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温家宝首相のサウジアラビア、アラブ首長国連邦歴訪によせて

2012-01-27 | ラジオ
旧正月を前に中国の温家宝首相とサウジアラビア、またアラブ首長国連邦、さらにはカタールの国王および首長は、政治経済関係をこれまで無かったほどのレベルにまで引き上げた。
昨年発生したアラブの春は中国の利益に大きな痛手を与えた。北アフリカのチュニジア、エジプト、そしてアラビア半島のイエメン、またシリアになされた中国の巨大な投資の見通し展望は、失われたか不明となっている。
この地方での中国の新たなプロジェクトにとって、高い政治リスクが非常な障害となってしまった。
温家宝首相の今回の歴訪は、アラブ首長国連邦など、アラブ世界東部における中国外交の突破口を開く初めてのものになったとして注目を集めている。
リヤド、アブダビ、ドーハでは銀行間や投資また石油ガス分野での協力に関する数々の巨大な契約が結ばれた。

温家宝首相の歴訪を総括して、ロシア科学アカデミー極東研究所のポルチャコフ副所長は、ロシアの声のインタビューに対し次のようにコメントしている。
「訪問は事前には計画されていなかったと考え得る根拠がある。中国をしてこの一歩を踏み出させたのは、アメリカとイランの新たな関係の悪化、
とりわけホルムズ海峡ゾーンで、状況が緊迫化したことによって自国のエネルギー安全保障が脅威にさらされるという懸念だ。
イラン産の石油の供給がストップするのではないかという脅威は、中国とペルシャ湾岸諸国との強力の活発化を促し、それによって中国はアメリカに取って代わる世界経済の現実的な中心としての地位を、改めて維持する事に成功したといえる。
この地域での問題が最悪なものになっても、中国は疑いなく、何らかの損害をまた損失を受けるでしょうが、今や危険防止策を取ったと言える」
副所長は、このようにコメントしている。

サウジアラビアは温首相に石油の追加供給を保障した。中国の石油輸入量において、サウジアラビアの占める割合は、およそ20%に達する。
サウジアラビア国営石油公社アラムコと中国のシノペスとの間で、紅海沿岸の港町ヤンブにおける石油加工工場建設に付いての合意が締結されたが、これによって両国間の石油を通じての友好は強まった。この新工場は、一昼夜40万バレルの重油を加工する。
85億ドルの契約はシノペスにとって中東で結んだ、同じような契約として最大規模ものとなった。
またシノペスはアブダビ国営石油と共同で、中国の技術と経済専門家参加のもと、アラブ首長国連邦における石油ガス田開発を行う事で合意をみた。双方はさらに石油化学や、石油産業関連設備の製造分野でも協力を拡大した。

温家宝首相はカタールで液化天然ガスの買い付け拡大に言及した。今年、中国南部の広東省や福建省では、一連のLNG関連施設の建設が終了する。
あらゆる事から判断して、それらは先ず第一に、カタール産の液化天然ガスを念頭においたものだと言える。
なお温家宝首相は、今後の世界のエネルギー問題を話し合うアブダビでの、国際再生エネルギーサミットに出席した折、エネルギーバランスにおいて再生エネルギーの割合を飛躍的に増やし、石油、石炭、ガス燃料への依存から脱皮してゆくとも明言した。
世界の石油採掘中心地での、そうした発言は一種デモンストレーションとも言えるだろうが、中国が新たに価格交渉をする場合、それはプラスになると思われる。

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1月20日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル