち。スクリーンの向こうの美しさを見狎れた目でさえ、イザベルの美しさは今なお鮮烈。間違えてこの世に迷い込んでしまった異郷の妖精…この映画のイザベルは、まさにそんな美しさと風情なのです。

 肌が美しい女優はたくさんいますが、イザベル・アジャーニほどきめ細かく透き通るような肌をもつ女優、私は知りません。若さでピチピチ!輝いている!水も弾く!という類の美肌ではないんですよね~。すごいデリケートというかフラジールというか、触れたら破れそうな和紙のような繊細さ。ほのかな蝋燭の火を思わせるはかなさ。淡雪のような白い肌が激情でみるみると紅潮する、その美しさときたら!黒髪と青い瞳のエキゾティックさ、愛らしくも蠱惑的な唇も異邦人的で、他の女優にはない彼女の魅力です。

 少女のように可憐であどけなく、ふわふわと頼りなくはかなげな、思わず手折ってしまいたくなる花のよう。でも、触れると傷ついてしまう小さな棘と毒を秘めている。そんなヒロインも、イザベル・アジャーニにしか演じられません。最近の女優はみんな地に足がついてるというか、現実的で賢くて強いじゃないですか。幻想の中で彷徨う妖精のようなヒロインが似合う女優はもう絶滅してるし、演じたいと思う女優もいないでしょう。

 愛する夫が投獄されてる間に、年の離れた既婚の金持ち男の愛人になるマイヤは、常識的な人たちからすると不埒で不道徳な女。誰かの庇護なしでは生きられない、プライドも自立心もない弱い女。夫と愛人どちらを愛してるのかはっきりせず、どちらにも愛してると言いながら童女のように甘えたり鬼女と化してヒステリックに憎悪をぶつけ罵倒する、その曖昧さと不可解さにも善き女性たちは眉をひそめてしまうかもしれません。でも、イザベル・アジャーニがとても自分たちと同じ人間の女とは思えず、マイヤの言動は囚われた妖精の美しく悲しいもがき、抵抗に見えて哀れみを覚えてしまう。愚かさや狂気でさえ美しく魅惑的になる。それこそイザベル・アジャーニの魔力です。誰からも好かれる理解されるヒロインなんて、つまんない!謎と神秘と狂気を秘めたヒロイン、そしてそれを美しく演じられる女優が好き。そんな女優、イザベル・アジャーニ以外思いつかないのだけど。

 20年代アールデコのパリが、まさに異郷の雰囲気なアンニュイさと退廃で、妖精アジャーニが愛に彷徨う舞台にぴったり。アジャーニのファッションも目に楽しかったです。歌って踊るシーンもちょっとヘタなのが可愛かった。フランス語なまりの英語も可愛く聞こえた。まさに柔肌!なヌードも美しかった。イザベル・アジャーニといえばのドン引きするほどの発狂演技はないのですが、焦点が定まってない瞳や激情ほとばしる絶叫など、じゅうぶん狂ってました。石畳の路地、カフェやキャバレー、ジャズetc.当時のムーディなパリの再現も見所です。

 偽善と欺瞞に満ちた大人の関係は、清く正しくないからこそ深くて面白い。ハイドラー夫妻役は、イギリスの名優アラン・ベイツとマギー・スミス。ハイドラー氏、一見立派な紳士だけど実は卑劣で残酷で破廉恥なゲス男!奥さんにも愛人にも支配的で、二人を翻弄し傷つける自分勝手な言動にムカつきました。見た目は威風堂々だけど中身はズルいセコい、というイギリスの上流社会の男性らしい複雑な裏表を、故アラン・ベイツはよく出してました。ハイドラーの妻ロイスは、この映画のもうひとりのヒロイン。まだおばあさんになってない熟女時代のマギー・スミスが、クールかつ哀愁ある好演。夫とのディープキスシーンとかあったり、今では絶対見られない“おんな”なマギーおばさまです。

 夫をつなぎとめておきたいがためにマイヤを利用する妻のダークサイドも、かなりいやらしいし怖いけど、失った愛にしがみつく姿は痛ましくて哀れでもあります。イギリス人らしく、冷ややかに毅然とロイスを演じてるマギーおばさまがカッコよかったです。マギー・スミスとイザベル・アジャーニ、英仏の超大物女優のツーショットはかなりレアで貴重。マイヤの夫ステファン役のアンソニー・ヒギンズは、地味だけどなかなかのイケメンでした。ホテルの女将役で、アジャーニとは「殺意の夏」でも共演してた名女優シュザンヌ・フロンも顔を見せてます。ハイドラー夫妻ら裕福なイギリス人たちの、パリでの暮らしぶりが優雅でした。

