南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

「パパの脳が壊れちゃった」より 5

2006年05月29日 | 高次脳機能障害
 「パパの脳が壊れちゃった」が参考にしているランチョ・ロス・アミーゴス病院の認知機能スケール(LCFS)の内容を書いておきます(神奈川リハビリテーション病院「脳外傷マニュアル」P139より引用、「パパの脳が壊れちゃった」の訳とは微妙に違います)。

 回復期の認知機能評価
 Rancho Los Amigos Levels of Cognitive and Functioning Scale (LCFS)

Ⅰ 反応なし
 外的刺激に反応せず眠っているようにみえる。

Ⅱ 一般的反応
 外的刺激に対して、時折、無目的な反応を示す。しかし反応の様子は、定型的で限界がある。

Ⅲ 限定された反応
 目的の明らかな反応がある。簡単な指示に従うこともある。示された品物に意識を集中することもある。

Ⅳ 混乱し興奮
 活動の亢進がある。混乱、失見当識、攻撃的行動などがある。
 身の回りの動作実行不能で、現在起きている事項に関心を持たない。
 興奮は精神的な混乱の結果生じているようにみえる。


Ⅴ 混乱し不適切な反応、興奮なし
 意識清明にみえ、指示に従う。しかし注意の集中を失いやすく、外部から刺激されると興奮反応を示すこともある。
 会話の内容は不適切で、新しい情報を学習できない。

Ⅵ 混乱しているが適切な反応
 良好な目的のある行動を示す。しかし多くの場合誘導が必要。
 前に習得した動作(ADLなど)は再学習可能。重大な記憶障害があるが、自分や周囲の人々の状況をある程度把握できる。

Ⅶ 適切反応だが自動的
 適切な行動を示すが、ロボットのような自動的反応にみえる。
 混乱は少ない。記憶の再生はまだ十分でない。自分の置かれた状況への洞察も十分でない。
 自分から動作を始められるが、誰かが環境を整えてあげる必要あり。
 判断力、問題解決能力、計画能力などはまだ不十分。

Ⅷ 適切反応を合目的に示す
 意識清明で、見当識もあり、過去の事柄を統合して思い出せる。
 指導なしでも新しい事を学習できる。家庭内の動作はすべて自立し、自動車運転可能。
 残っている問題は、心理的ストレスへの耐性が低く、判断力や抽象的思考能力もまだ十分ではない。
 社会的の多くのことができるが、受傷前に比較すると明らかにレベルの低下がある。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする