意外と社会派(予定)

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植物学講座  9  ヒガンバナ

2010年09月23日 | 植物学講座
『彼岸花』・・・・・ユリ目 ヒガンバナ科 ヒガンバナ属 ヒガンバナ

今日はお彼岸の中日です。
なので、やっぱりこの花だよね。
死人花、地獄花、幽霊花・・・と、結構 物騒な異名が多い植物ですが、超有用植物のなのです!!!

(1)毒性
ヒガンバナといったら毒。
主な毒成分はアルカロイド系のリコリンと、ガランタミン。
全草に含まれているが、特に球根(鱗茎)に多く含まれてます。
食べると嘔吐、脱水ショック、下痢を引き起こし、最悪、死に至ります。
ただし、リコリンは水溶性なので水に晒せば毒は抜け、球根にはデンプンが20%程度含まれているので救荒食となり、飢饉の際に食べられてました。
この毒成分のおかげで、田圃の畦や土手に植え、穴をあける動物・・・主にネズミよけになります。
土葬時代は、犬や狐が墓を荒らさないように積極的に植えられたみたいです。
ちなみにモグラよけになるともいわれているが、モグラは肉食なのであまり関係がないみたいです。

(2)アレロパシー(他感作用)
リコリンには、毒成分としてだけではなく、アレロパシー・・・他の植物に影響を与える特性もあります。
このリコリンには他の植物の成長を阻害する作用があります。
特にキク科の植物に覿面。
キク科は雑草として強いものが多いので重宝します。
で、もっと有用なのはイネ科の植物にはあまり効果が薄いこと!!
つまり田圃の畦に植えておけば、畦に雑草を生やさないようにして、作物である稲の阻害をしないという心遣い。
天然の除草剤になるわけです。
完璧です!!(注:完全に稲の生育を阻害しないわけではありません)

(3)葉
ヒガンバナの葉っぱって見たことありますか?
見たことがないと言う人がほとんどだと思うのですが、花と一緒には出ません。
花が咲いたあとに、ニラに似た、細長い葉っぱを出します。
この葉っぱは冬の間だけ・・・春になると枯れ、秋の花が咲くまで休眠するのです。
要するに夏の農業が盛りの時期に邪魔にならないということです。
それどころか、前述のアレロパシーのおかげで雑草が生えにくいのです。
田圃の畦は人が通るところですから、邪魔にならないのは素晴らしいです。

(4)牽引根
ヒガンバナの球根が土に露出しますと、ヒガンバナは牽引根という特殊な根っこをだし、地中に球根を引き戻します。
なので、ヒガンバナを植えておけば、畦や土手で土の流失があっても、ヒガンバナがグッと土を固めてくれるのです。
除草にもなるし、堤防などにいっぱい植えておけば一石二鳥なのです。

(5)三倍体
日本のヒガンバナは全て3倍体・・・染色体が3本あるので、受精するときに減数分裂ができないため実をつきません。
全て分球で増えており、遺伝子的にいえばクローンです。(原産地の中国には2倍体のヒガンバナもあるそうです)
実をつけないので、勝手に田圃に侵入せず、仮に紛れ込んでも球根さえとってしまえばもう生えないわけです。
管理が非常にしやすいのです。
そしてなによりクローンなので、あの大きく美しい花がほぼ同じタイミングで咲きほこるのです。
園芸植物としてもこれほどの見ごたえのあり頑丈な植物も珍しいです。


纏めると、美しく、動物除けになり、土留め効果があり、除草剤になり、緊急時に食べられ、管理もしやすく、毒殺も可能!!
人間のため、農業のために存在する植物。
パーフェクトプランツです。
なんでこの植物が嫌われているのかわかりませんね。

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2 コメント

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彼岸 (とある日本人)
2010-09-23 19:19:19
彼岸花は私の地元では田畑や墓などで主に見かけますよ。
墓など荒らされないようにモグラよけも結構役立っているのではないでしょうか?田畑に多いのも納得ですね。

この記事を見て彼岸花を植えた先人の知恵がわかってよかったです。
毎年この時期にこの花を見るたびに思い出しそうです。
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管理人 (赤熊)
2010-09-24 18:12:46
とある日本人さん、こんにちは。

モグラ自体は肉食なので、ヒガンバナを無視するみたいです。
ただ、モグラのトンネルは巣であると同時に狩猟用のトラップでもあるので、毒をもつヒガンバナの近くに餌のミミズや幼虫が少ないことでモグラが土を掘りにくい・・・ということは考えられますね。
なので、本質的な防除にはならないと思います。

ヒガンバナは実をつけないので、先人達が全て一つ一つ植えていったんですね。
非常に丈夫な植物とはいえ、日本全国に植えていったことを思えば、ただただ、お頭が下がります。
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