まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

男色亭主VS不倫妻!

2024-01-09 | 北米映画 60s~70s
 「禁じられた情事の森」
 40年代のアメリカ、ジョージア州にある陸軍兵舎の教官ペンダートン少佐とその妻レオノーラの夫婦関係は冷え切っていた。ペンダートンは同性愛者であり、レオノーラは女を愛せない夫を嘲笑うかのように、夫の同僚であるラングトンと情事を重ねていた。ラングトンの妻アリソンは精神不安定で、フィリピン人の召使アナクレトと自宅に引きこもっている。若い兵卒のウィリアムズが全裸で馬に乗っている姿を目撃したペンダートンは…
 あいや~。正月早々、とっても面白い映画を観ることができました(^^♪こういう狂った映画が好きなんですきれいきれいすぎる愛に白けてしまった「マエストロ」よりも、こっちの醜悪な夫婦関係のほうが百倍面白い。露骨な性的シーンは皆無なので、ポルノチックなエロさを期待して観るとがっかりしますが、性の抑圧や歪みの描写がとにかく異様で変態じみてます。60年代にこんな倒錯した異常な映画を作ったとは。ポリコレ、コンプラまみれな今の映画よりも、はるかに攻めてて挑戦的です。同性愛、不倫、ストーカー行為、メンヘラ、動物虐待、そして殺人などなど、もうクレイジー&アブノーマルのてんこ盛りで、おなかいっぱいになりました。

 エリザベス・テイラーとマーロン・ブランドという強烈な超大物スターが主演、というのが濃ゆい話をさらに濃ゆくしています。共にレジェンドな大スターである二人が、よくこんな映画に出たな~と呆れつつ感心。でもよく考えてみたら、二人の最高の演技や作品ってキレイキレイ系じゃなくて、「欲望という名の電車」や「バージニア・ウルフなんかこわくない」など、ヤバいイカレ系コワレ系ですよね~。この作品の二人の怪演も、かなりディープインパクトで楽しいです。大真面目にやってるように見えるけど、実は笑いを狙ってるのかな?これってコメディなのかな?と思わせるリズ&マーロンです。

 まずマーロン・ブランド、当時43歳ぐらい。まだ老化も肥満もしておらず、若々しくてカッコいい!ちょっとレオナルド・ディカプリオに似て見えた。レオをもっとゴツく冷たくした感じ?ゴリゴリのマッチョ軍人で、筋トレに励んでるシーンでの丸太のような腕!そんな男らしい彼が、隠れゲイ役。普段は寡黙で無表情なマーロンが、若い兵卒のウィリアムスの全裸を見て目もハートも奪われるシーンとか、ウィリアムスのことが気になって気もそぞろな様子とか、あげくは監視・尾行とか、とにかくキモい、けど何か可愛いいちばん笑えたのは終盤、真夜中に家に忍び込んできたウィリアムズが自分に会いにきたと勘違いし、暗い部屋でソワソワドキドキと若い男の夜這いを待ってる時の乙女すぎる様子!男らしく振る舞ってもゲイの正体はキモいオカマ野郎!みたいな描き方は、ちょっとゲイへの侮蔑を感じられましたが。

 エリザベス・テイラーは、当時35歳ぐらいって!今の綾瀬はるかより年下!?まさに完熟の美魔熟女!腐る寸前の果物のような豊満さと毒々しい色気です。下着姿とか、熟女マニアにはたまらんエロさなのでは。エロくても下品でも、すごい美貌と高級感、ゴージャスさはザ・大女優な圧巻のオーラ。こんな女優さん、今いないですよね~。庶民感、生活感など微塵もないです。罪悪感の欠片もなく軽やかに不倫、歪んだ夫婦生活にウジウジ苦悩する様子も見せず明るく威風堂々な、リズらしい女王さまキャラなレオノーラでした。夫を挑発したり辱めたり、キレて鞭で打ちすえたり、鬼嫁っぷりも壮絶。優しさとか悲しみよりも、リズのようにドス黒い意地悪さや憎悪が美貌を際立たせる女優が好きです。


 ウィリアムズ役のロバート・フォスターは、これが映画デビュー作だとか。ちょっとジェームズ・フランコっぽいイケメンです。全裸乗馬が衝撃(笑撃?)的。すっぽんぽんなのはわかるけど、はっきりばっちり見せない撮り方をされています。夜中に上官の家に侵入して、憧れの熟女人妻の寝顔を朝までじっと見てたり、彼女の下着をくんくんしたり、かなり気色悪いです。変態侵入者にぜんぜん気づかず寝てるレオノーラも笑えた。フィリピン人召使のアナクレトも、見た目と言い言動といい強烈で奇異。とにかくどいつもこいつもなイカレっぷりがキモくてイタくて笑えます。この映画、ぜひリメイクしてほしいわ。ペンダートンはやっぱレオナルド・ディカプリオがいいな。トム・ハーディでもよさげ。レオノーラが難しいわ。ケイト・ウィンスレットでいっか。ウィリアムズはケルヴィン・ハリソン・ジュニアかレジ・ジーン・ペイジで!若く美しい黒人男子の全裸乗馬とかジョイフルすぎる!
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悪魔のクローン計画!

2023-08-11 | 北米映画 60s~70s
 「ブラジルから来た少年」
 ナチハンターのアメリカ人青年バリーは南米パラグアイで、アウシュヴィッツ収容所で非道な人体実験を行っていた医師メンゲレを目撃する。バリーは著名なナチハンターのリーバーマンにそのことを報告した直後、ナチ残党によって殺害されてしまう。世界9か国に住む94人の65歳前後の公務員を殺す、という不可解な計画を実行し始めるメンゲレを追うリーバーマンは、やがて恐るべき真相にたどり着くことに…

 秀作とか佳作とかでない、どちらかと言えば珍作・怪作なのですが、面白かったです!ナチスドイツの犯した罪業を糾弾するシリアスなドラマかと思いきや、ぜんぜん違いました。ヒトラーやメンゲレなど実在の人物たちが登場しますが、お話はまったくのフィクションです。文字通りのサイエンスフィクション。クローン人間というタブーが描かれていて、当時としてはなかなかに時代を先どった映画なのでは。当時はそんなんありえんわと嗤えたでしょうけど、医学や科学が発達しすぎた現代に生きる私たちは、映画の中だけと一笑に付すことはできません。北朝鮮あたりでは、同じようなことやってそうですよ。将軍さまの影武者用クローンとか。

 94人の65歳前後の公務員の男たちを抹殺、という謎のミッションが各国で遂行されるのですが。観客だけでなく下っ端ナチ党員でさえ何で?と疑問を抱かずにいられない頓狂な計画の目的の全容が、だんだん見えてくる展開と構成がスリリングでした。壮大かつクレイジーすぎる計画!あんなことを本気で実現させようと粉骨砕身とか、ほんとナチスって頭おかしい集団!でも彼らは大真面目なんですよね。そこが怖い。特にメンゲレが完全にイカレたマッドドクターとして描かれていて、その言動や非道な人体実験などほとんどホラーでした。

 悪魔の人体実験もヤバすぎるけど、戦後もナチ支持者がたくさんいたことも恐怖。今でもネオナチとか堂々と活動してますよね。ナチスじゃないアメリカ人の白人のおじさんがメンゲレに、ユダヤ人より黒人が敵!とか言ってけど。非道な人種差別はナチスだけじゃないよな~と、あらためて暗澹となりました。
 メンゲレ役はグレゴリー・ペック、リーバーマン役はローレンス・オリヴィエ、アメリカとイギリスの名優がW主演。

 ↑ 撮影の合間、ペック氏にお茶をいれてあげるオリヴィエ卿、まさにイギリス人って感じですね☕
 ハリウッドの良心なイメージのグレゴリー・ペックが、まさかの極悪人、ていうか、き〇がい役!こんな役、よく引き受けたな~。その威風堂々としたマッドな怪演は、なかなか楽しそうでもありました。英国最高の俳優と讃えられたローレンス・オリヴィエは、威厳ある美老人だけどひょうひょうとした頑固爺さんっぷりが可愛かったです。当時のオリヴィエ卿は病身で、撮影が大変だったとか。そんな老体にムチ打って、ラストはペック氏と血みどろの死闘!ほとんど老人虐待な壮絶さでした。名優二人が顔を合わせて演技対決するのは、このラスト数分だけです。
 バリー役は後に「ポリスアカデミー」シリーズで人気者になったスティーヴ・グッデンバーグ。物語のカギを握るクローン少年が、不気味な存在感。ラストシーンで彼が残す余韻が、不吉で不穏です。スウェーデンでの殺人シーンがインパクトあった。あのロケ地はどこ?
 
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遺産争族の熟女!

2022-09-19 | 北米映画 60s~70s
 「華麗なる相続人」
 製薬会社の社長サムが山岳事故で急死し、ひとり娘のエリザベスが会社と莫大な遺産を相続する。それぞれに家庭や経済的な問題を抱えている一族の思惑が交錯する中、エリザベスはサムの死が事故ではなく殺人だったと知り…
 この映画、私が子どもの頃よくTVで放送してたんですよね~。幼い私がオードリー・ヘプバーンを初めて知ったのは、「ローマの休日」ではなくこの映画だったかもしれない。原作はシドニー・シェルダンの小説。シドニー・シェルダン、日本でもいっとき人気がありましたよね。主演のオードリーを筆頭に、国際色豊かで個性的なキャストが集められ、世界各国を舞台に繰り広げられるゴージャスなサスペンスロマン…面白くないはずはないのに、何だかとっても残念な作品になってしまってます。いろいろとその原因はあるのですが、最大の敗因はヒロインのオードリーかもしれません。

 オードリー、この時は御年50歳ぐらい?妖精と讃えられた往年の彼女に魅せられた映画ファンなら、この作品のオードリーを見ると嘆息してしまうことでしょう。ああ妖精も年をとるんだな~と。可憐な妖精ではなくなってるけど、50歳のオードリーも十分に美しく、今の女優にはない優雅さや高貴さは保たれています。この映画の彼女の何がいけなかったか。お年を召されたことではありません。演じた役です。ヒロインのエリザベスは、どう考えても30代の女性。まだ金持ちのお嬢様の娘っ気が残ってる若い女の役を、御年50歳のオードリーが演じた不自然さ、強引さがイタすぎるんです。年相応のマダム、中年女性役なら何の問題もなかったはず。オードリーご本人もまだまだ妖精のつもりだったのか、周囲のムチャブリだったのか…

 オードリーといえば、いつもファッションも見どころ。この映画でもジバンシーが彼女のために衣装を作ってます。高級レストランのシーンでオードリーが着る黒いスケスケドレス、セクシーかつエレガントで素敵なのですが、オードリーが華奢、いや、ガリガリすぎてこれまた痛ましいんです。セーターやパンツスーツなどは、上品で趣味が高いものでした。あと、髪型が似合ってないのがすごい気になりました。モダンな若い女風にしたかったんだろうけど、アフロヘアみたいだった。

 一族のキャストは、各国から集められたインターナショナルな顔ぶれ。エリザベスと恋に落ちる重役役のベン・キャザラ、シブいんだけど熟年すぎで、ヒロインとのロマンスが全然スウィートじゃないんです。ジェームズ・メイソン、オマー・シャリフ、イレーネ・パパス、モーリス・ロネなども、彼らの個性やキャリアに相応しいとは思えぬ雑な扱いが惜しい。大好きな女優、ロミー・シュナイダーも彼女にはもったいないような役でしたが、優しそうな見た目とはギャップのある男勝りなキャラや、シックなファッションだけでなくカーレーサー姿など、脇役でも魅力的なロミーでした。オードリーとの絡みはほとんどないのが残念でしたが、大女優マニアな私としては二人が同じ画面にいるだけでも胸熱。

