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自治体と改正個人情報保護法-個人情報の定義

2023年01月09日 | 地方自治体と法律
自治体と改正個人情報保護法-個人情報の定義

〈「個人情報」の定義〉
 これまでは条例に委ねられていたため、定義については自治体間にはばらつきがありましたが、今回の改正法で統一的な定義となりました。
 「個人情報」にあたれば、個人情報保護法の適用があり、あたらなければ法の適用がないので、この定義は個人情報保護を理解する上で非常に重要です。
 
改正個人情報保護法の「個人情報」の定義を、私なりに整理すると次のとおりです。
①個人情報は、まず生存する個人に関するものであることが前提です。
②次のどちらかに該当する必要があります。
A 識別可能性(誰の情報かわかる):氏名、生年月日等により識別又は他の情報と容易に照合して識別可能
B 個人識別符号

個人情報の定義を少し説明します。
①生存する個人に関する情報であることが前提。
裏を返せば、死者の情報、お亡くなりになった方の情報は個人情報ではなく、個人情報保護法の適用はないということです。
②「特定の個人を識別」
 個人識別というのは、個人情報保護法独特の用語です。意味としては、「あの人のこととわかる」ということ。氏名だけでも個人情報になります。
③「他の情報と容易に照合」
 容易性という要件を入れていない自治体も見られましたが、個人情報の定義としては容易性が要件となることで統一されます。
他の行政機関等や事業者への照会を要する場合は、照合が容易とはいえないと説明されています。

〈識別可能性について〉
識別可能性=他の情報と照合することで識別できる、ということの意味について考えてみます。
例えば、顧客IDとか会員番号。
顧客IDを発行・管理している団体からすれば、端末をたたけばある顧客IDは誰だかがすぐにわかります。これが、他の情報と照合して容易に識別可能ということです。よって、顧客IDを発行・管理している団体にはこの顧客IDは「個人情報」であるということになります。
しかし、この団体の外部者からは、顧客ID
を見せられても個人を識別できない。よって、この方にとっては顧客IDは「個人情報」ではないということになります。
このような理由から、顧客IDは一般的には「個人情報」にはなりません。携帯電話番号やクレジットカード番号もそれだけでは「個人情報」には当たらないと理解されています。

〈個人識別符号〉
では、マイナンバーは「個人情報」に当たるでしょうか。
マイナンバーは12桁の番号であり、マイナンバーだけで容易に個人を識別できるのはごく限られた部署だけです。
顧客IDが「個人情報」に当たらないのですから、識別可能性の定義からすれば、マイナンバーも「個人情報」とはいえないという結論になります。
しかし、マイナンバーはを個人情報保護法の適用対象外とすることは、妥当ではありません。
そこで、「識別可能性」の要件からすると個人情報にはあたらないものを、「個人識別符号」として「個人情報」の定義に取り込んだのです。
・個人識別符号とは、個人に割り当てられた公的機関雅発行した数字(マイナンバー、運転免許証番号)も含まれる。
・個人識別符号にあたれば、「個人情報」となる。
初心者は差し当たり、以上のことを押さえていただければ良いのではないでしょうか。



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