まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

腐女コク①② ゲイは現実、BLはファンタジー

2019-04-29 | 日本のドラマ(連続)
 NHKの連ドラ「腐女子、うっかりゲイに告る」第1話と2話を観ました~。

☆男同士の密会
 冒頭、いきなりラブホテルで男同士のラブシーン。中年男にキス、愛撫され恍惚となる美少年…なんて、NHKのドラマで見られるとは思わなんだ。ゲイであることを隠して生きる高校生、純役は金子大地くん。去年話題をさらった「おっさんずラブ」に続いてのBLドラマ、そして今回は堂々の主演。

 おっさんずラブで彼が演じたアホイケメン社員マロ、可愛かったな~。アホで人好きのするマロとは真逆で、純は賢く内省的。こっちのほうが金子くんのルックスには合ってるかな。マロの時も思ったけど、彼ほんとキレイな顔してる!まさに白面の美男子。最近わらわら出現してもう誰が誰だか判別できないイケメン飽和状態だけど、“冷たい美貌”は金子くん以外思い当たりません。もう顔だけで一般人役には無理がある。冷酷な貴公子役とかサイコ役とか似合いそう。

 ゲイ役だけど、全然キャマキャマしくないところもいいですね~。女優より美白肌!某事務所タレントや韓流俳優みたいに、メイクばっちり感がないところもスゴいわ~。高校生にしてはさすがに大人っぽいかな。声と喋り方も独特。棒読みにも聞こえるけど、表情とか雰囲気でゲイの繊細さや苦しみをよく表していると思います。

☆BLに女は基本、邪魔
 腐女子であることを隠してる同級生の三浦さん。必死になって秘密にしてるわりには、カフェでにぎやかにBL談義してたり、買いこんだ大量のBLグッズを堂々と持ち歩いて水族館とか行ったり。キャラも、いい子だけど腐女子にしては天真爛漫すぎるような。演じてる女の子は誰?新人?いとうあさこを可愛くしたような顔?農家の娘役とか似合いそうな風貌ですが、モデルみたいな美少女よりもリアリティがあって好感。でも、天然言動でグイグイ男に近づいてくる女って苦手…

☆ゲイセックス
 ラブホテルで愛し合った後、純と彼氏の佐々木が交わす会話が結構セキララ。『初めてなのに簡単に挿入(はい)ってメチャクチャ感じてさ』『純は初めての時は大変だったよね』etc.妻子ある隠れゲイ佐々木役、谷原章介がなかなかのハマリ役。中年男のネチっこいイヤらしさがキモ怖い。丸山智巳とか平山浩行とかに演じてほしかったとは思いつつ、何となく実際にもバイっぽい谷原氏のほうが適役ではあります。

☆勃つ好き、勃たない好き
 ゲイサイトで知り合ったミスターファーレンハイトと純が交わすネット会話が、なかなか哲学的で奥深い。ミスターファーレンハイトの正体も気になるところ。
☆ジュンボーイズ
 純の親友である亮平くんや、クラスメートの男の子たちがみんな見た目が某事務所の下っ端タレント風で萌えんわ~。亮平くんとか、ベッキーのゲス不倫相手を可愛くしたような中性的な子だし。もっと男性的でスポーティな感じの男子も純の傍に配してほしかったかも。ノンケなはずの亮平くんが、そこはかとなく怪しいのが気になる。

☆デートと告白の機をセッティングしてもらう女
 三浦さんや亮平くんたちと遊園地へ行く純。ジェットコースターに乗ってる純の顔と声が可愛い。お化け屋敷で大騒ぎする三浦さん。私はウザいとしか思えなかったけど、ああいうのが男にとっては可愛いのかな。

★総括 
 BLドラマではなく、ゲイドラマ。ゲイの現実をリアルに甘酸っぱく描いていて、思ってたよりシリアスで重い。同性愛をおもしろおかしいネタにするのではなく、今後も同性愛の苦悩や苦難を真摯に優しく描いてほしいです。
 金子大地くんの美しさは、非現実的でほとんどファンタジー。あんなにキレイなゲイなら、悩む必要ないわ!ウジウジ悩まず開き直って、ブイブイ薔薇色のBLを楽しむ大地くんの弾けた演技が見たいものです。