 アメリカ人なのにイギリスのハイソサエティを美しく格調高く描けるジェームズ・アイヴォリー監督は、ほんと稀有な才人!カメラが回ってない時のイザベル・アジャーニのわがままな不思議ちゃんぶりに辟易しながらも、本番では天才ぶりを発揮する彼女に感嘆するばかりだった、と何かの雑誌のインタビューでのアイヴォリー監督の撮影話が興味深かったです。「君の名前で僕を呼んで」で最高齢でオスカーを受賞したアイヴォリー監督、もう新作はさすがに無理でしょうか。訃報じゃなくて新作ニュースを聞きたいですね。
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夏の日の1985

2021-09-17 | フランス、ベルギー映画
 「Summer of 85」
 1985年のフランス、ノルマンディの港町。16歳のアレックスは、海でセイリング中に悪天候でヨットが転覆。そこに現れ救助してくれた18歳のダヴィドと親しくなり、やがて彼と恋人同士となる。初めての恋に夢中になるアレックスだったが…
 コンスタントに作品を発表し続けてるフランソワ・オゾン監督の新作は、直球で王道な青春BL映画!その爽やかさ、甘酸っぱさは、ちょっと「君の名前で僕を呼んで」を意識したのかな?と思わせました。原作小説である「俺の墓で踊れ」も読んだのですが、映画のほうが腐のニーズに応えてます。オゾン監督作品は初期の独特なケレン味や毒気がどんどん薄れていって、近年はごく一部のコアなファンだけでなく、多くの映画ファンにとってもわかりやすくて面白い作風になってきてる気がします。大衆迎合もできる熟練の職人に進化した感があります。まるくなったとはいえ、どの作品も一般受けを狙いすぎな毒にも薬にもならん凡作にはならないところは、さすが希代の才人オゾン監督です。

 美少年同士のひと夏の恋だなんて、オゾン監督らしからぬオーソドックスさ、ベタすぎるとも言えるBL設定も、非現実的なBLが苦手な私には心地よくも喜ばしかったです。とにかくアレックスとダヴィドの恋が楽しそうでロマンティックで、その若いキラキラ感、ウキウキドキドキな高揚感と多幸感が、老いたmy heartにも伝染して恋がしたくなる気分に。

 印象的なシーンはたくさんありましたが、特に好きなのは二人がディスコで踊るシーンと、互いの傷をバスルームで手当てし合うシーンです。二人の距離が一気になくなるシチュエーションの描き方が心憎いほど巧妙で、二人の性愛シーンもソフトかつ色っぽくもあって秀逸でした。ノンケの男性監督や女性監督だと、ドギツくなったりファンタジーめいた感じになりがちなので。オゾン監督のゲイならではの才気と感性は、この映画でも感じられます。

 すぐに恋に落ちて結ばれて、この世の夏は二人だけのもの!といわんばかりなスウィートな時間を共にするアレックスとダヴィドですが、BLを盛り上げるのはやはり幸せよりも不幸なのです。熱しやすく冷めやすい、男心と夏の空。ダヴィドの心がわり(なのかな?おまえに飽きた!とアレックスにひどいことを言いながら、ポロっとこぼれ落ちた涙が意味するものは?)と突然の死で、まさに花火のように一瞬で恋は終わりを告げてしまうのですが、そこからが往年のオゾン節健在!でした。

 悲しみと喪失感に打ちひしがれるアレックスの思考と行動が、かなり珍妙でブッ飛んでるんですよ。空想上の自殺方法とか、女装して死体置き場のダヴィドと対面するシーンとか、笑いを狙ってるとしか思えませんでした。アレックスがダヴィドとの約束を律儀に守って彼の墓の上で踊るシーンも、切ないという以上に滑稽でした。オゾン監督、やっぱりどこか人を食ってます。陳腐なお涙ちょうだいにしないところが非凡なオゾン監督です。
 アレックスとダヴィドを演じたフランス映画界の新星二人が、予想以上期待以上の好演でした。二人とも可愛いカッコいいけど、フツーっぽくもあってナチュラルな見た目、演技に好感&魅了。

