まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

2022年my cinema lifeを総括する

2022-12-29 | 映画雑記
 皆さま、お元気ですか?年の瀬で何かとご多忙のことと存じます。今年も残りあとわずかになりましたね。私は昨日やっと冬休みに入りました。これから某魔法使いに会いに大都会へ向かいます(^^♪素敵なマジック、かけてほしい!また妖精になって迷惑かけるのはイヤ!
 今年もいろんな映画を観ましたね!コロナのせいで観に行けなかった作品も多々ありましたそんな中、どんな映画を劇場まで観に行ったんじゃろ?振り返ってみると…

  1月 ハウス・オブ・グッチ
     ブラックボックス
  2月 ウエスト・サイド・ストーリー
     シラノ
  3月 ナイル殺人事件
     ザ・バットマン
     ベルファスト
  4月        ー
  5月 流浪の月  
     死刑にいたる病
  6月 トップガン マーヴェリック
     シン・ウルトラマン
     エルヴィス
  7月        ー
  8月        ー
  9月 ブレット・トレイン
 10月 スペンサー ダイアナの決意
     手
     線は、僕を描く
 11月 愛する人に伝える言葉
     アフター・ヤン
     ザリガニの鳴くところ
 12月 ミセス・ハリス、パリへ行く

 20本。うう~ん、外出しにくい世情を考えれば、けっこう観に行ってる?来年こそコロナが雲消霧散、映画100本以上観る!な1年になればいいな~。
 僭越ながら、2022年のマイベスト映画、男優女優を発表!(2022年日本公開作のDVD鑑賞、配信も含む)
  
 my best movie top 3 in 2022

 1位 ブレット・トレイン 

 インパクトと面白さでは今年最高!ハチャメチャ!ノリノリなトンデモお笑い映画、そーいうの大好きです。刺激が強いヴァイオレンスも、ヌルいユルい映画に飽き飽きしてる映画ファンには極上のスパイスになってました。
 
 2位 ミセス・ハリス、パリへ行く
 
 夢と希望と浪漫にあふれたおとぎ話みたいな映画でした。私もヒロインのように優しく勇敢に生きたい!
 
3位 ベルファスト

 世の中ってどこも、いつまで経っても物騒で厳しい、けど愛と優しさにもあふれている、そう語り聞かせてくれたような佳作でした。脚本も演技も素晴らしかったです。
 
 my best actor top 3 in 2022

 1位 横浜流星 「流浪の月」「線は、僕を描く」

 ちょっと前まで苦手な俳優だった彼を、ベストアクターに選ぶことになるとは。若者の闇も光も魅力的に演じて、顔がきれいなだけじゃないことを証明。若手俳優の中では期待度が最も高い存在となりました。
 
 2位 ブラッド・ピット 「ブレット・トレイン」

 今や世界最高のイケオジ、大人可愛い男の代名詞といえばブラピ。素晴らしい年齢の重ね方。かつてないおバカ演技も、尊いほどに可愛かったです。
 
 3位 ブノワ・マジメル 「愛する人に伝える言葉」

 かつての美青年も、すっかり枯れた熟年に。入魂の演技で健在ぶり、円熟ぶりを知らしめてくれました。

 そのほかには、「ブラックボックス」のピエール・ニネ、「シラノ」のピーター・ディンクレイジケルヴィン・ハリソン・ジュニア、「ベルファスト」のジェイミー・ドーナン、「ザ・バットマン」「アフター・ヤン」のコリン・ファレル、「トップガン マーヴェリック」のトム・クルーズ、「ザリガニの鳴くところ」のハリス・ディキンソン、「僕の巡査」「ドント・ウォーリー・ダーリン」のハリー・スタイルズ、「手」の金子大地、「ミセス・ハリス、パリへ行く」「チケット・トゥ・パラダイス」のリュカ・ブラヴォー、の好演や男前ぶりも印象的でした。

 
 my best actress top 3 in 2022
 
 1位 クリステン・スチュアート 「スペンサー ダイアナの決意」

 彼女もちょっと前までは苦手な女優さんでしたが、最近は大人のカッコいい女優に成長し、すっかりファンになってしまってます。ダイアナ妃を演じた彼女のヒリヒリザワザワするような演技、そしてスタイリッシュなセンスは、鮮烈かつ魅惑的でした。
 
 2位 レスリー・マンヴィル 「ミセス・ハリス、パリへ行く」

 冷徹で優雅な上流レディ、というイメージをチャーミングに覆す庶民の味方なおばちゃまぶり、まさにザ・女優な仕事ぶりでした。

 3位 イザベル・ユペール 「ミセス・ハリス、パリへ行く」

 脇役でも主役級の存在感。イケズな役を軽やかに楽しそうに演じ、今年も大女優の余裕たっぷりなユペりんでした。
 
 その他には、「ハウス・オブ・グッチ」のレディー・ガガ、「ベルファスト」のカトリーナ・バルフ、「愛する人に伝える言葉」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「ミセス・ハリス、パリへ行く」のアルマ・バチスタ、の好演や美しさも忘れがたいです。

 こんなん出ましたけどぉ~。ダントツの作品!ダントツの役者!が特になかった2022年の映画かもしれません。皆さまのベストも拝聴したいです!
 これが最後の年末総括にならぬよう、来年も病気やケガに気をつけて生き永らえたいと存じます(^^♪皆さま、今年もこんな激ショボブログに遊びによってくださり、本当にありがとうございました!来年も元気にハッピーにcinema lifeを送りましょう!See you soon!よいお年を~
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熟年天国 バリでの揉め事

2022-12-26 | 北米映画22~
 「チケット・トゥ・パラダイス」
 犬猿の仲である元夫婦のデヴィッドとジョージアは、一人娘のリリーから旅先のバリで出会った現地の青年と結婚するという知らせを受け、急遽バリへと向かう。二人は協力して結婚を阻止しようと試みるが…
 ハリウッドの大物スター、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツがW主演したラブコメ。二人は共演作が多いみたいですが、一本も観たことない二人の出演作を観たのもすごい久々。別に嫌いでも苦手でもない二人ですが、出てる映画は必ず観る!なスターではないかも。わし的には(世間的にも?)ひと昔前の人気スターって感じの二人ですが、まだまだ現役!若いもんには負けん!なノリ。そのお達者ぶりにはリリーだけでなく、観客も呆れたり辟易したりしちゃいます。南の島でドタバタと大騒ぎ、はしゃぎまくってる姿は、ちょっとイタくて苦笑い。すごく楽しそうなんだけど、観客以上に大スター二人が楽しんでるような、お金払ってセレブの遊んでる様子を見せられてるような、庶民感覚とはあまりにも乖離したお気楽ゴージャスさは、あまり愉快なものではなかったです。

 でもでも、そのお気楽ゴージャスさこそ、この映画の意図したもの、見どころなんですよね。小難しいことはいっさい抜き、肩の力を抜いて気軽に楽しむ、という点ではパーフェクトかもしれない映画です。映画やドラマのリッチな世界や人々を見て、昔のように楽しく現実逃避できなくなってる私って、やっぱ心が荒んでるのかもしれません。バカバカしくてノーテンキなコメディも、前は大好きだったのに。この映画、若い頃ならきっと楽しめたかもしれない。と思いつつ、今の若い子たちがこの映画を観て、果たして高く評価できるだろうか。何このおっさんとおばさん、ウザ、と冷笑するだけかも大スター二人の演技と存在だけでなく、内容も新鮮さとか衝撃とかは微塵もなく、どこかで見たことがあるような、思った通りの展開になる予定調和の凡庸さのせいで、映画は安物を派手な包装紙で包んでるような出来となってます。
 
 デヴィッドとジョージアが、ぜんぜん娘の結婚の邪魔をしてないんですよ。指輪を隠すという幼稚なことするぐらい。妨害という目的はどこへ行ったのか、ほとんどバリでの休暇を満喫してるだけ。周囲がドン引きするほどのぶっ飛んだ暴走でウェディングクラッシュすれば、毒にも薬にもならんコメディにならなかったでしょうに。まあ、娘の相手が文句のつけようのない好青年でしたしね~。あれで反対し通したら、ただの狭量な人種差別主義者になってしまってたでしょうし、そんな風に思われてしまうような役を大スターの二人が引き受けるわけがありません。それにしても。私が親なら、反対どころか諸手を挙げて祝福しますよ。ろくでもない日本人と結婚されるほうが、よっぽど嫌です。熟年両親よりも、娘のリリーが鼻についたわ。すっかりバリの住民気どりで。バリ人ってみんなあんなにオープンマインドなの?

