まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

禁断♡ブラザーインセスト

2020-08-16 | 南米映画
 残暑お見舞い申し上げます!
 お盆ですね。お墓参りに行きました。来年はきっと私、この中に入ってる…そう思いながらもう何年もお参りしています。
 夕方でも猛暑。小高い墓場から臨むK市の港には、戦艦大和の勇姿が。夏の終わりの幻?それとも暑さで蒸れた脳みそのせい?

 皆さま、まだまだ暑さもコロナも続きますが、何とか乗り越えて秋を迎えましょう!

 「Do Começo ao Fim」
 医師のジュリエッタは、先夫との長男フランチェスコと、再婚相手との間にもうけた次男トマシュが親密すぎることを心配していた。大人になった兄弟は、母の急死後に恋人同士となるが…
 禁断愛にもいろいろありますが、究極のタブーといえばやはり近親相姦でしょうか。父と娘、母と息子、兄と妹、姉と弟…近親相姦を描いた映画はたくさんありますが、兄と弟のそれはあまりお見掛けしません。ディープな腐女子には人気ジャンルみたいですが、同性愛+近親相姦だなんてどっちかだけでも濃密なのに、どっちもだなんて盛り込みすぎて聞いただけで臆してしまいそうになります。でもこの映画ったら、そんな禁断感など微塵もないんですよ。映画のタイトル(英訳すると“From Beginning to End”)通り、最初っから最後までスウィートでハッピーな兄弟なのです。あまりにも明るく幸せそうなので、血のつながった兄弟であることを忘れてしまいそうになります。

 兄弟で、男同士で愛し合うことに対して、まったく躊躇も葛藤も苦悩もなく、至極当然のように身も心もLOVE LOVE LOVE状態でイチャイチャしまくるフランチェスコとトマシュに、あんたたちホントにそれでいいの?と心配になるやら呆れるやら。親にも周囲にもコソコソせず堂々としてるのが、私には理解しがたかった。同性愛はまだしも、近親相姦はどこの世界でも禁忌だと思ってたけど、ラテンの国々ではそこまで罪深いことではないのかしらん?子どもができてしまうかもしれないから、男女の近親相姦は危険でおどろおどろしいけど、兄弟だとそれがないからまだ深刻さが希薄なのでしょうか。でも姉妹の近親相姦とか想像しただけでゾっとするけど…

 両親もほぼ公認、誰はばかることなく熱く見つめ合ったり密着して踊ったり、さすがにキスとセックスをするのは二人きりの時ですが、何の障害も障壁もなく愛し合うフランチェスコ&トマシュなので、別に兄弟設定にしなくてもいいのでは?とも思った。せっかくの近親相姦同性愛という特殊すぎる設定なので、そこでしか見られないような背徳感や罪悪感、苦しみや痛み、家族や世間との軋轢とか描いてほしかったです。あまりにもヘヴィでディープなBLは苦手ですが、フツーの男女とそんなに変わらないようなBLは味気なくつまんないです。同性愛のように、いずれは近親相姦も特別なことじゃなくなる時代が来るのかな。それ、嫌かも。最低限の道徳観とかやってはいけないことも、人間には必要だと思うのだけど…

 兄も弟も非一般人な美形男子で、BLというファンタジーに相応しい容貌です。兄のフランチェスコは色っぽく優しい美男子で、弟のトマシュは明るく可愛いイケメン。二人ともキャマっぽいところが全然なく、男らしいところが男同士で愛し合ってる感を濃厚にしていました。演じている俳優二人、ゲイじゃないのにあんなに男を愛しげに見つめたり触れたり、情熱的な口吸いや全裸で絡む性交演技とか、よくできるな~と感嘆。二人とも脱ぎっぷりが良すぎ。どっちも眼福の肉体美の持ち主です。アソコまで平然とポロンポロンしてます。自然だとは思うけど、目のやり場にも困りますブラジルのリッチなブルジョア生活の様子も興味深かったです。兄弟の子ども時代を演じてた子役が可愛かった!
 
 

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お手伝いさんは見た!

2019-05-06 | 南米映画
 「ROMA ローマ」
 1970年のメキシコシティ、ローマ地区。医者のアントニオ一家宅で住み込みの家政婦として働くクレオは、恋人の子どもを身ごもっていることに気づくが…
 今年のアカデミー賞で、監督賞、外国語映画賞、撮影賞の三部門を受賞したnetflix映画。映画は劇場でかネット配信でか、という論争の火種となった映画でもあります。公開後、かつてないほどの大絶賛の嵐を巻き起こした話題作。映画ファンなら鑑賞マストとは思いつつも、有名スターは一人も出ておらず、お話も私好ではないので、netflixに加入してまでは…とスルーしていたのですが、突然広島でも劇場公開が決定し、タイミングがいいことに映画の日が休みだったので、それならばやっぱ観ておこうと映画館へ。GW中ということもあってか、すごい盛況!あと一歩遅ければ満席でアウト!になるところでした。いったいどんな傑作なのかしらん?いや、あまり期待はするまい。世間の傑作が私にとっても傑作になるとは限らない。私のような低能ミーハーには敷居の高い、意識高い系映画ファンの方々向けの高尚なゲージュツ映画、つまり気取った退屈な映画!過大評価を嗤うことになるだろうというヒネクレた予想は、見事にハズれました。評判通り、とっても佳い映画でした!

