南斗屋のブログ

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「パパの脳が壊れちゃった」より 1

2006年05月21日 | 高次脳機能障害
 頭部外傷を負って高次脳機能障害の残るケースを、弁護士として担当していて思うのは、被害者やその家族に当初の入院の段階で、高次脳機能障害の情報がなんら与えられていないということです。

 私がこれまで扱った十数件のケースをみても、当初入院した先で、既に頭部外傷の障害が表れているにも関わらず「これ以上入院している必要はありませんから、退院して下さい」と医師から「退院勧告」をされているケースが珍しくありません。

 家族としては、そのような医師の「退院勧告」にも関わらず、被害者の様子があまりにもおかしいことから、インターネット等から情報を得て、高次脳機能障害のリハビリテーション病院にようやくたどりつく、そんな感じです。

 一体、日本の救急病院というところは、このような障害が残ることについて、なぜ何の情報も与えないのだろうか?日本以外でも同じような状況なのだろうか?と疑問に思っていたところへ
「パパの脳が壊れちゃった」
(キャシー・クリミンス著 原書房)
という本が、本屋で目に止まりました。

 この本、副題が「ある脳外傷患者とその家族の物語」となっています。
 被害者はアランという30代(多分)のアメリカ人男性(職業は弁護士!)。
 筆者はその妻で、7歳の娘が1人いる家庭。
 1996年の夏、休暇先のカナダで、モーターボートの衝突事故に遭って、頭部外傷を負ったというところから始まります。

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