まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

2020年my cinema lifeを総括する

2020-12-30 | 映画雑記
 皆様、ご機嫌いかがですか?あわただしい年の瀬をお過ごしのことでしょうか?
 今年ももうすぐ終わり…あっという間感が年々強まってるような。でも今年ほど何とか無事に年を越せそう、という安堵感が深い年もありません。去年の今頃は、こんなことになるなんて誰も思ってなかった。来年の今頃は、あんなこともあったね~と静かに振り返ることができるでしょうか。災いよ、早く去れ!
 不安とストレスで気が滅入るばかりな一年でしたが、やはりそういう時に私を救ってくれたのが映画です。不要不急の外出を禁じられながらも、用心しながらコソっと観に行ってしまいました。来年はwithout 罪悪感で映画を観に行きたい。今年は期待のハリウッド大作が軒並み公開延期となり、映画ファンをガッカリさせました。そんな中にあっても、いろんな映画が公開されました。コロナ禍の中、いったいどんな映画を命がけで観に行ったのかしらん?(※は特別上演、あるいは非今年度日本公開作)

 1月 パラサイト 半地下の家族
    フォードVSフェラーリ
 2月 ナイブズ・アウト 名探偵と刀の館の秘密 
    CATS キャッツ
 3月 スキャンダル
    Red
    母との約束、250通の手紙
 6月 マイ・レボリューション ※
    ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
 7月 ジョン・F・ドノヴァンの死と生
    執事の人生 ※
 8月 グレース・オブ・ゴッド 告発の時
 9月 ぐらんぶる
    TENET テネット
    ティップ・トップ ふたりは最高 ※
10月 ポルトガル、夏の終わり
    マティアス&マキシム
11月 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編
    リトル・ジョー
    コリーニ事件
12月 ある画家の数奇な運命
    マーティン・エデン
    ワンダーウーマン1984
    燃ゆる女の肖像

 24本!ひょっとして、このブログ始めて最多ではないか?毎年守られたためしがないマニフェスト、来年は100本映画館で観る!を、今年も一応宣言しておきます(^^♪安心して観にいける世の中になってますやうに!
 僭越ながら、2020年のmy best 映画、男優、女優を発表したいと思います(^^♪
 (DVD鑑賞、ネット配信で観た2020年日本公開作も含む)

🎥 my best 5 movie in 2020

1位 パラサイト 半地下の家族

 アカデミー賞の歴史を変えた大快挙も納得の傑作でした!韓国映画、恐るべし!邦画はますます差をつけられてしまった…

2位 ある画家の数奇な運命

 めくるめく歴史の光と影に惹き込まれました。3時間の長さが苦痛じゃなかったのも稀有な佳作です。

3位 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

 もはや観ないと非国民な社会現象アニメ。流行りに乗れてよかった!日本のアニメってやっぱスゴい!と、ただもう賛嘆。

4位 ワンダーウーマン1984

 数あるアメコミの中でも特に好き。パート2も期待通りの快作でした。

5位 1917 命をかけた伝令

 全編ワンカットという驚異のカメラワーク、映画館で観るべきだった!コリン・ファースやマーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチ、リチャード・マッデンと、チョイ役の顔ぶれが贅沢だったのも驚かされました。

🎥 my best 3 actor in 2020
 
1位 チャドウィック・ボーズマン「ザ・ファイブ・ブラッズ」「マ・レイニーのブラックボトム」

 最高の演技を置き土産に、逝ってしまった陛下。もう逢えない。その悲しみ、喪失感はいつまでも消えません

2位 トム・シリング「ある画家の数奇な運命」

 日本にも彼みたいな演技ができる若手俳優がいればいいのに。脱ぎっぷりは今年随一でした。

3位 リズ・アーメッド「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」

 脇で目立つ好演を続けてきた彼が、ついに主演でスポットライトを浴び、オスカー候補も有力視されるまでに。躍進ハンパない男!

 その他にも、「フォードVSフェラーリ」のマット・デーモンクリスチャン・ベール、「母との約束、250通の手紙」のピエール・ニネ、「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」のキット・ハリントン

 「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」のスワン・アルロー、「マティアス&マキシム」のグザヴィエ・ドラン、「リトル・ジョー」のベン・ウィショー、「コリーニ事件」のヤニス・ニーヴナー、「オールド・ガード」「マーティン・エデン」のルカ・マリネッリ、の印象的な好演、いい男ぶりも忘れ難いです。



🎥 my best 3 actress in 2020
 
1位 イ・ジョンウン 「パラサイト 半地下の家族」

 今年最も強烈なインパクトを残した女優は?と自問したら、真っ先に彼女が思い浮かんだ。あの家政婦、極上の激辛キムチみたいに映画を美味しくしてくれました。

2位 ガル・ガドット 「ワンダーウーマン1984」

 当たり役で再び輝いた彼女、次はクレオパトラを演じるとか。エリザベス・テーラー級の大女優になってほしいですね。

3位 アデル・エネル 「燃ゆる女の肖像」

 まだ若いのに貫禄があり、風格さえ感じます。時代劇でもクールで大胆で男前でした。日本のいい歳したぶりっ子女優たちよ、彼女を見習って!

 その他、「母との約束、250通の手紙」のシャルロット・ゲンズブール、「オールド・ガード」「スキャンダル」のシャーリーズ・セロン、「ポルトガル、夏の終わり」のイザベル・ユペール、「ある画家の数奇な運命」のパウラ・ベーア、「燃ゆる女の肖像」のノエミ・メルラン、が印象に残りました。

 皆様は今年、どんな映画をご覧になったことでしょうか。総括、ぜひお聞かせください(^^♪
 今年最後の更新!皆様、今年もお世話になりました!こんな激ショボサイトに遊びに来てくださり、本当にありがとうございました!来年も楽しく明るく健康的にLet's enjoy cinema life!よいお年を!ちなみに私は、大晦日もお正月も引きこもりぼっち予定です
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女神からのメッセージ!

2020-12-27 | 北米映画 15~21
 「ワンダーウーマン1984」
 神の島から人類を救うために人間界にやってきたダイアナは、第一次世界大戦を終結に導いた後は人間として社会に溶け込み、1984年のワシントンDCでは考古学者として美術館で勤務しながら人類を見守っていた。そんな中、どんな願いもひとつだけかなえる邪悪な石を手に入れたマックスは、世界を大混乱に陥れる。石の力で現代に蘇ったスティーヴとともに、ダイアナはマックスを阻止しようとするが…
 「ワンダーウーマン」から3年、待望のシリーズ第2作目。コロナのせいでハリウッド大作が軒並み公開延期になる中、この新作は無事に陽の目を見ることができ祝着至極。前作がかなりの快作だったので、おのずとパート2への期待も高まりましたが、パート1のほうがよかった!なんて落胆は全然なく、前作同様とっても面白かったです。とにかくワンダーウーマン/ダイアナが魅力的。すごい美女、そしてカッコいいヒロイン!

 パート1では、初めての人間界でカルチャーショック、乙女なリアクションが可愛かったダイアナも、あれから70年近く人間界に溶け込んで生きてきたからか、すっかり世慣れた大人の女、熟女の貫禄さえ備えていていました。それにしても、不老不死で生きるって大変そう、そして寂しそう。時期が来たら生活環境を変えて一から始めなきゃいけないし、親しくなった人間はみんな老いて死んじゃうし。84年では美貌のキャリアウーマンとして、男女から憧れと賞賛の目で見られてるけど独りぼっちなダイアナが切なかったです。でも、孤独な姿も美女だと絵になるんですよね~。カフェでポツンとぼっち飯な姿のカッコよさときたら!