 久々に見たジョージ・クルーニーもジュリア・ロバーツも、すっかりおじさんおばさんになってたけど、さすがハリウッドで長年トップを張っただけあって、スターのオーラと華やかさは今でも強力ですね。まだまだ現役な男女役でも違和感なし。ジュリロバの高価そうだけど悪趣味なファッションが、いかにもアメリカの金持ち女って感じでした。リリーの恋人のバリ青年が、大谷翔平+満島ひかりの弟、みたいな顔でした。
 ジョージアの年下の彼氏役は、「ミセス・ハリス、パリへ行く」で会ったばかりのリュカ・ブラヴォーでした。

 フランス人パイロット役のリュカ、やっぱイケメンですね!フツーなら気どった美男子なキャラになるところですが、リュカは明るくて爽やかでフランス男っぽくないんですよね~。フランス人が恋人という設定があまり活かされてなかったような気もしたけど、お人よしでちょっとアホなリュカのコミカル演技はすごく可愛かったです。フランス男は熟女好きとは言うけど、ジュリロバみたいな性格キツそうなアメリカ女と付き合うのは、かなり勇気が要りそう。ジュリロバって怒ったらめちゃくちゃ怖そうなので、リュカは撮影中さぞや緊張したことでしょう。
 常夏のバリ島のトロピカルな風景、美味しそうな食べ物など、まさにこの世の楽園でした。あの温かそうな澄んだ青い海で泳いでみたい!バリにも行ってみたいな~。

 ↑ 新作の“The Honeymoon”も英語でのコメディ。フランス語で演技するリュカ主演のシリアスなフランス映画も観たい!
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家政婦は着た!

2022-12-19 | イギリス、アイルランド映画
 「ミセス・ハリス、パリへ行く」
 1950年代のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦のミセス・ハリスは、勤め先の家でクリスチャン・ディオールのドレスに魅せられる。一念発起しお金を貯め、ディオールのドレスを買うためにパリへと向かうミセス・ハリスだったが…
 期待してた以上に佳い映画でした!夢と希望とロマンにあふれた楽しい映画!若い人よりも、わしのような貧乏高齢者にとってキラキラワクワクな内容かも。わしも貧乏高齢者だけど、ミセス・ハリスのように優しさと勇気をもって生きていけたら、と思いました。お金のあるなし、社会的身分、年齢も関係ない!夢に向かって軽やかに爽やかに、大胆不敵に猪突猛進するミセス・ハリスの冒険が愉快痛快。もちろん彼女のマネなんかできないし、あんなにラッキーな展開になるほど世の中は甘くないとは知ってるけど、他人への思いやりを忘れず、ちょっとでも前向きに行動すれば、何かいいことがあるかも、あるはず、と思うことができました。

 とにかくミセス・ハリスがチャーミングな女性!出会う人がみんな彼女に魅了されるのも理解できる。優しく明るく元気いっぱいで、おひとよしだけど正義感が強く、いざという時は剛毅で果敢な彼女を見てると、ちょっと「はいからさんが通る」の紅緒を思い出しました。単身パリのディオールに乗り込んでいくミセス・ハリス、私ならすぐ不審者扱いされて追い出されるか通報されるかですが、ミセス・ハリスは持前の天然さと豪胆さで、あっという間にディオールで働く人々の心を掴むんですよ。それは、当時のパリの世相のおかげでもあったようです。労働者を搾取し虐げる金持ちどもクタバレ!な、ストライキや暴動で荒れてた当時のパリ、特権階級の連中にヘイコラすることにウンザリしてたディオールのスタッフたちの目には、突如ロンドンからやって来たミセス・ハリスは、まさに格差社会に戦いを挑んでる庶民の女神のように映ったみたいでした。ミセス・ハリスがリストラに抗議し、職員を率いてディオール氏のもとに乗り込むシーンは、なかなか胸アツでした。