 ロンドンやパリ、スイスのリゾート地や別荘があるイタリアのサルデーニャ島など、世界各地でのハイソなロケが目に楽しいのですが、2時間弱で一族の事情や人間関係、陰謀を描くのはやはり無理。肝心のサスペンス&ミステリーも2時間ドラマ以下でトホホ。全裸の男女がセックス、その最中に女が男に絞殺される姿が撮影されているというショッキングでエロティックな謎の部分も、本筋に巧くつながってないし。原作は連ドラ向けだと思います。日本でドラマ化してほしいかも。大人向けの華麗なるサスペンスロマン、すごく観たいです。
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怪奇!引きこもり老嬢

2022-07-06 | 北米映画 60s~70s
 「ふるえて眠れ」
 パーティーの最中に恋人が何者かに惨殺されて以来、富豪令嬢のシャーロットは屋敷から外に出ない生活を続け年老いる。シャーロットは唯一の身寄りである従妹のミリアムを手紙で呼び寄せるが…
 ハリウッドのレジェンド女優ベティ・デイヴィスは、そのキャリアといい人柄といい生涯といい、まさに全身映画女優と呼ぶにふさわしい大女優です。若い頃から他の女優がやらないような悪女役や因業な女役を積極的に演じ、強烈な個性と非凡な演技力でハリウッドに君臨したベティは、容色が衰える年齢になると今度はまた他の女優が選ばなかった道、おそろしい妖婆女優として活路を見出し、再び銀幕の第一線に返り咲いたのでした。その記念すべき怪作「ジェーンに何が起こったか?」で大女優としての健在ぶりをアピールしたベティが、二匹目のドジョウ狙いでロバート・アルドリッチ監督と再タッグを組んだ今作でも、ド迫力の怪婆っぷりで映画ファンの度肝を抜き、戦慄せしめたのでした。

 ベティが演じたのは、ある忌まわしい事件によって長年屋敷に引きこもり、世間を知らぬまま年老いた令嬢役。乙女な衣装や髪型と、老いさらばえた顔とのギャップの異様さときたら。まるで楳図かずお先生の怪奇漫画から出てきたような怖さです。中身はピュアな乙女言動もだけど、激怒した時の鬼婆顔とダミ声での罵倒など、子どもが見聞きしたらトラウマ必至なホラー。ヒロインを苦しめ追い詰める事件や怪現象よりも、ベティの顔や声のほうがはるかに恐ろしいです。

 妖怪のようなヒロインのイカレた風貌や言動、斧でぶった切られる手や首(60年代のモノクロ映画で、もうこんなエグいシーンあったんですね)!など、怪奇映画としてはなかなか見どころは多いのですが。事件の真相とか犯人、ヒロインの精神のバランスが崩れていく描写など、ミステリやニューロティックなサスペンスなどはかなり雑で、大女優出演作でなければB級怪奇映画になってたかもしれません。

 シャーロットのもとにやって来る従妹のミリアム役は、これまたハリウッドの大女優オリヴィア・デ・ハヴィランド。優しそうでエレガントな婦人風ですが、なにげない表情や声音などに冷酷さ、狡猾さが見え隠れする一筋縄ではいかない女。全盛期にもそういう役を得意にしていたオリヴィアも、ただ美しいだけのお人形ではなかった大女優です。ベティとは同じような怪演で火花を散らすのではなく、あくまでクールで怪しい女として優雅な胡散臭さを振り巻いていました。毒々しいベティが哀れな被害者で、優しそうなオリヴィアが腹黒い悪女、というキャスティングも面白かったです。冒頭で惨殺される恋人役は、若き日のブルース・ダーン(ローラ・ダーンのパパ)でした。
 この映画、日本でリメイクするなら誰がええじゃろ?現在50代半ばの大物女優。シャーロットは鈴木京香、ミリアムは鈴木保奈美のW鈴木とかいいんじゃね?今でもじゅうぶん美しく若さを保ってる二人ですが、ここは女優魂ムキ出しで醜悪な怪演に挑んでほしいな。
 
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ダミアンだし!

2019-07-08 | 北米映画 60s~70s
 「オーメン」
 外交官のロバートは、死産した妻キャシーに無事に生まれたと偽り、病院で神父から誰の子かも知れぬ赤ん坊を引き取りダミアンと名付け、我が子として大切に育てる。しかしダミアンの成長とともに、ロバート夫妻の周囲では凶事が次々と起こり…
 子どもの頃にテレビで観てトラウマになったオカルト映画。おっさんになった今あらためて観ると、さすがにもう怖くなかったです。でも、次々と突発的に起こるショキングな惨劇シーンは、やはりなかなかのインパクト。怖いというよりビックリさせられるんですよ。後ろから微かに変な音がしたような気がして振り返ろうとすると、わっ!と背中叩かれてギャッ!みたいな感じ。子どもの時は怖かったけど、久々に観たら珍妙に見えて笑ってしまったお笑い同様、恐怖にも不感症な私です。
 オカルト映画ファンの間では有名なシーンの数々。まずはベビーシッターの飛び降り首吊り!

 こんなこと目の前で起きたらイヤですね~。悪魔の力ではなく、頭がヘンになっての実行は実際にもありえそうなので、そういう意味でも怖いシーン。次は、教会での落ちてきた避雷針で神父串刺し!このシーンのせいで、今でも教会の前を通るのが今でも怖いです。アイルランドのダブリンで、この映画と似たような光景と遭遇してしまい、ゾっとしたことを思い出します。

 次は、滑り落ちてきたガラス板でカメラマンの首チョン切れ!これも子どもの時はヒエエエ~!なシーンだったわ~。よく見ると明らかに首が作り物(当たり前ですが)なので、エグいホラーを観慣れた人には稚拙でプっと笑えるかも。このシーンも結構トラウマで、今でも軽トラが停まってたらドキっとして荷をチェックしてしまいます

 あと、獰猛な山犬に襲われるシーンとか、暴いた墓の中から出てきたものとかもショッキング。でも、血まみれ血しぶきなシーンはないので、画面が汚くないです。キリスト教ならではの暗さ、冷ややかさも、おどろおどろしく重苦しくはなく、ヨーロッパが舞台なのに何となくアメリカンな雰囲気がするのは、「リーサル・ウェポン」などハリウッドの娯楽作品でお馴染みのリチャード・ドナー監督が演出を手掛けたからでしょうか。

 悪魔の子ダミアンが、これまた憎々しい気持ち悪いガキンチョで、終盤に今なら幼子に何てことを!とポリコレ的に問題視されそうな扱いをされても、ぜんぜん可哀想じゃないんですよ。もっと見た目も言動も天使な子なら、怖さもひとしおだったことでしょうに。でもスゴい表情や目つきとかしたり、けなげさ可愛さで媚売りすぎな日本の子役には絶対にできない名演でした。ちなみに。私の甥っ子の愛称は言うまでもなく、この映画のダミアンに由来しています。彼が小さい頃、髪を洗ってやる時とかに666があるー!おまえは悪魔の子!とかオーメンごっこをしてました
 ロバート役の名優グレゴリー・ペックが、ロマンスグレーのカッコいい素敵おじさま。屈強そうな体躯と優しさ、清廉さは、英国紳士とは違う魅力。悪人役とかセコい役とか絶対似合いそうにない。ステイタスの高いアメリカ人役が似合う俳優ですよね。
 松本洋子先生や曽祢まさこ先生のオカルト漫画、また読みたくなってきました(^^♪何年か前に「悪魔の花嫁」全巻を捨ててしまったことをNOW REGRET!
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悪魔を受胎した若妻!

2019-03-28 | 北米映画 60s~70s
 すっかり春めいてきましたね(^^♪もう眠くて気怠くて、24時間春眠していたい季節の始まりです
 我が家の庭や職場のプランターにも、春の慎ましい到来が。

 芽キャベツ!知らん間にチョコチョコっとできてた!シチューに使いました。すごく美味しかったです!こないだ職場でスナックエンドウの苗を植えました。夏は頑張ってトマトとキュウリに挑戦したと思ってます

 ほったらかしでも毎年元気に咲いてくれる、ユニークで可愛いラケナリア。

 大好きなギボウシが地中から芽を出すと、春の訪れを実感します。

 裏庭のトリカブトも、やっと姿を現してくれました。根っこは猛毒、でも花はきれい。

 ホームセンターで衝動買いしてしまったミニバラ🌹
 皆さまのもとには、どんな春の使者がやって来てますでしょうか🌸

 「ローズマリーの赤ちゃん」
 売れない俳優のガイとその妻ローズマリーは、マンハッタンにある古いアパートに引っ越す。そこには不吉な噂がまつわっていた。住人のカスタベット夫妻の養女が投身自殺する事件が起き、それがきっかけとなりガイは老夫婦と親しくなる。ローズマリーは親切だが過干渉気味のカスタベット夫妻に苛立ちや不安を覚え始める。そんな中、悪魔に犯される夢を見たローズマリーは妊娠するが…
 名匠ロマン・ポランスキー監督の初アメリカ映画。近年もそこそこ面白い作品を発表してるポランスキー監督ですが、まさに神がかってた60・70年代の傑作に比べると、やはり衰えは否めません。オカルト映画の名作としても有名なこの作品も、神ってた時代のポランスキー監督の代表作のひとつです。
 オカルト映画といっても、いかにもな恐怖シーンもスーパーナチュラルなシーンもなく、霊やモンスターなどもいっさい登場しません。不安と恐怖、そして疑心暗鬼に陥ったヒロインが、狂気的な言動や妄想に墜ちていく姿を描いた、オカルトというよりもどちらかと言えば「反撥」や「テナント 恐怖を借りた男」と同じニューロティックな映画。わけありなアパート(外観で使用されたのは、ジョン・レノンとオノ・ノーコが住んでいたことで有名なダコタ・ハウス)、怪しい隣人、不可解な出来事、悪夢かうつつかなシーン、じわじわとコワレていく主人公…監督自身が主演した「テナント」とちょっとカブります。

 ヒロインの心を蝕む不安や疑念は、漏れたガスのようにはじめはうっすらと、しだいに濃ゆく強烈になっていくのですが、ラストで大爆発はせず、充満したガスの臭いに慣れてむしろ苦しさよりも心地よさを覚えてしまう、という危険で奇妙な感覚もまた、凡百なオカルト映画と一線を画しています。異臭がするペンダント、怪しい飲み物、タンスで隠されていたクローゼットetc.小道具や伏線の張り方など、脚本の秀逸さもオカルト映画の域を超えています。でも、いくらすぐれた脚本でも、あの独特な雰囲気を生み出せる鬼才ポランスキー監督の演出がなければ、フツーに面白い映画で終わっていたかもしれません。ラスト、赤ちゃんの姿を見せなかったのも、ミステリアスで不気味な印象を残す好演出。

 悪魔崇拝や呪殺といったオカルト要素は、高階良子先生や松本洋子先生の漫画を思い出させる懐かしのテイスト。オカルトよりも怖いのは、自分自身のみならず周囲との生活や人間関係までも壊してしまう精神の不安定、錯乱です。鬱の時代に生きる私たちにとっては、異常をきたす精神こそが恐るべき悪魔です。それと、お人よしで優柔不断なローズマリーが、隣人ばばあの親切ごかしの怪しい助言や誘い、差し入れを断れず、胡乱な連中の言いなりになって社会から孤立してしまい、いつしか自分がとんでもない状況にあることに気づくも時すでに遅し…なのを見てると、オレオレ詐欺や新興宗教による洗脳などを想起せずにはいられませんでした。まるで現代の社会問題を予言しているかのような映画です。