 ぜんぜんタイプじゃないけど(私はライオンズの秋山とかカープの野間みたいな男のほうが好きなので)きれいな顔だな~とは心の底から思う金子大地くん。アミューズ系イケメン俳優は某事務所タレントと同じぐらい苦手なのですが、大地くんは好きです。若き日の織田信長役とかも似合いそう!
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冥界の呪文エロイムエッサム🌠

2019-04-25 | 日本映画
 「魔界転生」
 島原の乱で非業の死を遂げた天草四郎は、悪魔の力によって復活。細川ガラシャや宮本武蔵など、この世に未練を残す死者たちを転生させ、幕府を滅ぼそうと暗躍する。柳生十兵衛はそれを阻止しようとするが、父の宗矩が天草四郎の魔手に落ちたことを知り…
 大好きな映画「柳生一族の陰謀」の続編?同じ深作欣二監督、キャストも柳生一族でお馴染みの顔ぶれで、主役も同じ柳生十兵衛。今回は将軍の座をめぐっての政争ではなく魔物との怪奇戦で、将軍も次の4代将軍家綱に代替わりしていて、柳生一族での衝撃の結末もなかったことになってるみたいだったので、やっぱ続編ではなく別物と見なすのが正解でしょうか。

 柳生一族もなかなかのトンデモ時代劇でしたが、今回はさらに奇想天外で荒唐無稽。天草四郎が有名死人をスカウト?し黄泉がえらせ、徒党を組んで幕府打倒!という設定の着想がぶっとんでてユニーク。オカルトシーンや妖術シーンなどでの特撮が、現在の高度で便利な乱用CGよりも味わい深く、親しみやノスタルジーを感じずにはいられませんでした。内容だけだとお子ちゃま向けかもしれませんが、おっぱいポロンシーン、レイプシーンや濡れ場など子供は観ちゃダメ!な大人向けの場面満載なのが、やはり現在の毒にも薬にもならん無難なポリコレ時代劇、アイドルやタレントの学芸会時代劇との大いなる相違です。70・80年代の邦画は本当に俳優の個性、存在感、演技のインパクトが大きくクオリティも高く、こんなトンデモ時代劇でも一流の出演者たちが濃ゆ~く絡み激突してます。

 天草四郎役は、ジュリーこと沢田研二。ザ・ベストテンとか歌番組で、奇抜なファッション、メイクをしてヒット曲を歌う妖しい歌手、というイメージ通りの役、風貌で妖美な魔人を好演しています。独特の雰囲気と演技には、俳優とはまた違う魅力が。フツーの男の役など絶対にできないジュリーです。ステージでも着られそうな衣装も、ジュリーだから着こなせたと思います。ただの美男俳優、演技が巧いだけの俳優だと、派手なチンドン屋に見えてしまうだけでしょうし。悪役という感じはあまりなく、むしろ庶民を苦しめる非道な幕府をやっつけようと頑張ってるヒーローみたいでした。

 柳生十兵衛は、もちろん千葉真一。TVドラマでも人気を博すなど、当たり役を今回もワイルドにシブくダイナミックに。彼みたいな男♂くさい役者も、今は絶滅しちゃってますよね~。息子のマッケンユーも好きだけど、抱かれるならこの映画の頃のサニー千葉だわ。怪奇ファンタジー映画なので、前回の柳生一族よりも自由で奇抜なアクションを駆使できたようで、いっそうイキイキして見えた千葉さんです。俳優の演技もだけど、演出も今の邦画では考えられないような無茶をしまくってるのも、深作監督らしい魅力的な荒っぽさ。ラストの燃えさかる江戸城での決戦シーンは、実際にセットを燃やして撮影したとか。なのですごい臨場感と迫力です。監督も俳優も、命がけで面白さを追及していたのですね。