 今回も超人パワーを駆使して戦うダイアナの、華麗でダイナミックな勇姿に惚れ惚れ。美女が大暴れする姿って、ほんと愉快痛快ですね。でも前作と比べると、ワンダーウーマンに変身しないままのシーンが多かったような。平和な80年代では、暴走車から歩行者を救うとか、強盗一味を捕まえるとか、わりとショボい仕事ばかりで笑えた。普段着からいつの間にかワンダーウーマンのコスチュームになってることが多いのだけど、どんな風に着替えてるのか気になった。ラスト近く、黄金の鎧と翼姿で降臨するのだけど、すごい戦いにくそうだったのも気になった。
 男性優位な社会で、理不尽で不公平な扱いを受けながらも強く戦い優しく生きる女性、というフェミニズムもワンダーウーマンが支持されるテーマ。ダイアナは超絶強いだけでなく、すごく優しいんですよね~。人類への献身、無償の愛もだけど、冴えないダメ女バーバラへの優しさも素敵だった。美人のブスへの上から目線な哀れみ、とは全然違う慈愛が美しくて。

 願えば叶う自分勝手な欲望の嵐によって大パニックに陥る世界が、混乱と不安に右往左往し冷静さと思いやりを失いがちなコロナ禍の現在の私たちとカブりました。狂乱の世界に向けたダイアナの涙のメッセージはきっと、他人や社会を責めたり自分さえよければいいと考えてる人々の胸を衝くことでしょう。あっさりすぎるご都合主義な解決の仕方に、ちょっと肩透かしでしたが。ラストクレジットが流れてきても、席を立たたず最後まで観ることをおすすめします。伝説のアマゾネス役でサラっと登場する女優、その起用が何とも小粋です。
 ワンダーウーマン役のガル・ガドットは、ほんまもんの美女。きれい可愛いレベルな女優ばかりな中、そのエキゾティックな美貌は特異な感じさえします。感情のないロボット美人ではなく、熱さと優しさがあるところが素敵です。かなり熟女っぽくなってましたが。不老不死でも100年に10歳は年をとる、みたいな設定なのかしらん?80年代の衣装も、彼女が着ると古い感じはせずむしろファッショナブルに見える。いま着てもきっとイケるはず(ガルが着れば、ですが)。
 まさかの黄泉がえりを遂げたスティーヴ役のクリス・パインは、すっかり顔も体もおっさんになったな~。80年代のダサいファッションショーが笑えた。バーバラ役の人気コメディエンヌ、クリステン・ウィグもダメ女演技は絶妙でしたが、パワーを得て美しくセクシーに変貌…してない!のがトホホでした。チーター?みたいな化け物に変身しちゃったのが笑えた。欲望かなえますパニックを起こすマックス役を、ペドロ・パスカルがハイテンションに熱演。たまに細川俊之に似て見えた。このシリーズ、悪役と脇役のキャスティングがちょっと弱いんですよね~。同じアメコミのマーベル映画は、超大物で固めてるのに。次回作は悪役、脇役に大物起用を期待したいです。
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素敵なクリぼっち

2020-12-25 | 映画雑記
 メリークリスマス!
 聖なる夜、皆様いかがお過ごしでしょうか。わしは今年もクリぼっちです仕事帰り、売れ残りのケーキを買って帰りました。安くなる明日あたりに買えばよかったかな、なんてチラリ後悔。ぼっちな上にセコい、こんな私は不幸な人間でしょうか。ちっとも不幸な実感がないことじたいが、とっても不幸なことなのでしょうか。
 世の中はコロナで戦々恐々なのに、私は休日のんきにフラっと映画を観に行ったりしてます。でも全然、感想が書けないコロナのせいで大作は軒並み公開延期になってるのが残念ですが、来年予定通り公開されそうな作品の中にも、たくさん観たい映画があります。2021年陽春、絶対観に行く!な作品、ピックアップしてみました~。

 南山の部長たち

 イ・ビョンホン主演作。硬派で重厚な政治サスペンス。ビョン吉さんと同世代の日本の俳優たちは、いい年して若ぶってカッコつけてばかりのイタい人、CMレベルな演技しかできない人ばかり!もう長いこと、映画も役者も韓国には完敗状態が悔しい!