 お話じたいは特殊なことが起きるわけでもなく、特異な登場人物が出てくるわけでもなく、クレオの家事や子守や友達付き合いをする姿を淡々と静かにカメラで追ってるだけで、しかも3時間近くもある長い映画とくれば、通常なら私にとっては苦痛以外のナニモノでもないはずなのに、あら不思議!ぜんぜん退屈しなかったし、ラストなんか不覚にもホロっと涙腺が緩んでしまった。決して感動を押し付けてくるお涙ちょうだい映画ではないのに。なぜグイグイと惹きこまれ、あまつさえ感動してしまったのでしょうか。

 意識高い系映画ファンの方々のように、ここがスゴいから!と的確に指摘はできないのですが。やはり映像と演出の成せるわざでしょうか。まさにマジカルでした。何でもないように見えることが、この世で唯一無二な宝物であることに気づかせる魔法のような映像と演出なんて、やはり凡百な監督には不可能。この映画で2度目のオスカー監督賞を受賞した(外国語映画では初の快挙?)アルフォンソ・キュアロン監督は、やはり傑出した才人ですね~。
 モノクロ映像なのですが、古いクラシック映画とかでなじみがある白黒とは何か違うんですよ。清冽な白黒というか。色がないのに鮮やかな印象。人々や街、自然の動きを追うカメラワークは、観客に映画の中へと入り込んでしまったかのような感覚を与えてくれます。暴動シーンや海のシーンなど圧巻のダイナミックさで、ネットでよりも映画館で観るべき映画だな~と思いました。サスペンス映画でもアクション映画でもないのに、緊張感と緊迫感あるシーンにハラハラも何度かさせられました。暴動シーン、クレオが無事赤ちゃんを産めるかどうかな病院のシーン。そしてラスト近くの海のシーンには、え!やめて!最後の最後になってまさか悲劇が?!と、すごい気をもまされました。そういう観客を翻弄する演出も秀逸。空を飛んでる飛行機とか、背後に映ってるものが話とは関係ないのに何か気になってしまう、というシーンも多かった気がします。
 
 ほのぼのと温かいユーモアも、この映画の魅力でしょうか。笑えるシーンもたくさんあって、車の車庫入れシーンとか(車の扱い方が雑すぎ!)武術の先生とか、いい味だしてました。登場人物たちもみんないい味。ゲス人間は出てくるけど、悪人は一人も出てきません。クレオも出しゃばらないカワイコぶらない、でも優しさと真摯な献身にあふれたヒロイン。市原悦子みたいにのぞき見なんかしません。悩みや痛みを抱えても、ヘンにドラマティックに振る舞ったりしないところが良かったです。クレオが仕える一家は、騒々しくもイキイキとしていて、私もあんな風に仲良くケンカしてみたかったな~と羨ましくなりました。子どもたちは元気ありすぎ!だけど可愛かった。三兄弟は、将来イケメンになりそう。監督の少年時代を題材にしてるらしいけど、末っ子が監督なのかな?

 ママが超いい人!ちょっとキツい言動もするけど、気風と気前がよくてサバサバした男前マダム。身分は違えど、同じ女性であるクレオへの、決して上から目線ではない思いやりや労りが感動的でした。クレオ、あの一家が雇い主で本当にラッキーでした。「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」のブルジョア一家&家政婦に、この映画を観せてやりたいです。フランスのブルジョアと違い、メキシコのブルジョアは生活感ありすぎ。ゲス野郎なパパとクレオの彼氏も、最低男なんだけど何となく滑稽なキャラでもあったおかげで(デカいイチモツをブラブラさせて武術の練習してる彼氏が笑えた)こんな男いるいる~と、不快感よりも親近感。あと、犬も笑えます。ウンコしすぎ!当時のメキシコの、不穏な社会情勢や格差社会も興味深く描かれていました。社会派映画的な告発調じゃないところも、この映画の美点。

 ↑ アルフォンソ・キュアロン監督、俳優顔負けの男前。「天国の駅、終わりの楽園。」とかまた観たくなってきました(^^♪
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砂漠に血の雨が降る

2017-01-13 | 南米映画
 「ノー・エスケープ 自由への国境」
 アメリカへ向かうため、砂漠を渡るメキシコからの密入国者たち。しかし、人種差別主義者である国境警備員サムによって、彼らは次々とライフルで射殺され、猟犬に噛み殺されていく。生き残ったモーゼとアデラは、サムの執拗な魔手から逃げ惑うが…
 大好きなガエル・ガルシア・ベルナルの映画、久々に観ました。いや~やっぱ彼いいですね~。相変わらずちっこくて可愛い後姿だけだと、がっちりした子ども背が低くても、たくましくて男らしい。同じチビでも、某事務所のタレントは貧相ですもんね。少年っぽい男と老けた子どもみたいな男、の違いでしょうか。

 早いもので、ガエルっちもアラフォー。若い頃に比べたら、さすがに顔は年齢を重ねていますが、やっぱ端麗な美男!大きなグリーンアイズの美しいこと!そして、唇がエロすぎる!♂フェロモンも充満。なので、彼の色気をまったく活かさない映画はトホホすぎる。脱がないヤらないガエルの、何と味気ないこと。ただ砂漠を逃げ回るだけのガエルに、これって彼じゃなくてもいいじゃん!と、ファンは物足りないことこの上なし。
 