 ローズマリー役のミア・ファローの神経症演技が、悪魔よりも怖い!ほとんどまばたきしない大きなギョロ目は視線がさだまっておらず、彼女だけにしか見えない魔を見つめているかのよう。か細い声と少女のような華奢な身体はいつもプルプルと震えていて、どう見ても産婦人科の前に心療内科で診てもらったほうがいい女。すべて彼女の妄想なのでは?と惑わされてしまいます。ミニスカートやワンピース、ベリショートカットなど、彼女の60年代NYファッションが可愛くてオシャレでした。ガイ役は、監督としても名高かったジョン・カサヴェテス。いい役者ですが、もうちょっとイケメンな俳優だったらなと思わないでもなかった。もっとも強烈だったのは、隣のお節介ババア役のルース・ゴートン。めっちゃ怪しい!ウザい!でも何か笑える!彼女はこの作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞。不気味さの中にも滑稽さがあるところも、ポランスキー監督の持ち味です。
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禁じられた婚前交渉!

2019-02-04 | 北米映画 60s~70s
 「草原の輝き」
 1928年のアメリカ、カンザス。高校生のディーニーとバッドは深く愛し合っていたが、信仰心や道徳観に一線を越えることを阻まれ苦悩していた。いつしかディーニーは精神のバランスを崩し…
 草の輝くとき 花美しく咲くとき 
 ふたたび それは帰らずとも 嘆くなかれ
 その奥に秘められし 力を見出すべし
 ワーズワースの有名な詩をモチーフにした、美しくも哀切な青春映画…かと思いきや。トンデモな病みイカレ映画でした結婚するまで清らかな関係のままでいる、という貞操観念を守るカップルって今でもいるにはいるのでしょうけど、この映画のディーニーとバッドはいくら何でも異常です。ヤりたいヤリたいヤリたい!で若い心と体は悶々としてるのに、ヤっちゃダメ!ヤったら死ぬ!みたいな我慢と苦悩が、ほとんど偏執的で狂ってるとしか思えないんですよ。真剣に深く愛し合ってるんだし、ヤっちゃっても罪にはならないのでは?婚前交渉って、そんなにいけないことなの?むしろ、結婚前にお試ししたほうが、結ばれた後に性生活の不一致で深刻な事態に、なんてことにならずにすむのでは。そんな考え方、軽すぎるのでしょうか。とにかく私なんからしたら、ディーニーとバッドは必要以上に恋愛や人間関係、人生を重くしてる、周囲にも迷惑なめんどくさいカップルです。

 セックスにカジュアルなイメージのアメリカ人だけど、異様なまでに性に厳格な人々も多いみたいですね。私のような無宗教の日本人からしたら、キリスト教の影響って救いどころか恐ろしい呪縛としか思えません。信仰に篤すぎる人って、ほんとヤバすぎる。何でそんなに他人も自分も苦しめ傷つけるのか、私なんかは理解不可能です。信仰心と思春期の不安定な情緒のダブルパンチで、どんどんコワレていくディーニーの狂態に戦慄。もうセックスしてスッキリしようよ~と心底思った。ヤリすぎもよくないけど、異常な禁欲、抑圧は心身にはさらに毒です。何でもほどほどが健全!
 ディーニーのイカレっぷりは、ほとんどホラーです。悪いものに憑かれたようで、エクソシストも真っ青。A、BまでいってもCができず、あなたに女の子の一番大切なものをあげるわ~♪でもやっぱ、ダメよダメダメ!な錯乱の繰り返しとか、バスルームでの精神分裂など、やっぱ彼女とは深入りしないほうがいいかもとゾっとする、ヘヴィなメンヘラっぷりです。場所選ばずの狂乱狂態、入水自殺未遂、精神病院送り…怒涛の勢いで進行するディーニーの病み青春に圧倒されます。

 ディーニーに翻弄され周章狼狽、寸止めを食らいまくるバッドが哀れ。脳みそまでチ◯コなはずの年頃で、あの我慢、忍耐は超人的。ディーニーはあんなだし、家族もあんなだし、フツーならグレるか鬱病になりますよ。他の女の子との浮気とか大学中退とか、ごく当たり前な弱さです。すべてにおいて恵まれた少年なのに、周りの連中のせいで不幸になるなんて理不尽!ディーニーは母親、バッドは父親。二人のイビツな溺愛は、ほとんど精神的虐待。独善的で支配的な愛を押し付けてくる毒親って、古今東西の家庭問題です。

 ディーニー役を大熱演し、アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたナタリー・ウッド。美人!だけど、高校生役には無理があったような。大人っぽすぎる、色っぽすぎる。身悶え演技、ヒステリー演技は鬼気迫る迫力です。バッド役は、これが映画デビューのウォーレン・ビーティ。数々の秀作・問題作の主演&監督、数々の魅力的な女優や歌手と浮名を流した、ハリウッドきっての実力者で遊び人だった彼ですが、若い映画ファンにとっては“アカデミー賞で誤発表をした爺さん”ですね当たり前ですが、わ、若い!彼も高校生には見えないし、エッチを我慢する生真面目で繊細な童貞にも見えません。イケメンだけど、眠そうな目やぽってりした唇など、どこかユル~い感じが悩める少年役にはミスキャストな感じが。もうちょっとストイックで思いつめた風情が魅力の美青年がよかったかも、と思いつつ、厳しい試練を受け入れ乗り越えるバッドは、やはり明るくたくましいアメリカ人らしさが光る俳優が演じるべき役なのかな、とも。
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人は誰も悲しい罪びと

