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輝け二十八の瞳 ~学び合い 支えあう教室~

2012-06-16 23:57:26 | 教育・子ども

 輝け二十八の瞳 ~学び合い 支えあう教室~

子どもたちが、生き生きと学ぶ小さな教室がある。山梨県の身延町立大河内小学校3年生、14人のクラス。担任の古屋和久先生は、一方的に教えるのではなく、子どもたちに疑問を投げかけ、お互いに考えさせる。

子どもたちは、わからないことがあれば、必ず友だちに聞く。聞かれた子は、自分なりの考えを一生懸命に説明する。ここは、子どもたちがお互いに「学び合う教室」だ。2月5日、NHKETV特集番組が放送され、大きな反響を呼びました。あらためて「学力とは何か」を学びました。

今、教育現場では、子どもたちの「考える力」や「コミュニケーションの力」の低下が大きな課題になっている。
一方、大人の社会でも、個人と個人のつながりが分断され、他者への無関心が様々な社会問題を生んでいる。
古屋先生は、思考力や自我が芽生える時期にこそ、お互いの考えをやりとりする「学び合い」が大切だと考えている。

そんな「学び合い」の出発点は「わからない」と問うこと。
しかし、従来の一般的な「一斉授業」では正解を求められるのが常識のため、子どもにとって「わからない」をさらけ出すのは難しい。
子どもたちは葛藤を経験しながら、お互いの「わからないこと」を認め合い、高め合っていく。

子どもの持つ力を信じ、時に厳しく、時に暖かく、彼らを見守る古屋先生と、お互いの個性を認め、支え合って成長していく子どもたちの、「学び合う教室」を見つめる。スタジオゲスト: 佐藤学(東京大学教授) 重松清(作家)でした。

習熟度別学習、ドリル学習では学力は向上しない

  ーインタビュー佐藤学さん

--学力低下が言われ、習熟度別学習やドリル学習に取り組む学校が出てきました。

 ドリル学習、習熟度別学習が普及することで、ますます低学力になっています。肝心なことは、学びの質をどのように保証するか。さまざまな学力テストの結果を見ると、実は読み書き、計算の力は落ちていない。問題なのは、問題解決や探求、適切な情報を選択して思考する力。教科書で言うと発展問題を考える力です。ところが、みんな大騒ぎして計算問題などに時間を注いで、さらに学力が低下する結果になっている。

--習熟度別学習は効果的ではない?

 諸外国でも効果を上げている例はありません。上位6分の1とか8分の1の子供たちにとっては有利に機能しますが、中位、下位の子供たちはより下のレベルに落ちてしまう。また、日本でも経済的に恵まれている子もいれば、そうでない子もいます。習熟度別に3段階に分けると、明らかに上位には、経済的にも上位の子が、下には下の子が集まる。差別の再生産としての機能が大きいのです。

--しかし、習熟度別は「子供の能力に応じた分かりやすい授業」と言われます。

 アンケートを取ると、習熟度別に賛成の意見は多いです。子供にとっても、今まで分からなかったことを丁寧に教えてもらえる。教師にとっても、これまでよりじっくり教えられて手ごたえを感じるわけです。これが“罠”。

--“罠”とは?

 習熟度別学習で分かりやすく教えられるのは、レベルを下げて、時間をかけているから。しかし、上位の子たちはどんどん発展問題をするのに、下位の子は例題1で止められてしまう。それではできないままです。

--例題1をしっかり理解することよりも、発展問題に挑戦することが大事?

 もちろんです。学力には「下から積み上げる学力」と「上から引き上げる学力」があります。具体的な例を挙げると、教育内容の削減で小学校では台形の面積を教えなくなりましたが、ほとんどの子供は台形の面積について学ぶことで、三角形の面積の理解が進む。“腑(ふ)に落ちる”わけです。

--台形の面積を求めるのに、三角形の面積の求め方を応用するからですね。

 学校の学習は、より抽象的で高度な内容を学ぶことで、低次の学習が強化される形になっています。経験すればいいというものではない。他の例で言うと、木の葉をいくら集めても光合成のことは分からないでしょう。しかし、光合成の概念を知ることによって、木の生命の不思議とか、海の底でなぜ昆布が生きられるか、といったことが分かる。

--ドリル学習も効果はないですか?

 計算や漢字は活用を通して身につくので、機能的に学ぶ必要がある。反復練習で身につくのは、体で覚えることです。幼稚園児のころにアメリカで暮らして英語が話せたとしても、帰国して中学1年生になった時には話せないでしょう? しかし、発音は残る。自転車の乗り方も同じです。

--では、反復練習で効果があるのは体育や音楽?

 そうです。国語でもリズムや語感は反復練習で身につきます。意味が分からなくても、俳句や論語を暗唱するのは非常に重要なことですよ。その代わり、良いテキストを使わないとマイナス効果になります。

--計算や漢字は反復練習では身につかない?

 あなたは九九ができますね? それは3年生の時に暗唱したからではなくて、その後九九を使ってきたからです。基礎的な知識を身につけるには、活用の場を作ると効果的です。例えば、2年生から6年生までの漢字を一通り書いて覚えても、5年生の漢字に取りかかるころには2年生の漢字は忘れてしまう。それよりも、野球が好きな子には、野球ニュースを毎日書かせて話し合う方がいい。新聞も読むようになる。(つづく)