 エロ可愛いガエルを期待するとガッカリしますが、美男子でも超いい人っぽいガエルに好感を深めずにはいられません。自分も大変なのに、困ってる人、弱ってる人を助けたり、命がけで守ったりする人の善い役が、彼には似合うんですよね。あれがもし他のイケメンスターだったら、あんたなら見捨てて逃げるだろ~と鼻白んだでしょうし。

 若者が殺人鬼に追っかけまわさる、それだけ的な、よくある話。舞台が沙漠、という点が出色。ウニョウニョいる巨大ヘビ、痛そうなサボテン、過酷な荒野など、ぜったい迷い込みたくない地獄でした。
 殺人鬼サムも怖かったけど、いちばん恐怖だったのは、サムの愛犬。どこにいても嗅ぎ付け、マッハで追っかけてきてガブ!まさに殺人犬!なんだけど、サムには忠実なところは可愛かった。すごい賢いところも驚異。あんなに人間を噛み殺しまくった悪魔犬なのに、悲惨な方法で退治されて可哀想だった。人間が殺されるシーンは、見慣れてるせいか何とも思わないけど、犬が酷い目に遭うシーンにはショック。

 殺人鬼サム役のジェフリー・ディーン・モーガンも、なかなかシブい男前でした。淡々とした人間狩り、百発百中のスナイパーぶり(でも、なぜかモーゼには一発も命中しないのが笑えた)が怖かった。不法入国のメキシコ人など、虫けら同然に駆除しまくる非道な人種差別主義者サムは、トランプさんが放った刺客でしょうかトランプさん、国境に壁を築くより、殺すほうが良策とか思ってそうだし。
 この映画のジョナス・キュアロン監督は、「ゼロ・グラビティ」でオスカーを受賞し、ガエルとは「天国の口、終わりの楽園。」で組んだアルフォンソ・キュアロン監督の息子さん。新作の“Z”でも、ガエルを主演に迎えています。近未来版快傑ゾロの物語、楽しみ!パパのほうのキュアロン監督とも、またいい仕事してほしいな~

 ↑今も可愛いアラフォーのガエルっち。最新作の“Neruda”は、「NO」のパブロ・ラライン監督作で、アカデミー賞外国語映画賞のチリ代表作です。ラライン監督といえば、ガエルの元カノであるナタリー・ポートマンが絶賛されてる「ジャッキー」の監督でもありますね~。

 ↑この頃のガエルっちが、神ってるイケメンでしたわ~

 ↑スターウォーズ新作に出演するなど、ハリウッドでも活躍中の相方ルナちんとは、今も昔も恋人同士のような仲良しぶり
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否!

2014-11-18 | 南米映画
 「NO ノー」
 1988年、ピノチェト独裁軍事政権下の南米チリ。政権の信任継続を問う国民投票が行われることになり、広告マンのレネは反対派からキャンペーン用のCM製作を依頼される。レネたちの創ったCMは国民の心を掴むが、彼らはそれを脅威と見なす当局の圧力や妨害にさらされて…
 折しも日本では、とうとう衆議院解散が決定したばかり。タイムリーな映画です。
 それにしても。映画は様々なことを教えてくれますよね。特に諸外国の歴史や政治について学ぶことが多い。この映画では、南米チリについて勉強することができました。
 チリ。日本にとっては地球の反対側にある、遠い遠い国。チリについて私が知っていることといえば、うう~ん、イースター島?って、アルゼンチンだったっけ?畢竟、まったくもって無知だということです南米といえば、政情不穏で物騒なイメージ、先入観がありますが(最近もメキシコで、政治デモ活動後に行方不明になってた大学生数十人の他殺死体が発見されたとか)、80年代のチリも相当ヤバかったんですね~。自由と平和に狎れきった日本人にとっては、軍事独裁政権なんてSFに近い非現実な悪夢。でも、最近は某国の傍若無人なサンゴ泥棒とか、侵略の脅威に緊張感が高まっている日本では、あながち他人事とタカはくくれません。

 チリの独裁政権も、かなり非道いありさまだったようですが、国民は弾圧されつつも抵抗したり、わりと言論は自由だったみたいだし、生活も悲惨な飢餓って感じではなく、ちょっと安心しました。非道な独裁政権、独裁者、国民の塗炭の苦しみといえば、私たち日本人は某国の恐ろしい現状を見慣れてますから、チリはまだましに思えます。チリの独裁者ピノチェトも、一見好々爺でそんなに悪人には見えませんし。北の将軍さま父子なんて、ほんと見るからに醜悪ですもんね。
 ピノチェト政権賛成派と反対派が、国民投票を前にキャンペーン合戦を繰り広げるのですが。圧倒的に不利な状況下で、圧力や脅迫に屈せず、アイデアと情熱で大逆転を勝ち取るNO派のCM創りの過程が、時に淡々とドキュメンタリータッチに、時にサスペンスチックに描かれています。当局からのNO派へのイヤガラセや脅しが、結構セコくて観てる側はあんまし怖くなかったのが、ちょっと物足りませんでしたが。あれが北の将軍さまの国なら、問答無用に行方不明、強制収容所送り、処刑ですよ。

 過熱するCM合戦、あーいえばこーいう両陣営のバトルが楽しかったです。政治的なテーマが、なかなかユニークなエンターテイメントに仕立てられています。それはそうと。アメリカの大統領選もそうですが、CMの威力や影響力ってホントすごいですよね~。押し付けられる一方的な情報に踊らされ惑わされて、何が正しくて何が間違ってるのか判らなくなってしまいがちな現代社会ですが。他人の見解や価値観を受け入れる柔軟性は失わず、それでいて自分の揺るぎない信念や信条は確保しておきたいと、あらためて思いました。今度の衆議院選挙にも、ちゃんと投票に行かなきゃね。

 当時(80年代)使われたカメラで撮影されたとか。当時の実際の映像の中に、フィクションが入り込んでるシーンが巧みで、あたかも80年代製作の作品っぽく作られているところも独特で面白かったです。
 この映画を観に行ったのは、言うまでもなくガエル・ガルシア・ベルナル目当てです。

 ガエルっち、相変わらずカッコカワイいですね~。彼もはやアラフォーですが、青年っぽい若々しさは失っていません。息子(子役が可愛かった)が弟、元妻がママにしか見えなかったし。どんな役でも、どことなく上品でオサレな感じがするのもガエルの魅力。別に高価そうなブランドものを着てるわけではないのに、ガエルが着るとオサレに見える。劇中着てたセーターが可愛かった。

 ガエルといえば、ガッチビ。ガッチリしてて、ちっちゃいところがツボなんですよね。スケボーしたり、模型機関車で遊んでるシーンの彼、うしろ姿はほとんど子ども。笑顔も無垢な少年。でも、その端麗な色っぽい美男子ぶりときたら。周囲の他の男たちとは、明らかに顔面偏差値が違いますもん。淡く澄んだグリーンアイズが美しい。肌質がもう何か艶っぽいんですよね~。フェロモンだだ漏れ。なので、ガエルといえばの全裸エロシーンが皆無だったのが惜しまれます。インテリで硬派な男としても知られるガエルなので、骨太な社会派映画出演に積極的なのもうなずけますが、かつてはラテンのノーパン貴公子と讃えられた色っぽい演技で、またファンを魅了してほしいものです。

 ガエルの新作“Rosewater”も、骨太な社会派映画みたいです。イラクで拘束され拷問を受けるジャーナリストを熱演してるとか。近い将来ガエルの、メキシコ男優初のオスカー受賞を期待してます♪
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ガエガエ☆パーティ

2010-02-12 | 南米映画
 暴行横綱、悪徳政治家、下劣司会者、クドい女性ハーフタレント。TVをつければ毎日毎日彼らの姿。うんざり&げんなり。きれいなもの、可愛いもの、優しいものを見たいのに...彼らに共通するのは、顔からもキャラからも毒のような悪の臭いがすること。金、権力、人気、のために彼らが放出してる毒ガスのようなパワーに、私の心は腐って歪みそうになります。でも、彼らのような毒こそが今の世の中を生き抜く武器なんだな~と、臭いオナラさえもう出ない我が身が悲しくなります。
 毒ガスに怯えながらも、心の滋養と癒しになるイケメンや男前を求め、TVをつけてしまう私です♪

 「太陽のかけら」
 mi novio ガエル・ガルシア・ベルナルの、主演を兼ねた初監督作品。
 政治家のバカ息子クリストバルは、メキシコ郊外にある別荘に、同じブルジョア階級の友人たちを招く。どんちゃん騒ぎにうつつを抜かしながらも、クリストバルの心は満たされず虚しさが鬱積するばかりで...

 評価も興行成績も芳しくなかったらしいけど、私は言われてるほど駄作だとは思わなかった。若い人気俳優の監督デビューにありがちな、妙に才気走った“どうよ?俺の独特な感性”が、ストーリーにも構成にも映像にもなくて、シンプルな作りだったのが好感。実際に撮ったホームビデオを、ちょこっと編集してフィクションに作り変えたって感じ。笑いと皮肉がほどよく効いてて退屈しないけど、すごい驚きとか斬新さとかショックとか、何じゃこりゃ?!な破綻といったものはなく、小さくまとまってる印象。優等生なガエルらしいといえばいえます。
 バカ騒ぎするアホな金持ちの若者たちと、従順で卑屈な使用人たちを対比させながら、メキシコの格差社会の現実を炙り出している内容?クリストバルや友人たちは、エラソーに使用人たちに命令したりコキ使ったりはせず、金持ちらしい鷹揚さと気さくさで彼らに接してるのですが、対等の人間としては全然見ていない。差別意識がナニゲない言葉や態度の端々に滲み出ている。同じ人間なのに、上と下があることが当然になってる社会って、ほんと理不尽で悲しい。
 演出にも挑戦したガエル・ガルシア・ベルナルが、主人公のバカ&ダメぼんぼんクリストバルを好演。
 
 Muy guapo!ガエル、相変わらずカッコカワイいタンクトップ&短パン姿は、ほとんど夏休み中の小学生。ちっこくてホントcuteだけど、ぶっとい腕&太もも、もっさり腋毛など、♂のフェロモン充満なオトナの男でもある。ガッチリしたチビ、いわゆるガッチビなガエルが素敵です。でも、ガエルといえばの潔いスッポンポンは、残念ながらこの作品ではナシ。全裸どころか、乳首さえ見せてません。ガエルにしては珍しいですね美男なガエルの、笑ったり泣いたりするとクチャっと崩れる顔が超可愛い英語はメロウ&ソフトなのに、母国語のスペイン語は早口で攻撃的なのも面白いです。
 仲間といても、何かつまんない、虚しい。ひそかに憂悶、イライラカリカリするガエルが笑えます。特に幼なじみの使用人アダンに対する態度。自分が目をつけてるギャルと仲良くしてるアダンにイラッ&ムカッ、難癖つけて追っ払ったりサッカーで反則技を仕掛けたり、器の小ささにクスッガエルのラップもアホ可愛いです。
 自分のルックスや演技力には謙虚っぽいガエルなので、自分で自分を演出するよりも、彼の役者としての類まれな魅力を理解し、それを最大限に活かそうとする監督に身を委ねたほうが、やっぱ輝けるのではないかと思いました(要するに役者に専念してね♪っつーこと)。

 マブダチのルナちんと再競演した「ルド and クルシ」いよいよ日本公開!早く観たい~!
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ガエルが噛んだ小指が痛い

2009-12-08 | 南米映画
 仕事帰り、夜の街はすっかりクリスマスムード。
 公園のイルミネーションに立ち止まる私。吹きつける風は冷たいけど、親子連れや恋人たちの幸せそうな笑顔に心は温められます。今年もLonely Christmas's coming to me ですが、自分の寂しさをかこつよりもwishing all the people happiness and peaceな私、何だかすっかり諦めの境地へと解脱した悲しい聖人?それとも、きれいごとをほざいてるだけの偽善者?なんて、とつおいつ思いながらたどった寒い家路、手を入れたコートのポケットは空っぽではなく、のど飴が一個ありました。ちょっと嬉しかったです(涙)。
 
 「失われた肌」
 ようやく観ることができましたmi novioガエル・ガルシア・ベルナル主演作品を♪「天国の口、終わりの楽園。」以来、ガエルっちの日本公開作は全て映画館まで足を運んで観てきた私。なのになのに、待望の新作はなぜか広島には来なかった!何でよ~!ぶちはぐいい~泣く泣くDVD化を待つことに。
 それにしてもガエル氷河期、長かった。もうどんな駄作でもいい、ガエルに会いたい!ガエルくれよぉ~ガエルが欲しいんだよぉ~なガエル禁断症状は苦しかった。なので、ようやくのガエル降臨に涙ちょちょぎれ♪飢えた狼の眼差しで、ガエルをガッツキ鑑賞しました
 翻訳家のリミニと妻ソフィアは、結婚12年目で離婚。リミニは新しい生活と恋人を得るが、ソフィアは彼に執着し常軌を逸した行動を...
 「蜘蛛女のキス」などのブラジルの名匠、ヘクトール・バベンコ監督作品。話の基本は、サイコな元妻にストーカーされる男、というもの。ソフィアだけでなく、新しい恋人も異様に嫉妬深かったり、リミニに関わる女たちはみんなヘンなヤバい女ども。サイコサスペンスというより、ビミョーに狂った女たちに翻弄され痛めつけられるリミニの女難物語、といったほうが適切かも。
 表向きに解かりやすく異常なのは女どもなんですが、実は一番おかしい、危険なのはリミニなのでは?と思った。いくら何でも、ヤリチンすぎる!脳みそより下半身に心がコントロールされてるみたいだった。

 ただ病的に性欲が強いだけなら、下劣な犯罪者に堕ちるだけですが。リミニの場合は、女のほうを悲しい犯罪者にしてしまうセクシュアルさが。自分から女を口説くのではなく、ただそこにいるだけ、微笑んでるだけ、ぼんやりしてるだけで、女を惹き寄せ狂わせてしまうリミニ、まさに魔性の男!ギャルや熟女だけでなく、幼い少女まで魅了するリミニ(幼女が何度もリミニにチョコレートをあげに来るシーン、微笑ましくも妖しかった)。女には絶対的に優しく、決して怒ったり逆らったり拒んだりしないウルトラ受身、でも彼にとっては女はみんな同じ、みたいなところが、可愛さ余って憎さ百倍。この男を支配しきりたい、一緒に溺れたい、と暴走する女の狂態は、怖いというより哀れだった。ろくでもない男にズッパマり、その挙句に男を殺す女、という三面記事的な痴情犯罪を、バカだなと嗤ってしまう私って、とっても不幸なのかもしれない。理性も分別も吹っ飛ぶほどのディープな恋愛に、実は憧れてる私です。
 リミニ役を、ガエルっちがエロく可愛くカッコよく危なく演じてます♪