 それにしても。ミセス・ハリスを取り巻く人々が、みんな超絶いい人ばかり。ちょっと意地悪、セコい、という人は出ても悪人は誰ひとり出てきません。みんなまるで魔法にかけられたかのように、ミセス・ハリスに親切に惜しみなく応援と協力。ありえない!と思いつつ、それは私が卑しい不徳な人間だからで、ミセス・ハリスみたいな周囲をも善に変えてしまうマジックのような人徳の持ち主って、確かにいますよね。ラスト近く、落ち込むミセス・ハリスに届くパリからの贈り物が感動的でした。日頃の善き心と行いが、不運や悲しみの後に思いがけない幸運をもたらす展開は、何だか日本昔話みたいでした。
 この作品、キャストも素晴らしいです。ヒロインのミセス・ハリス役は、「ファントム・スレッド」でオスカーにノミネートされたイギリスの名女優、レスリー・マンヴィル。

 見た目も演技も可愛い!こんなおばちゃまになれたら!気持ち悪い美魔女系高齢女優と違い、ヘンに若くキレイに見せようとしてないナチュラルさも好き。可愛いけどブリッコではなく、女を捨てたサバサバ男前きどりでもない、好感と共感しか抱けないヒロインを軽快に好演。ドレスにときめいてる表情が秀逸でした。ディオールの辣腕マネージャーであるマダム・コルベール役は、フランスの大女優イザベル・ユペール。


 慇懃無礼でカリカリしててイヂワルな今回のユペりん、ちょっと「8人の女たち」の彼女を思い出させました。イヤミな役でもコミカルなので、悪役とか敵役といった感じではありません。すごく楽しそうに演じてるユペりんでした。クールにすっとぼけた毒は、コメディでも活きます。シンプルかつフェミニンなスカートも、すごくエレガントなところがさすがフランス女優。マンヴィルVSユペール、英仏の素敵熟女対決がトレビアン。
 ディオールの会計士役アンドレ役は、いま注目のフランス俳優リュカ・ブラヴォー。


 イケメン!フランス男なのにスカしたところが全然なく、大柄で立派な体躯や、優しそうで素朴なお人よしっぽい雰囲気は、何となくアメリカ人っぽい。女たちに振り回されてオロオロする様子が可愛かった。ミセス・ハリスと親しくなる侯爵役のランベール・ウィルソンが、相変わらず美熟年!優雅な貴族役にぴったり。侯爵が飼ってる犬がカッコカワいかった。ディオールのトップモデル、ナターシャも超いい娘で好感。演じたポルトガル女優のアルバ・バチスタ(クリス・エヴァンズの今カノだって!)も、きれいで可愛かった。フランス俳優たちの、フランス語と英語がちゃんぽんな演技もカッコよかった。駅のホームレスまで上手な英語を喋ってましたが、フランス人ってみんなあんなに英語を喋れるんですね。

 ディオール全面協力のファッションも見どころ。素敵な衣装が次々とお披露目されるファッションショーが、ドリーミーで眼福でした。でもファッションには疎く興味も薄い私、服に大枚はたくとか無理!ユニクロで十分アナーキーな世情のため、花の都どころかゴミの都と化してたパリですが、セーヌ川岸の散歩道とか花市場とか、美しい場所もちゃんとあって安心。パリよりもロンドンのほうが好きなので、ロンドンのシーンがもっと見たかったです。

 ↑ ハリウッドの大物スター二人が共演した某コメディ映画にも出てたリュカ。英語圏のコメディで脇役のイケメンフランス男役ばかりでなく、本国のシリアスな作品で主役な彼が見たいです
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イケメン殺人鬼とマッチング