2018-08-15 | 北米映画 60s~70s
 「ニュールンベルグ裁判」
 1946年のドイツ。アメリカ人判事ヘイウッドが裁判長として臨むことになったナチス戦犯裁判では、ユダヤ人迫害に加担した高名な法律家ヤニングスら被告人をめぐって、戦勝国側の検事ローソンとドイツ人弁護士ロルフが激しく争うが…
 ナチスを描いた映画は数え切れないほどありますが、この作品は内容といい演技といい、傑出した名作と言えるのではないでしょうか。3時間近い長さなのですが、集中力がない私でも最後まで全くダレることなく、一気に観ることができました。裁判の展開と人間模様、そして演技にグイグイ引きこまれ、こみあげる怒りと悲しみに動揺、翻弄されっぱなしでした。あらためてナチスの残虐さ、非道さに心打ちのめされました。こんなことが本当に起きたのか…信じられない、信じたくない…法廷で明かされる悪夢は、まさに人類最大最悪の恥ずべき汚点、暗黒歴史です。

 ナチスといえば、アウシュヴィッツなどでの強制収容所でのユダヤ人虐殺が有名ですが、この映画では精神や知的に障害があった人たちから生殖能力を奪う手術を強制できる断種法とか、ユダヤ人との結婚や性的関係を禁じたニュルンベルグ法とか、ナチス時代に施行された悪魔の法律がクローズアップされてます。こんなの人間のすることじゃない!人間にすることじゃない!まさに狂ってるとしか思えない。でも、ナチスのエリートたちは、狂ってなんかいなかったんですよね。彼らのほとんどが異常者なんかではなく、冷静で文化的で知的な人々だった。その怖さと悲劇を、この映画は観る者に思い知らせてくれます。

 裁く側の苦悩と葛藤も痛ましかったけど、ヒトラーの台頭やユダヤ人虐殺に賛同したり、見て見ぬふりをしてナチス時代を生きたドイツ人の、不幸な罪深さに暗澹とさせられます。許せん!と断罪するのは簡単ですが、もし我々が当時のドイツ人ったら、果たしてナチスに反対したり反抗したりできたでしょうか。長いものに巻かれず生きられる!と、自信をもって私は言えません。愛する母国のために正しいと信じてやった、というヤニングの告白には、先日死刑執行となったオウム信者の後悔や懺悔の言葉とカブりました。そして、堂々と人種差別をしている某大国の大統領とも…彼こそ、今この映画を観るべき人です。ナチスやドイツ人を断罪するだけでなく、ナチスの台頭を許し利用もしたアメリカやイギリスも、決して正義ではないという痛烈なメッセージも、今を生きる私たちにの胸を衝きます。
 
 この映画、とにかく超一流の豪華な俳優陣のアンサンブル演技が秀逸!彼らの火花散る演技合戦に圧倒されます。ヘイウッド判事役は、ハリウッド史上最高の名優と讃えられたスペンサー・トレイシー。貫禄と威厳はあるけど、決して威張りくさったエラソーな爺いではなく、温かさと優しさにあふれていて、素朴だけど人間的に懐が深く大きい人物といった、ある意味アベンジャーズとかアメコミヒーロー以上に今はもう現実的じゃない理想の男性。演技も全然オーバーではないけど、静かに力強く悲哀があって、奇をてらった演技や役をすれば演技派、と勘違いしてる自称名優とはまさに質が、格が違います。被告人ヤニング役のバート・ランカスターは、終盤までほとんど台詞がないのですが、映ってるだけでスゴい存在感。ドイツ人軍人の未亡人役を、レジェンドな大女優マレーネ・ディートリッヒが好演。60過ぎてるけど、ミステリアスでクールな魅力は褪せてません。
 この映画で最も燦然としてたのは、ロルフ弁護士役のマクシミリアン・シェルです。当時30歳、オーストリア出身の気鋭の若手だった彼は、名だたるハリウッドスターたちを圧倒する大熱演を披露し、アカデミー主演男優賞を受賞する快挙を遂げたのでした。

 まさに圧巻の演技!激烈で鋭い怒涛の舌鋒!生半可なアメリカ人俳優やイギリス人俳優にはこなせないような、膨大で難しい政治用語、法廷用語にあふれた英語の台詞を、ドイツ語が母国語であるオーストリア人俳優が、よどみなく感情豊かに操ってるのが驚異的。オスカー受賞も納得の名演です。演技だけでなく、理知的で端正な、それでいてドイツ男らしい骨太で精悍なイケメンぶりにも感嘆。とにかく彼、ほんと聡明で怜悧そう!数年後の出演作「トプカピ」の彼も、クールでスマートでカッコよかったわ~。晩年の彼もシブくて素敵でした。ファンレターの返事もくれた優しい彼の訃報は、本当に悲しかったです。

 ローソン検事役は、悪役スターとして人気だったリチャード・ウィードマーク。冷徹に正義をまっとうしようとする、いぶし銀の演技に痺れた!彼とマクシミリアン・シェルとの白熱した法廷バトルは、異様な緊迫感と迫力で圧倒されます。この映画を観た後に、某事務所の人気タレントが共演した裁判もの映画は観ないほうがいいかも。最高級ワインとカルピスぐらいの違いがあるでしょうから。裁判の証人役で、モンゴメリー・クリフトとジュディ・ガーランドが登場。生き延びたけど、人間としての尊厳を奪われ、身も心もズタズタにされ、法廷でさらなる屈辱にまみれる彼らの、虚ろで悲痛な表情や言動も観る人の胸をえぐります。
 この映画をリメイクするとしたら、my理想妄想キャストはこうだ!
 
