意外と社会派(予定)

赤熊の辛口社会派(予定)ブログです。
天佑自助が赤熊の基本理念です。

植物学 座外 なぜ紅葉するのか?

2009年11月17日 | 植物学講座
今の時期、紅葉が綺麗ですね。
でも この紅葉、なぜ紅葉するかわかってません。

・・・ああ、もちろん紅葉のメカニズムはおおよそ解ってます。

寒くなり日照時間が短くなると、葉っぱの中の葉緑素(クロロフィル)が分解されて行き、それと同時期に葉っぱの付け根に離層という組織ができ、葉と枝の間で水分や養分の行き来ができなくなる。葉が即座に枯れるわけではないので離層ができても糖類など作られ葉っぱに蓄積し、その糖から光合成を利用して新たな色素が作られ、その過程で葉の色が変化し、紅葉が起きる・・・というわけ。
ちなみに葉の色は赤は「アントシアン」、黄は「カロテノイド」、茶は「タンニン」という色素によって変わる。

ここまでは、解ってるんだけど『なんで紅葉しなければいけないのか?』が解っていないわけです。
要するに『紅葉するメリットは何?』って聞かれたら・・・答えられないんです。

一応、

『紅葉が鮮やかであるほどアブラムシの寄生が少ないことが発見され、アブラムシは樹木の選り好みが強く、一部の種は色の好みもあるとわかっている。そのため、紅葉は自分の免疫力を誇示するハンディキャップ信号として進化した、つまり「十分なアントシアンやカロテノイドを合成できる自分は耐性が強いのだから寄生しても成功できないぞ」と呼びかけているとみなせる』

と言う学説が出ています。(ハンディキャップ理論)

でも、正直・・・微妙だよね。
だってアントシアンやカロテノイドは直接害虫への耐性を高めるわけではないもの。
数百年以上も生きる樹木が、いつ変わるかも知れない虫の好みに合わせても意味がないでしょうし・・・。
それと紅葉が鮮やかになるのは、

・昼夜の気温の差が大きい
・夏が暑く日照時間が長い
・夏に充分な雨が降る

などの条件が必要で、ちょっと他律的すぎないか?
本当に効果があるのならもっと積極的に紅葉するはずだろう。
あと、同じ種類の樹木が周りにないと意味がないよね?
などなど、
この説自体は面白い考えだし、完全否定はできないけど、信憑性は薄いと思う。

他にも、紅葉の色素を使って地面を殺菌してると言う説もあるけど、アントシアンは不安定な物質だし、冬に殺菌するより春~夏にかけて殺菌した方が有効だよね。

じゃあ、赤熊はどう思うかって?
紅葉の色素を見て、ふと気付いたことがある。
アントシアン、カロテノイド、タンニン・・・。
これって、抗酸化物質だよね、全部。
抗酸化物質ってことは、紫外線に強いってことですけど・・・・・今から落とす予定の葉っぱを紫外線に強くさせる?
変だ。
・・・いや、ここに意味があるんじゃない?

紫外線が当たるとどうなるか?
ボロボロになるわけです。
抗酸化物質があるってことは、落ちた葉っぱがボロボロになっては困るってこと。

紫外線に当たる時期は・・・秋~冬の紅葉中ならびに葉っぱが落ちてから?
でも、雪が積もると関係ないよね・・・。
葉っぱを落とすのは、冬の乾燥や寒さから身を守るためで、紅葉する植物の多くは温帯のどちらかと言えば寒さが厳しい所に生える。
比較的寒さが厳しくない温帯地域は常緑樹が多いわけだし。

と言うことは、紅葉する樹木は、寒さが厳しいのが前提の植物ってことになる。
雪が積もれば、紫外線が当たらないから、その前までにボロボロにはならない必要があるということか。
・・・それに何の意味があるんだろう?

寒い地域の植物にとって、一番困るのは、寒さで枯死することだ。

地面を凍らせないために地面と雪との間に落ち葉を敷き詰め、できる限り空気の層を作り、地面が凍らないようにしてるのでは!!
この時、葉っぱがボロボロになって細かく砕けたら空気の層が上手く作れず、地面まで凍ってしまうかもしれない。
凍ってしまえば、根っこに致命的なダメージを受けることになる。
もし、予想外の大寒波が来て、幹の部分が凍ってしまい枯れたとしても、根っこさえ無事なら春には芽が出せる(はず)。
生き残るのに非常に有効な手段である。

とすると色々と謎が解ける。
ブナなどの茶色に変わる樹木の多くが雪が多い地域に生えており、タンニンによって茶色なるが、タンニンは苦味成分でもあり、虫もあまり食べない。
寒さに耐えるため、落ち葉を よりボロボロにされたくないわけだ。

逆に赤く色づくカエデなどは比較的寒さがマイルドな地域の植物であり、色素アントシアン自体も不安定な物質である。
そんなに効果は長く続かないが、そう寒くもならないので、そんなに根を守る必要もないだろうし、春になり速やかに虫が食べて分解してくれれば、春の芽吹きの栄養分として再利用もできる。
・・・黄色く変わるのは、その中間地域なのかな?

また、上記のアブラムシがなぜ、鮮やかに色づく木を避けるのかも答えることができる。
紅葉が鮮やかなのは、寒暖の差が激しい場所・寒さが厳しい場所に樹が生えているということだ。
冬眠するにしても、卵であったとしても、寒さが緩いところで越冬した方が生き残りやすい。
その目安になるからこそ、鮮やかに色づく木を避けるように進化したのだろう。

自分勝手な仮説ながら、そう考えたほうが自然だし、ハンディキャップ理論より合理的だと思う。

これで論文1本書いてみようかな?
赤熊が知らないだけで、もう論文出てたりして!!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