 藁にもすがる獣たち

 大金をめぐって、チョン・ドヨンやチョン・ウソンらが血みどろな強欲バトル!エグい暴力描写や、野蛮すぎる外道キャラの面白さといえば、もはや韓国映画のオハコ。日本でもポリコレ映画や漫画映画だけでなく、こういう大人向けの映画作ってほしい。ちなみに映画の原作は日本の犯罪小説だとか。
 
 ミナリ

 「パラサイト」に続いて、また韓国がらみの映画がオスカー候補を有力視されてます。出演者の中では、「藁にもすがる獣たち」にも出てる売れっ子ばばあ女優、ユン・ヨジョンが韓国俳優初のオスカー候補になるかも?!なれば、すごい快挙!

 カポネ

 トム・ハーディが晩年のアル・カポネ役。アメリカでは評価されなかったようですが、トムハは笑えるほど大暴れしてるみたいなので、個人的には楽しみ。ジャック・ロウデンも出てますし!

 どん底作家の人生に幸あれ!

 文豪ディケンズの名作「デヴィッド・コパフィールド」の映画化。主演のデヴ・パテルより、キモい悪役のベン・ウィショーが楽しみ!
 
 キングスマン ファースト・ミッション
 
 大好きなキングスマンシリーズの最新作は、続きではなくキングスマン誕生秘話という設定。タロンもコリンも出ないのか~とガッカリしましたが、主役に抜擢された薄口イケメン、ハリス・ディキンソンも悪くないので、落胆は期待に変わりました!

 21ブリッジ

 チャドウィック・ボーズマン、最後の劇場公開作😢やっと日本公開は嬉しいけど、これが最後かと思うと悲しみも再び…

 皆様が楽しみにされてる作品は何でしょうか。お聞かせ願わしく存じまする。
 世界中の今夜が、幸せに包まれますやうI wish!
 
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無音のニューノーマル

2020-12-16 | 北米映画 15~21
 「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」
 突然耳が聞こえなくなってしまったドラマーのルーベンは、恋人のルーと別れて聴覚障害者施設に入所する。聾唖の人々とのふれあいの中で、戸惑いながらも聞こえない生活に順応してゆくルーベンだったが…
 リズ・アーメッドの演技がオスカー級だと高く評価されてる作品を、ようやく観ることはできました!リズ、評判通り素晴らしかったです!オスカーノミネーション、ありえますよ!ノミネートされてほしい!ほぼ出ずっぱり、どこを切ってもリズ金太郎飴な映画でした。冒頭から激しくドラムを叩くリズの堂の入ったドラマーぶりに驚かされます。風貌がまずインパクトあり。この映画のために肉体改造したというリズの肉体美に瞠目。ちょっとヤバい人スレスレな見た目ですが、やっぱスゴい美男!ルーベンのキャラは静かで繊細で、見た目とはちょっとギャップがあります。恋人への優しさ、想いの深さがso sweetで胸キュン。

 突然の聴覚障害という悲劇に、もっと落ち込んだり自暴自棄になって荒れ狂ってもいい、荒れ狂いそうな風体なのに、静かに現実と向き合おうとする姿が返って痛ましかったです。苦悩や葛藤をオーバーに熱演するのではなく、静けさの中に様々な感情が揺らめいて見えるリズのデリケートな演技。やはり彼は卓越した俳優。リズの最大の武器は、やはりあの大きな美しい瞳ですね。深い湖の水面のように穏やかだったり乱れたりする瞳。印象的なシーンはいくつかありますが、私がも最も好きなのは施設に入るため、実家に戻る彼女と別れるシーン。本当に彼女のことを愛してるんだな~と、無垢な少年のような純真さに胸を打たれました。施設で子どもたちと遊んでるシーンは、微笑ましく心温まります。それにしてもルーベン、手話覚えるの早っ!

