まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

イケメンロボットの誘惑!

2023-05-19 | 北米映画 15~21
 「Life Like」
 亡父の財産と会社を継いだジェームズは、妻のソフィーと広大な屋敷で暮らし始める。特権階級のライフスタイルを嫌がるソフィーのために、ジェームズはAI開発者の知人から外貌は人間そのものであるロボットのヘンリーを引き取る。有能で忠実、そして魅力的なヘンリーは、家事や雑用を完璧にこなすだけでなく、しだいに若い夫婦の秘められた欲望を刺激し始め…
 最近の映画で定番のネタとなっているAIもの。AIものって秀作も駄作も凡作も、内容や設定は大同小異なのですが、この作品はちょっぴり毛色が違ってました。人間とロボットがセクシュアルな関係になる映画って、あんまり観たことがないような。なので、若い夫婦とロボットが繰り広げる痴話とか性的シーンは、何だか新鮮でもありました。

 静かな忠実さと優しさ、そして美しい肉体で若い夫婦を惑わし欲情させるヘンリーが、フェロモンだだ洩れなセクシーすぎるロボットだったのが笑えました。あんな見た目に作るとか、明らかに性的使用も目的にしてるだろ。掃除洗濯料理に力仕事、車の修理も話し相手も何でもできて、しかも性感マッサージだけでなくセックスまでしてくれるイケメンロボット、まさに理想、ていうか妄想の産物ですね私も大谷翔平ロボットがほしいものですアフター・ヤン」を観た時も思ったけど、いつかはほぼ人間なロボットが売り買いされる世界になるのでしょうか。この映画のように、イケメンor美女のロボットも選べるとなると、モラル的に何だか気持ち悪い不健全な未来になっちゃいそうですね。

 この映画、かなり腐向けでもありました。ソフィーとはキスどまりなんだけど、ジェームズとはエロい行為をするヘンリー。バスルームでの全裸ラブシーンは、なかなか大胆でドキドキ。セックスシーンそのものはない(ヤッたという想定の、いわゆる朝チュン)のですが、若い男ふたりの美しい肉体がもどかしくじりじりと近づき、ついに唇も秘部も…なプロセスが、なかなかソソる演出でした。
 若い夫婦とロボットの性的な三角関係とか、なかなか斬新な設定。でも、期待したようなドロドロした不道徳で禁断な展開には全然ならず、物足りなさもハンパなかったです。ラストに明かされるヘンリーの秘密は、これまたAIものにはかつてなかったような驚き…というより、え?は?そんなんありえんやろ、な失笑もの。大真面目な悲劇の結末が、返って滑稽でした。いくら何でも無理がありすぎる。最後まで気づかなかったジェームズ夫妻、信じられないほどのお人よしなバカです。

 ジェームズ役のドリュー・ヴァン・アッカーが、すごくカッコカワイいイケメン。爽やかで優しそうなアメリカン青年だけど、どこか悲しそうな瞳と風情が母性本能をくすぐる系。ヘンリー役のスティーヴン・ストレートも、なかなかセクシーな男前でした。二人とも驚くほど脱ぎっぷりがよく、必要以上に素っ裸になってました。どちらもすごい肉体美で眼福。二人とも美尻!主な舞台となるジェームズ夫妻の屋敷が、よくあるアメリカの成金のゴージャスで俗悪な豪邸ではなく、どこかイギリスの美しい田舎にある貴族の館みたいで素敵でした。
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100万回抱けばよかった

2023-04-16 | 北米映画 15~21
 カープ、まさかまさかの大逆転勝ち!\(◎o◎)/!今日はさすがに負ける思うたけ、ほんまビツクリよ。
 開幕戦からヤクルトに3タテくらって、始まったばっかなのに今年もダメだこりゃ!モード突入。輝ける3連覇時代は遠い昔の夢まぼろし、昔の弱いカープに戻ってしまったことにも慣れてしまってたので、連日の快進撃はただもう驚喜。
 ホームのズムスタに戻ってから、まさかのヤクルトに3タテ返し!第2戦目、秋山の大逆転ホームランには危うくちびりそうになったわ!

 ライオンズ時代から大好きだった秋山さん、ついにヒーロー覚醒!カッコええのお~抱いて!
 今日は先発の玉ちゃん(玉村)がダメダメ。3タテ返しはやっぱ無理よのお。まあ、ヤクルト相手に勝ち越したし超善戦よ。負けてもええよ、と多くのカープファンは思ったはず。それが、どうよどうよ。大逆転勝利の立役者が、田中浩輔だったのにも驚き。コースケ、ポンコツ呼ばわりしてゴメンね!コースケの復活に感動!Gの最下位転落にほくそ笑み!

 ついに首位に立ったカープ。カープの首位なんて、超久々なのでは。なんだかあの3連覇の頃を彷彿とさせる最近のカープですね。今年は期待してええんかのお?いやいや、過度な期待は禁物ですね。鯉のぼりの季節ジンクスもあるし。でも、あきらめモードは払拭されました!頑張れカープ!🎏

 春のBL映画祭④
 「Steel」
 人気キャスターのダニエルは、生放送中に突然パニックに襲われて以来、自室で引きこもる生活を送るようになる。少年時代に負った心の傷に苦しむダニエルの前に、アレクサンダーという少年が現れ…
 パニック障害…私も時々、軽度のパニックに襲われ不安に陥ることがあります。普段は忘れてるイヤな記憶が突然蘇ってきて、自己嫌悪とか後悔とか不快感とかネガティヴな感情がわっとこみ上げてきて、息苦しくなってしまうのです。若い頃はなかったのに。心療内科で診てもらったほうがいいのでしょうか。この映画のダニエルの症状は、私のそれとは比べものにならないほど深刻で、精神病院に入院措置レベルです。病気とはいえ、あまりにも周囲に迷惑心配かけすぎじゃろ~と、ダニエルの無責任すぎる身勝手な職場放棄や引きこもりにイラっとしました。電話も訪問も無視とか、社会人としてありえない!男の子とBLする時間と余裕があったら、もうちょっと同僚や会社にうまく対応できるのでは、と呆れてしまいました。

