みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

ミニボックスEシリーズあれこれ その3

2008年08月22日 01時26分00秒 | キット評
 さてさて、エッシー「ドイツ野戦砲セット」の話にまたもどっちゃいます。手元にありながら、今まで全く認識していなかったのですが、エッシーの赤箱とハセガワEシリーズとでは、箱絵の図柄が違っているんですね。背景の有無だけではありません。そこに描かれている砲や機関砲や兵士の絵が、全く違っているんです。37ミリ対戦車砲はそもそも向きが異なりますし、20ミリ四連装Flak38は防盾の有無が異なります。75ミリ対戦車砲もやはり違う絵です。
 なぜそんなことを気にするのかと言いますと、Eシリーズの他のキットでは、基本的に背景が白抜きかそれとも風景か、という違いだけで、車輌や兵士の絵はエッシーのオリジナルと全く同じものであることがほとんどだからです。まあ、絵を変えることくらいあるわいな、と思われるかもしれませんが、よく考えるとこれがまた考証のネタになるんです。
 私は子供の頃、近所の模型店でハセガワEシリーズにあこがれて、時々入荷すると嬉々として買い込んでおりました。それが後に都会に出て、エッシーの直輸入のキットを手にしたわけですが、その時には、背景が描かれたエッシーの箱絵から、車輌や人物を切り取ってきて白抜きの背景にしたのがEシリーズだと思っていたんです。つまり、

  背景付きの箱絵=エッシー直輸入版
   ↓
  (背景をカット)
   ↓
  白抜きの箱絵=ハセガワEシリーズ

だと思っていたんですね。だって直輸入版がオリジナルだと、普通思うじゃありませんか。
 ところが最近、実はそれは逆で、エッシーオリジナルの古い箱絵は車輌のみの白抜きで、後になって背景が描き込まれたんだ、という話を聞きました。つまり

  白抜きの箱絵=エッシーの初期製品 → ハセガワEシリーズ
   ↓
  (背景を追加)
   ↓
  背景付きの箱絵=エッシーの後期製品

ということです。そして今採り上げている「ドイツ野戦砲セット」の箱絵の変更は、このことと辻褄が合うんです。
 「ドイツ野戦砲」の二種類の箱絵をよく見てください。もしも白抜きの絵が先で、後から背景を追加しようとすると、うまく行かないことがおわかりでしょうか。白抜きの絵では37ミリ砲と75ミリ砲と四連装対空機関砲とがそれぞれ独立で描かれていて、地面の位置や向きと遠近感がそれぞれ異なっているのです。だからこのままで全部の砲に共通の一つの地面を描き込むことは不可能なんですね。だからこそエッシーは、後に背景付きの箱絵を作る際に、白抜きの絵は一切利用せず、砲も人物も背景と一緒に新たに描き起こしたわけです。もちろんみんな同一の平面上に配置されています。
 もしも背景付きの絵が先だったと仮定するならば、後で白抜きの絵を作るためには単に背景を消せばよい。あるいは砲や人物だけを切り抜けばそれでよい(事実同シリーズの他のキットはそうなっている)。わざわざ描き直さなくてもよいはずです。つまりこのEシリーズとエッシー赤箱の絵の違いというのは、白抜きが先で、背景付きの箱絵が後から発売された、ということを語っていると考えてよい。
 ついでにもう一つ、四連装対空機関砲の防盾について。古い方の白抜きの絵では、防盾無し。後の背景付きの絵では防盾付き。勘ぐりすぎかも知れませんが、キットの機関砲は防盾付きになっている。だから箱絵と中身を合わせるために防盾を追加した、と考えるのが自然ではないでしょうか。防盾が描かれているのに、わざわざそれを削除する、ということよりは可能性が高い。これも白抜きが先、ということと辻褄が合います。
 実は他のキットにも、白抜きが先で背景が後から描かれた、ということを示す証拠というのはあるんです。それはまた後のブログで語りたいと思いますが、いや、模型製作に直接関係なくて申し訳ないんですが、もうエッシーのキットを愛するが故の重箱の隅つつき、ってことでここはまあ…。
 ところで、Eシリーズの方の75ミリ砲の絵はイタレリかどこかから出ていた1/35の75ミリ砲箱絵に似ているような気がするんですが、どなたかご存じありませんか。