リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

旅の空から~シラク―サ(シチリア)

2023年11月05日 | 日々の風の吹くまま
11月2日(木曜日)。☀。夜の間にティレニア海側のパレルモからシチリア島の南側をぐるっと回ってイオニア海に面したシラクーサに入港。ベランダから見ると、何ともまあ平べったいところ(ウィキペディアによると標高17メートル)で、紀元前8世紀にコリント人が建設して以来、東西南北から渡って来た民族による覇権の奪い合いが続いた歴史の背景要素のひとつかもしれないな。シラクーサの夏はかなり暑くて、過去には48度を記録したことがあるそうで、11月だというのに今日の予想最高気温は26度(少々暑すぎらしい)。


シラク―サに入港~と奥にエトナ山が見える

市民が「レモン絞り」と呼んでいる大聖堂のドーム

今日のツアーのタイトルは「Classic Siracusa」で、その名の通り、古代ギリシャ時代の遺跡。まずは何千人もの捕虜や奴隷によって石灰岩を伐り出していた古代の採石場跡である考古学公園。洞穴がいくつも残っているうちで「ディオニシウスの耳」と呼ばれる幅は狭くて耳の穴の形をしている奥の深い洞窟に入って、みんなで「ヴォラーレ」を歌ってみたら、あは、ヴぉ~ぉ~らぁ~ぁ~れぇ~と洞窟中に反響して愉快。中での話し声が8倍も増幅されて外にまで聞こえるので、内緒話をしたらだだ洩れだったそうな。


採石場/監獄の遺跡

オリーブの木


ディオニシウスの耳

洞窟を出たら、次はギリシャ人が紀元前5世紀に作った円形劇場跡。石灰岩を削って作ったもので、観客席は67段もあって、1万5千人から2万人近くを収容できたというから、Arts Clubからしたら羨望の的なんてもんじゃなさそう。そんなところで役者の声が通ったのは、海(舞台背後)からの風と仮面が声を増幅したせいなんだって。古代ギリシャ劇の仮面にはそういう実用的な用途があったなんて、先人の知恵はすごい。おもしろいのは、古代のギリシャもローマもひな壇に座るのは男だけで、女性席は別の場所にあったというところで、そのくらいセクシズムの歴史は長いのだ。(ポンペイの競技場もそういう作りだった。)観客席側に上る途中で石ころを踏んだカレシがバランスを崩して転倒する一幕があったけど、壮大な劇場の舞台の跡を見下ろして、ワタシが役者だったら絶対に一度は演じたいと思うエウリピデスの『王女メデア』の一幕を想像してうっとり。




石灰岩の採掘に使われた湧き水は今も健在

公園を出たら迎えに来たバスに乗ってクルーズ船ターミナルまで。そこから歩いて5キロくらいのシラクーサ大聖堂へ行く予定だったけど、遠いので希望者だけということになって、私たちは転んでぶつけたカレシの膝が気になるし、何よりも日が照って暑くて熱中症になりそうなので残留組。ランチをして、シャワーを浴びて、ちょっと昼寝をして、5時過ぎに5階デッキのバーへ。マティニを注文して、韓国人らしい若いバーテンさんとカクテル作の秘訣などを談義。どんな職業でもプロは素人からの質問に懇切丁寧に答えてくれるものらしい。自分の技に自信があるからだろうな。手ほどきや見よう見まねで、あ、なぁるほどっと膝を叩くのがワタシの学び方なので、こういう機会はいつも願ったりかなったりといったところ。夕食は日暮れを見ながらピッツァとワイン/ピール。シチリアの夜が更ける午後10時、シラクーサを出港して一路マルタへ。