 アレクサンダーとの恋でトラウマが癒され勇気づけられ、社会復帰しようとするダニエルの同僚への態度も、信じられないほど自己中心的で厚顔無恥だった。あんなことしでかしといて、すんなり受け入れられて仕事に戻れると思うことじたいが異常な思考回路。プロデューサーやスタッフに甚大な迷惑をかけたというのに、ちょっと責められたり批難されると逆ギレして罵詈雑言とか、かなりヤバい人状態でした。天使?妖精?のように神出鬼没、いつの間に、どうやってダニエルの部屋に?な謎めいたアレクサンダーの正体が明かされ、いかにダニエルがイカレていたかが判明するラストでした。設定が「ジョーンについて」に似てます。ダニエルにしろジョーンにしろ、心の病は放っておいたらいけない、と痛感。

 BLはやはり、顔もカラダもいい若いイケメン同士だと絵になりますね。ダニエル役、アレクサンダー役、どちらも存じ上げない俳優さんたちでしたが、二人ともイケメンで驚くほどの脱ぎっぷりのよさでした。ダニエル役のチャド・コネルは、冷たい悪役が似合いそうな酷薄な顔のイケメン。筋肉質な肉体美を惜しげもなく披露してます。お尻はいいとして、アソコまで見せる必要あったのかな?イケメンのケツは好きだけど、あそこは見たくないアレクサンダー役のデヴィッド・キャメロンは、ベビーフェイスに似合わないマッチョボディ。二人の全裸ラブシーンは、大胆だけど全然エロくなく、ソフトでロマンティックでした。BL映画のセックスシーンは、あれぐらいが理想的。
 
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ギャングの果て

2022-09-29 | 北米映画 15~21
 「カポネ」
 40年代半ばのフロリダ。長い服役を終えて家族と隠棲生活を送るアル・カポネは、進行する認知症により現在と過去、現実と妄想の区別がつかなくなり…
 世界一有名なギャング、アル・カポネがまさかあんな晩年を送っていたなんて。裏社会を牛耳り悪逆の限りを尽くし、魔王のように人々を恐れさせ支配した男が、認知症!になって介護生活、せん妄や徘徊、便失禁!まるで悪行の罰のような悲惨な末路でした。でも、見るも哀れなボケ老人って感じでは全然ない。驚いたことに、この映画のカポネってまだ40代後半!なので悪い意味ですごい元気なんですよ。いっそ寝たきりになってもらったほうが、家族にとっては楽だったはず。

 現実と過去の自分、妄想が混濁,交錯して主人公も観客も惑わす構成は、アンソニー・ホプキンスがオスカーを受賞した「ファーザー」を彷彿とさせます。ファーザーほど脚本にも演出にも凝った複雑さや緻密さはなく、どれが現実か過去か妄想かははっきりしてました。お話よりも、カポネ役のトム・ハーディの怪演が圧巻かつ笑えて楽しかったです。トムハ、いくら何でもやりすぎ!風貌といい演技といい、ほとんどアメコミ映画のヴィランモンスターです。そのままご自身の「ヴェノム」シリーズに出ても違和感ないほどに。

 笑わせようとしてるとしか思えない、トムハの過激で豪快なボケ演技。血走った目、ダミ声のイタリア語でわけのわからないことを喚いて暴れたり、タバコだと騙されてニンジンくわえてたり、都合が悪いことを聞かれると沈黙してウンコもらしたり、大金をどこかに隠してることは覚えてるけど隠し場所は忘れてたり、周囲を困らせ翻弄する因業な痴呆っぷりは、ほとんどコメディ。ラスト、おむつはいたままでマシンガンぶっぱなすシーンは狂笑!

 トンデモなイロモノ役、完全にイケメン隠しをしてるトムハですが、バケモノ顔でもやっぱ男前なトムハがチラホラと見え隠れ。もったいないので、たまには素のイケメンを活かした役も演じてほしいものです。
 FBI捜査官役は、お気にの英国俳優ジャック・ロウデン。彼とトムハの共演も、二人のファンである私には驚喜でした。

 ロウデンくん、やっぱカッコカワいいですね~。優しそうで賢そう。小顔で背がスラ~っと高くて、スーツが似合う。でも、別に彼じゃなくてもいいような役で、出番も少なかったのが残念。共にイギリス人のトムハとロウデンくんが、あえてアメリカ人役というのも不思議なキャスティング。ロウデンくんなんかやっぱすごく英国っぽいので、アメリカ人役には向かないと思った。
 晩年のカポネの住んでたフロリダの邸宅が、すごい豪奢でビツクリ。宮殿のような家、石像が立ち並ぶ広い庭、湖みたいな池にはワニまでいたり。維持費や生活費、どうしてたんだろ。
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ブラック介護の女!

2022-06-26 | 北米映画 15~21
 「パーフェクト・ケア」
 表向きは高齢者を手厚く介護し裁判所の信頼も厚いマーラだが、その正体は高齢者から合法的に全財産を搾取する悪徳法定後見人だった。身寄りのない資産家の老女ジェニファーからすべてを奪うマーラだったが、ジェニファーにはある恐るべき秘密が…
 「ゴーンガール」で激ヤバな悪女を怪演しオスカー候補にもなったロザムンド・パイクが、またまた稀代の悪女に。今度は高齢者を食い物にするブラック後見人役として、よりいっそう悪質かつ激烈に。年よりはただの金づる、人間として見なさない非情さ冷酷さで、そのエゲツない悪辣さはまさに外道、鬼畜。まったく共感も好感も抱けないモノホンのワルなのですが、すごくクールでカッコいいんですよね~。常に威風堂々、毅然としてて何があっても動じず、ブレない信念と野望でもって悪の道を邁進する姿は颯爽としてて。

 マフィアにも一歩も引かず、殺されても死なないとはまさにこれ!な驚異の生命力。度胸と悪知恵で百倍返しをするパイク姐さんの猛者っぷりは、悪女というよりヒーローのカッコよさでした。こんな悪い女ありえんわ~許せんわ~と思いつつ、本音も欲望も押し殺しながら、誰にでもいい顔をして顔色うかがって迎合して生きてる気弱な私からしたら、ヒロインのガッツとタフネス、行動力は自分にないものばかりで憧れてしまいます。

 それにしても。あの肝っ玉、不屈さ、才覚、そして強靭さを、介護詐欺なんかじゃなくてもっといい形で活かせばいいのに、と思った。終盤の逆襲作戦なんか、ほとんどスパイか軍人なみのミッション遂行でしたし。もはや世界屈指の悪女女優なパイク姐さん、性を超越したような見た目とキャラが独特かつ魅力的です。美人なんだけど、オンナオンナしてないシャープさ。長身も、スタイルがいいというよりデカい!って感じ。鮮やかにシンプルなファッションも、おしゃれとかエレガントとかサバサバ系とかとは違うスタイリッシュさ。男受け狙いなど笑止、男の目など歯牙にもかけない、男を蔑み男性社会に牙をむくような、新時代の毒ヒロインなパイク姐さんに拍手喝采です。クズ男ゲス男どもには容赦ないけど、愛する恋人♀には優しく彼女を命がけで守るヒロインは、フツーなら人気男優が演じるような役を女優が、みたいな感じでもありました。

 クールで豪快なヒロインはカッコよかったけど、高齢者を騙して全財産を搾取、逆らう老人には虐待に近い扱いという悪事には、やはり眉をひそめてしまいます。お年寄りにはあまり優しい気持ちになれない冷血人間な私ですが、さすがにヒロインの所業は許しがたい。赤の他人があんなに簡単に後見人になれてしまう法制度、その盲点に戦慄。どこの世界でも、弱者が持つ甘い汁をかぎつけてたかってくる害虫みたいな悪人がいるものですね。私も老後が心配になったけど、よく考えたらお金ないので狙われないですね
 
 ヒロインの前に立ちふさがるマフィアの親分役、ドワーフ名優ピーター・ディンクレイジも強烈な存在感。シブくて哀愁があって、見た目がいいだけの俳優にはない男のコク深さが。ヤバい人だけど悪人って感じではなく、囚われの母を何とか救い出そうとする息子のいじらしさが切なかった。マーラを事故に見せかけて殺すため手間ひまかけるところが、同じ反社でも韓流やくざと違うスマートさでした。仕返しされて、夜の車道に全裸で放置される姿が痛ましかったです。ディンクレイジ氏が最後に敗れて終わりな敵役なわけがなく、マーラと意外な関係になるところも面白かったです。

 マーラの毒牙にかかる老女ジェニファー役は、ウディ・アレン監督作で二度のオスカーに輝いた名女優ダイアン・ウィースト。久々に見たけど、ずいぶんどっしりした感じのおばあちゃんになりましたね~。彼女がただの可哀想な老人役なわけがなく、かなりワケアリな事故物件ならぬ事故人物みたいな食わせ者で、人がよさそうに見えて時おり不穏で不吉なものをギラリと見せるところが、さすが名女優の老練さでした。マフィアの顧問弁護士役のクリス・マッシーナが、胡散臭いダンディな男前でした。
 
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NYヤンキー恋物語

2022-02-20 | 北米映画 15~21
 「ウエスト・サイド・ストーリー」
 ニューヨークのウエストサイド。ポーランド系の非行少年グループであるジェッツと、移民のプエルトリコ系グループのシャークスが対立する中、シャークスのリーダーであるベルナルドの妹マリアは、ダンスパーティーで出会った青年トニーと恋に落ちる。しかしトニーはジェッツの元リーダーであり、それを知ったベルナルドは激怒するが…
 アカデミー賞を受賞した1961年のオリジナル「ウエスト・サイド物語」は、恥ずかしながら未見。でも内容と作中曲はあまりにも有名なので、まったく未知な作品といった感じはしません。そんな名作を、世界一有名なフィルムメーカー、スティーヴン・スピルバーグ監督がリメイク。映画史に残る大ヒット娯楽作を連発し、いろんなジャンルの作品も意欲的に手掛けてきたスピルバーグ監督が、初めてミュージカルに挑んだことも話題に。私、かつてはミュージカルが苦手で、ずっと敬遠していたのですが、最近は好きになってきてます。素晴らしい歌や踊りって、心を高揚させ元気づけてくれますよね~。不穏で不安な時代なので、明るく楽しいミュージカルを観てハッピーな気分になりたい。なのでこの作品を楽しみにしていたのですが、よく考えてみたら全然ハッピーじゃない内容だったんだよな~シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きにした悲恋物語なんですよね~。

 悲恋だけでなく、人種間の対立や社会の分断など、現代でも深刻な問題を描いてる点にも、ハッピーどころか居心地が悪く暗澹とした気分に。移民のプエルトリコ派VS先住のポーランド系の不良グループのいがみ合いやケンカなど、やってることや思考回路は日本のヤンキー漫画やドラマ以下でトホホ。やくざやマフィアの抗争と違い、ヤンキーのケンカとかスケール小さすぎてバカみたい。中・高校生の不良がケンカするのならまだしも、ジェッツもシャークスも、結構大人?中にはおっさんみたいな人もいたし、いい年して何やってんのと呆れるばかりでした。でも最大のトホホだったのは、マリアが恋に落ちるトニーと、それを演じる俳優の魅力のなさに尽きます。
 
 あんな悲劇が起きたのは、トニーがアホだったから。彼がもし賢くて冷静で男気のある青年だったら、あんな事態は防げたはず。若さゆえ、なんて言葉で片付けられないダメ男っぷりにイライラするだけでした。そんなダメ男にZOKKON命になるマリア。何で?!いくらウブな乙女とはいえ、男を見る目がなさすぎるわ。よしんばトニーがダメ男でも、すごい美男子だったらまだ理解できるが、ブサイクではないけどイケメンでもないフツーの兄ちゃんだし。美点は背が高いことぐらい?演じてたアンセル・エルゴート、アメリカでは人気なのでしょうか。ハリウッドにはもっと演技が巧いイケメン、いっぱいいるだろうに。トニーだけでなく、イケメンが不思議なほどいない映画なんですよ。天才的な演出家のスピルバーグ御大ですが、若い俳優選びのセンスだけはないみたいですね。リフのトニーへの友情を逸脱したような執着など、描きようや役者によってはほのかにBLっぽくなれただろうに。まあ、スピルバーグ作品にそんなかぐわしい腐臭を期待するほうが間違ってますねとにかく、惜しいことが多い映画だった。

 と同時に、素晴らしい点も多い映画でもありました。さすがミュージカルの本場アメリカ、踊りのダイナミックさ、歌のエモーショナルさは圧巻、圧倒的で、日本人がチョコマカやってるのとは比較にならない躍動感と力強さ。有名な曲の中でも、“トゥナイト”は映画を知らない人でも聞いたことはあるはずの名曲ですね。私は“マンボ”と“アメリカ”が好きです。セットや映像も凝ってて、50年代のニューヨークなんだけど独創的な異世界にも見えることがあって、スピルバーグ監督の旧作への愛と彼の枯れない才気がブレンドされていた作品でした。男優と違い、女優はチャーミングでした。マリア役のレイチェル・ゼグラーは、ラテン版オリヴィア・ハッセーって感じの風貌。気風のいいアニータ役のアリアナ・デボーズが、今年のオスカー候補になったのもうなずけるほどの輝ける好演。旧作でアニータを演じオスカーを受賞したリタ・モレノが、若者たちの見守る雑貨屋のおばあさん役で出演しているのも話題。ジェッツに入れてもらえない性同一障害?な男装の女性は、この新版のオリジナルキャラ?マリアやアニータの自己主張や自立心の強さど、多様性や女性の権利などに配慮してるのが、60年代ではなく現代の映画だな~と思いました。
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イケメン優等生の秘密!

2022-02-13 | 北米映画 15~21
 「ルース・エドガー」
 アフリカの悲惨な紛争地で生まれ、幼少期にアメリカ人のエドガー夫妻の養子となったルースは、高校では学業にもスポーツにも秀でた優等生として誰からも愛される少年に成長する。教師のハリエットは、ルースが提出したレポートから彼が過激思想の持ち主ではないかと疑う。ルースのロッカーから花火を発見したハリエットは…

 人気者の優等生が隠し持つ、恐るべきもうひとつの顔!なんて、漫画やドラマでよくある設定ですが、ルースはそんな陳腐で判りやすい二重人格的なキャラではないし、そんな言動もしません。もう最初から最後まで、一貫して優しく聡明で頑張り屋さんな、文武両道のパーフェクトボーイ。まさに非の打ち所がないとはルースのこと。周囲からのプレッシャーやアイデンティティーの苦しみを隠してけなげに振る舞ってるルースを、“不幸や逆境を克服して活躍する理想的な黒人”という枠に嵌め込み、そんな黒人を支援してる寛大で志の高い私たち!と自分に酔ってる大人や社会の偽善や欺瞞、道に外れた者を容赦なく攻撃して排斥する偏狭さこそ、今のアメリカ社会を汚染してる毒だと思いました。

 あんなにみんなして気持ち悪いほどルースをチヤホヤしてたのに、レポートと花火で一気に疑心暗鬼になってルースをテロリスト予備軍扱いとか、ほんと大人どもがクソすぎ。こんな連中の期待に応えようと必死に努力、我慢してるルースが哀れ。ルースが性格も頭も悪い男の子だったら、きっと平凡で平穏な日常のままだったんだろうなあ。ルースが実行する養父母や教師への手痛い制裁は、悲しいけどある意味痛快でもありました。それにしても、すごい深謀遠慮!策士すぎるルース、その見事な韜晦ぶりや実行力など、将来は政府の諜報関係の仕事に就けばいいと思いました。怖い子ではあるけど、悪意や邪気などは全然なく、とにかく自分を窒息させるような愛情や理想、正義の鬱陶しい押しつけを止めてほしかったのでしょう。自分の計画通りになっても、ちょっとも嬉しそうでも満足そうでもなく、大人たち以上に悲しそうなルースが痛ましく愛おしかったです。

 注目の若手黒人俳優、ケルヴィン・ハリソン・ジュニアがルース役を魅力的に好演。「シカゴ7裁判」で小さな役だけどそのイケメンぶりにビビビ!とMYイケメンレーダーが反応。この作品でもとにかくイケメン!ほとんど同じ顔に見える黒人俳優ですが、彼らとは明らかに顔面偏差値が違う驚異的な美男やイケメンもいる。ケルヴィンは若い頃のデンゼル・ワシントンを明るく可愛くした感じのイケメン。爽やかで健やかな学園王子さまぶりに、こんな彼氏ほしい~!と見ていて心がJK化しました二面性をヘンに怪しげに出さず、ふっと翳る表情や悲しそうな瞳でルースの内面の複雑さを表していたのが出色。

 若いので、黒い肌がピチピチツヤツヤ、チョコレートみたいで美味しそうなんですよ。着替えやガールフレンドとのエッチシーンで脱いでますが、裸はまだ少年っぽくほっそりしてるのでセクシーではありません。数年後にはマッチョ化してアクション映画でも活躍しそう。故チャドウィック・ボーズマンの後継者になってほしい。若手黒人俳優も今は群雄割拠ですが、ケルヴィンはそのうち頭ひとつ抜けて、将来は黒人スターの頂点に立つ可能性大です。

 エドガー夫妻役は、ナオミ・ワッツとティム・ロス。ナオミさんは熟女とかおばさんって感じではなく、地味だけどきれいで知的な素敵女性な風貌に好感。動揺と葛藤の演技が繊細でした。ティム・ロスおじさんとの夫婦の営みシーンで大胆脱ぎ。頑張るな~。ティム・ロスも、いい人だけど偽善の見本みたいな役を好演。ハリエット役のオクタヴィア・スペンサーが、なかなか強烈でした。いい人な役しか見たことなかったので、ダメな黒人少年は黒人社会のためにならない、ダメな女子は女性の地位向上を妨げる、という独善と偏狭さで生徒たちを陥れる女教師な彼女が、どこかサイコちっくで怖くて新鮮でした。ハリエットとルースの対立も、黒人同士とはいえ決して一枚岩ではないんだな~と、その複雑さにアメリカ社会の暗部を覗き込んだ思いでした。

 ↑ ミュージカル映画「シラノ」近日日本公開!期待の黒人イケメン、ケルヴィン・ハリソン・Jrくん。チャドウィック・ボーズマンの穴を埋めてくれそうな活躍をI wish!

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セシルの自滅

2022-02-08 | 北米映画 15~21
 「セバーグ」
 60年代後半。女優のジーン・セバーグは、公民権運動に共感し各種団体に寄付をしていた。その中には急進派のブラックパンサー党も含まれており、FBIはジーンを危険人物を見なす。黒人活動家のハキーム・ジャマルと不倫関係となったジーンは、FBIによる度の過ぎた監視や盗聴によりノイローゼ状態に陥り…
 「悲しみよこんにちは」や「勝手にしやがれ」などで日本でも人気女優となったジーン・セバーグが、FBIに危険人物視されて盗撮盗聴中傷されて精神ぶっこわされちゃう話。セバーグが若くして謎の死を遂げたことは知ってましたが、あんな目に遭ってたとは驚き桃ノ木です。公民権運動やベトナム戦争で騒然としてた当時のアメリカ、ずいぶんとカオスな時代だったようですが、FBIによる政府にとって都合の悪い、ウザい連中にダメージを与えるため、彼らの私生活を暴いたりスキャンダルを捏造したりする、いわゆるコインテルプロみたいな卑劣で非道なことがまかり通ってたなんて。現代では考えられない、のかな?私たちが知らないだけで、実際には隠密に行われてるのかも。中国とかやってそう。日本でも、元気そうだった人気俳優や女優が急死して驚かされることがよくありますが、もしかしたら…?なんて、うがちすぎでしょうか?

 FBIによるイヤガラセでノイローゼとなるジーンが痛ましかったけど、あまり同情できなかったのはなぜ?少々のことではコワレない、何があろうと屈しない!貫く!な信念のヒロインを見慣れてるからでしょうか。今の女優だったら攻撃されたら神経衰弱になるどころか、ますます奮い立って戦うでしょうから、あまりにも心が弱いジーンが情けなく思えた。責められたり非難されたりするのは百も承知だったはずなのに、覚悟がなさすぎ。見た目は華やかな蝶だけど、中身は小心なイモ虫、みたいなジーンでした。自由で奔放な女になるには、やはり強靭な精神が必要です。苦しみも悲しみも全部自分のことだけで、夫や子ども、不倫相手の家族、映画関係者といった周囲の人たちに迷惑、心配かけまくるのにもイラっとしました。自滅してしまったジーンに比べ、当時やはり政治運動をしていたジェーン・フォンダとか、ほんと強い女性だったんですね。女優としても中途半端に終わったジーンと違い、ジェーンは70年代を牽引する大女優になったし。

 ジーン役は、最新作「スペンサー」でダイアナ妃を演じて絶賛されたクリステン・スチュワート。「トワイライト」シリーズで人気女優になった彼女、ちょっと苦手だったのですが、この映画の彼女は魅力的でした。精神的に追い詰められていくニューロティックな大熱演。実際のジーンには似てないけど、有名なセシルカットも可愛いのではなくスタイリッシュなボーイッシュさで、風貌があまり女オンナしてない、ちょっと中性的な感じがカッコよく見えました。スタイル抜群で、ミニスカートやホットパンツなど見とれてしまうような長い美しい足なのですが、それもセクシーではなくカッコイイ感じ。ラブシーンや入浴シーンなどでヌードも披露してるけど、全然いやらしさはないです。彼女の60年代セレブファッションがおしゃれ。それにしても。ファッションだけでなくパリやロスの邸宅など、すごいセレブ生活でしたが、大ヒット作に恵まれたわけでもなく大スターでもなかった彼女があれなら、当時のトップスターはいったい?と想像し、映画スターの稼ぎっぷりにあたらめて畏怖。