 アレックス役のフェリックス・ルフェーヴルは、眞栄田郷敦をものすごく薄めて硬質にした感じの顔?すごい美少年!ではありませんが、恋に一喜一憂な表情がデリケートかつ可愛かったです。白い肌とブロンドも海外BLの受け役にピッタリ。コドモでもなくオトナでもない、いかにも少年な細くしなやかな裸体も印象的。脱ぎっぷりもあっぱれで、何度か見せるお尻が美しかったです。ダヴィド役のバンジャマン・ヴォアザンは、竹内涼真に似て見えて仕方がなかった(わしだけ?)。少年役にしては艶っぽく大人っぽかった。笑顔と視線が誘惑的でセクシャル。適度に筋肉のある日に焼けた上半身裸もエロかったです。

 脇役には、オゾン監督作品でおなじみの面々が。アレックスの学校の先生役のメルヴィル・プポー、遠くからだとおっさんですが、アップになるとやっぱ美男子!後頭部ハゲは役作りですよね?!ダヴィドのママ役はヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。息子離れできない気のいいママを可愛く好演。
 ファッションや小物、音楽での80年代再現も、当時を知る人たちは楽しめるはず。日本の80年代ヒット曲だと、明菜の「サザンウィンド」とかチャゲ&石川優子の「ふたりの愛ランド」とか杏里の「悲しみが止まらない」とかYMOの「君に胸キュン」とか流れてきても違和感なかったかも。

 ↑ 違う作品、新作の彼らにも会ってみたいものです

 ↑ 口裂け女ではありません。オゾン監督の最新作は、何と!イザベル・アジャーニを主演に迎えて、ドイツの鬼才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」をリメイク!満を持しての待望の顔合わせ!
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パパが乱心

2021-09-15 | 北米映画 20s~50s
 往年のハリウッド大女優映画祭④
 「コケット」
 アメリカ南部のとある町。医師の娘ノーマは友人たちと遊びまわる毎日を送っていた。そんな中、彼女は朴訥な青年マイケルと出会い恋に落ちる。しかしノーマの父はマイケルを嫌悪し…
 サイレント時代の大スター、メアリー・ピックフォード初のトーキー作品、そして彼女が第2回アカデミー賞の主演女優賞を受賞した作品です。メアリー・ピックフォードの映画を観たのは初めてですが、明るく清純な乙女の役で人気を博しただけあって、とても可愛らしかったです。小柄なのですごく少女っぽいです。でもはかなげでデリケートな女の子って感じではなく、見た目も演技も元気溌剌、たくましくバイタリティあふれてるところが、いかにもアメリカ女性。タイトル通りコケティッシュだけど、男に媚びたあざとさはないので好感。実際のメアリー・ピックフォードも、自ら設立した映画会社で主演作を制作するなど、女性プロデューサーの先駆け的な存在だったとか。当時のハリウッドでは珍しい、男性と対等、もしくは男性の上に立つカッコいい女性だったようです。

 そんなピックフォード女史が、乙女ちっくなヒロインに飽き足らず、大人の女性役を演じて女優として一皮剝けようと挑んだのが、この作品でのノーマ役です。前半は男たちにチヤホヤされながらパーティ三昧な、浮かれたフラッパー娘役を天真爛漫に演じてます。ちょっと舌ったらずなアニメ声と、ドレスが聖子の衣装みたいで可愛かった!あんなドレス、一度は着てみたい。サイレント時代の名残か、やはり演技がオーバーなところが今の映画ファンが観たら珍妙かもしれませんが、返って新鮮でもあります。事件を知りマイケルのもとへ向かうノーマが森を駆け抜けるシーンが、サイレント映画っぽくて面白かったです。

 後半は父親が恋人を射殺するという悲劇に襲われ、ショックと嘆きで立ち直れない姿を痛ましく、父を裁く法廷では父を救うためふしだらな娘を演じなければならない苦悩を、渾身の大熱演。可愛いだけの女優と見られたくない!というピックフォード女史の強い意気込みが伝わってきます。大真面目な熱演なのですが、やはりかなりオーバーなので悲劇なのに笑ってしまった

