まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

海上の格差転覆!

2023-04-26 | その他のヨーロッパ映画
 「逆転のトライアングル」
 人気モデルのヤヤとその恋人カールは、豪華ヨットの旅に参加する。富裕層の乗客と彼らに仕える乗務員たちを乗せたヨットは、嵐と海賊の襲撃で沈没してしまい、無人島に漂着した生存者たちはサバイバル生活を余儀なくされるが…
 スウェーデンのリューベン・オストルンド監督が、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いて2度目のカンヌ映画祭パルムドールを受賞、今年のアカデミー賞でも作品賞や監督賞にノミネートされるなど、欧米で高く評価された話題作。オストルンド監督初の英語作品だそうです。ザ・スクエアは、そのテンポや内容・展開がすごく独特で、笑えるんだけど気まずさ、居心地の悪さを覚えてしまう皮肉なコメディでした。好きな人は好き、ダメな人はダメ、と人を選ぶ系の作品だと思いました。この最新作も、人間や社会に対する底意地の悪い皮肉、冷淡な毒が充満していました。ちょっと緩慢なので退屈することが多かったザ・スクエアと違い、この作品はかなりド派手でハチャメチャで、視覚的な笑いが増強されていたせいか、わかりやすくなってて前作よりも楽しむことができました。

 豪華ヨットの上で客と乗務員が繰り広げる格差の描写、そしてそれをひっくり返す海難事故の地獄絵図が笑えました。ヨット沈没までのパニックは、「タイタニック」どころではない大混乱と大狂乱!嵐で大揺れのヨット、優雅なディナーが船酔いのゲロで大惨事に。とにかく文字通りのゲロゲロ(死語)さ!映画であそこまでゲロドバーッなシーン、初めて見ました。ゲロだけではすまず、大噴水なトイレでクソもドバーッ!汚物の大洪水!ヨットも乗客乗務員も汚物まみれ!き、きちゃない~!!見ていてもらいゲロ、もらいクソしそうな壮絶な汚さでした。そういうのが苦手な人は、ぜったい観てはいけない映画かも。私も汚物ネタはそんなに得意じゃないんだけど、そのあまりのアナーキーさに楳図かずお先生の「まことちゃん」を思い出してしまい、不覚にも笑ってしまいました

 無人島に漂着してからの、ヨット上とは逆転した人間関係ヒエラルキーも、皮肉たっぷりな笑いで描かれていました。予想してたような生きるための必死なサバイバルとか、険悪さとか屈辱とか憎しみとかいった激しい感情や関係は生まれず、何だかすごくユルくて楽しそうでもあったのが、これまた斜め上な滑稽さでした。金持ちも労働階級もみんな基本的には善人で、ちょっとセコいだけの小物ばかりだったのも、馴染みある社会の実態のようでした。

 ヨットに乗るモデルのカップル、カール役のハリス・ディキンソンと、ヤヤ役のチャールビ・ディーンがチャーミングな好演。薄い地味童顔が可愛いハリス、今回も自慢の肉体美を惜しみなく披露してました。劇中、ほとんど上半身裸だったような。ヨットでのカジュアルなファッションが、すごくオシャレで洗練されてました。ヨットで乗務員がタバコ吸ってたとわざわざ副船長にチクりに行ったり、無人島でこっそりお菓子食べてバレそうになるとしらばくれるところとかのシーンのハリスが、セコくて可愛かったです。チャールビは、残念なことにこの映画の公開直後、急逝したとか。


 船長役のウディ・ハレルソンも、なかなか強烈な酔っ払い演技でした。あんな船長の船、ぜったい乗りたくない!私も一生に一度でいいので、豪華ヨットで贅沢な船旅してみたい!2日ぐらいで救助されるなら、美しい無人島に流されてみたい!どっちにも好きなイケメンと一緒なら、まさにパラダイスですね

 ↑ 地味童顔でトボけた感じだけどクセの強い役が多い、そして必ず脱がされるハリディキはまだ26歳!サラっとシレっと何でもやりそうな、今後も期待の若手英国俳優です

 
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美しき呪い

2022-09-16 | その他のヨーロッパ映画
 「A Beautiful Curse」
 人々が眠りから覚めないという原因不明の現象が起き、当局によって封鎖された島。ひそかに島に上陸したサミュエルには、ある目的があった…
 観る前は、タイトルや内容からしてファンタジーホラー映画なのかな?と思い込んでたのですが、ぜんぜん違ってました。不思議系ロマンティック映画、とでもいおうか。島の人々が眠り込んでしまう現象、奇病?についても、説明はいっさいなし。安らかに眠ってる人々ですが、食事とか排泄とかどうなってんのと思った。島を管理してる謎の白い団体の正体も不明。そもそも最大の謎は、サミュエルとステラの関係。眠り続けるステラをそばで見守りながら彼女の家で暮らすサミュエルと、眠りに落ちる前のステラと恋仲になるサミュエル、ふたつのエピソードが交互に描かれているのですが、そのどちらも夢かうつつかっぽい雰囲気と演出で、不思議感にあふれてます。

 愛する女性と意思疎通できなくても、けなげに愛し続ける男。そしてついに…と、純愛ストーリーっぽい展開でラストを迎えるのですが、そこに至って判明する意外な事実に驚かされ、ていうか呆れてしまいました。サミュエルって、ただの〇トー〇ーだったの!?ステラとの恋愛部分は、ぜんぶ妄想?!眠り病よりそっちのほうが怖かったです。サミュエルが若いイケメンだったからロマンティックな不思議くんになり得たけど、あれがもしブサイク男だったらただもうキモいだけの犯罪者です。とにかくどこまでが現実で、どこまでが妄想かも判然としない、観客の想像に委ねる内容になってます。