 ヘイウッド判事 … トム・ハンクス
 ローソン検事 … トム・ハーディ
 ヤニング被告 … コリン・ファース
 ロルフ弁護士 … ピエール・ニネ
 公爵夫人 … イザベル・ユペール
 断種法の証人 … ベン・ウィショー
 ニュルンベルグ法の証人 … アリシア・ヴィキャンデル

 こんなん出ましたけどぉ~?
 トム・ハンクスは、明らかに第二のスペンサー・トレイシーになろうとしてるので、ヘイウッド判事役をやらせてあげたら欣喜雀躍するでしょう。ロルフ弁護士役は、英語が完璧なドイツ人俳優であるダニエル・ブリュールあたりが妥当なんだけど、あえてフランス人のニネっちを。ニネっちも英語が得意そうだし、コメディフランセーズ仕込みの熱演が見たい!彼とトムハの激突なんて、想像しただけでジュンとくるわ~(^^♪

  
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盗(と)んでイスタンブール

2017-04-04 | 北米映画 60s~70s
 さっきまでTVでカープVS中日戦観てたんですけど…それより気になって面白すぎたのが、阪神VSヤクルト戦です。久々の大乱闘!
 阪神の藤浪が、ヤクルトの畠山にデッドボール!怒った畠山がマウンドのナミーに近づいていくと、両軍のベンチからナインやコーチが飛び出してきて、バレンティンに突き飛ばされた阪神の矢野コーチが、報復の膝蹴り!金本監督まで激怒で我を忘れ、京セラドームはカオスと化したのでした。
 最近のプロ野球選手はおとなしいので、昔は珍しくもなかった乱闘も今はすっかり影を潜めてしまってますが、やっぱたまには見たいですよね~。カープなんか特に優しく品行方正なので、そんなオマケは期待できないけど。
 それにしても。目の前の乱闘に青ざめてるナミーに既視感。忘れもしない、カープ戦でも黒田に殺人ボールをぶつけそうになって、あわや乱闘の事態に茫然と立ち尽くしてたナミー。わざとじゃないんだろうけど、危ない子だわ~。カープ戦ではno more, please!

 それにしても。バレンティンの凶暴さ、凶悪さときたら。怖すぎるわ~。殺人バットで石原を殺しかけたり、カープも酷い目に遭ってますしね~。実際にも奥さんを殺しかけて逮捕されたりもした極悪外人バレンティン、いくら実力があるとはいえ、こんなのカープにいなくて本当に良かった。バレンティンとか巨人の狂犬マイコラスとかと違い、カープの外人選手ジョンソン、エルドレッド、ジャクソン、ヘーゲンス、みんな明るく協調性があって紳士的。スカウトには人柄も重視してるところが、カープらしい。それは遵守してほしいものです。
 
 懐かしの60s70s映画③
 「トプカピ」
 美しき女盗賊エリザベスは、元恋人のウォルターと組んで仲間を集め、イスタンブールのトプカピ美術館にある宝刀を盗み出す計画を立てる。ひょんなことから、イギリス人のシンプソンはそれに巻き込まれてしまい…
 「日曜はダメよ」など、アメリカ人ながら主にヨーロッパで佳作を撮った名匠、ジュールズ・ダッシン監督の1964年の作品。
 数ある泥棒コメディ映画の中でも、屈指のクオリティの高さを誇る名作です。少なくとも、実写版ルパン3世の1億倍は面白いと思います。大人が観ても楽しめる映画です。

 まず、怪盗グループのキャラ立ちが素晴らしい。妖艶な熟女エリザベス、チームリーダーの頭脳派ウォルター、メカニック担当の英国紳士セドリック、実行隊の軽業ボーイ&怪力男、そして彼らに無理やり仲間に引きこまれてしまうトンマなシンプソン。みんな見た目も個性的で、彼らのやりとりも小粋で楽しいです。
 出色なのは、トプカピ美術館から宝刀を盗み出すシーン。え!これって、ミッションインポッシブルじゃん?!もちろんこの映画のほうが先に作られてるので、パクリなのはMIのほうになります。でも、こっちのほうがすごい緊迫感あり。いっさいの音を消した無音状態なのが、秀逸すぎる演出でした。

 キャストもキャラに負けない強烈な個性派ぞろいで、国際的かつ濃ゆい!ヒロインのエリザベス役は、ギリシア出身の大女優で、ジュールズ・ダッシン監督の「日曜はダメよ」でオスカー候補となり、監督の愛妻でもあったメリナ・メクルーリ。女怪盗というより、マフィアの大姐御みたいな豪快さと貫禄、男みたいなドラ声。男たちを手玉にとり翻弄する峰不二子な役には、ちょっと熟女すぎるきらいはあるのだけど。男たち、彼女の魅力に屈して、というより、彼女の迫力に気圧されて、みたいな感じだった。彼女のとっかえひっかえなファッションも目に楽しいです。
 ウォルター役は、名作「ニュールンベルグ裁判」でオスカーを受賞した、オーストリア出身のマクシミリアン・シェル。ダニエル・デイ・ルイス+ウォーレン・ビーティ、みたいで男前!めちゃくちゃ頭よさそう!テキパキと冷静にチームを指揮する姿がカッコよかったです。
 いちばん美味しい役で目だちまくりだったのが、シンプソン役のピーター・ユスチノフ。

 日本では名探偵ポアロ役で知られてる彼、この映画での名演で、「スパルタカス」に続いて2度目のオスカーを受賞しています。オロオロとアタフタ、ドジでマヌケなおっさんを、楽しく可愛らしく演じてます。トンマな役、演技でも、全然おバカにも下品にもならないところは、さすが英国俳優の中でもとりわけインテリとして有名だったユスチノフ氏です。太ってるけど、よく見れば顔立ちはすごく整っていて美男子。デブ専でオヤジ専な人にはたまらん男かも。セドリック役は、偶然!「料理長殿、ご用心」のロバート・モーリー!ここでもイギリス紳士らしく、ちょっと気取ってて皮肉な言動で笑いを誘ってます。
 イスタンブールの異国情緒も、存分に味わえます。トルコ相撲が、すごい迫力と臨場感で撮られていました。トルコも行ってみたいな~。60年代らしい色彩感覚とかカメラワーク、音楽も好き。特にオープニングの演出が洒落てます。現代だとかなり無理があって成り立たない、60年代はこんなんだったんだな~と返って新鮮に思える内容です。でも、この映画のハッピーなリッチさは、現代の映画では出せない魅力です。監督も主要キャストもみんな、もう故人なのが悲しい…
  