 それにしても。突然耳が聞こえなくなるなんて、もし自分がと想像しただけで戦慄。障害とどう向き合うか、折り合うか、について考えさせられました。ニューノーマルが求められているコロナ禍の今、いっそう深刻で重大な課題。失ってしまったもの、二度と取り戻せないものに固執するよりも、つらい現実にも上手にしなやかに適応できたら…と思うけれど、それはあくまで理想。元の自分、元の生活に戻ろうとして、誤った行動をしてしまうルーベンですが、彼のことを責めたり嗤ったりすることはできません。私ならもっと現実を直視せず、取り乱して周囲も自分も傷つけることでしょうし。

 もしも愛する人が障害を負ってしまったら…支える人々の愛情や苦労にはただもう敬意あるのみです。自分のことでイッパイイッパイな私には無理。ろうあ施設のケアや支援の様子も、興味深く描かれていました。キリスト教の施設ながら、そんなに宗教色は濃くなく、ルーベンにも信仰を強いたりしないけど、携帯もPCも外出も禁止とか、規則正しい生活など、生半可な気持ちでは暮らせないストイックさが現実的。でも施設内は明るく温かい雰囲気で、楽しそうに前向きに暮らしている人たちに、障害のせいで不幸、苦悩な暗さは全然なかったのがよかったです。施設長がすごくいい人!

 ルー役のオリヴィア・クックも好演。驚いたのが、ルーがフランス人だったこと、そして彼女のパパ役でマチュー・アマルリックが後半になって登場したこと。パパもいい人だった。でも、ラストのルーベンとルーの選んだ道が切なくてホロ苦くて。ルーベン、どこまで優しい、そして悲しい男なの。彼にニューノーマルな幸せを、と願わずにいられませんでした。

 ↑ こんなインドのマハラジャの第3夫人になりたい!いや、こんな店長のいるインド料理店に行きたい!って、リズはインドではなくパキスタン系ですね
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禁猟区の兄弟!

2020-12-11 | イタリア映画
  「家の主たち」
 大物歌手ミエリの依頼で、彼が病身の妻と暮らす小さな村にやって来るローマのタイル職人コジモとエリア兄弟。閉鎖的な村人たちや、どこか様子がおかしいミエリ夫妻に困惑するコジモとエリアは、やがて起こる恐るべき惨劇のきっかけをつくることに…
 イタリア映画祭2020を、オンラインで楽しんでます(^^♪この作品は、過去に上映された2012年の旧作で、大好きなエリオ・ジェルマーノ主演作です。イタリア映画界も古くから美男・イケメン王国ですが、その中ではエリオこそ最もMYタイプなイタリアンいい男。カッコカワイイ!非現実的な美男子ではなく、かといって一般人に毛が生えた程度のイケメンでもない。スターとしては理想的なルックスなのです。色気もムンムン過ぎず、ちょっと濃い目で程よく甘いカフェラテみたいなフェロモンも、私はちょうどいい。小柄で華奢なところや、陽気で自信たっぷりというイタリア男のイメージにそぐわぬ、ちょっと暗くてシャイな感じも好きです。似てないけど、ちょっと妻夫木聡とカブります。

 何もしなくても女が寄って来るというのは、必ずしも喜ばしいことではない。この作品のエリオ演じるエリアが、まさにそれ。女難のモテ男に忍び寄る不幸、何も悪いことはしてないのに非道い目に遭うエリオが哀れで悲惨でした。エリオがまた、そんな不幸が似合うんですよ。内気だけど女好きではあるところは、やはりイタリア男。女にモテる役、姿も似合うエリオです。あんなイケメン、女がほっておかないですよね。それにしても。真面目で仕事熱心、ダメ男な兄にも辛抱強く優しい、本当に善い男なエリアが、まさかあんなことに。ほんま神も仏もないわ~。

 閉鎖的な村落は、ミステリやホラーでは定番舞台ですが。この映画の村や村人は、そんなに異常ではないんですよね~。おかしな因習とかおどろおどろしい人間関係があったりするわけでもなく、村人もフツーののどかな田舎人って感じです。むしろコジモとエリア兄弟のほうが、要らぬ波風を立てる迷惑な闖入者。誤解やトラブル、小さな齟齬が積み重なり、兄弟と村人たちの関係が険悪になっていくのですが、あんな恐ろしい破局に至るにはあまりにもしょーもない理由すぎる。なのでラストの後味が悪いです。兄弟がもっと村人たちから、理不尽で残酷な仕打ちを受けていてのあのラストなら、きっとスカっとしたブラックなカタルシスを得られたでしょうに。

