「MONSOON モンスーン」
幼い頃、家族と共に戦火のヴェトナムを逃れイギリスへと亡命したキットは、亡き両親の散骨のため30年ぶりに祖国に戻るが…
佳作「追憶と、踊りながら」のホン・カウ監督の新作。前作同様ゲイの主人公が、失われたものへの喪失感と追憶を通し、新たな自分と人生を見出す物語でした。前作は恋人でしたが、今回の主人公が失ったものは祖国、そしてアイデンティティでしょうか。戦争や政変から逃れるために生まれ育った母国を離れ、外国で生きねばならなくなった人々の苦境や郷愁は、私のような平和ボケした日本人には察するに余りあります。今なお世界のどこかで祖国を去らざるを得ない人々が後を絶たない現実に、ただもう暗澹となるしかありません。
この映画のキットは幼い頃にヴェトナムを出たので、悲痛な記憶も強い望郷の念もなく、祖国に対しての思い入れとか好奇心は薄く、どちらかといえば30過ぎの男女によくある自分って何?これからどうやって生きよう?な、自分探しの旅っぽかったです。出生に秘密があったとか、両親がヴェトナム戦争の暗部に関わっていたとか、事件に巻き込まれるとか、そういったドラマティックな要素は皆無で、何かモヤモヤした気持ちを抱えながらサイゴンやハノイを放浪するキットの自分探しが静かに淡々と、いくぶん緩慢に描かれているため、観る人によっては退屈な映画かもしれません。「追憶と、踊りながら」のほうが、人間ドラマとしてはかなり上質です。
ドラマとしては薄口ですが、旅好きには楽しめる映画かも。ヴェトナムの今、光と影がリアルかつ美しく映し出されていました。冒頭の交通風景、まさにカオス!これでよく事故起きないよな~なメチャクチャっぷり。ミャンマーもワイルドでしたが、ヴェトナムはさらに危険!都市部はかなり近代化されてるとはいえ、人々の生活風景などやはりまだすべての面において発展途上国。街の活気や自然の素朴な美しさ、伝統や風習など、アジアならではの異国情緒で旅心をそそられます。キットとルイスが川沿いのカフェで語らうシーンや、蓮茶を作ってるシーンなど、とてもフォトジェニックでした。ヴェトナムにも行ってみたいな~。
キットはゲイで、ヴェトナムでも現地在住のアメリカ人ルイスや若い男娼などと色っぽい関係を結ぶのですが、ゲイだからって特に困難とか苦悩に直面するわけではなく、性欲処理も恋もノンケと変わりない感じなのが現代的。もうLGBTを特殊なものとして扱ってないのは、喜ばしい反面ちょっと物足りないというのが、正直な私の気持ち。異国で素敵な出会いがあるとか、もうそれだけでも私からしたら映画的。私もキットみたいなイケメンだったら、もっと違った海外旅行にできるんだろうな~でも異国で見知らぬ異人さんとチョメチョメ(死語)とか、恐ろしくて私には無理!
キット役のヘンリー・ゴールディングは、小澤征悦似?オザユキを優しく薄くした感じ?「クレイジーリッチ」や「ジェントルメン」など、最近よく見ますね。実際にもマレーシア人とイギリス人のハーフで、幼い頃に英国に移住し成人して母国に戻ったという彼、見た目はアジア人ですが雰囲気や挙措は完全に西洋人。キット役にぴったりですね。ずっとポロシャツかTシャツ&短パンというカジュアルな恰好をしてるのですが、すごくおしゃれに見えました。一般人ならただの手抜きファッションになるところですが。BLシーンも頑張ってました。決して過激でも煽情的でもなく、それでいて程よくディープで濃厚な男同士の求め合い。BLやるならこれぐらいは、と思える適度さでした。ルイス役の黒人俳優さんもイケメンでした。やっぱBLはイケメンマスト
幼い頃、家族と共に戦火のヴェトナムを逃れイギリスへと亡命したキットは、亡き両親の散骨のため30年ぶりに祖国に戻るが…
佳作「追憶と、踊りながら」のホン・カウ監督の新作。前作同様ゲイの主人公が、失われたものへの喪失感と追憶を通し、新たな自分と人生を見出す物語でした。前作は恋人でしたが、今回の主人公が失ったものは祖国、そしてアイデンティティでしょうか。戦争や政変から逃れるために生まれ育った母国を離れ、外国で生きねばならなくなった人々の苦境や郷愁は、私のような平和ボケした日本人には察するに余りあります。今なお世界のどこかで祖国を去らざるを得ない人々が後を絶たない現実に、ただもう暗澹となるしかありません。
この映画のキットは幼い頃にヴェトナムを出たので、悲痛な記憶も強い望郷の念もなく、祖国に対しての思い入れとか好奇心は薄く、どちらかといえば30過ぎの男女によくある自分って何?これからどうやって生きよう?な、自分探しの旅っぽかったです。出生に秘密があったとか、両親がヴェトナム戦争の暗部に関わっていたとか、事件に巻き込まれるとか、そういったドラマティックな要素は皆無で、何かモヤモヤした気持ちを抱えながらサイゴンやハノイを放浪するキットの自分探しが静かに淡々と、いくぶん緩慢に描かれているため、観る人によっては退屈な映画かもしれません。「追憶と、踊りながら」のほうが、人間ドラマとしてはかなり上質です。
ドラマとしては薄口ですが、旅好きには楽しめる映画かも。ヴェトナムの今、光と影がリアルかつ美しく映し出されていました。冒頭の交通風景、まさにカオス!これでよく事故起きないよな~なメチャクチャっぷり。ミャンマーもワイルドでしたが、ヴェトナムはさらに危険!都市部はかなり近代化されてるとはいえ、人々の生活風景などやはりまだすべての面において発展途上国。街の活気や自然の素朴な美しさ、伝統や風習など、アジアならではの異国情緒で旅心をそそられます。キットとルイスが川沿いのカフェで語らうシーンや、蓮茶を作ってるシーンなど、とてもフォトジェニックでした。ヴェトナムにも行ってみたいな~。
キットはゲイで、ヴェトナムでも現地在住のアメリカ人ルイスや若い男娼などと色っぽい関係を結ぶのですが、ゲイだからって特に困難とか苦悩に直面するわけではなく、性欲処理も恋もノンケと変わりない感じなのが現代的。もうLGBTを特殊なものとして扱ってないのは、喜ばしい反面ちょっと物足りないというのが、正直な私の気持ち。異国で素敵な出会いがあるとか、もうそれだけでも私からしたら映画的。私もキットみたいなイケメンだったら、もっと違った海外旅行にできるんだろうな~でも異国で見知らぬ異人さんとチョメチョメ(死語)とか、恐ろしくて私には無理!
キット役のヘンリー・ゴールディングは、小澤征悦似?オザユキを優しく薄くした感じ?「クレイジーリッチ」や「ジェントルメン」など、最近よく見ますね。実際にもマレーシア人とイギリス人のハーフで、幼い頃に英国に移住し成人して母国に戻ったという彼、見た目はアジア人ですが雰囲気や挙措は完全に西洋人。キット役にぴったりですね。ずっとポロシャツかTシャツ&短パンというカジュアルな恰好をしてるのですが、すごくおしゃれに見えました。一般人ならただの手抜きファッションになるところですが。BLシーンも頑張ってました。決して過激でも煽情的でもなく、それでいて程よくディープで濃厚な男同士の求め合い。BLやるならこれぐらいは、と思える適度さでした。ルイス役の黒人俳優さんもイケメンでした。やっぱBLはイケメンマスト