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殺しのグルメ三都物語

2017-03-27 | 北米映画 60s~70s
 春なのに~ため息またひとつ~♪
 卒業だけが理由じゃないんですよね…私、やっちまっただよ…やらかしちゃっただよ
 職場でふと気づく。え!免許証がない!?落とした覚えは全くない。でも、ない。どこにもない。愕然としてると、後輩がいちおう警察に問い合わせてみれば?と助言。ダメ元で電話してみると、あらら!届出ありますとの返答。ほっとしたと同時に、いまだに落とした心当りがないのですっきりしない…
 翌日、再びありえない失態!今日は午後から出勤♪と呑気に出勤すると、あの~今日は松さん、朝からだったんだんですけど…と後輩が気まずそうに。どうせ勘違いしてたんだろうから!と、上司も苦笑いで携帯連絡しなかった、と。ああ~昨日の今日で、これはイタい!恥ずかしさで、穴があったら入れたい、じゃない、入りたい!
 動揺がいまだに鎮まらない私。暖かくなって気が緩んだだけ?それとも…ああ…アレですか?もうすぐ自分が誰なのかも分からなくなる、その兆候なのでしょうか?単なる間抜けとして嗤われるのならいいのだけど、気の毒な人として同情されるのは辛いわ~。生きていく自信喪失な春です♪

 懐かしの60s70s映画①
 「料理長殿、ご用心」
 人気パティシエのナターシャは、バッキンガム宮殿での晩餐を共に作ったシェフのルイと一夜を共にするが、翌朝ルイはキッチンのオーブンの中で他殺死体で発見される。ナターシャは、復縁を求めてロンドンにやって来た元夫ロバートを疑うが…
 私が子どもの頃、淀川長治さんの日曜洋画激情でよく放送されてた作品。久々に観ましたが、いま観ても楽しい映画でした。
 次々と起こる連続殺人事件、狙われたヒロイン、犯人の意外な正体と犯行の動機…いちおうミステリー、サスペンスの形はとってるのですが、基本的にはコメディです。オーブンに焼死体とか、水槽に溺死体とか、肉搾機でミンチにされるとか、かなり猟奇的な殺人が起こるのですが、ヒロインも容疑者たちもノーテンキで楽しそうなんです。ぜんぜん緊迫感とか緊張感がありません。かなりユル~いノリ。小粋な台詞とか、今の殺伐としたり品がない映画と違って、ゆったりとリッチな演出とムードが返って新鮮。70年代の空気感、ファッションも独特。当たり前だけど、ネットとかスマホとか出てきません。それでも別に不自由なく生活できてたんですよね。便利すぎる現代の弊害を、あらためて痛感。
 殺人の舞台となる、ロンドン、ローマ、パリのロケも、目に楽しいです。それぞれの都市で刑事の尋問を受けるヒロインですが、冷徹なイギリス、女好きのイタリア、気取ったフランス、刑事のキャラがお国柄をあらわしていて笑えます。

 真犯人の正体と殺人の動機は、かなり意外なのですが(ちょっとドンデン返しもあり)、あの人があんな手の込んだ犯行、できるかな~?!オーブンや水槽に死体放り込むだけでも、相当な体力が要るけど…巧みな伏線とか小道具とか駆使したトリッキーなミステリを期待すると、ガクっとなります。あくまで喜劇なのです。
 ヒロインのナターシャ役は、70年代に人気だった美女ジャクリーン・ビセット。

 美人!モテモテなのも納得の美しさです。イギリスとフランスのハーフである彼女、ヨーロッパ的な濡れたようなしっとりとした美女なのですが、ナターシャのキャラはかなりサバサバ男っぽいので、美人は何しても得ね!な反感などは覚えません。彼女のファッションが、かなり独特。お葬式でのマニッシュなスーツとか、カッコいいけど一般人はマネできません。
 容疑者の一人である元夫ロバート役 ジョージ・シーガル(「バージニア・ウルフなんかこわくない」での好演が忘れがたい)は、いかにもアメリカンな陽気なおじさん。ノーテンキに傍若無人で拝金主義、という彼のデフォルメされたアメリカンキャラが、ちょっとアメリカへの皮肉っぽくて笑えます。
 最も目立っていたのは、大富豪の料理評論家マックス役のロバート・モーリー。すごい存在感です。百貫デブな見た目もですが、すごい毒舌が強烈。よく今まで誰にも殺されなかったな~と呆れるほどですが、すごくウィットに富んでいて笑えるんですよ。相当の教養と知性がないと、あの毒舌は無理です。人もなげな傲慢不遜さだけど、アメリカの成金と違って上品で洗練されてる紳士なところが、さすがイギリス人。マックスを快演して美味しいとこ独り占めだったロバート・モーリーは、30年代のハリウッド映画「マリー・アントワネットの生涯」のルイ16世!息の長いキャリアだったんですね~。
 フランスの名優たちが出演してるのが、フランス映画ファンには嬉しい映画。ロンドンで殺されるルイ役のジャン・ピエール・カッセルは、エキセントリックな息子ヴァンサン・カッセルと比べると、優しそうで落ち着いた大人の男って感じ。そういえばジャクリーン・ビセットとは、「オリエント急行殺人事件」で共演してましたね。パリで殺されるシェフ役は、「ニュー・シネマ・パラダイス」も忘れがたいフィリップ・ノワレ。美男じゃないけど、ダンディでキザな仕草が似合う素敵おじさま。あっちこっちに出没する怪しいシェフ役は、パトリス・ルコント監督の作品でお馴染みのジャン・ロシュフォール。怪しいけど絶対犯人じゃない、というサスペンスものではお約束なキャラを、ちょこまかと珍演。3人ともコミカルで、いい味だしてます。
 ゴージャスな料理の数々もエンターテイメントですが、あんまし美味しそうじゃない…私はやっぱ、高級料理よりも庶民的なごはんのほうがいいです。ナターシャが作る爆弾ケーキが笑えます。
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