 それにしても。ノーマのパパ、狂乱しすぎでしょ。何であそこまでマイケルを毛嫌いしたのでしょう。確かに私も、貧乏なのはいいとして、善良だけどちょっと陰気で正々堂々としてないところに男の魅力を感じなかったけど、なにも殺さなくても。どんなに反対されてもノーマはあんたより俺を選ぶ、みたいな不遜なマイケルの態度にカっとなったみたいでしたが、溺愛している娘をどこの馬の骨ともわからん男に盗られてたまるか、みたいな独占欲、嫉妬に狂った犯行だったのでしょうか。老いた男の娘への異常な執着、愛が怖い。ラストの法廷でのさらなる悲劇といい、かなりイカレたキャラと展開だったのが意外な映画でした。父と恋人、二人の男の運命を狂わせ破滅に導いたノーマは、ある意味ファムファタール、魔性の女。陽気で健康的なピックフォードの個性とは真逆なヒロインなので、何でそうなるの?な違和感を否めなかったのでしょうか。

 ↑ メアリー・ピックフォードも早々と引退し、悠々自適に長寿をまっとうしました
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3年目のダブル不倫!

2021-09-10 | 北米映画 20s~50s
 遅ればせながら、ワクチンを打ってもらいました!💉
 周囲の女性たちが接種後に軒並み体調不良に陥ったのを目の当たりにしてたので、死ぬる思いで覚悟を決めて夜間接種に。恐れてたような副反応はなく、その日と翌朝は打った腕がちょっと筋肉痛みたいな違和感がある程度だったのですが、午後になってから急に体が怠くなり痛みも強くなり、微熱だけどもうフラフラ状態に。帰宅してちょっと横になると気分はだいぶよくなって、ごはんも食べられました。副反応、甘く見たわ。2回目の接種後のほうがキツいらしいので、今から戦々恐々としてます。つらいけど、安全な社会生活のために耐えましょう…

 往年のハリウッド大女優映画祭③
 「結婚双紙」
 熱烈な恋愛を経て結婚したポールとジェリーだったが、結婚3年目にポールの浮気が発覚。ショックと怒りから、ジェリーはポールの親友ドンと衝動的に関係をもってしまい…
 伝説の美女ノーマ・シアラーが、第3回のアカデミー賞で主演女優賞を受賞した作品です。時代劇の「マリー・アントワネットの生涯」同様、現代劇の彼女もその臈たけた美貌と気品がまさにザ・大女優でした。どんな映画でも、どんな役でも、優美な上流婦人そのもの。貧しい卑しい役なんてできない女優さんです。所帯じみた生活感なんか微塵もありませんから。その優しさ、柔らかさは聖母のよう。最近の女優のように、親しみやすさや共感を抱かせる女優ではありません。雲上の佳人。そういうハリウッド大女優が好きです。ノーマ・シアラーはその典型的大女優です。

 オスカーを受賞したこの作品では、夫に浮気されてその当てつけみたいに夫の友だちと寝る人妻を演じてるノーマ・シアラー。30年代の古き佳きハリウッド映画らしく、優雅で軽妙なロマンス映画風にはなってますが、お話じたいは一世を風靡した金妻みたいでした。大人の既婚男女の痴情のもつれ!ダブル不倫!大好きな題材ですでも、さすがというか、やっぱりというか、ドロドロな展開とか激情的なシーなどはありません。こういう話は、やっぱドロドロじゃないと面白くないし、優雅さとか上品さよりも野卑で扇情的な男女の生々しさ、イタさこそが不倫劇の醍醐味です。

 不倫劇はやっぱ,、富裕層の恋愛遊戯だよな~と思いました。社会的ステイタスとお金があると、不倫も汚く見えないですよね。美しいドラマになり得るし。その辺の庶民の不倫なんか、ほんとみっともない、薄汚いと嗤われるだけですし。この映画のジェリーにしても、旦那が浮気したとわかったからって、その日に旦那の親友とベッドインしなくてもいいじゃん!夫と離婚後、今度は元カレ(もちろん既婚者)の誘いに乗ろうとしたり、浅はかな尻軽女!と呆れてしまいましたが、もちろんノーマ・シアラーは安いビッチには全然見えないので、揺れる想い~♪by ZARDなよろめき夫人、魅惑のヒロインたりえるのです。

 なかなか奔放なヒロインでしたが、男の思い通りにならない自立した女性像は、当時としては画期的でカッコいい女性として斬新だったのでは。ノーマ・シアラーの当時の上流社会の都会的ファッションも、上品で高級感あふれた趣味の高さで、韓流の成金マダムの悪趣味さとはやはり違います。
 ポールとジェリーの元カレが何かよく似ていて、たまに区別がつかなくなって???になったり。元カレ夫婦がまるでキャンディキャンディのテリイとスザナみたいでした(古っ!)。テリイと違って元カレは嫁を捨てようとしてましたが。捨てさせる寸前までもっていって、やっぱや~めた♪みたいなジェリー。絶対いつか誰かに刺される女だよなと、その自由すぎる生き方に呆れつつも羨望も感じました。