 ガエルっちぐらいのルックスとフェロモンがないと、リミニ役に説得力と魅力は加わらないと思う!凡百なイケメンだと、はあ?何でこの程度の男に女がイカレちゃうの?な、アホでスケベなだけのリミニになっちゃてただろうし。
 ガエルっち、めっちゃ可愛いかった~シリアス顔の時は愁いある美男、明るい時の笑顔は無垢な子供!まさに殺人的だわ。これじゃ女も狂うよ。小柄なのも母性本能をくすぐるですよねえ。同じチビでも某事務所の連中と決定的に違うのが、強烈なエロフェロモン!ほんとねえ、何もしなくても漂ってるんですよ、高級焼肉の匂いのように。無意識に女を発情欲情させてしまうガエルの♂フェロモンは、この映画では活かされてるけど割りとコンパクトにまとめられてる感じもした。天国の口や悪い教育に比べたら、エロさも控えめ?ちょっと物足りなさも否めなかった。
 ガエルっちといえば、やっぱ大胆すっぽんぽん。この映画でも、よく脱いでくれてます。ファンサービスに抜かりはありません。相変わらずキュートなケツチビだけどガッチリムッチリしてて(厚い胸板、太い腕が素敵~)、ガタイがいいんですよね。顔は濃いけど胸毛とか全然ないところも、日本の女子に受けてるポイントなのでは。女を上に乗せての騎上位プレイ、後ろから女をガッツンガッツン突くカーセックスなど、いい仕事してます。セックスした直後にシーツすっぽり被ってる、なんてリアリティのかけらもないラブシーンなんか笑止千万!とばかりな、ガエルっちの生まれたまんまアフターエッチ姿も素敵です。それにしてもガエルっちのラブシーンっていつも、女を抱くというより女に抱かれるって感じ。とにかく、ガエルみたいなセクシー演技ができる若い男優って、ほんと貴重稀少!ガエルは映画界のエロ至宝です。

 エッチシーンや全裸シーン以外にも、ファンには胸キュウウ~ンなガエルっち、いっぱいあります。通訳の仕事中のスマートなカッコよさはもちろん、後半のボロボロ浮浪者みたいな小汚ささえイケてる。私が特に可愛いと胸キュンだったのは、一瞬ですが赤ちゃんに触れようとする危険なソフィアの手を払う時のガエルっちの表情。怯えた子供みたいで可愛かった~あと、淫乱ばああにプッツンして彼女の車の破壊する姿も。赤ちゃんをあやしたり抱っこしたりするパパなガエルっち(私生活でも新米パパだもんね。私も彼の子を産みたい)にも萌えまくり~って、結局のところは何をやっても可愛いガエルっちなのです。数ヶ国語のペラペラさも自然なガエル。可愛い、エロい、賢い。三拍子そろった最強男子だよ。
 リミニとソフィアが離婚した理由も不明だし、バスに轢かれたリミニの恋人はどーなったの?ボロボロなリミニを更正させたおじさんは誰?など、???も多い映画ですが、ガエルのファンは鑑賞mustです。
 ソフィアが設立した女性救済の会“アデルH.”、イザベル・アジャーニの「アデルの恋の物語」ですね。女はみんなアデルやソフィアみたいに執念深く男を追え!ですか~?怖い。アデル寸劇も面白かった。ガエルっちとアジャ様、競演してほしいなあ。

 親友ルナちんと久々に競演した「ルド and クルシ」が、陽春日本公開
 
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少女迷宮案内

2008-05-21 | 南米映画
 琵琶湖のバラバラ死体事件、怖いですね。琵琶湖は学生時代よく行ったので、懐かしさと恐怖ミックスな気分です。
 釣りをしていた人が、波打ち際で発見したとか。びっくらこいたってもんじゃなかっただろうなあ。ヤなものを発見してしまいましたよねえ。どうせ発見するなら、札束とか金塊がいいなあ。って、それもまた、死体とは違った意味で怖いけど...

 「パンズ・ラビリンス」
 内戦終結直後のスペイン。少女オフェリアは、ゲリラ殲滅のため軍が駐屯している山地に、冷酷なビダル大尉と再婚した母に伴いやって来る。彼女は妖精の導きで、迷宮の番人であるパンと出会い、試練を課せられるが...
 評判通り、すごく面白かったです。ダークで過激で悲しいファンタジー映画でした。まるで、楳図かずおの恐怖漫画とフランダースの犬を足して二で割った、みたいなユニークさと哀切さ。オコチャマ映画が苦手な人向けの、血色に彩られた愛と死のおとぎ話です。
 オフェリアが、不思議の国のアリスみたいに踏み込む世界が、ほんと怖くて面白いです。ファンタジーなのに、妖精さんやパンをはじめ、出てくるキャラはみんな不気味。きゃ可愛い♪なのは、まったく出てきません。巨大カエルのヌメヌメしさ、オフェリアの体や顔を這う大ダンゴ虫のキモさ。見ていてウウウと身の毛がよだつ!特にキモ怖いのが、禁じられた晩餐会の化け物! 
          