 サミュエル役の英国俳優、マーク・ストレパンがイケメン!この映画で初めて知ったのですが、すごくカッコカワイかったです。金髪で色白、長身だけどヒョロっとした感じではなくゴツい骨太さのある体格は、イギリスというより北欧っぽい風貌です。クシャっとした笑顔がピュアで可愛い!髪型もなにげにオシャレだった。他の出演作もぜひ観たいものです。それにしてもロケ地の島は、いったいどこなんだろう。主演のマークだけでなく、島の風景とかステラの家のインテリアとかも北欧っぽいです。監督はデンマーク人だとか。無駄なものがない清潔すぎるミニマニズム、がら~んと閑散とした雰囲気は、出演者がほぼ二人だけだったからでもあるけど、孤島が醸す寂しくひんやりとした空気感も大いに関係あると思います。

↑ 詳しいプロフィールな不明なマーク・ストレパン、出演作であるTVシリーズの「ニューブラッド 新米捜査官の事件ファイル」は、カンバーバッチ主演の人気作「シャーロック」の脚本家作品で、マークもイケメン!なので観たい!
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僕を抱いた兵隊さん

2022-08-10 | その他のヨーロッパ映画
 夏のBL映画祭④
 「Voor een verloren soldaat」
 第二次世界大戦中のオランダ。11歳のイェロンは両親と離れ、食糧難のアムステルダムから農村に疎開する。やがて終戦を迎え、村人たちが連合軍のカナダ兵を歓迎する中、イェロンはウォルトという青年兵士と親しくなるが…
 ロリコンならぬショタコン!3度のメシよりBL好きな私ですが、年端もゆかぬ少年のBL、いわゆるショタコンは苦手。淡い恋ぐらいならいいけど、いたいけな少年たちが性的なことをしたりされたりするのは見たくないです。相手が少年だろうと少女だろうと、子どもと性行為はやはり許されざる蛮行だと思うので。この作品も、内容は完全にアウトです。コンプライアンスが厳しい今だと映像化は不可能。ガッツリあからさまにセックスしてるシーンはないのですが、それでも大人の男と幼い少年が裸体を重ねてるだけのシーン、結ばれたという設定だけでも、居心地が悪くなってしまいます。

 でもこのショタコンBL、禁断とか罪悪感とかいった湿った暗さが全然ないんですよ。返ってそれっていいのかな、と思うほどに。大人の男と少年でなければ、フツーに爽やかで優しい、ちょっと切ない初恋物語なんですよね~。イェロンとウォルトが出会って仲良くなっていく過程は、微笑ましくロマンティック。お互いの母国語は全然わからないのに、フィーリングで意思疎通はできてしまうというのも恋のマジック。もしイェロンが17、8の女の子だったら、よくある話ながらもビタースウィートなラブストーリーになってたでしょう。

 ウォルトに出会う前から イェロンは同性に興味があるっぽい様子で、ゲイの萌芽は見せてました。性の目覚め、初体験は誰もが通る青春の道で、自分の意志で好きな男とそうなったイェロンは幸せ者なはずなのですが、社会的には彼らの恋は犯罪、悲劇なんですよね。周りから厳しく糾弾されたり仲を裂かれたりしなかったのは、二人にとっては幸運だったのか、それとも不幸だったのか。せめてイェロンが高校生ぐらいだったら、アンモラルさも薄くなったと思うけど…

 出会った頃は、イェロンはウォルトのことを優しいお兄さんみたいに見てたけど、ウォルトのほうは初めて会った瞬間からイェロンを恋する男の目でロックオンしてたよな~。仲良くなるとイェロンを可愛い弟ではなく、愛する恋人扱い。イェロンへの愛の言葉などには、とても11歳の男の子へのものとは思えぬ真摯さ、情熱が。ウォルトは小児愛者だったのかな。愛する人を抱きたいという自然な欲求も、相手が子どもだとそこは自制をと思う。異国の、立場的に何をしても許される状況だったのも、何だかひっかかるものがありました。もしイェロンが単に優しいお兄さんとして慕ってるだけだけで性的関係を拒んだら、ウォルトはそれを受け入れたでしょうか。

 周囲の人たちは二人の関係に気づいてるはずなのに、知らんぷり状態なのが不思議でした。戦争が終わった解放感、多幸感のせい?疎開先の家のお父さんだけは気にしてたみたいでしたが、口出しとか引き離そうとしたりとかはなし。性的、風紀的にちょっとユルかった時代ゆえ?
 イェロン役の子は、聡明そうで可愛い男の子でした。ウォルト役の俳優は優しそうな地味イケメン。疎開先の一家や、アムステルダムから一緒に疎開した悪ガキなど、サブキャラがいい味だしてました。貧しいけど飢えや死の恐怖とは無縁な田舎のシンプルライフは、戦争中とは思えぬほど静かで平和だったのが興味深かったです。
 

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ワルシャワBL捜査!