 その他のキャストも、みんな激烈で珍奇。楽しそうにやってるのではなく、大真面目にトンデモな役に取り組んでいるところが、今の映画俳優気取りなCM俳優と違う重みと凄みです。柳生十兵衛の父、柳生但馬守宗矩役の若山富三郎の大物オーラが圧巻!柳生一族での萬屋錦之介ほどの怪演ではないものの、若山御大の抑えた狂いっぷりもヤバくて面白かったです。今の若いイケメン俳優なんか絶対できない、殺陣での俊敏で軽快な動きもお見事でした。宮本武蔵役は、これまた希代の名優である緒形拳。彼も鬼気せまる狂人ぶり、でも激シブでカッコいい!若山御大と緒形氏が同じ画面とか、すごい貴重感&重厚感!強姦破戒僧な室田日出男も狂おしくて強烈。いちばん頑張ってる目立つ熱演だったのは、細川ガラシャ役の佳那晃子。美女!そしてエロい!愛怨と愛欲に狂う姿が壮絶でした。惜しみない脱ぎっぷりもあっぱれ。魔物衆がみんな妖怪というよりキ〇ガイなキャラだったのが怖笑でした。

 真田広之が柳生一族の時と似た役で、またまた若々しく躍動。当時まだ20代前半なので、とにかく若くて可愛いです。ピョンピョン飛び跳ねてる動きも、ほんとに忍者みたいです。ジュリーとのキスシーンは、公開当時すごい話題をさらったとか。脚本にはない思いつきの演出だったというのも驚き。他にも成田三樹夫と丹波哲郎がチョイ役ながらも、ただ出てるだけで画面を異様にする怪人っぷりを発揮してます。
 それにしても。天草四郎の魔界転生スカウトが面白かったけど、人選をかなり誤ってましたね~。力を合わせて幕府を倒すはずだったのに、チームワーク無視でみんな好き勝手に暴走しちゃってたし。それを放置して全然まとめようともしない天草四郎も、リーダーの資質に欠いてたような。
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鯉よ蒼天を泳げ!

2019-04-22 | カープ
 21日のカープベイスターズをズムスタで観戦しました~
 開幕から5カード続けて負け越し!呪われてるとしか思えない惨状に、早くお祓いをー!!4連覇なんてもう恥ずかしくて口にもできない!投手はもう誰が投げてもボロボロな完全崩壊、野手も打たんわ信じられないエラーしまくるわ、こ、こんなのカープじゃないー!!暗い海底に沈んで浮かんでこない深海魚となってしまったカープに、春なのに広島県民の心は氷河期のように凍りつき、失望と絶望で日常生活やメンタルに支障が。実際に体調を崩して病院送りになってしまった私です咲かないうちに散ってしまった桜、のぼらない鯉のぼりに、開幕前のワクワク感は雲散霧消。今回の観戦も足が重い…と暗澹としてたら、あれ?Gに逆転勝ちしたのを機に、ベイスターズに2連勝で今季初の勝ち越し!やっとエンジンがかかって上昇気流に乗った?期待と不安を胸に、ズムスタへ向かいました。
 今回は、老父母とダミアンと4人で観戦。ズムスタ前に、老母と人気のパンケーキカフェgramへ。店の前ではもう若い女性やカップルで列が。私の狙いはもちろん、時間と数量限定のプレミアムパンケーキ(^^♪

 ↑ 待ち札、個室の置き物も可愛い
 プレミアムパンケーキは30分待ち!老母が頼んだランチパンケーキが先に運ばれてきました。サーモン&アボガドをのせたパンケーキとサラダ。年寄りにはちょっと量が多い。

 ドレッシング味が沁み込んだ甘くないパンケーキ、味はビミョー。サーモン&アボガドは美味しかったです。30分後に、やって来ましたプレミアムパンケーキ!運ばれてきた三段重ねのパンケーキ、ぷるぷると今にも倒れそう!急げー!倒れるぞー!慌てて携帯を向ける私、倒れそうになるケーキを直す老母。

 倒さずに食べるのは無理!めちゃ食べにくい💦味は…うう~ん?思ってたのとは違ってた。食感は豆腐プリンみたいだった。そんなに甘くなかったのも想定外。決して不味くはなかったけれど、また食べたい!とは残念ながら思いませんでした。ガッカリしたわけではないけど、ちょっと肩すかしな期待外れ…
 閑話休題。市電で広島駅に移動し、ズムスタへ向かいます。ここにきて起死回生の兆しがあらわれたこともあって、ズムスタはすでにすごい熱気!やっと取り戻した明るさと元気を、カープファンからもう奪わないで!この勢いで、また勝利を!グラウンドにも真っ赤に染まった客席にも、夏のような陽射しが照りつけ、選手もファンも真っ黒になってしまうこと必至。日焼けは絶対イヤ!老人を連れてたこともあり、早々と屋根の下の外野自由席レフト側へ。ここ、なかなか穴場なのです♪
 パンケーキでオナカイッパイだったので、いつものスタジアムグルメは今回はなし。チューハイ片手に応援態勢に入りました。先発はジョンソン。彼もボロボロ状態で、いまだ勝ち星なし。高額の契約金をもらった途端にポンコツ化だなんて、これだから外人って!クールで真面目な人柄も、キレッキレの時のスゴさも大好きな選手なので、やる気がないだけとか手抜きとか疑いたくない…それにしても。今年のスタメン発表の映像、遊び心ありすぎ!セイヤの変顔、野間っちのオチャメな動き、可愛い!いちばん笑えて可愛かったのは、意外やジョンソン!あの真面目なジョンソンが、ノリノリでヘンな踊り!

 プレイボール。ベイの先発は国吉。中継ぎの彼が先発にまわり、先発の京山が次を担う、というオープナーという戦略に打って出たラミちゃん監督。2連勝したとはいえ、前回の試合では無残に負け越し、順位も上であるベイなので、今回のゲームが従来のベイ苦手意識を払拭できるかどうかの試金石となります。ラミちゃんの奇策は吉と出るか?カープがそれを打ち砕くのか?

 絶不調に陥り、カープどん底の大戦犯とも見なされていたコースケが、ついに復活!彼が塁に出ると、カープ打線が活気づきます。野間もヒット、そして今やカープの看板、4番のセイヤが早々と大仕事!タイムリーヒットでカープ先制!さすがセイヤ!やってくれそうな期待感、それに応えてくれる頼もしさはハンパない!

 ↑ 野間っちオトコマエ~活躍ってやっぱ、男の見た目もカッコよくするわ~。佐〇健とか菅〇将〇とかより、野間っちのほうがはるかにイケメンに見える私の目って、腐っとるんかのお?
 タイムリーや押し出しフォアボールで、カープが一気に4点を獲得!国吉だけでなく、その後のベイ投手をも粉砕!この日はバティスタが覚醒の大暴れで、タイムリーの他にもホームランもブチかまし、ズムスタはもう歓喜のお祭り騒ぎ(^^♪私もウキウキと双眼鏡でいつもの選手視姦、じゃない、観察を楽しみました野球選手のカラダつきって、ほんとセクシーでカッコいいですよね~。アイドルやイケメン俳優なんか、ほんと貧相な子どもかオカマにしか見えんわ。特にスタイル抜群だったのが、サードを守ってた安部。筋肉でガチガチに堅そうな足とケツがたまりません。野間っちのケツもデカくて堅そうで好き。敵側では、レフトの筒香を間近で見られてラッキー。ツッツはまるでラグビー選手みたいなイカツいガタイ。試合中にストレッチしてたりキョロキョロしてたり、何か落ち着きがないというか緊張感のないツッツでしたが。

 野手は八面六臂の働きでしたが、投手はやっぱかなり心配。ジョンソンも、今回はボロボロに崩れはしなかったけど、どこ投げてんの?!な危ない投球とか、全盛期のようなサクサクと終わらせる痛快なスピード感は全然なくて、次も大丈夫!とは信じがたい内容でしたし。フランスワも登場してすぐにロペスにいきなりホームラン、抑えの中崎にいたっては、勝利目前になってソトに2ラン打たれるとか、おいおいおい~!!でもやっぱりこうなるよな~なトホホさ。胃痛なしではもう見られない中崎です。7点も得点できてたから勝てたけど、これが1点差だったら確実に逆転負けでしたもん。危ない危ない by 福田和子。

 ↑ カープ随一の肉体美を誇るアベちゃん。嫁が羨ましい!
 というわけで、何とかかんとか勝ってベイを3タテ!カープ4連勝!海底の深海魚から、やっと青空へと向かう鯉のぼりになれたようです。ファンへの裏切りのような無様な負け方だけは、もうしないで!今年はしょっぱなから、いくらなんでもな度の過ぎるヤキモキを味わうハメになりましたが、負のウミは早めに出しきったということ!これからは胸踊る捲土重来の快進撃をお願いカープ!

 ↑ 広島では、カープ選手によるユル~いCMがガンガン流れてます。中でも中国電力のカピバラ3兄弟は、ほんわかほのぼのしてて、ほんと可愛いです!それにしても。3兄弟も独身は長男のイマムーだけになりましたね~。イマムーも広島の女子アナかローカルタレントと結婚するんだろうな~…

 ↑ タナキク▼ルに続くカープの看板トリオは、間違いなくこのノマレンジャー(野間っち、セイヤ、リョーマ)!今のところ全員独身、でもめちゃくちゃ遊んでそうなヤンチャ感も3人の魅力♡
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孤老の身

2019-04-18 | フランス、ベルギー映画
 いつの間にか桜も散ってしまいました。来年こそは、願はくは花の下にて春死なん…皆さまは、お花見を楽しまれたことでしょうか。
 お花見は行けなかったけど、慎ましいながら可愛く咲いてくれた庭の花たちが、春らんまんな気分にさせてくれています。

 サイネリアとマツムシソウが、とりわけ可愛くて好き。毎年なぜかチューリップがうまく咲かなくて。毎春の定番、パンジーとキンセンカはそろそろ終わり。次はキンギョソウとツリガネソウが花盛りの時を待っています。こないだ種を播いたナスタチュームと百日草、マリーゴールドも芽を出してくれました。お花さんに話しかけてる私、心療内科で診てもらったほうがいいでしょうか
 
 「ともしび」
 ベルギーの地方都市で、アンナは夫と共に静かに暮らしていたが、ある容疑で夫が収監されてしまう。家政婦の仕事や演劇教室通いなど日常生活を続けるアンナだったが…
 「まぼろし」「さざなみ」に続くシャーロット・ランプリング主演の、たそがれ夫人三部作の完結編?三作とも監督は別人ですが、それぞれフランス、イギリス、イタリアの気鋭のヨーロッパ人監督作。「愛の嵐」のシャーロット・ランプリングは、後に映画監督となる少年たちに強い衝撃を与えたようです。憧れの大女優をヒロインに映画を撮る、というのは映画監督にとっては究極の夢ではないでしょうか。才能ある若き映像作家たちから崇められ求められるランプリングおばさまですが、みんな彼女に対するイメージ、というか演じさせたい役がほぼ同じ、というのが興味深いです。老境にさしかかった女性が直面する苦悩と絶望、そして人生や愛の見つめ直し、というのが3作の共通点です。テーマがテーマなので、明るく楽しい映画にはなりようがなく、とりわけ今回の作品は前2作よりも苦い、イタい内容でした。

 美しく静かに老いることって、やはり奇跡に近いのね…と、アンナのわびしくみじめな姿を見ていて胸がザワつきました。容赦のない肉体の衰えは仕方がないけど、老いても生活と心に平安が訪れないのはキツいわ。その顔は苦渋に満ちているものの、ショックを受けて狼狽えたり、悲嘆に打ち沈むといった感情的な様子はほとんど見せず、かといって淡々となるようになるわな飄々さなども微塵もなく、生きるという苦行に黙々と耐えているみたいなアンナを、無残なまでに痛ましくしていたのは老いていく悲しみでも絶望でもなく、こんなに独りぼっちな人もなかなかいないと暗澹となるほどの孤独だったように思われます。

 夫も息子もいて、仕事もあり演劇教室や水泳にも通うなど、家族や社会ともつながっているのに、ぼっちなプチ引きこもりの私よりも深刻な孤独。夫は投獄され(何の罪なのかは明瞭にされませんが、幼い男児に性的いたずらをした?と推察できます)、一人息子からは冷たく絶縁され(孫の誕生パーティーに呼んでもらえず、玄関先で追い返されるシーンが痛ましかった)、まさに家族は災いの元みたいな不幸。夫も子どももいらん!気楽で幸せな孤独バンザイ!と、心の底から思いました。それにしても…希望も愛もないけど人生を続けていくだろうアンナと私は、死ぬ勇気がないだけの臆病者?それとも、諦めという最強の精神力を備えた賢者?

 ハリウッド映画や邦画なら、孤独な主人公にとって心のよりどころとなる出会いや出来事があったりするけど、そんなありきたりな展開にはならないところがヨーロッパ映画。厳しく冷たい現実の闇の果てに、一筋の希望の光明が見えて終わる、みたいなダルデンヌ兄弟監督の作品ともまた違って、孤独が深まっていくだけの憂鬱さが最後まで拭われないまま。浜辺に打ち上げられたクジラの死骸が、アンナの現在と未来を暗示しているようで、それもまた観る者を暗澹とさせます。多くを説明せず、ドラマティックなシーンも展開もなく、ドキュメンタリーのようにアンナの生活を追ってるだけなので、老いや孤独を実感してない人には退屈な映画かもしれません。ラストの地下鉄シーンには、ちょっとハラハラさせられましたが。

 シャーロット・ランプリングは、この作品でヴェネツィア映画祭女優賞を受賞。顔も体もたるみ、しわが生々しかった。齢70のヌードが衝撃的。脱がせるほうもすごいけど、脱ぐほうもよくやるな~とその女優魂に感嘆。若く見せたい美しく見えたいという虚栄など、とっくに捨てきっています。アンチエイジングに必死なハリウッドや日本の女優にはない、ヨーロッパ女優の凄みに驚嘆。堂々と老いをさらしながらも、老いさらばえた婆さんって感じは全然なくて、コワレたくてもイカレたくても狂気に逃避できない、悲しいまでに失わない理性、理知が鋭く毅然としていました。闊歩する姿なども、ヨボヨボ感ゼロです。
 舞台となったベルギーの地方都市も、パリやロンドンとは違う精彩のないわびしさで、孤独な女にぴったりでした。イタリア出身でアメリカで活動しているアンドレア・パラオロ監督は、なかなかのイケメンみたいです。どうやら彼もゲイ?フランソワ・オゾン監督もアンドリュー・ヘイ監督もゲイだし、シャーロット・ランプリングみたいに天才的なゲイ監督の創作意欲を刺激する女優は、本当に貴重で稀有です。
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もしも彼氏が冤罪で

2019-04-12 | 北米映画 15~21
 「ビール・ストリートの恋人たち」
 幼なじみのティッシュとファニーは深く愛し合い、結婚も間近に控えて幸せの絶頂にいた。しかし突然、ファニーが身に覚えのないレイプ事件の犯人として逮捕されてしまう。妊娠していたティッシュは、獄中のファニーを献身的に支え、彼を救い出そうとするが…
 オスカーを受賞した「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督待望の新作です。ムーンライト同様、シビアで理不尽な社会の中で、傷つき苦悩しながらも愛に生きる若い黒人の物語です。それにしても。レイプ冤罪だなんて、ただでさえ差別に苦しめられているというのに、神さまはどれほど試練を与えれば気がすむのでしょう。ファニーへの濡れ衣も、ちゃんと調べれば無実だとすぐに判明するのに、黒人だからそんなのよくある話、みたいなアメリカって本当に恐ろしい国。あんな非道で悲惨な目に、いつ自分が遭うかわからないと戦々恐々して暮らさねばならない黒人の苦患は、日本人がいくら様々な映画や小説にふれても想像を絶します。

 全編にわたって、悲しみと絶望が澱のように沈殿しているのですが、若い恋人たちの愛が夢のようなムードで描かれてもいます。差別って怖いな~許せないな~というネガティヴな感想よりも、若いっていいな~こんなにも深く強く愛し愛されるなんて素晴らしいな~という賛嘆や羨望を強く感じました。ティッシュとファニーの筒井筒な恋は微笑ましく初々しく、そしてひとつになりたいという想いは切なく情熱的で。ただ並んで歩いてるだけのシーンが多いのですが、すごく満ち足りていて幸せそうで、まさに二人のため世界はあるの~♪なんですよ。交わす言葉も少ないのですが、愛に言葉はあまり重要ではなく、心で通じ合ってる風情が素敵でした。ラブシーンも、若者にしかない官能的な美しさでした。

 ティッシュとファニーのキャラも、若者らしく一途で純真で不器用なところが愛しかったです。ティッシュは可憐で受け身な女の子に見えて、何があってもファニーへの愛を信じ揺るがない挫けない強さが凛々しかったです。ファニーの優しさ繊細さは、愛される女を蕩けさせるほどso sweet!ちょっとダメ男なところも女の母性本能をくすぐります。無職なのに結婚や家探しとか、のんきすぎるのではと思わないでもなかったけど、そんな小さいことは気にしない、幸せな未来しか思い描かないのも若さの特権でしょうか。

 ↑ デートシーンの中では、雨の中を赤い傘さして歩くシーンが特にロマンティックで好き
 ティッシュとファニー、ちょっと恋に酔いすぎたのか、あまりも二人だけの世界でフワフワキラキラしてしまい、自分たちがどんなに厳しく危険な環境にいるのか忘れてしまったせいで、好事魔多しになってしまった。もうちょっとしっかりしてたら、と思いつつ、世故にたけて何でもソツなくこなす若者の話なんてつまんない、スキだらけで愚かなほどにキラキラドリーミーな若者のほうが、見ていて魅せられます。

 悪魔のような白人よりも、善き白人のほうが多く登場していたのが、とても救いになりました。白人だって、みんながみんな黒人を虐げてるわけではないんですよね。心優しい白人の中では特に、新しい部屋の大家さんが善い人でした。どうしてそんなに黒人によくしてくれるのかと訝しむファニーに、愛し合ってる人が好きだからと答える大家さん。うう~ん、いい台詞ですね!ちょっとホロっとなりました。
 黒人側にも腹ただしい連中はいて、ファニーの母親&妹二人の偏狭さと意地の悪さは、差別以上にムカつきます。いくら愛する男と結婚できても、もれなくあんな姑と小姑がついてくるなんて、私なら先が思いやられすぎてゲンナリするわ~。ティッシュのママ&姉が、ティッシュを侮辱する姑&小姑にガツンと喝を入れるシーンが痛快でした。女同士のキャットファイトが深刻ながらも笑えた。ティッシュの愛情深く気風のいいママ役のレジーナ・キングは、この映画でオスカーの助演女優賞を受賞。いい役、好演、だけど、演技的には「女王陛下のお気に入り」のエマ・ストーンとレイチェル・ワイズのほうが、インパクト&クオリティは格段に上です。

 表面は慎ましいけど心は強い、というちょっと古風な日本女性みたいなティッシュを演じたキキ・レインは、パワフルで自己主張が強い黒人女性の中にあって、おとなしやかではかなげなところが返って独特な魅力に。不安そうな表情や瞳が印象的でした。ファニー役のステファン・ジェームズは、カッコカワいいイケメン!優しそうでナイーヴそうなところが役に合ってました。ラブシーンで見せる肉体美も眼福です。でもファニーは別に肉体労働もスポーツもしてない芸術家肌の青年なのに、なぜあんなに肉体美?キキちゃんもちゃんと脱いでましたが、愛し合うシーンで生まれたままの姿になるのは当然。不自然な隠し方をするウソくさいセックスシーンなら、ないほうがいいです。
 善い白人役で、ディエゴ・ルナとデイヴ・フランコがチョイ役ながら爽やかな好演。ムーンライト同様、映像の美しさもこの映画の魅力。どこかアンニュイで冷ややかだったムーンライトに比べると、色彩は華やかになってました。ティッシュら女性たちのファッションが可愛くておしゃれ!今にもミュージカルになるのでは?な音楽の使い方、センスも抜群です。