 ↑こいつだ!怖い~!キモい~!オフェリアをヨタヨタと追っかけてくる姿も、激キモ!夢に出てきそうなインパクトです。
 セットや怪物を作った人たちの、怪奇趣味な想像力の豊かさに感服!
 でも、いちばん怖いのは化け物ではなく、オフェリアの継父であるビダル大尉なのです。ゲリラへの攻撃、処刑、拷問、どれも残忍冷酷すぎて、戦慄!目を覆いたくなるシーンも多く、子供は観ちゃダメ!な映画です。狂ってる異常者って感じがまったくせず、ひどいことを信念でやってるみたいなところが、ほんとヤバい大尉です。こんな義理のパパ、絶対イヤー!!フランス映画でも活躍してるセルジ・ロペスが、ビダル大尉を怪演してます。
 恐怖とサスペンスも、なかなか盛り上げかたが巧み。ゲリラのスパイである家政婦メルセデスの正体が、大尉にバレちゃいそうでドキドキ、とか。バレて拷問されそうになったメルセデスが逆襲して、豚はさばいてやる!と、大尉の口の中にナイフ突っ込んでズバっ(ひえ~!い、痛っ!!)口裂け男にしちゃうところとか。もうひとりのヒロインみたいなメルセデスの、絶体絶命危機一髪!に、すごくハラハラさせられます。
 ギレルモ・デル・トロ監督の、特異で奇抜な感性が冴えてます。悲惨な戦時下で、必死にサバイバルしようと闘う子供が、リアルとファンタジーの間でたゆたう、という内容は、「デビルズ・バックボーン」と同じです。子供の受難や苦闘って、ほんと見るのが辛い。ただの犠牲者にはならず、力のかぎり戦い、誇りを失わない姿は、子供ながら崇高で感動的です。オフェリアちゃん、あんまし賢い娘じゃないんだけど(ちょっと要領悪いし。あれほど禁じられてたのに、晩餐の食べ物をつまみ食いするし)すごい勇敢。ダンゴ虫にも平気な顔してるところとか、鬼大尉から赤ちゃんを奪取するところとか。少女とは思えぬ肝っ玉!
 悪人を倒して、平和になって、よかったよかった♪ではないラストも、深い余韻を残します。あの赤ちゃん、どーなちゃうのかなあ。

 
          
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ブツを運ぶ聖女

2008-03-12 | 南米映画
 すっかり春ですね♪庭の沈丁花が満開で、むせるほどの芳香を放っています。これだと、桜の開花も間近?
 ランチタイム、某所の地下食堂へ行くと、目当てのAランチだけ売り切れ!仕方ないので、商店街のカフェへ。ランチのハンバーグセットを頼むと、ちょっとしてウェイトレスが、ハンバーグだけ切らしてますスミマセン、だって。ええ~どーいうこと?!仕事帰りに美容院へ寄ろうと予約の電話したら、その時間はいっぱいでスミマセン、だって。ううう。こう立て続けだと、悪いのはタイミングだけではないような気がしてきて、春なのに涙がこぼれます~♪by 柏原よしえ

  「そして、ひと粒のひかり」
 コロムビアの田舎町に住む少女マリアは、職を失った上に妊娠。現状を打破しようと、彼女は麻薬の運び屋になるが...
 実話が元になっているとか。余計なドラマは排した、マリアの行動を追うドキュメタンタリータッチな展開は、緊張感とリアリティに満ちていて、生々しくもスリリング。麻薬運搬の実態が、興味深く描かれています。
 麻薬の運び方が怖い!ブツを入れた大きめのカプセルを大量に飲み込んで、コロムビアからニューヨークまで行く。飲み込むことじたい苦しそうだし、もしカプセルが胃の中で割れたら死ぬのも恐怖。飛行機の中、体内にあるカプセルのせいで苦しそうなマリアの様子に、観てるほうも苦しくなる。トイレに行って出てしまったカプセルを、また洗って飲み込みのもウウウ...いくら大金が稼げても、私には無理だ~!
 命を賭けてまで危険な仕事を進んでする少女たちに、暗澹となってしまいます。そうしてまで金が必要な、劣悪で希望のないコロムビアの貧困も、映画は伝えています。
          
 ヒロインのマリアが、とても魅力的です。美人で聡明で思いやりがあって。勇敢というか、大の男も顔負けな肝っ玉もスゴい。どんな状況や危機も、取り乱さず冷静に対処し切り抜けていく姿は、カッコいいとさえ言える。これが麻薬運搬じゃなければ、心の底から応援できるのに。環境しだいでは、立派な女性になれることは間違いないマリア。貧しい母国と、自分にたかる身勝手な家族から解放されて、麻薬カプセルではない、まさに“ひと粒のひかり”を宿したマリアが選ぶ道は、彼女ならきっと切り開けるという希望が見える、そんなラストになっていて感動的です。
 マリアを演じたカタリーナ・サンディノ・モレノの、エキゾチックだけど優しさを感じさせる美しさと、毅然とした演技に魅了されます。ちょっとゼタ姐に似てるかも?この映画デビュー作で、ベルリン映画祭女優賞受賞、そしてオスカーにもノミネートされて話題となったことは、記憶に新しい。イーサン・ホーク監督の「痛いほどきみが好きなのに」も楽しみですね。
           
 プロモで来日した時のカタリーナちゃん。美人な上に、とっても聡明で性格も良さそうな女の子です。現在はニューヨーク在住だとか
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mi tango de amor...

2007-11-06 | 南米映画
 あさって広島高等裁判所で、ペルー人トレス・ヤギ被告の控訴審が始まります。
 下校中の小学女児を、性的暴行そして殺害した、犬畜生にも劣る外道。殺された女の子の苦痛や恐怖、ご両親の怒り悲しみを思うと、やりきれなさが募ります。
 母国でも、少女に汚らわしい行為をして捕まったことがあるという被告。彼にも人権があると耳にすると、ますます人権という言葉が軽く虚しく思えてきます。性的被害に遭う弱者の人権と、ヤギのような鬼畜の人権が同じものとして扱われてしまうことに、空恐ろしさを感じます。
 極刑を求める遺族の署名に、私もサインしました。自分の下劣な欲望のために、いたいけな何の罪もない幼い命を汚し、踏みにじることが、万死に値するということを、裁判所で認められてほしいと願いながら...