2022-06-15 | その他のヨーロッパ映画
 「ヒヤシンスの血」
 80年代のポーランド、ワルシャワ。同性愛者が集う夜の公衆トイレで、富豪の他殺死体が発見される。刑事のロベルトはゲイコミュニティへの潜入捜査を開始、アレクという青年と親しくなり彼から情報を得ようとするが…
 LGBTへの理解と配慮が推進されている現在社会ですが、かつてはすさまじい差別偏見が当然のようにまかり通っていました。それらは今でも決して消えたわけではなく、あからさまにはできない風潮になってるだけ。LGBTを攻撃したり排除したりすることが、むしろ正しいとされていた時代はそんな遠い昔ではなく、数々の映画でもその恐ろしさ理不尽さは描かれてきました。今でもLGBTに対して不寛容で厳しく、信じられないような人権無視、人権蹂躙がアメリカや西欧諸国から非難されている国のひとつがポーランドです。この映画は、LGBTを社会悪と見なし犯罪として取り締まっていた80年代のポーランドの実態を、クライムサスペンスの形で描いています。

 タイトルのヒヤシンスとは、同性愛者への蔑称。ヒヤシンス作戦という秘密警察による同性愛者弾圧が、いかにもあの頃の共産主義国な非道さ陰惨さ。同性愛者を問答無用にしょっぴいて、身体的にも精神的にも拷問に近い取り調べをし、同性愛者であることを認める書類にサインさせ、それをもとに彼らを管理監視する、とかホントに80年代の話?!と戦慄。秘密警察とか、響きだけで禍々しい。LGBTだけでなく、当局や権力者にとって都合の悪い者、目障りな者は簡単に痛めつけられ、そして消されてしまう暗黒社会。中国なんて今でも同じような感じ。

 物資や娯楽に乏しく貧しい国民生活や、暗鬱な閉塞感を募らせる冬の寒々しさなども、日本に生まれてよかったと心底思わせてくれました。昼間でも何だか光が足りないような、生気のないどんよりしたムード。数年前に行ったチェコもそんな感じでした。事件の真相や、そこにたどり着くまでの過程は、特に目新しくない刑事ドラマなのですが、当時の東欧の共産圏の暗く息苦しい社会を背景にしているところが、興味深く出色でした。そして、なかなか切ないBLものとしても。

 最近すっかり人気ジャンルになってるBLですが、そのほとんどが男女の恋愛と変わらないようなノーテンキでハッピーなもの。それも悪くないんだけど、やっぱ私はBLには禁断とか背徳、苦悩とか試練を求めてしまうんですよね~。この映画のロベルトも、結婚予定の恋人がいて彼女とエッチもしてるんだけど、捜査中に知り合ったゲイの美青年と親密になってBL関係になっちゃう。もちろんハッピーロードは歩みません。当時のワルシャワでBLなんて、文字通り命がけ。ノンケなはずのロベルトがなぜか彼女といてもフラストレーション、幸せなふりをしているような虚しさを否めない、けどアレクといると熱い歓びや解放感を覚える。これって何だ?と葛藤、そして目覚めてしまう愛しさ、抑えられなくなる欲望。禁じられると燃えてしまう、というシチュエーションの苦しさと切なさ、だからこそ深まる快楽。これこそBLの醍醐味なんですよ。

 ロベルトとアレクが惹かれ合う様子はロマンティックかつ悲愴で、ついに結ばれるシーンも痛ましく切ない。セックスシーンは終盤に一回だけですが、せわしく激しくも短く終わるところが男同士のセックス感を出していてリアルでした。ラスト、真実を暴いたロベルトを待ち受けてるものは…アメリカや西欧なら一件落着だけど、ワルシャワだとそうは問屋が卸さない。めでたしめでたしな終焉ではなかったけど、生きてさえいえばいつかアレクと再会できるはず、という終わり方には一抹の希望を感じることができました。
 ロベルト役のトマシュ・ジェンテクは、オーランド・ブルームをちょっと濃ゆくした感じのイケメンで、ヒゲがなかったら可愛い童顔だろうなと思わせます。アレク役の俳優もイケメン。やっぱBLは、どこの国でもイケメンが鉄則ですまるで隠れキリシタンのような、隠密のLGBTコミュニティの存在も興味深かったです。彼らのパーティーで、楽しそうにはっちゃけるロベルトが可愛かったです。
 
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ちょっと一杯のつもりで飲んで

2021-11-21 | その他のヨーロッパ映画
 「アナザーラウンド」
 仕事も家庭生活もうまくいっていない高校教師マーティンは、親友である同僚たちと“血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事もプライベートもうまくいく”という仮説の実践を開始する。授業も活気づき生徒たちとの関係も良好となり、妻子との幸せも取り戻したマーティンだったが…
 今年のアカデミー賞国際長編映画賞(外国語映画賞)受賞、監督賞にもノミネートされたデンマーク映画です。酒を飲んで仕事したり運転したりするおっさん4人にまず驚愕。明らかに酩酊状態なのに、誰も何も言わない、気づかない?のが不思議でした。アルコールに対して法律も意識もユルすぎ低すぎ。お酒に厳しい日本で暮らしてるからそう思うのでしょうか。高校生もフツーに飲んでるし。デンマークだけでなく、ヨーロッパはどこもそうなのでしょうか。

 お酒、強くはないけど私も好きです。毎晩寝る前に必ずチビチビ飲んでます。適量なら、確かに心身によい効果があると思います。でもでも。飲みすぎはダメ!私の身近にアル中が何人かいるので、ほんと酒って怖いと痛感してます。酒の失敗による醜態ほど不快なものはありません。イタい目に遭うのは飲んだ人だけじゃないもんね。迷惑、そして事故や事件に至る危険もある。飲酒運転で通行人を轢き殺すとか、ほんと許しがたい。本人の破滅ですむならいいけど、社会や家族、他人も引きずり込む罪深さが恐ろしいのです。マーティンたちも、はじめは仕事も家庭生活もうまくいってたけど、だんだんタガが外れて目も当てられぬ醜態、そしてすべてを失う寸前にまで陥ってしまう。薬物と同じで、お酒への依存も怖いと戦慄しました。超えてはいけない一線手前で踏みとどまれた者、踏みとどまれなかった者、軽い気持ちで始めた実験の結果が苦く悲しかったです。