 とにかくコジモがダメ男すぎて、ほんとイラっとします。すべての元凶は、おっさんのくせにコドモじみた彼の性格と言動。若者相手に大人げなくムキになったり、仕事で大ポカしたり、あんな兄貴に我慢できる優しくできるエリア、天使みたいだった。ラストのコジモの狂気的ぷっつんも、ダメ男の極みです。ダメ男は狂っても死んでもダメ男なままなんでしょうね。コジモ役のヴァレリオ・マスタンドレアは、イタリアでは人気スターだとか。この作品で初めて知りました。フツーの気のいいおじさん風で、特に魅力とかインパクトとかは感じませんでした。

 村人よりもザワつく存在なのが、有名歌手のミエリとその妻。セレブにしては気さくで親切なミエリですが、何か怪しい、何か薄気味悪い、何かズレてるところが笑えて怖かったです。ミエリ役のジャンニ・モランディは、実際にもイタリアでは有名な歌手だとか。脳梗塞の後遺症で肢体不自由、口もきけない妻も何かヤバい空気を出してるのですが、笑っちゃいけないと思いつつつい笑ってしまう表情や動き。ヴァレリア・ブルーニ・テデスキが台詞なしで怪演してます。村があるアペニン山脈の風景も美しく撮られてました。

 ↑エリオ~イケメンなだけでなく、カンヌとベルリンで男優賞を獲得してる実力者でもあるのです🍝🍕
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ある夜の出来心

2020-12-08 | 欧米のドラマ
 2016年のテレビミニシリーズ「ザ・ナイト・オブ」を観ました~。全8話。
 ニューヨークで家族と暮らすパキスタン系アメリカ人の大学生ナズは、夜の街で出会った若い女性アンドレアと一夜を共にするが、目覚めると彼女の惨殺死体を発見し逃走してしまう。逮捕されたナズの弁護を引き受けたストーンは、独自に事件の調査を開始するが…
 シーズン2とか3とか、やたらと長いテレビシリーズは苦手なのですが、8話ぐらいで完結するミニシリーズは好きです。ミニシリーズは長さがコンパクトなだけでなく、ハイクオリティなドラマが多いような気がします。ダラダラと引っ張らずに、ギュっと凝縮した作りになってるからでしょうか。このドラマも、評判通りの質の高さでした。チャラチャラした軽薄なドラマや、毒にも薬にもならないポリコレドラマばかりな日本では絶対に製作できない、ヘヴィでダークな社会派ドラマです。

 複雑で不可解な司法制度と裁判の進め方、不当な扱いを受けるマイノリティの絶望と荒廃、暴力と悪意に満ちた都会の底辺社会、無秩序な刑務所etc.アメリカの闇と病巣が、静かに冷ややかに描かれています。人間や社会そのまんまのような、いつも陰鬱なニューヨークの天気と空は、観てるほうも気が滅入ります。常に用心してないと人生がおびやかされる危険に満ちた街。そんな場所で生きてると、心も荒んだり病んだりしますよ。このドラマに出てくる人々も、みんな暗い鬱屈を抱えていて思いやりが希薄で、諦めや不信感でがんじがらめになってます。特に黒人たちがみんな、見た目もキャラも極悪、凶悪、卑劣。最近の映画やドラマの中の黒人は、いろんな配慮や忖度もあってか、魅力的で高徳な人物が多いのですが、このドラマでは黒人、怖い!と久々に思った。差別偏見につながる!と怒られなかったのでしょうか。

 誰が犯人なのか?よりも、逆境の中での主人公ナズの成長に重点が置かれています。成長といっても悪い形で、というのが怖くて面白かった。ひとの善い、優しく内気なフツーの青年が殺人容疑者になったことで、絶望や怒り、悲しみや不信感にまみれて無垢な心を奪われ、過酷な環境で生き抜くために強靭になる心身の変貌が驚異的でした。ナズを演じてるのは、近年躍進が著しいパキスタン系イギリス人俳優のリズ・アーメッド。エミー賞受賞も納得の素晴らしい演技でした。