 ジーンに同情するFBI捜査官ジャック役は、英国俳優のジャック・オコンネル。彼ももう30代半ばだと思うけど、童顔で小柄なので若く見える。男らしくて素朴な少年っぽさが可愛い。少年っぽいので妻帯者役が何か似合いません。彼の上司役で、ヴィンス・ヴォーンも出演してます。一見しただけで何かもうヤバい人っぽいヴィンス、反抗期の娘に対する厳しい態度が怖かった。

 ジーンの夫は、ピエール・ニネが「母との約束」で演じたフランスの高名な作家、ロマン・ガリだったんですね!ガリ役は、その「母との約束」でママン役だったシャルロット・ゲンズブールの夫イヴァン・アタル。久々に見たイヴァン、すっかり枯れたシブい熟年になってました。ジーンと不倫関係になるハキール・ジャマル役は、「アベンジャーズ」シリーズのファルコン役でおなじみのアンソニー・マッキーでした。過激な政治運動団体ブラックパンサー党は、「シカゴ7裁判」にも出てきましたね。
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華麗なる鬼嫁!

2022-01-30 | 北米映画 15~21
 「ハウス・オブ・グッチ」
 トラック会社社長の娘パトリツィアは、弁護士志望の青年マウリツィオと恋に落ち結婚する。マウリツィオは世界的ブランド、グッチの創立一族の御曹司で、会社の経営権は父のロドルフォとその兄アルドが握っていた。パトリツィアはしだいに、グッチを自分たち夫婦のものにしようという野心を抱くようになるが…
 今年初の映画館鑑賞作(^^♪
 王室や財閥一族のお家騒動もの、大好きです。庶民のセコいミミっちいイザコザやゴタゴタと違い、巨万の富と強大な権力をめぐる争いは、ドラマティックでエンターテインメント!血生臭ささえ華やかになります。日本でも、セレブやエリートの隠された醜い実態をのぞいて暴く「家政婦は見た!」が人気でしたが、この映画も観客が市原悦子になって楽しめる内容になってます。ブランド一族のお家騒動といえば、ひと昔前にワイドショーを沸かせた君島ファミリーが思い出されます。君島家の人たち、今どうしてるのかしらん?君島家と違いグッチ家のほうは、世界的な人気と知名度なので騒動も桁違いのスケールとド派手さ。俗悪だけどヨーロッパを舞台にしてるおかげか、まるで時代劇の貴族のような優雅で華麗な生活やファッション、邸宅などが目に楽しいです。

 あまりにも庶民とは乖離した世界を描いてるので、現実逃避にはぴったりな映画です。でも、グッチの製品は買いたくなくなります(買えないけど)。お客の使った金で贅沢三昧なグッチ家を見ていて、ちょっとだけK室夫妻のことを思い出しました。税金を納めるのが口惜しくなるのと近しい気持ち。もちろん、グッチ家の人たちは働いて稼いでるので、K室夫妻よりはマシですが。

 ゴージャスになった家政婦は見た!なこの映画、かなりコミカルタッチだったのが想定外でした。パトリツィアをはじめ主要人物がみんなキャラ立ちし過ぎていて、ほとんどギャクな人たちなんですよ。序盤の、マウリツィオにロックオンして猛アタックするパトリツィア、二人のやりとりはほとんどラブコメだったし。マウリツィオの伯父アルドとその息子パオロなど、見た目も言動も凝ったコントです。特にパオロ、滑稽すぎて可哀想になるほど。とんだピエロで、ご本人はきっと草葉の陰で泣いてますよ。

 パトリツィアは、悪女というより鬼嫁?グッチ家を乗っ取ろうとか支配しようとか、そんな邪悪で強欲な女ではなく、とにかく夫に天下をとらせたい!自分を認めさせたい!と猪突猛進する、バイタリティあふれる頑張り屋さんって感じでした。ある意味けなげなんですけど、あんまり有能ではなく激情的すぎて乱暴なのが致命的でした。彼女がもし冷静に狡猾に陰謀や策謀をめぐらすクールな悪女だったら、グッチ家は崩壊しなかったでしょうし。冷酷で悪賢い美貌の女狐なんて、レディー・ガガにそぐわないヒロイン。愚かなほどに気性が激しく自分に正直なモーレツ女は、ユニークな風貌と強烈な個性の持ち主であるガガに合ってました。女優として高く評価された「アリー スター誕生」より、こっちのガガのほうがチャーミングで女優としての資質や魅力を感じました。

 顔も体も迫力ありますよね~。ガガって元々イタリア系なのかな?ムチムチした上半身、デカいケツなどまさにイタリア女。誰にどう思われようと自分の意思を貫くヒロイン像も、ぶっとびアーティストであるガガとカブります。グッチの衣装をとっかえひっかえな彼女のファッションも目に楽しいのですが、泉ピン子のシャネルと同じであまり趣味がいいとは言えない下品さが、これまた愉快ではあります。終盤のガガは、衣装といい見た目と言い言動といい、大阪の派手なおばはんみたいでした。
 パトリツィアの夫であるグッチ家の御曹司マウリツィオ役は、「最後の決闘裁判」に続いてのリドリー・スコット監督作出演となったアダム・ドライバー。