 うだつの上がらないおっさん4人が調子に乗ってる姿は、なかなかコミカルで愉快なのですが、決してドタバタ調ではありません。ホロリとさせる人情話でもない。そこがハリウッド映画との違いかも。不安や虚しさが滓のように沈殿してるような人生模様はシビアでホロ苦く、いい歳をした私のような者には刺さるものがありました。でも暗く重い悲劇ではなく、失望や絶望であふれてるけど愛や希望もあるという人生賛歌でもあって、やはりいい年な私に感動ももたらしてくれました。男同士の友情っていいな、と羨ましくもなりました。でも、仲がよすぎるのも考えものです。親友に頼り過ぎたり思いやりすぎたり、友情もまるで依存症みたいでした。
 マーティン役は、デンマークが生んだ国際スター、マッツ・ミケルセン。最近はもっぱら英語圏で活躍してるマッツ、母国語を喋る彼を見たのは久しぶり。

 いや~マッツ、やっぱいい役者!オスカーにノミネートされてもおかしくない名演でした。ごくフツーの中年男役で、これといって奇抜なことをするわけではない、渾身の大熱演!というわけでもないのですが、なにげない表情や動き、雰囲気で中年男の悲哀や痛みが切なく伝わってくるきめ細かい演技。こんな演技できるアラフィフ俳優、日本にいません。優しそう、だけどどこか危うい魅力も理想的な熟年。顔のシワも素敵。同じおじさんでも、キムタクだと弛んでるな~とかホウレイ線すごいな~とかしか思わないのに。重ねた年齢を魅力に、武器にできてる俳優との違いですね。

 冴えないおっさん役だけど、いい男であることは隠せないマッツ。おっさんフレンズとはルックスが違いすぎる。長身で立派な体格もマッツをカッコよく見せてます。ラスト、まるでミュージカルのように踊り始めるマッツも素晴らしかった。軽やかでダイナミックなダンス!聞けばマッツって、俳優になる前はダンサーだったとか。道理で!踊って歌って、老いも若きも人生を祝福するような歓喜に満ちたラストは、「ラ・ラ・ランド」とかより私にはエモかったです。あと、デンマークって美形が多いんですね!マーティンのクラスの生徒たちの中にも、目を惹く美人やイケメンが何人もいました。「偽りなき者」でもマッツと組んだトマス・ヴィンターベア監督の、非凡な演出センスと深い洞察にも感嘆。マーティンたちがあまりにも美味しそうにお酒を飲むので、私も映画後に酒を買って帰りました(^^♪🍷

 ↑ マッツの新作は何と!インディ・ジョーンズ!もちろんインディ役ではなく、たぶん悪役。ハリウッド映画ではお約束。金のためと割り切って稼いでるマッツです
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イケメン執事は見た!

2020-07-15 | その他のヨーロッパ映画
 「執事の人生」
 20世紀初頭のポーランド北部。ドイツ人貴族クラウスの妻ゲルダは、生まれてすぐに母親を亡くした赤ん坊をマテウシュと名付け、自分の子どもたちと一緒に育てる。成長したマテウシュは執事となり、クラウス家の人々と共にポーランド独立やナチスの台頭など、激動の時代に翻弄されるが…
 去年のポーランド映画祭で上映された作品。いまだに一般公開されてないとか、ありえない!動乱の歴史ドラマ、貴族、イケメン、と映画ファン(特に女性)が食いつく要素がそろってる秀作なのに!

 20世紀初頭のヨーロッパ、壮美な屋敷で繰り広げられる貴族と使用人たちの人間模様。ポーランド版「ダウントン・アビー」?美しい自然に囲まれての優雅な貴族生活、衣装、お屋敷や庭園、退廃的で隠微な愛憎関係…ああ、私のような庶民には無縁な夢の世界。一度でいいから大勢の召使にかしずかれながら、美しく文化的な生活をしてみたいです。でも。この映画の一族がたどった運命は、庶民に生まれてよかった!と心の底から思わせました。この映画、はじめは貴族一家の人間関係やトラブル、主人公とお嬢様の恋などハーレクイン調に話は進むのですが、中盤になってじわじわと魔の手(戦争)が忍び寄り、やがて怒涛の勢いで悲劇が襲い掛かってくるんですよ。あっと言う間に津波に飲み込まれてしまう、美しい夢が悪夢に変わってしまった…そんな感じです。

 戦争の悲劇を描いた映画を観るたびに、こんなことが本当に起きたなんて信じられない、信じたくない、と心が沈んでしまいますが、この映画も本当に苛烈で残酷でした。森の中での虐殺とか、静かで清涼な風景と雰囲気の中で撮られていたのが出色、かつ悲しみや恐怖をいっそう際立たせていました。ロシア軍がクラウス邸に乱入してくるラストの悲惨さ無残さ、その救いのなさに暗澹とならずにはいられませんでした。ナチスやロシア軍の蛮行は、まさに鬼畜の所業としか言いようがありません。犠牲者や生き残った人たちの無念を思うと憤懣やるかたないけど、罪もない人たちを残虐に屠った多くの元ナチスやロシア軍人が戦後、平然と豊かに生きたことにも深い絶望と虚しさを覚えます。

