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個人情報ファイル簿の作成公表義務

2023年01月16日 | 地方自治体と法律
個人情報ファイル簿の作成公表義務-地方自治体と改正個人情報保護法

〈個人情報ファイル簿の作成公表義務〉
改正個人情報保護法により、自治体には個人情報ファイル簿の作成公表義務が課せられますした。
「個人情報ファイル簿」とはどのようなものかを押さえておきましょう。
既に公開している自治体があります。
例えば、千葉県市川市では以下のようなものです。

個人情報ファイル簿|市川市公式Webサイト

個人情報ファイル簿をご覧いただけます。

市川市公式Webサイト



「個人情報ファイル簿」の定義は、「保有する個人情報ファイルの名称、利用目的、記録項目などの個人情報ファイルに関する概略を記載した帳簿」です。
個人情報ファイル簿の作成・公表義務が創設された理由ですが、自治体がどのような個人情報ファイルを保有しているのかを国民に広く知ってもらうことにその趣旨があります。
個人情報ファイルというのは、大雑把には個人情報のデータベースのことだと押さえておいていただければ良いかと思います。
正確には次のような意味です。
個人情報ファイル:保有個人情報の集合体であって特定の保有個人情報を検索できるよう体系的に構成されたファイル(法60条2項)
先ほど作成・公表義務があると申し上げましたが、例外が割りと幅広く認められています。
(例外)
①本人の数が1000人未満の場合
②1年以内に消去される個人情報のみを記録している場合
③職員等又は職員等であった者に係る人事、給与若しくは福利厚生に関する事項を記録した個人情報ファイル(職員の被扶養者又は遺族に関するものも含む)
①の要件は自治体の規模によって影響されそうです。人口規模が小さければ、①に該当するものは少なくなるでしょう。
①の要件に該当するとしても、②の要件に該当すれば、個人情報ファイル簿を作成する義務からは免れます。1年以内に消去することができるかどうか検討すべきでしょう。個人情報は適宜消去しなければならないものですので、その消去時期を1年以内にできるか否かをこの機会に検討しておいた方が良いでしょう。

〈要配慮個人情報について〉
個人情報ファイル簿では、要配慮個人情報について記載することとなっているので、ここで要配慮個人情報について触れておきます。
要配慮個人情報とは、「人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴等の記述が含まれる個人情報」のことです。
改正個人情報保護法では、「法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な場合に限定」「特定された利用目的の達成に必要」な場合に個人情報を取得できるとされており、要配慮個人情報についてもこの規制に従うことになります。
この点、従前は、要配慮個人情報については、原則取得できず、例外的な場合に取得可能とする条例を制定している自治体もありました。本人に不利益が生じかねない、センシティブな情報だからその取得を制限しましょう。基本的には取得はダメで、法令で取得OKとなっている場合とか個人情報保護審査会を通さないと取得できないという規定です。
しかし、改正個人情報保護法ではこのような規定を置くことは許されないことになりました。このような規定を置かなくても、前記のような取得についての規定で十分であるという理由からです。


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