2022-12-14 | 韓国のドラマ
 Netflixの韓国ドラマ「サムバディ」観たニダ!全8話。
 プログラミングの天才で、人気出会い系アプリ“サムバディ”の開発者であるソムは、サムバディを利用して建築家のユノに接近する。ユノはサムバディを通して出会った女性たちを次々と殺している殺人鬼だった…
 韓流、やはり恐るべし。このドラマも攻めてきてる感がハンパなかったです。こんなドラマ、内容といい演出といい演技といい、日本ではまず映像化は不可能です。日本でもnetflixドラマが作られているようですが、どれも地上波のドラマとそんなに違いはなさそうな、ジジババが観ても婦女子が観ても大丈夫な毒にも薬にもならん系。その点、この韓流Netflixドラマは過激な暴力と性の描写で、完全に成人指定です。容赦なきヴァイオレンスと生々しいエロスは韓流映画のオハコで魅力、数々の傑作が映画ファンを驚愕・興奮させたものですが、さすがの韓流もポリコレの波が押し寄せているのか、最近では人気俳優の無駄脱ぎさえ激減してるように思われます。キレイキレイに無難な、いい人のいい話、おんな子どもも安心して観られる映画やドラマなんてつまんない!という不満を抱いている私のような者にとっては、このドラマは美味しい激辛キムチみたいでした。凶悪で毒々しく、野蛮で狂気にまみれていてエロいという、もう韓流でしか、いや、韓流さえも失いかけてた大切なものを取り戻したようなドラマでした。

 出会い系とサイコ殺人鬼、というのは割とありきたりな設定ですが、物語の展開や空気感、メインキャラの人物像や言動が独特で、かなり不思議なテイスト。人間とAIの緊密な関わり、静かな近未来ムードなど、ちょっと「アフター・ヤン」を思い出しました。でも描かれている人間関係は、殺伐と残忍で冷たく寂しい。現代社会の欲望と孤独の闇深さに戦慄。出会い系マッチングアプリとか、まさにその闇への入り口です。そういう出会い方を否定するつもりはまったくなく、むしろ上手に使えば楽しく幸福につながるかもしれない。ただ慎重さと警戒が肝要。相手はSNS上でしか知らない相手、二人きりで会ってすぐにセックスとか、怖すぎるわ。ユノの被害者たち、そしてヒロインのソムや親友のギウンが、殺されたり恐ろしい目に遭っても同情できないんですよ。あまりにも軽率で無謀すぎる。ユノだけでなく、なりすましで女性をおびき寄せて強姦しようとする連中とか、狂った獣たちがはびこってるSNSの恐怖。出会い系は危険!ということを、あらためて教えられました。

 まともな人、共感できる人が誰一人出てこない、不思議系サイコドラマとしてもユニークなのですが、映画でももう絶滅しつつあるエロいセックスシーンも衝撃的かつ魅力的でした。濡れ場なんて死語になってる最近の映画界なので、ここまでヤる?!な大胆さとエロさに驚愕&喝采。聞けばこのドラマ、韓流エロスの傑作「ハッピーエンド」と同じ監督だとか。納得!卑猥かつ躍動感ある情交の描写は、ハッピーエンドを彷彿とさせるものでした。ハッピーエンドのチュ・ジンモに勝るとも劣らぬ全裸と性交シーンに挑んだ、キム・ヨングァンの役者魂を讃えたい!

 キム・ヨングァン、このドラマで初めて知ったのですが、そこそこ人気も知名度もある若手俳優みたいですね。デビューしたての新人でもない、落ち目の元スターでもない彼が、いったい何を思っての惨たらしい血まみれ殺人や全裸ズコバコ!そういう演技を好きな俳優にしてほしいので、ヨングァンくんのファンが羨ましいです。顔は香取慎吾+台湾の俳優チャン・チェン、みたいで私のタイプではないのですが、イケメンではあります。薄気味悪い笑顔が怖いです。ぬおおお~っとした威圧感と圧迫感ある約190センチの巨体も怖い。ムッチリガッチリした肉体美も見ごたえあり。何度かある女たちとのセックスシーン、特に熟女との首絞めプレイの彼はほとんどAV男優。穴が見えそうなほど丸出しのケツが、グアングアンと淫動!イヤらしすぎて、乙女淑女は直視できません。

 ヒロインのソム役のカン・ヘリムは無名の新人女優さんらしいけど、可愛いですね。アイドル時代の酒井法子みたいな顔?不可解で奇怪な言動も、少女のように透明感のある可憐な風貌や演技で、可愛い不思議ちゃんに。自慰シーンや、ヌード披露のセックスシーンなど、新人らしからぬ大胆さと度胸でした。アスペルガー症候群であるソムの、他人の痛みや思惑を解さない無神経さも、何だか憎めないバカ正直さで微笑ましかった。でも、いつか何かしでかすに違いない不穏さがあり、え!?ついにやっちまったな!な、ラストの衝撃と戦慄の暴走へとつながります。ソムの家も不思議な空間で面白かったです。ギウンの友人で、レズビアンの巫堂(ムーダン、祈祷師)であるモグォンが、男装の麗人!巫堂姿も神秘的で美しかったです。ソムもギウンもモグォンも、相当なイカレ女。でも、美しい女はちょっとタガが外れてて狂ってるほうが魅力的です。
 

 
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男色の脅迫者!

2022-12-08 | イギリス、アイルランド映画
 「Victim」
 弁護士として成功し、美しい妻ローラと幸福な結婚生活を送っていたメルヴィルは、警察の拘置所でバレットという青年が自殺したと知りショックを受ける。メルヴィルは同性愛者で、バレットとはかつて深い関係にあった。バレットは生前、何者かに脅迫されていたが…
 60年代のモノクロのイギリス映画が好きです。それらの多くは冷たく乾いた映像と雰囲気で、シビアな社会や人間関係を描いているのですが、この1961年の作品もそうでした。同性愛が違法とされていたイギリスにおけるゲイの生きづらさや苦悩は、酸鼻を極めるものがあります。現代ではありえないような人権無視、人権蹂躙の非道さ。バレたら身の破滅になるほどの命がけの秘密。カミングアウトなど自殺行為。同性愛者は公然と攻撃と蔑みの対象になっていた時代。そんなに昔のことじゃないってのが信じがたい。まるで隠れキリシタンのように、ビクビクしながら息を潜めるように、本当の自分を抑圧して生きねばならない人生。まさに絶望しかありません。怯えながらも男を求めずにはいられず、危険をおかしてしまうゲイの心と体の懊悩が悲痛です。

 この映画の怖いところは、同性愛者の弱みに付け込む連中の卑劣さや残忍さや、狭隘で歪んだ憎悪や嫌悪の醜さです。金目当て、もしくは独りよがりで狭量な信条の持ち主に脅迫の標的にされてしまう同性愛者たちは、まさに社会に鬱憤を抱く人たちへのはけ口にされた犠牲者。この映画を観て、同性愛を禁じていた法律がどれほど人間を貶めていたか、あらためて痛感しました。偏見や差別に毒されず、公正公平な目を失わない人や、愛が揺るがない人が、少数派だけどいたことは救いになりました。ゲイの男性を愛してしまった女性の苦しみも、また悲痛ですよね~。メルヴィルが同性愛者と知っても、彼を愛することを止められないローラの選んだ道は、悲壮かつ峻厳。脅迫者の正体は、ちょっと意外でした。
 メルヴィル役は、ヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」と「地獄に堕ちた勇者ども」での名演も忘れがたい英国の名優ダーク・ボガード。

 保身と罪悪感にがんじがらめになる男を、デリケートにデスパレートに演じてるダーク・ボガード。ほの暗い男色の悲哀を常にまとっている彼にとって、隠れゲイ役なんて適役過ぎる。実際のボガードは同性愛者だったのか、そうでなかったのか、定かでないミステリアスなところも彼の魅力で、演技に深みや陰影を与えていたように思われます。深く暗い洞のような大きな瞳が美しくも怖いです。エレガントな仕草や英語のアクセントが、まさに英国のエリート紳士って感じで素敵。モノクロで撮影された当時のロンドンも風景も興味深いです。ゲイ映画ですが、男性同士の性愛シーンなどはいっさいなし。リメイクされるなら、切ないラブシーンはマストですね。メルヴィル役はコリン・ファレルかリチャード・マッデンにやってほしいかも(^^♪
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湿地姫