 2時間半もある長い映画なのですが、まったく退屈しませんでした。終わった時は、まさに夢から覚めたような余韻。鑑賞後の心地よい疲労感とか、なかなか最近の映画では味わえません。時代に翻弄され蹂躙される人々の悲劇を、決してお涙ちょうだいな湿っぽさで描かず、どんなシーンもあくまで美しく流麗に描いていたのがこの映画の魅力です。めくるめくカメラワークも素晴らしかったです。乗馬シーンが多いのですが、馬で疾走するのって怖いけど気持ち良さそう。

 カブる部分が多いダウントンアビーとどうしても比較してしまうのですが、共通点も相違点も興味深かったです。イギリス貴族ほど気どったり上品ぶったり抑圧したところがなかった。マテウシュが一緒に育った伯爵令嬢(財前直見似)と恋に落ちるのですが、身分違いの苦しみとか、本当は姉弟かもしれない二人なのにという禁断感も薄く、周囲も二人の恋を静観しているところが大らかで驚きました。日本だと犬神家の一族か悪魔の手毬歌みたいな話になるところです。

 当主のクラウス伯爵が人間くさいおっさんで、なかなかチャーミングでした。毅然と気高くも思いやり深いゲルダが素敵な女性でした。変態+ゲイな長男のお騒がせ言動も話を面白くしてます。彼の末路はヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」を思い出させました。歴史に疎い私なので、当時のポーランドがどういう状況にあったのか全然知らず、ポーランドの貴族なのにドイツとやけにつながってるな~と不思議に思ってたら、クラウス伯爵はドイツの貴族だった!と中盤頃になって知るというテイタラク。ポーランドの複雑で悲しい歴史の勉強にもなりました。

 主人公の執事マテウシュ役のセバスティアン・ファビアンスキがイケメン!クールな野性味があって、鋭い目つきや鋼のような長身の肉体など、ユルんだ感じが微塵もないシャープな風貌。スウィートな王子さまではなく、どちらかといえば悪役のほうがハマりそうな酷薄な美しさ。ヘルムート・バーガーをワイルドに、内野聖陽をキツくした顔に見えたのは私だけ?ラフなシャツ姿もパリっとした執事の制服も、まるでモデルのような着こなし。執事って有能でもブサイクだとなれない職業なの?ブス男の執事って見たことないですよね~。10代20代のシーンはちょっと無理もあったけど、30代40代のシーンの彼はクールにシブくてカッコよかった!あんな執事いたら、夜伽を命じますわ

 ↑ポーランド俳優のセバスティアン・ファビアンスキ。冷たくて鋭い男らしさがイケてますね。アメリカ映画に出たら確実に悪役やらされますね。似合うと思うので見たい!
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オヨヨ 情痴哀歌

2019-07-30 | その他のヨーロッパ映画
 「COLD WAR あの歌、2つの心」
 1949年冷戦下のポーランド。ピアニストのヴィクトルと歌手志望のズーラは、音楽舞踊学校で出会い恋に落ちる。スターリン崇拝強制を嫌うヴィクトルは、ズーラと共に西側へ亡命しようとするが、ズーラはそれを拒絶。数年後、パリで暮らすヴィクトルの前に、公演のためフランスに来たズーラが現れるが…
 去年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞し、今年のオスカーでは外国語映画賞だけではく監督賞、撮影賞にもノミネートされ話題となったポーランド映画。傑作との評判もですが、大人の恋愛映画というが私が観たいと思った最大の要因です。もういい加減、漫画映画、学芸会演技には飽き飽き、辟易してるので(好きなイケメンが出てるので観ちゃうけど)。この映画のヴィクトルとズーラ、フランソワ・トリュフォー監督の秀作「隣の女」を私に思い出させました。離れていたら狂ってしまう、そばにいたら燃え尽きてしまう…そんな情熱的で破滅的な恋なんて、心が冷めてる情の薄い人や、常識からはみ出すことを恐れる小心な人(どっちも私やんけ)の目には、愚かな痴情としか映らない、けど同時に、強い憧れも抱いてしまうのです。

 才能も地位も安全も、命さえ投げうってしまう誰かと出会える運命って、何という甘美な不幸でしょう。無味無臭な幸福よりも、生きてる実感を味わえそう。くっついたり離れたりを繰り返すヴィクトルとズーラが単なるバカップルに見えなかったのは、音楽と冷戦という特異でドラマティックな世界に二人が身を置いていたからでしょうか。とにかく劇中に流れる音楽が印象的で、物語に情感と哀感をもたらす素晴らしい効果。特に主題歌とも言える、邦題にも使われた「二つの心」のフレーズ、オヨヨ~♪が耳に残ります。デュエットのポーランド版も、ズーラがソロで歌うジャジーなパリ版も好き。
 
 ワルシャワ、ベルリン、ユーゴスラビア、パリと、ヨーロッパ各地でのめくるめく展開もドラマティック。冷戦下の人々の生活や、スターリン崇拝強制の様子も興味深かったです。今どきあんなプロパガンタパフォーマンスしてるのは、将軍さまが支配するあの北国だけ?政治色はそんなに濃くなく、あくまで恋愛の障害の一つな扱い。当時の東欧、もっと過酷で息苦しい生活を余技なくさえてるのかと思ってたけど、ヴィクトルもズーラも結構自由に動き回ってたので意外。二人の、ていうかズーラの性格が最大の障害で、あれじゃあポーランドだろうがアメリカだろうが関係なく幸せな恋愛はできません。でもまあ、二人にとってはあれこそが幸せだったんだろうけど。

 冷戦下の東欧、亡命、激しい女と優しい男、といえば大好きな映画「存在の耐えられない軽さ」とも共通します。ズーラのどこか荒んだニヒルなビッチさ、けだるげだけど内に秘めた熱情で男を翻弄し傷つけ虜にするファムファタールぶりは、往年のフランス映画のヒロインみたいで魅惑的でした。好感度の高い善い子ちゃんよりも好き。演じてるヨアンナ・クーリグは、ちょっとレア・セドゥ+ジェニファー・ローレンス、を地味にドライにした感じ?ヴィクトル役のトマシュ・コットは、物語が進むにつれいい男に見えてくるシブくてスマートな風貌。すごい長身。ちょっとスティング+ベッカム、を地味に濃ゆくした顔?

