【はじめに】裁判所というのは、地裁やら家裁やら簡裁やら、そのほかに高裁や最高裁まであって、なんでこんなに分かれているのかと不思議に思われる方もおられることかと思います。
これを全部説明しているといくら時間があっても足りませんので、本日は地裁と簡裁についてお話しします。
地裁の正式名称は地方裁判所、簡裁の正式名称は簡易裁判所です。
【地裁か簡裁かは請求額によります】裁判を起こす(訴訟を提起する)のに地裁なのか簡裁なのかというのは、請求金額によって決まります。
被告に請求する金額が
140万円以下→簡易裁判所
140万円を超える場合→地方裁判所
です。
それでは140万円以下の金額、例えば30万円とか50万円の請求だったら簡裁で最後まで面倒を見てくれるかというと、これがそうとも限らないからややこしい話です。
【簡裁の得意分野】
これは簡裁が得意とするものと、不得意とするものがあるからです。
簡裁の得意なものとして、貸金の請求事件
があります。今ても簡裁で一番多い事件は貸金請求事件ではないでしょうか。
貸金業者からの取り立てのための請求を代表格として、貸金請求事件は簡裁が最も多く受付けるものの一つです。
交通事故事件も簡裁の守備範囲です。
140万円以下の請求に限られますから、人身事故よりも物損事故の割合が多くなります。
「わかりやすい物損交通事故紛争解決の手引」という本が民事法研究会というところから出版されているのですが、著者は簡裁の裁判官です。
【簡裁は事件を地裁に移送することができる】
それ以外の事件となると、簡裁はあまり得意ではないらしく、簡裁で判断するのを嫌がります。
裁判官が判断を渋るということを不思議に思われる方もあるかもしれませんが、簡裁の裁判官に味方する規定が民事訴訟法にはちゃんとあるのです。
(簡易裁判所の裁量移送)
簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる(民事訴訟法18条)
法律の条文というのはどうも読みにくいものですが(20年以上弁護士をしていますが、未だ条文の取っ付き憎さには辟易しています)、つまりはこういうことです。
「簡裁の裁判官が『相当』と思ったら、地裁に移送して良いよ」
これはまた随分簡裁に甘い規定ですが、結構活用されています。
【地裁に移送される事件の例】
例えば、労働法に絡む事件。損害賠償請求といっても、交通事故のような件数の多いものではなく、典型的でないもの。
このような事件については、ある程度審理を進めて、和解ができそうにないなと思ったところで、伝家の宝刀を抜いて地裁に移送するというのが簡裁の手法です。
地裁に移送されますと、地裁の担当の裁判官が決まり、そこでまた審理が始まります。
このように簡裁で全てやってもらおうと思っても、簡裁裁判官が地裁に移送するということがありますので、注意が必要です。
これを全部説明しているといくら時間があっても足りませんので、本日は地裁と簡裁についてお話しします。
地裁の正式名称は地方裁判所、簡裁の正式名称は簡易裁判所です。
【地裁か簡裁かは請求額によります】裁判を起こす(訴訟を提起する)のに地裁なのか簡裁なのかというのは、請求金額によって決まります。
被告に請求する金額が
140万円以下→簡易裁判所
140万円を超える場合→地方裁判所
です。
それでは140万円以下の金額、例えば30万円とか50万円の請求だったら簡裁で最後まで面倒を見てくれるかというと、これがそうとも限らないからややこしい話です。
【簡裁の得意分野】
これは簡裁が得意とするものと、不得意とするものがあるからです。
簡裁の得意なものとして、貸金の請求事件
があります。今ても簡裁で一番多い事件は貸金請求事件ではないでしょうか。
貸金業者からの取り立てのための請求を代表格として、貸金請求事件は簡裁が最も多く受付けるものの一つです。
交通事故事件も簡裁の守備範囲です。
140万円以下の請求に限られますから、人身事故よりも物損事故の割合が多くなります。
「わかりやすい物損交通事故紛争解決の手引」という本が民事法研究会というところから出版されているのですが、著者は簡裁の裁判官です。
【簡裁は事件を地裁に移送することができる】
それ以外の事件となると、簡裁はあまり得意ではないらしく、簡裁で判断するのを嫌がります。
裁判官が判断を渋るということを不思議に思われる方もあるかもしれませんが、簡裁の裁判官に味方する規定が民事訴訟法にはちゃんとあるのです。
(簡易裁判所の裁量移送)
簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる(民事訴訟法18条)
法律の条文というのはどうも読みにくいものですが(20年以上弁護士をしていますが、未だ条文の取っ付き憎さには辟易しています)、つまりはこういうことです。
「簡裁の裁判官が『相当』と思ったら、地裁に移送して良いよ」
これはまた随分簡裁に甘い規定ですが、結構活用されています。
【地裁に移送される事件の例】
例えば、労働法に絡む事件。損害賠償請求といっても、交通事故のような件数の多いものではなく、典型的でないもの。
このような事件については、ある程度審理を進めて、和解ができそうにないなと思ったところで、伝家の宝刀を抜いて地裁に移送するというのが簡裁の手法です。
地裁に移送されますと、地裁の担当の裁判官が決まり、そこでまた審理が始まります。
このように簡裁で全てやってもらおうと思っても、簡裁裁判官が地裁に移送するということがありますので、注意が必要です。