 ↑ 若手黒人俳優の中では、今後の活躍が最も期待されるステファン。とにかくカッコカワイくて何着てもオシャレに見える!新作は何と!これまた大好きなチャドウィック・ボーズマン主演作“21 Bridges”!二人を同じ画面で見られるなんて、幸せすぎる!日本公開が楽しみ(^^♪
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ブラック・イズ・ニューテンプテーション

2019-04-01 | 映画雑記
 数年前に、候補者は白人だらけで黒人差別だ!と大炎上したアカデミー賞。その後、「ムーンライト」がオスカーを受賞したり、「ブラックパンサー」が大ヒットしたり、ブラックがホワイトを凌駕するトレンドカラーになってきてるハリウッド。才能ある監督たちだけでなく、演技もルックスも抜群な俳優たちも輝きを放っています。90年代に入ってからはデンゼル・ワシントンとウィル・スミスが絶対的な2強でしたが、世代交代も進み若くてイキのいいフレッシュな男たちが台頭、映画界を席捲中です。その中でも、私が特に好きな黒い宝石たちをピックアップ

  チャドウィック・ボーズマン Chadwick Boseman

 1976年アメリカのサウスキャロライナ州アンダーソン生まれ。現在43歳。
 大ヒットした「ブラックパンサー」で、一躍人気スターとなった陛下ことチャドウィックは、私にとって今もっとも好きなブラックアクター。40過ぎとは思えぬほど若々しくて、ちょっと悲しそうだけど可愛らしい顔も好き。チャラチャラした軽薄さがなく、かといって深刻ぶった重苦しさもなく、真面目で誠実で優しそうなところが素敵。サスペンス映画“21 Bridges”が公開待機中で、現在スパイク・リー監督の新作“Da 5 Bloods ”を撮影中とか。楽しみですね(^^♪

  マイケル・B・ジョーダン Michael B. Jordan

 1987年アメリカのカリフォルニア生まれ。現在32歳。
 初主演作「フロートベル駅で」で注目され、ロッキーの新シリーズ「クリード」の主役に抜擢、「ブラックパンサー」では悪役キルモンガーを熱演し、役者としての株はうなぎのぼり。高い演技力のみならず、童顔とセクシーな肉体美も彼の魅力です。

  ダニエル・カルーヤ Daniel Kaluuya

 1989年イギリスのロンドン生まれ。現在30歳。
 大ヒット作「ゲット・アウト」で早くもオスカー候補となり、「ブラックパンサー」では陛下の親友役を好演。イケメンではないけど、日本の30過ぎたチャラいおじさんアイドルより年下とは思えぬ落ち着いた老成感、男らしい力強さがカッコいいです。新作「ロスト・マネー」は、日本では劇場公開(が予定されてた頃は、「妻たちの落とし前」という邦題だった)が見送られ、DVDスルーに。

  デヴィッド・オイェロウォ David Oyelowo

 1976年イギリスのオックスフォード生まれ。現在43歳。
 TVドラマ「スモールアイランド」や、キング牧師を熱演した「グローリー 明日への行進」など、親しみやすさとカリスマを兼ね備えた男の役がハマる役者。演技も風貌も味わいがあって、一度見ると好きにならずにはいられない魅力が。ジャベール警部役を演じてるTV版の「レ・ミゼラブル」の日本放送が待ち遠しい!

  ジョン・デヴィッド・ワシントン John David Washington

 1984年アメリカのロサンゼルス生まれ。現在35歳。
 その名が示す通り、名優デンゼル・ワシントンの息子。役者になる前はプロのアメフト選手だったとか。スパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン」で高く評価され、今後の活躍が期待されるサラブレット俳優です。

  ステファン・ジェームス Stephan James

 1993年カナダのトロント生まれ。現在26歳。
 無実の罪で投獄される青年を演じた「ビール・ストリートの恋人たち」の彼、さすが20代のツヤツヤピチピチ肌!まさにチョコレートみたいで美味しそう!モデルみたいなおしゃれな雰囲気も魅力。ジュリア・ロバーツ主演のAmazonドラマ「ホームカミング」や、チャドウィック・ボーズマン主演の“21 Bridges”など話題作に出演、次世代の人気ブラックスター候補として要チェキな存在!

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