 外国語映画賞を争った「ROMA」同様、モノクロ映像が清冽で美しいです。「イーダ」でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したパヴェウ・パヴリコフスキ監督(名前覚えるのにしばらく時間がかかりそう)は、イギリスで育って映画の世界に入ったとか。そのせいか、どことなく英国映画っぽさが感じられました。最後に、この映画で最も感嘆し称賛したい点は、上映時間が1時間半しかないこと。最近は無駄に長い映画が多いので、これは本当にありがたい。ヴィクトルとズーラが離れている間どんな日々を送っていたとかほとんど描かれておらず、見事なまでに説明的なシーンも台詞も排除されてます。
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悪魔のような牧師

2017-09-10 | その他のヨーロッパ映画
 「ブリムストーン」
 19世紀末のアメリカ西部。言葉を話すことができないリズは助産婦をしながら、夫や娘と平穏に暮らしていた。しかし、村にやって来た新しい牧師を見た瞬間、リズは恐怖で凍りつく。牧師とリズは、誰にも言えない忌まわしい関係にあった…
 来年1月に日本公開決定!何か思ってた以上に陰惨で残虐な映画でした。救いようのない暗い物語が、うげげ!?と眉をひそめてしまう殺戮や暴力シーンてんこもりで描かれているんですよ。母体を助けるために出産時に赤ん坊の頭を割って殺したり、とか。腹を裂かれて飛び出た腸を首に巻き付けられて断末魔、とか。自分で自分の舌を切断、とか。トイレや教会で無残な首吊り死、とか。とにかく苦痛と血にまみれてます。それと、年端もいかぬ少年少女が、殺されたり性的虐待を受けたり。観る人に暗い気持ちやイヤな思いをさせるために作ったとしか思えぬ悪夢な映画でした。

 今まで数え切れぬほどの不幸なヒロインを見てきたけど、この映画のリズほど苦痛や恥辱、悲憤を味わい尽くすために生まれたかのようなヒロインはなかなかいないかも。父親であるキ◯ガイ牧師からの精神的肉体的虐待、母親が公衆の面前で自殺、初恋の男も殺され、逃亡したはいいが騙されて娼館に売り飛ばされ、せっかく幸せな結婚をしても血塗られた運命からは逃れられず、家族までも…と、世の不幸を一身に集めているかのような女。でも、ぜんぜん可哀想とは思えなかった。なぜなら、彼女以上に関わる人々のほうが悲劇的な末路を遂げてしまうから。累々の屍を越えて、心身ともに傷だらけになりながらも生き残るリズ、まるで呪われた疫病神みたいでした。

 タイトルの“Brimstone”とは、日本語に訳すと“硫黄”、聖書では地獄を表す言葉なんだとか。まったく宗教とは縁のない私などからしたら、まったくもって理解も共感もできない、敬虔を通り越して狂信的な信仰のおぞましさも、この映画をホラーにしてます。4つの章で構成されているのですが、リズの平穏な生活が牧師の登場で壊れる現在→娼婦ジョアンナが牧師と再会→少女ジョアンナと両親の異常な関係→最初に戻ってリズと牧師の最終対決、と現在過去が錯綜する構成になってるのが面白かったです。それぞれに宗教的なタイトルがついてたのも英語の語彙の勉強になりました。海外旅行に行っても、絶対使わないだろうけどあと、2時間30分近くもあって、長い映画が苦手な人にはキツいかもです。
 リズ役は、かつての名子役ダコタ・ファニング。ちょっと前に観た「リチャード・ギア/人生の特効薬」など、すっかり大人の女優になった彼女ですが、でもどこかまだ幼さが残っている、未発達な雰囲気がちょっと安達祐実っぽいです。娘がいる役も、母親というより年の離れた姉にしか見えなかったり。バックから客に激しく突かれたり娼婦な演技も、何だか居心地の悪さしか感じませんでした。もうちょっと成熟したら、ケイト・ウィンスレットっぽい風貌になりそう。
 悪魔の牧師役は、大好きなガイ・ピアース

 ガイピー、何でこんな役を引き受けたの?!宗教き◯がいなだけでなく、SMロリコン変態な殺人鬼、という悪役というよりキワモノ役。狂った宗教観を振りかざし、大真面目に異常な言動を繰り返すガイピーが怖くて笑えます。ウゲゲなことばかりするガイピーですが、初潮を迎えたばかりの娘の入浴姿をこっそりのぞき見してる姿が特にキモくて、でも何か可愛くて笑えた。き◯がいでも変態でも殺人鬼でも、やっぱ男前どうでもいい俳優のヒーロー演技より、ガイピーの変態演技のほうが100倍いい。上半身裸で自分をムチ打つドMシーンも、セクシーで素敵でした。
 少女ジョアンナが出会う無頼の若者役で、キット・ハリントンが登場。

 キット、可愛いジョアンナに豚小屋で匿われてるキット、まるでイケメンペットみたいで萌え~。腕っぷしが強く頭が良くて屈折してるけど、どこか人が善さそうで甘いところがある役って、キットに最も似合う役ですね。ジョアンナを悲惨な運命から救ってくれる騎士な役なのかな?と期待してたのですが、え!?うそ?!と目がテンになってしまったほど、あっという間に消えちゃいます。キットの無駄づかいはヤメロ!