 「娼婦と鯨」
 乳がんに侵された作家ベラは、スペイン内戦で死んだアルゼンチン人カメラマン・エミリオが恋人ロラに残した手紙に創作意欲をインスパイアされ、調査のためブエノスアイレスへ。そこで偶然、ベラは意外な人物と出会い...
 死の不安に苛まれるヒロインの姿と、過去のラブストーリーが交錯する内容&構成は、ちょっと「抱擁」「めぐりあう時間たち」っぽいです。さらに濃密な官能を味付けした感じ。
 現在と過去のヒロインたちが、ヘア丸出しで全裸になるシーンが多いけど、そんなにエロくないです。官能的なのは、セックスシーンではなくて、あくまでムード。特に、退廃的かつ情熱的なアルゼンチン・タンゴが魅惑的です。男と女、そして女と女が、奏でられるバンドネオンの妖しい音色に合わせて足を絡ませ、身をのけぞらせ...ああ~私もラテンの男前にリードされて、黒猫のタンゴを踊ってみたいなあ。
 エミリオとロラの悲劇的な愛。愛する女の淫奔ぶりに耐えられなくなって?彼女を売り飛ばして逃げる男に、え!?そんなんありかよ!?と唖然。娼婦に堕ちながらも、帰ってきた男を受け入れる女もスゴい。破滅的でドロドロしてるというより、病的で歪んでますよねえ。ロラの最期が、衝撃的かつ美しい。海という時空を遊泳しながら出没しているような鯨が、過去と現在を繋ぐ役割を果たしているようで、ユニークです。
 アルゼンチンの蒼大な空と海に圧倒されます。内容よりも、音楽と映像に特筆すべきものがある映画かも。
 
 エミリオ役は、my お気にのアルゼンチン俳優レオナルド・スバラグリア。やっぱE男ちょっとボラットに見えないこともなかったけど。女の激しさに惑う男の弱さを繊細に演じていました。脱ぎまくりな女優の大胆さに比べると、スバの露出はおとなしいです。でもいいカラダしてます愁いを帯びた表情も素敵ですが、クチャっとした笑顔が可愛いんだな、これが
 
 「サルバドールの朝」のスバに早く逢いたい~!スバにもそろそろ、アルモ姐さんのお手がつく頃?
 
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デスパレートな喫煙

2007-09-23 | 南米映画
 仕事帰り、ふと耳に入ってきたのは、祭囃子の音色。来月の秋祭りに向けて、練習が始まったみたいです。ああ、そういえば今日は、秋分の日。でも、夏の名残がいまだに、替えてない下着のように肌に張り付いて、不快。早く身も心も、秋を感じられる日が来ますように...
 
 「ナイン・シガレッツ」
 ハッカーの青年が、ロシアマフィアに渡す取引データを間違えたことから、てんやわんやのトンでもない事態に...
 すっごく面白い犯罪コメディでした。メキシコで、たくさんの賞を獲ったのも納得。ノリが、ちょっとタランティーノ風?生き残りとダイヤモンド争奪を賭けて、登場人物たちが繰り広げる悲惨&悲壮なスッタモンダが、コミカルに描かれています。
 勘違いと誤解、タイミングの悪さが重なり、事態がどんどん狂騒・悪化していく展開が、ユニークなシーンで紡がれていて、退屈することなく引き込まれます。小道具の使い方や伏線も巧みで、脚本がホント良くできてます。
 ドタバタ交錯する登場人物たちの暴走&必死ぶりが、とにかく笑える。みんな個性的で、キャラが立ってる。特に、床屋の強欲鬼妻とドラッグストアのセコい横暴店主が強烈。あと、野良犬とゴキブリの好演(?)も忘れられません。
 ハッカー青年役は、ガエルのマブダチことディエゴ・ルナ。
    
 ルナちん、可愛い~ガエルっちもだけど、ルナちんもすげー童顔。髭がなかったら、子供です。煙草なんか吸っちゃダメ!と思ってしまう。メガネもラヴリー。恋する美女の部屋を、その天才的なハイテク技術を駆使して盗聴&盗撮する、変態男ルナちん。でも、異常な感じは全然なく、内気でオドオドしたキュートな電車男、みたいな。自分のせいでメチャクチャな騒動に発展、アタフタ&オロオロとチョコマカ動き回るルナちん。キョドった顔や声、ヘタレなムードが珍妙で、なかなかの役者ぶりです。
 予期せぬ収穫だったのは、ルナちんの仲間役ルーカス・クレスピ。
          
 おや!?ちょっとガエルっちに似てる?!薄く素朴になったガエル、みたいな。小柄なところも共通。カッコ可愛いかったです。彼とドラッグストア店主の妻とのやりとりが、微笑ましかった。
 ルナちんはロロ、ルーカスはネネ。役名が可愛い!
 崖っぷちな状況や心理に、煙草は不可欠!とばかりの、ヘヴィースモーカーな登場人物たち。皮肉な結末に、やっぱ煙草は吸わんほうがいいな、と痛感。
  
 ラテンアメリカ映画祭で、ルナちん初来日!今度は相方と連れ立って来てね♪
 
コメント (2)
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