 全然オーバーな熱演などしておらず、どちらかといえば台詞も動きも少ない、感情的に激するシーンもほとんどない、とても静かな演技なのですが、哀れな冤罪被害者がしだいに、ん?何かおかしい…うっすら放ち始める怖いヤバい雰囲気。何を考えてるのかわからない、近くにいるのに遠くにいるような表情。とにかく静かにミステリアスなのです。軟弱そうな青年からコワモテ野郎への変貌もインパクト強烈。そして何より、軟硬どっちの時もすごい美男子!大きな美しい瞳!極小顔!やっぱちょっとピエール・ニネに似てると思った。わりと小柄なのも親近感を抱かせる可愛いさ。

 それにしても。ナズって、魔性の男。彼に関わる人々は、ことごとく悲運、不幸に見舞われるんですよ。ナズには悪意や害意など微塵もないのに。明菜のTANGO NOIRじゃないけど、生きてるだけであなた罪な男~♪刑務所のボス囚人も、そういうナズの得体の知れない魔性に魅せられて、彼を寵愛したのでしょうか。人間って、何かのきっかけで別人になってしまう、いや、もともと覚醒してないだけの秘密の本性が誰にでもあるのでしょうか。刑務所でのナズは、ジャック・オディアール監督の「預言者」の主人公を彷彿とさせます。恐ろしいボスがナズだけには優しく親身で、それがちょっと不器用でホロ苦い片想いっぽいところに、腐はかすかなBLを感知します。

 ストーン弁護士役は、コーエン兄弟監督作品の常連だったジョン・タトゥーロ。クセの強いキャラを、ひょうひょうと好演。ストーンの孤独な日常と皮膚病が、悲痛かつ滑稽だった。アンドレアが遺した猫とのエピソードが、なかなか微笑ましかったです。殺人の真犯人よりも、猫がどうなるかが気になって。強さと引き換えに真人間には戻れなくなったナズのこれからの人生はいったい…という重苦しい余韻を残しながらも、猫のおかげでホっとできたラストも秀逸でした。

 ↑ 聴覚障害のドラマーを演じた新作「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」での熱演も高く評価され、オスカー候補も噂されてるリズ・アーメッド。ノミネートされますように!
 
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飛鳥のイケメンクーデター

2020-12-03 | 日本のドラマ(単発)
 2005年のNHKスペシャル時代劇「大化改新」前・後編を観ました~。
 弱小豪族である中臣家の息子・鎌足は、朝廷を牛耳る権力者・蘇我蝦夷の嫡男・入鹿と身分の差を超えた友情で結ばれていた。蝦夷を疎んじる女帝・宝皇女に唆された入鹿は、蝦夷から蘇我家当主の座を奪い、女帝と対立する山背大兄王を討伐しようとする。鎌足は戦をやめるよう入鹿を説得するが…
 懐かしい~。15年も前のドラマなんですね~。飛鳥時代のドラマって珍しい。でも日本人にとっては馴染み深い歴史上の人物や史実が盛沢山なので、もっと製作されてもいいのではないかと思います。いつもいつも戦国時代や幕末のドラマで、いいかげん飽き飽きしてますし。

 大和朝廷内の権力争いや愛憎関係、クーデターは、ドロドロと血なまぐさくドラマティックで、かなり美味しいネタの宝庫なのですが、さすがというかやはりというか、NHKなので老若男女問わず観られる無難なドラマになってたのが、ちょっと物足りませんでした。たまに韓流時代劇を観てるような錯覚に陥ることも。衣装や所作が何となく朝鮮っぽかった。実際、当時の日本は朝鮮の影響を色濃く受けていたみたいですね。「THE TUDORS 背徳の王冠」みたいな、大人向けのエロくて過激でゴージャスな宮廷ドラマ、日本では製作不可能だよな~…