 牧師の妻役のオランダ人女優カリス・ファン・ハウテンは、キットと同じく人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」に出演してるとか。何とこの映画の共演が縁で、ガイピーと恋におちて彼の子どもを出産!あんな異様で悲惨な夫婦だった二人が、幸せなカップルになるとは。すごい違和感。

 ↑ガイピーもいつの間にか50歳。今でも全然イケてますたくさんある新作の中では、シアーシャ・ローナン主演の時代劇“Mary Queen of Scots”が特に楽しみ!

 ↑キットの最新作は、何と!グザヴィエ・ドラン監督の初英語作品“The Death and Life of John F. Donovan ”です。ジェシカ・チャステインやナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツといった大物女優たちを脇に従えての主演!ドラ美とキットの親密そうな撮影現場に萌え~
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ガエルとコーカサス婚前旅行

2013-09-12 | その他のヨーロッパ映画
 ぐぁー!!!またやってもうたー!!
 駐禁!!
 6分しか停めてなかったのに~ひどいっ
 違反者ハンターな緑のおじさんたち、ノルマでもあんのかしらん。私、罠にかかった小鹿な気分です緑のおじさんほど、嫌われ憎まれる仕事もないよなあ。でもまあ、油断した軽率な私が悪い…反省。でも、罰金イタすぎる。美味しいもの食える、靴が買える金額ですもん。罰金ほど悔しい金の無駄づかいはないですよねえ。皆様も、ご注意あれ~☆もう当分、車に乗りたくないです…

 「ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星」
 結婚を目前にしたアレックスとニカは、バックバック旅行で訪れたグルジアのコーカサス山脈でトレッキングを楽しむが、ある出来事がきっかけで二人の間には深い溝ができてしまい…
 mi novio ガエル・ガルシア・ベルナル主演作です。私にとって理想の男といっていいガエルっち。この作品でも、相変わらずのカッコカワイさ。今回はヒゲづらだったので、ちっこくてガッチリムッチリした体格も手伝って、まるで小熊みたいで超可愛かった恋人への優しい態度やまなざしなど、ガエルって実際にもこんな男なんだろうな~と見とれてしてまうほど、演技っぽくない自然さ。バックパッカー役でも、ビンボーくささや不潔感は微塵もなく、ほのかに品があって。ワイルドだけどガツガツしてなくて、大人の男の落ち着きや余裕があって。決して知的ぶってないのに、すごく賢そうで。ただ優しくて知的なだけでなく、エロいところがガエルの魅力。夜になると、ガォーとニカにのしかかり、彼女のパンティの上に顔を埋めてエッチなことをし始めるアレックスは、まさに欲情した荒い熊。草食と肉食が絶妙にブレンドされてる男、それがガエル・ガルシア・ベルナルです。狭く暗いテントの中、近くに他人がいるのを気にしながら、ガマンできず息を殺して求め合う…これって興奮するんですよね(笑)。あ~ガエルみたいな恋人と、楽しくエッチなトレッキングしてみたい♪あと、ガエルの英語も好き。母国語スペイン語の時は、ちょっと早口で攻撃的な感じがするけど、英語の時はソフトでスウィートな感じがします。

 ほぼバカップル状態で、イチャイチャラブラブで大自然を満喫してたアレックスとニカの仲に、あることが原因で亀裂が入ってしまうのですが。うう~ん。アレックス、やっちまいましたねえ。まあ私だって彼氏があんなことしたら、ガーン!となって百年の恋も冷めるでしょうけど。でも…私だって実際にあんな状況になったら、アレックスと同じことしそうですがなので、アレックスに同情。ショックと絶望で冷たくなったニカになすすべもなく、彼女のうしろをトボトボしょんぼり歩いてるアレックスが、これまた怒られてショゲながら一生懸命謝り方を考えてる子どもみたいで可愛くて。

 ニカの心境も痛いほど解かります。アレックスの行為は許せても、もう愛を信じることはできくなることも。でも所詮、誰も自分自身がいちばん大切なんです。恋人だからといって、過大な期待はするべきじゃないのです。静かで美しい大自然も、華やかな喧騒に満ちた都会も、人間が生きてるのは孤独な惑星なのでしょう。
 映画そのものは、アレックスとニカが美しい自然の中を歩き続ける、ただそれだけ、とも言える内容。ヒーリング映像みたいなので、観てると眠くなるかもしれません。映画の主役は人間ではなく、コーカサスの美しい自然。清澄で壮大な緑の美しさときたら。地球上にまだこんなにも文明に汚されてない場所があるのか、と驚嘆すること請け合いです。行ってみたいなあ。

 ↑かなり前に、「ジュリエットからの手紙」(左)と「私だけのハッピーエンディング」(右)も観たのですが…前者はコックさん役、後者はお医者さん役のガエルは文句なしにカッコかわいかった!が、イケメンなら誰がやってもいいような役でガエルの無駄づかい。映画そのものもトホホすぎる内容で、感想が書けませんでしたガエルって、ヨーロッパや南米の才能ある監督の個性的なアート作品やメッセージ性のある社会派映画に出て、自身のプロダクションでもそういった良作を製作したいんだけど、そのためには金がいるので仕方なしにギャラ目当てでスウィーツ系ハリウッド映画にも出てる…って感じがします。ハリウッドにも巨匠や名匠いっぱいいるのになあ。そろそろガエルも、カンヌとかオスカーなど彼にデカい賞をもたらす作品に巡り会っていい頃!
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ミ・アモーレな男たち!