 ↑ 大女優でもあり映画会社の社長夫人でもあったノーマ・シアラーは、おんな盛りでスパっと潔く引退し、豊かで穏やかな余生を送ったとか。まさに女としてすべてを手に入れた人生ですね
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母は来ました今日も来た

2021-09-05 | 北米映画 20s~50s
 往年のハリウッド大女優映画祭②
 「マデロンの悲劇」
 田舎娘のマデロンは、アメリカ人の青年と恋に落ち彼とパリへと駆け落ちする。しかし恋人は身ごもったマデロンを置いてアメリカへと帰ってしまう。悲嘆の中、マデロンは男の子を出産するが…
 オールスターのパニック映画の名作「大空港」で、当時の人気スターたちを完全に食ってしまい、格の違いを見せつけアカデミー賞の助演女優賞を受賞した往年の名女優ヘレン・ヘイズが、最初のオスカーを獲得した1931年の作品です。約30年後に2度目のオスカーを受賞したアンソニー・ホプキンスもスゴいけど、ヘレン・ヘイズの40年以上経っての再受賞も驚異的ですよね~。飛行機タダ乗りの常習犯おばあちゃまを演じた大空港の彼女は、可愛らしく上品なおばあちゃまって感じでしたが、この作品の彼女も年取ったら可愛いおばあちゃんになるだろうなと思わせる愛らしさです。当時のハリウッド女優のほとんどが、近寄りがたい非人間的なまでの美女なのですが、小柄で可憐なヘレン・ヘイズはとても親しみやすい風貌。とはいえ庶民的というわけではなく、やはり往年のハリウッド大女優のオーラはまとってます。

 ヘレン・ヘイズが演じたマデロンは、よく言えば波乱万丈なメロドラマティックヒロインなのですが…ぶっちゃけて言えば世間によくいるだめんず女です。とにかく男運が悪すぎ!ていうか、男を見る目がなさすぎ!男と駆け落ち→貧乏暮らし→男に捨てられ→私生児出産→金持ち爺の愛人に→冤罪で牢屋行き→子どもとは生き別れ→出所後は売春婦→年老いて救貧院強制収容、そして…とまあ、とんとん拍子に転落。その落ちっぷりがテンポよすぎて笑ってしまいました。もうちょっと何とかできたでしょ、しっかりして!油断や隙がありすぎ!と、マデロンのつまづきやすく流されやすい生き方は、無分別で思慮に欠けてると呆れてしまいました。

 転落だめんず女なマデロンでしたが、悲劇のヒロインって感じではないんですよね~。悲運不運にまみれても、世をはかなんでガクっとなることはなく、ナンダカンダで過酷な人生を生き抜くバイタリティが。ててなし子を産んだ後、すぐに金持ち老人の愛人の座におさまるところなど、なかなかしたたか。都合が悪いと思ったことは迷わず秘密にし、金に困ったら売春婦にもスルっとなったり。客から盗んだ金をヒヒヒと笑いながら数えてる様子など、悲しみのヒロインにはあるまじきふてぶてしさ。少女のような可愛い風貌とギャップのあるちゃっかり女を、ヘレン・ヘイズが何となく楽しそうに演じてるのが、ありきたりな悲劇のヒロインものとは違って面白かったです。ちゃっかり可愛い、は大空港のおばあちゃまと共通してますね。

 生き別れになった息子への無償の愛、再会に涙、みたいな設定には一応なってるのですが、何も知らず幸せに暮らしている息子に会いにノコノコ家まで行って、使用人を騙してスルっと家の中に入りこんだり、同情を誘って息子の世話になることになったり、小気味よいほど厚かましくちゃっかりしてるマデロンが笑えた。それにしても。出てくる男たちがみんなろくでもない!特に駆け落ちしながらもパパが病気で死にそうだから、とアメリカに帰ったままマデロンの元に戻らず金持ち娘と結婚する恋人。卑劣すぎる。私なら出るところに出るわと憤りつつ、マデロンとは真逆な私の人生、ダメ男さえ寄ってこない人生ってのもどうなんだろう?と、マデロンを見ていてふと思ってしまいました

 ↑ アメリカではブロードウェイのファーストレディと称えられた名女優です
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