 政争も友情も恋愛も、いい人たちのいい話っぽく描かれていて、韓流時代劇以上のスウィートさ(脚本は今年の大河ドラマも書いてる大御所、池端俊策先生)なのですが、今あらためて観るとこのドラマ、かなりのイケメンパラダイス、BL色も薄くない腐向けのドラマであることに気づかされます。メインキャラ男子にはブサイクはおらず、みんな個性的なイケメンばかり。彼らのやりとりや関係には、友情以上の精神的な愛が感じられる、ていうか、シーンも演技も腐の萌えや妄想を喚起するものが多いんですよ。池端先生ではなく女性脚本家だったら、きっとBL漫画の名作「日出処の天子」を彷彿とさせるドラマになってたのでは。

 主人公の中臣鎌足役は、当時25歳だった岡田准一。今はチビなゴツいおっさんな岡田氏ですが、この頃は当然ですが若い!そして可愛い!某事務所タレントが苦手な私ですが、当時の岡田くんはすごく好きだったんですよね~。端正で彫が深い美男子。アップになるとキレイで見とれてしまう。チビでまだ華奢なところも少年っぽい魅力。日本人っぽくない濃ゆい顔なので、時代劇が似合わないのですが、台詞の発声とか身のこなし、乗馬など、真摯に勉強してる演技であることがわかり、やはり他の某事務所のアイドルタレントとは一線を画してます。若い岡田くんは可愛い美男子で演技も秀逸なのですが、鎌足がいい子すぎてつまんない役なのが惜しい。それにしても、子役並みにチビっ子な岡田くん。共演者がみんな長身なので、よけいチビに見えちゃうのが何だか気の毒だった。

 入鹿役は、当時人気急上昇中だった渡部篤郎。彼も若い&可愛い!長身でスラっとスタイルがいい!たまに、俺って演技うまいだろアピールがウザいこともありますが、いい子ちゃん理想家な鎌足より、ダークサイドに堕ちて汚れていく入鹿のほうが、はるかに面白い、やりがいのある役で、渡部氏も張り切って熱演してました。
 私が最も心惹かれたのは、准一でも篤郎でもなく、中大兄皇子役、当時23歳の小栗旬です。

 私、このドラマで初めてオグリンを知って、同年のNHK大河ドラマ「義経」でファンになったんですよね~。ブレイク前のこの頃のオグリン、めっちゃカッコカワイイです!篤郎同様にスラっとスマートな長身。凛とした佇まい、瞳と声が美しい!今ほどクセが強くなく、まだ爽やかで清々しいオグリンです。この中大兄皇子と義経の梶原景季があまりにも清冽だったので、また時代劇に出てくれないかな~と常々思ってたのですが、何と!再来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主演!北条義時役!大好きな源平時代にオグリンが戻ってくる!とワクワク、よりも脚本家と共演者が超苦手でガッカリ…

 山背大兄王役は、人気舞台俳優で当時ドラマにもよく出てた山口祐一郎。ヤンチャな蘇我日向役は山口馬木也、W山口もいい男たちでした。ベテランでは、ろくでなし親父役でも男の色気と愛嬌たっぷりな蘇我蝦夷役の原田芳雄、高潔なのに何か怖い仲代達也、狡猾な役でも味わい深い大杉連、といった今ではもう見られない名優たちも存在感抜群。当時売り出し中だった木村佳乃が、鎌足と入鹿に愛されるヒロイン役だったのですが、美人だどサバサバしすぎ、現代的すぎ、そして岡田准一よりデカくて違和感しかなく、いてもいなくてもいいような、いや、いないほうがいいような役だった。中大兄皇子の母、宝皇女(皇極女帝)役の高島礼子の妖艶な美しさ、男たちを惑わし手玉にとる魔性の女っぷりは魅惑的でした。せっかくの妖しく神秘的な美女キャラ、入鹿や息子である中大兄皇子にもっと危険に隠微に絡む設定だったら、古代の闇を感じられて面白かっただろうに。
 
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