2013-07-04 | その他のヨーロッパ映画
 梅雨の断末魔なのでしょうか。昨日から、ひねもす大雨…
 真昼間なのに、外は真っ暗。話声さえ聞こえなくなるような雨の轟音。そして、恐ろしい雷の光!ああ~家に生きて帰れるかしらん、何年か前の豪雨で悲惨な目に遭った悪夢再び?!不安と恐怖に苛まれ、仕事も手につきませんでした。
 命からがら、疲労困憊で何とか生還できました。今も雨脚は強くなるばかり。激しい雨音も優しい子守唄になってしまうほど、幸せな温かさに頬をうずめながら眠った夜も、今は遠い昔…雨夜の独り寝も、また安らげる幸せと知るmy rainy daysです♪

 「ミステリーズ 運命のリスボン」
 19世紀前半のポルトガル、リスボン。ディニス神父の保護のもと教会で育った少年ジュアンは、母のアンジェラが伯爵と結婚する前に別の男と愛し合い自分を産んだことを知るが…
 日本ではほとんど作品が公開されていない、チリ出身のカルト(?)な巨匠、故ラウル・ルイス監督晩年の作品。私は「犯罪の系譜」しか観たことがなく、何だかワケワカメすぎる映画だったので正直とても不安だったのですが…恐れてたほど難解でも退屈でもなく、爆睡や途中リタイアすることなく最後まで観ることができました。ただ、この映画…前編・後編構成の4時間半!の超大作。とてもじゃないけど一気に観ることはできず、昼ドラ観てるつもりで1日30分ずつチビチビと(笑)消化しました。
 長い年月を経て、リスボンやヴェネツィア、パリなどヨーロッパ各地で繰り広げられる、暗い愛憎と運命の物語。大河ドラマ調の壮大なメロドラマです。「風と共に去りぬ」のようなドラマチックさとか、昼ドラみたいなドロドロしい面白さはなく、ゆったりと幻想的なムードと展開なので、メリハリのきいたスピーディなドラマが好きな人には、かなり緩慢で退屈かもしれません。私も何度か睡魔に教われました登場人物が多く、彼らの運命の絡みと現在・過去の錯綜が複雑なので、ウトウト観てるとわけがわからなくなります。私、何度巻き戻ししたことか。いちおうジュアン少年が軸になってるんですけど、ディニス神父など他の人物の生い立ちや恋もどんどん話に重なってきて、誰が主役なのか分からなくなります。でも、散漫なようで、ちゃんと後でうまく人物たちがつながって、ああそうだったのか!と謎が解けるようにはなってます。
 妻監禁DVとか、女ストーカーとか、昔も今も愛でコワレてしまった男女って不変なんだなあ、なエピソードも興味深かったです。
 この映画、お話よりも美しい映像や衣装に心奪われます。優雅で流麗、かつ重厚で陰鬱なムードは、ハリウッド映画では味わえない、まさにヨーロッパな耽美。貴族の衣装や屋敷の調度品、絵画だけでも見る価値あり。
 あと、イケメン度、男前度が想定外に高い映画でもありました。
 主人公のジュアンが、ビツクリするほど美少年!

 情熱的だけどメランコリックな美しさで、将来スゴい美男になりそう。青年になったジュアンが、ブサイクではないけどフツーになってしまってたのが残念。
 この映画を観たのは、大好きなフランスのボーギャルソンが二人も出てるから♪

 若き日のディニス神父に深く関わる将校役、メルヴィル・プポーが、カッチョよかった~相変わらずの美男ぶり、軍服も彼が着ればオシャレな感じ。真っ赤なコートも似合ってた。しかし、出番は正味5分ぐらい!すぐに消えますメルヴィルはルイス監督の寵童だったらしく、子役時代から監督の作品に出演してたとか。
 フランスの子爵役で、マリク・ジディも後編に登場。

 おお~久々のマリくん、彼もやっぱイケてますねえ。クールで知的だけど優しそう。マリくんは、メルヴィル以上にチョイ役!で、正味3分
 とまあ、せっかくのボーギャルソンが、何と言うもったいない使われ方を。もったいないオバケ出るぞ、ほんま。
 フランスで今いちばん旬の女優と言われているレア・セドゥも、重要な役ながらチョコっとしか出てません。フランスの人気スターたちは、まさにゲスト出演って感じでした。

 謎の成金アルベルト役のポルトガル人俳優、リカルド・ペレイラが、なかなかの男前でした。ほどよく濃くて、男の色気がある風貌。いちばん目立つ美味しい役だったかも。リカルド・ペレイラ、調べたら1979年生まれだとか。ガエルや小泉孝太郎より年下か~。見えないなあ。老けてるのではなく、大人の男っぽすぎる。

 ハリウッドのイケメンとはまた趣が違う、フランスのボーギャルソンたち。メルヴィルは性転換する男性を演じた「わたしはロランス」、マリくんはラブコメ「アナタの子供」が、今年のフランス映画祭で上映されました。どっちも早く観たい!

 マリくんの近作の中では、フランスの女流画家ベルト・モリゾを描いたTV映画“Berthe Morisot”が観たい!エドゥアール・マネに扮したマリくん、カッコカワイイ!時代劇も似合っててトレビアン

 そ、そして、これ!イタリア映画“amaro amore”は、ドロドロ昼ドラっぽい内容で、マリくんは男と…!!日本公開は期待できないので、輸入盤DVDを買おうと真剣に考慮中です
 

 
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