2022-12-04 | 北米映画22~
 「ザリガニの鳴くところ」
 1969年。ノースカロライナ州にある湿地で、金持ちの青年チェイスの死体が発見される。湿地で暮らす若い娘カイヤが容疑者として逮捕されるが…
 ミステリ、サスペンス、というより女性の生きづらさや自由に生きるための闘い、女性の強さと弱さを描いたフェミニズム映画、みたいでした。生き方や価値観がその他大勢と違うと、危険視されたり除け者にされたり排除されたりする社会の偏狭さには、この映画のカイヤほど非道い目に遭ったりはしないものの、私も日々感じています。社会の押し付けてくる常識や通念に従わず、いかなる圧力にも屈しないカイヤの生きざまに感嘆しつつも、自分さえよければいいの?もうちょっと柔軟性や協調性があってもいいのでは?とも思ってしまったが。あんな小さい女の子がジャングルみたいな湿地で独りで生活している、周りがさせている、というほったらかしネグレクト状態にも驚き。

 女性の生きづらさ、女性の苦悩や苦闘の元凶は男!ここがほとんどの女性と私との違いなのですが男なんかと深く関わると、ほんとろくなことにならないですよね~。カイヤは特殊な状況にいるようで実は、ろくでもない男に引っかかってバカを見るという、世間にはごまんといるダメ女なんですよ。気をつけて!うっかり男に心も体も許すとこういうことになる!と、女性にとっては警告のようなカイヤの災難っぷりでした。カイヤと恋愛関係になる若者二人、テイトとチェイスがそれぞれクソ野郎で、ほんと最低最悪なんですよ。男なんかほんとめんどくさい!怖い!と心底思わせる愚かな男女の修羅場でした。殺人事件にまで発展する痴情のもつれとか、ほんと関係ない人たちにとっては迷惑な話。

 カイヤがね~。男好きとまでは言わないけど、イケメンが近づいてくると簡単に受け入れてしまうユルさが、ちょっといかがなものかと。世捨て人のつもりでもナンダカンダで孤高を貫けない、人恋しい孤独が男に付け入るスキを与えてしまった。寂しい、愛されたい、そういう気持ちが強い女性はだめんずホイホイになりやすいんですねこの映画のだめんず、テイトとチェイスはどちらも真剣にカイヤのことを愛してはいたようですが、カイヤへの仕打ちがクズでゲスすぎる。消息を絶って音信不通、自然消滅を狙う男。支配欲が強く激したら暴力、あげくはストーカー化する男。どっちもカイヤを心身ともに痛めつけながらも、愛してるんだよ~!と情けなく執着してくる姿が気持ち悪かった。カイヤの彼らへの優しさ、そしてラストに判明する冷酷さは、一般的な女性の理解を超えたもの。それはやはり、特殊な環境が育んだものなのでしょうか。

 ↑ 映画のプロデューサーは、大物女優リース・ウィザースプーンさん
 カイヤ役のデイジー・エドガー・ジョーンズは、なかなかの美人。アリシア・ヴィキャンデルをしっとりエキゾティックにした感じ?ワイルドライフなのに肌も髪もいつもきれいテイト役のテイラー・ジョン・スミス、チェイス役のハリス・ディキンソンがなかなかイケメン、かつ印象的な熱演・怪演でした。テイラーはいかにもアメリカの明るく健康的で誠実そうな青年って感じの風貌。ちょっとアゴのあたりをゴツくした松下洸平、みたいに見えました。ハリスは顔は薄いけど役は濃ゆい。脱いだらスゴいマッチョな肉体美。

 舞台となる野生の湿地が、この映画の主役と言っていいほど。まるで異世界のようでした。カイヤの自然を活かした自給自足生活も興味深かったです。でも、あんな生活は実際には不可能なはず。いつも小ぎれいでおしゃれなコテージみたいな家とか、怖い動物も気持ち悪い虫も出てこないとか、ありえなさすぎる。そういう現実的なことは排除された、ファンタジーのような世界観もこの映画の特色でしょうか。
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