 ぬおおお~っとした巨体なので、一緒だと小柄なガガが子どもに見える!おっとり気の優しいお坊ちゃんな言動が可愛かった。アダムなのでもっと得体の知れない感じも出せたはずですが、そういうのは極力抑えてた感じだった。あまり個性を炸裂させず、苦労知らず苦労嫌いのお坊ちゃんの凡庸さを巧く出していたのでは。パトリツィアやマウリツィオを見ていて思ったけど、バカと凡人は金と権力をもつべきではありませんね。ろくなことにならん。アダムにはいつか、ロス疑惑の三浦和義役を演じてほしいです。
 大物オスカー俳優を配した脇役の豪華さも話題に。マウリツィオの父アドルフォ役のジェレミー・アイアンズが、優雅な美老人!慇懃で底意地が悪いところなど、イギリスの貴族みたいでした。アドルフォの兄でマウリツィオの伯父アルド役のアル・パチーノは、まるでゴッドファーザーのセルフパロディみたいなマフィアの親分風で笑えた。そのバカ息子パオロ役のジャレッド・レトは、原型とどめてないじゃん!誰?!な化けっぷりで、大仰なアホ演技といいちょっとやりすぎ感が否めないけど、目立つことにかけてはガガ以上でした。

 目立ってたといえば、ちょこちょこ出てくる弁護士のドメニコ。なかなかの男前だし、敵か味方かわからない、うっすら怪しげなところが妙に気なって仕方なかった。案の定、お家騒動に乗じて下剋上するドメニコですが、乗っ取ったって感じはしなかったな~。あれは仕方ないというか、グッチ家の連中がバカすぎて、俺がやんなきゃみたいな流れだったような。私ブランドに無知なので、グッチの新人デザイナーとして若きトム・フォードが登場した時には驚きました。無名のトム・フォードを起用するよう、さりげなくも熱心にマウリツィオにプッシュするドメニコ。抜擢されたトム・フォードと目くばせし優しく微笑む様子など、ちょっとMY BLセンサーが感知。この二人、恋人同士だったの?ドメニコ役のジャック・ヒューストンは、巨匠ジョン・ヒューストン監督のお孫さんだとか。本物のトム・フォードのこの映画を観た感想が、なかなか手厳しく皮肉で笑えました。
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トムハに寄生したい♡

2021-12-19 | 北米映画 15~21
 「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」
 地球外生命体ヴェノムに寄生されたエディは、食人衝動が抑えられないヴェノムとの共同生活に四苦八苦していた。そんな中、収監中の連続殺人鬼キャサディから指名を受け、彼の独占インタビューをする機会を得たエディだったが…
 「ヴェノム」待望の続編!でも、前回どんな話だったかキレイさっぱり忘れてしまってた💦トム・ハーディとリズ・アーメッドが(今となると豪華な競演!)カッコよかったぐらいしか覚えてない💦ヴェノムがどこから来てどんな経緯でエディに寄生するようになったかとか、殺人鬼のキャサディがエディとどういう関わりがあったのかとか、忘れ果ててたのでちょっとついていけなくなることもありました。

 観る前に前作のおさらいをしておくべきだった、けど、まあぶっちゃけ内容はそんなに重要じゃないんですよね~。アメコミ映画なので、そんなことは気にしなくていいんです!アメコミ映画に中途半端な人間ドラマとか要らんし!アメコミ映画が大好きな理由のひとつは、難しいことはいっさいなくてただもう面白いだけ、という点。アメコミ映画の中でも、ヴェノムは屈指の内容のなさ。この続編、第1作よりもさらに内容がなくて、ただもうヴェノムとカーネイジがプロレスみたいに大乱闘してるだけ。ラストの教会でのバトルが最大かつ唯一の見どころとなっています。迫力だけでなく、手間と金がかかってそうで細部まで凝っているVEXも、相変わらず驚異です。これだけはハリウッド映画でしか味わえないマジカルさ。

 設定も展開も、愉快痛快に強引で雑です。アメコミ映画はだいたいがコメディ調なのですが、ヴェノムはとりわけお笑い濃度が高いです。ヴェノムとエディのやりとりが豪快な漫才みたいで笑えます。前回よりもさらにおバカ化、そしてかなり人間っぽくもなってたヴェノム。大暴れしつつも、人間界のルールを守ろうと努力もする素直さや、エディとケンカしてスネたり寂しがったり、エディ大好きなところが可愛かったです。まぎれこんだ仮装パーティ中のクラブで、コスプレイヤーと思われて人気者になりご機嫌なヴェノムも微笑ましかったです。

 エディ役のトム・ハーディ、相変わらずゴツカワ(ごつくて可愛い)!さすがにちょっと老けたかな?と、アップになると思ってしまいましたが、可愛いおじさん化してます。イカレた役が多いトムハですが、このシリーズではオロオロジタバタしてる受け身な役なのが新鮮。見た目とギャップのあるちょっとヘタレな言動も可愛いくて。こぎたない一歩手前なラフな服装にも好感。車ではなくオートバイかっとばすのが、ワイルドでカッコよかった。すごいガニ股でののしのし歩きも、男っぽくて素敵。トムハは今回、脚本にも携わっていて、おバカさが荒っぽくなってたのはトムハのアイデアなのかな、とも。

 カーネイジに変身する死刑囚キャサディ役は、怪優ウディ・ハレルソン。ほとんど忘れてた前作ですが、ウディがちょっと出てたのは覚えてました。気持ち悪いけどどこか憎めない陽気なサイコパスを、楽しそうに演じてました。キャサディの恋人で超音波?攻撃をするフランシス役は、007のマネーペニー役でおなじみのナオミ・ハリス。フランシスが謎すぎるキャラ。彼女、何者?人間じゃない?あの超音波はいったい?高音が苦手なヴェノムとカーネイジに、うるせえ!とウザがられるのが笑えた。

 ラストに、あの人物が怪物化する兆しを見せたけど、次回の敵キャラになるのかな?さらに、もうすぐ新作が日本でも公開される某アメコミヒーローがチラっと登場。いずれヴェノムと共闘するのかな?アメコミ映画、マイティ・ソーやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの最新作もたのしみ(^^♪

 ↑ 嫁や美人女優よりも、犬と一緒の時のほうが嬉しそうで幸せそうなトムハが可愛い
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夫の留守中に…

2021-10-31 | 北米映画 15~21
 「最後の決闘裁判」
 14世紀末のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュは、留守中に妻のマルグリットが友人のジャック・ル・グリに強姦されたことを知り、ル・グリを厳罰に処すよう国王に訴えるが…
 大好きなマット・デーモンが、オスカー候補にもなったヒット作「オデッセイ」に続いてリドリー・スコット監督の作品に主演。共演者は旬の人気俳優アダム・ドライバーと、マットの大親友ベン・アフレック。ベンとは懐かしの「グッド・ウィル・ハンティング」以来の共同脚本も担当、しかもフランスを舞台にした時代劇!ということで、とても楽しみにしていました。時代劇といっても、もちろんマットとスコット監督なので、美しく格調高いコスチュームプレイになるはずがなく、スコット監督の「グラディエーター」同様に骨太で男くさい血なまぐさい内容と映像で成り立っていました。目を背けたくなる戦争シーンの荒々しさ野蛮さ。ラストのマットVSアダムの決闘シーンは、まさに血肉が裂け骨が砕ける残虐さで、しかも延々と続くので、よほどのドSドMでないかぎりもうヤメテー!と叫びたくなります。気の弱い人はご用心!

 ひとつの真実が3人の目を通して描かれる、というユニークな構成になっています。3人とも虚偽はしていないのですが、愛憎や虚栄心、プライドなど人間の俗な業が絡み合って、見事なまでに言い分や主張が食い違うのが面白くも怖かったです。正しいのは自分!という頑強で頑迷な自信や思い込みと、自分にとって都合のいい解釈が真実の形を変えてしまう事態は、現代社会の身近な生活の中でもよくあること。男にとっては情熱的な恋、合意のセックスだけど、女からしたら忌まわしいストーカーとレイプ。夫は家族のために粉骨砕身働いてるつもり。妻にしてみればそれは仕事優先で家庭をかえりみてないだけ。夫は子づくりに励み妻も抱かれて悦んでると信じてるけど、妻にとっては夫がやってるのはただもう苦痛な受胎目的の交尾。いずれにせよ、悪意は全然ないけどデリカシーのかけらもない、女性の心身や社会的立場を尊重しない男たちがおぞましかったです。ヒロインが味わった理不尽な苦痛や屈辱は、現代女性にも通じる女性差別、女性蔑視そのもの。女子向けの映画ではないかもしれないけど、若い女性にもぜひ観てもらって、あらためて女性の権利や自由について考えてみてもらいたいです。

 ジャン役のマット・デーモン、ほんま好きフランス人に見えない、時代劇が似合わない、けど顔がいいだけスタイルがいいだけな俳優には絶対に演じられない役を熱演し、今までにないほど圧倒してくれました。ジャン自身の語りの中では、無骨で不器用だけど誇り高いサムライのような漢(おとこ)、マルグリットの語りでは横暴で無神経で見栄っ張り男。いいマット、悪いマット両方を楽しめました。悪いマットはなかなか強烈で、ほとんど精神的DVな亭主関白ぶりが怖い。もし見たら、うちの旦那とカブる…とゾっとする奥さまがた多いかも。どこからどう見てもいい人なマットが、フェミニストが見たら憤激するに違いないクソ亭主役を演じてるところが衝撃的、かつ新鮮でした。

 ほんと非道いクソ亭主っぷりでしたが、素朴で明るく爽やか、温かみのある風貌のマットなので、陰険陰湿な感じは全然しません。何だか笑えたのは、子づくりシーン。愛も快楽もない、一心不乱に激しく腰を動かし続ける、ただの種付け行為に励むマットが滑稽で可愛かったです。あとマットって、ほんと若々しい!50過ぎに見えん。肌がつやつやとかメタボじゃないからといった類の若さではなく、雰囲気に加齢臭がないというか。剛健なゴリゴリしさも、パワーにあふれていて衰え知らず。カッコいいだけの役や見た目の若さに固執しない、役者魂もナチュラルなマットが好きです。
 ジャック・ル・グリ役のアダム・ドライバーも、売れっ子スターになっても守りに入らないチャレンジングな役者!

 この作品のアダム、今まででいちばんイケメンに見えました。女たちから熱い視線を向けられる美男子役もなかなか板についてました。ぬおお~っとデカい威圧感ある巨体、鋭い厳しい目つきが怖いです。マッチョな肉体美も披露。レイプシーンでの迫真の鬼畜っぷりもホラーでした。無残すぎる最期の姿もインパクト強烈です。悪人ではないけど、複雑な人格と深い闇を抱えている難しい役。演技派ぶってる日本の俳優にも挑戦してほしいものです。ジェイソン・ボーンVSカイロ・レンのガチンコ肉弾戦が、壮絶でないわけがない!マットもアダムもデカくてゴツくて屈強そうなので、決闘には迫力が。日本の某事務所タレントがアクションしたりチャンバラしてるのとは大違いなダイナミックさと生々しさです。
 マルグリット役のジョディ・カマーは、初めて知ったのですがTVで有名な女優さん?地味な美人。なかなかの熱演で、マットやアダムといった大物スターを脇役にしているみたいな存在感でした。マットと久々に共演したベン・アフレックが、イケズで軽薄な貴族役を好演。私生活では仲良しのマットを、愚弄したり陥れたりするベンが楽しそうでした。主役だと苦手だけど、脇役だといい味を出すベンです。マルグリットの父役が、リンリー警部ことナサニエル・パーカーだった!

 ↑ マットの新作「スティルウォーター」近日日本公開決定(^^♪

 ↑ アダムは「ハウス・オブ・グッチ」でリドリー・スコット監督作に連続出演。監督のお気に入りになったようです
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