リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2009年3月~その2

2009年03月31日 | 昔語り(2006~2013)
お悩みをひと言で解決します

3月16日。カレンダーを見てはため息、ためいき、タメイキ・・・。年度末でいつもあたふたする「狂気の3月」とはいえ、仕事、決算報告だとか契約書だとか、やたらと多いなあ。もう雪崩に埋まったような気分。それにしても、今年の決算報告はやっぱりちょいとしょぼいのが多い。名だたる日の丸企業もすごいことになっているらしいけど、それより小さい企業でも昨年度はン百億円も儲かっていたのに今期はみごとに赤字というのもある。経営者にとってはこういう経営報告を出すのはつらいよなあ。(そういえば極楽とんぼも2008年度の決算をやらなければないのに、時間がなあ・・・)

この2週間ひっきりなしに左のまぶたの目じりの辺りがピクピクしてうっとうしい。気がつかないうちに歯を食いしばっているのか、頬骨の辺りがなんとなくだるい。働きすぎかなあ。でも、去年のログを見るともっとすごかった。最初の3ヵ月で年間売上の4割を稼いだもんね。2001年からあるログを見れば、2月と3月はいつも際立って仕事が多い。年度末だからなあ。よく見ると去年の今頃も同じ発注元の仕事をやっていた。きっと、同じように「たいくつだ、たいくつだ」といいながらキーを叩いていたんだろうな。まあ、フリーだろうが、主持ちだろうか、愚痴をこぼしたり、あれこれこき下ろしたり、猛ダッシュしてみたり、だらけてみたりと、「働く」とことはあんがい同じようなもんだけど。

ま、ひとつ納品して息をついたところで、小町のタイトルをいじくって肩の凝りをほぐそうか・・・

「部屋が汚い男なんですが」 - 早くきれいなところへ引っ越しましょう!
「他人の痛みに鈍感であること」 - 鎮痛薬の乱用しすぎかもしれません。
「私病気ですか」 - はい、感覚過敏人見知り自己恐怖不安神経症です。難病です。
「姑(予定)を好きになれません」 - 夫(予定)の先が思いやられます。
「歪んでいく心」 - スチームアイロンでほっこり伸ばしましょう。
「生きることに前向きになるには?」 - 後を見なければいいのです。
「妻に許してもらう方法を教えてください」 - 「ごめんよ、ダーリン」とヴィトンのバッグです。
「恋愛が結婚に至りません」 - 小町では恋愛と結婚は別ものというのが常識です。
「既婚者と独身の見分け方」 - 結婚しているという自覚のない人が多いので不可能です。
「自営業?を始めたいけれど、どうしたら?」 - 自分で仕事を始めましょう。
「私の心が狭いのでしょうか」 - あちらの心が広すぎるのかもしれません。
「悩んでます」 - 浜の真砂が尽きるとも、世にお悩みの種は尽きまじ、なのです。

小町のタイトルは今日も突っ込みどころ満載。本当に真剣に悩んでいる方には、ごめんなさい。

「仕事が山になってしまいました」-営業担当者とよ~く相談してください。

極楽とんぼちゃ~ん、ねえ、ど~するの、こんなに仕事引き受けて来ちゃって?あれ~、いったいどこをふらふら飛び回っているのやら・・・お~い!

就活に婚活に産活の時代

3月18日。窓の外をぼや~っと眺めていたら、道路向かいの桜の木がな~んとなく色っぽい。ピンクとはいかないけど、どの枝も赤みを帯びているのがわかる。やっとのことで春が来るんだなあ。そういえば、歩道脇の芝生にクロッカスが咲いていたなあ。寒そうにしてたけど、やっぱり春は来る。

今日はくたびれた。肩は凝るし、目はしょぼしょぼで、まぶたはピクピク。指の関節は痛い。でも、うんと気合を入れてがんばったおかげで、つまんないものでついだらだらとやってしまう仕事を片づけて、小さい仕事だけど、ゴシップというかスキャンダルと言うかけっこう興味を引かれる文書を片づけて、やっと少し遅れていた予定に追いつくことができた。やれやれ。ばんざ~い。

金融情報サイトの「ブルームバーグ」に、お堅い記事に混じって「日本女性の不況対策は夫探し」という記事があった。どうやら「marriage hunting」というのは「婚活」の英訳らしい。まあ、「就活」の訳が「job hunting」なら、「婚活」はそういうことになるんだろう。コンカツなんて、あんまり響きのいい言葉には聞こえないし、第一にロマンスのかけらも感じられないけどなあ。Marriage huntingとなったら、弓矢をもって、目を光らせてでっかい獲物を追いかけるような印象になってしまいそう。まあ、英語にも「husband hunting」という言い方はあるけど、ここでも英語は対象が「人(夫)」であるのに対して、日本語は「形式(結婚)」と、狙いとするものがぜんぜん違うからおもしろい。

記事の中で婚活中の女性が読んでいるとして引用されていたのが「an an」の『Complete Guide to Marriage Hunting』。「へえ、英語版があるのか~」と思ってリンクをクリックしてみたら、なんだ、日本語の目次だけ。『大人の婚活マニュアル完全版』とか言うすごいタイトルがついていて、ざっと読んでみたら、「即アクション」だの、「マーケティング理論」だの、「男と女の詰め将棋」だの、「弱点強化でゴールイン間近」だの、いやはや、結婚市場は生き馬の目を抜くウォール街よりもすごい。最後に「幸せのゴールを夢見るあなたに婚活を成功へ導く必勝コラム」。いや、その熾烈さには圧倒されてしまった。極楽とんぼが若くて、フェミニズムの洗礼を受けていた頃は、結婚することを「永久就職」と揶揄したもんだけど、どうもほんとうに「結婚=就職」になってしまったような様相だな。

だけどなあ。相手がいなければ気合の入った婚活もどうにもならないだろうに、相手の人間像が見えてこないなあ。やっぱり、「結婚」という形態がゴールで、「夫」という人間は結婚すればついてくる付録なのなあ。でも、日本の高額納税者の奥さんたちについて調べてみたら、夫君たちに負けないくらい高学歴で高収入の人たちがおおかったとか。アラフォー世代でも、学歴や収入の高い(600万以上)女性たちの方が、フツーのOLよりも彼氏がいる割合が高かったそうな。あんがい、女性が三高の男性を選んだバブル時代は過ぎ去って、こんどは男性が将来の保険のために高学歴、高収入のキャリアウーマンを選ぶ時代になったのかもしれないな。さて、「今年中に結婚したい!」と意気込む彼女たちの婚活、はたしてどうなるか・・・

明日の風はどんな風?

3月19日。仕事のスケジュールからの「遅れ」が一応解消したら、気が軽くなって早速なんとなくだらだら。ま、そもそもだらけがちだったから遅れが出たんだけど、そのあたりの反省は別の機会に回すとして、日本は春分の日の三連休だから、こっちもいつもより早い「週末」を楽しむことにしよう。

小町を見ていたら、「自由業の皆さん、ヒマな時どう過ごしていますか?」というトピックが目に付いた。仕事がない、ヒマはあるけどお金がない、大掃除をしてみたけどまだヒマ、貯金は減るし・・・。この不景気でどこもみんな大変なんだなあと読んで行ったら、4月は、5月は、という表現が出て来て、かみ合わなくなって来た。あれ?と思ってトピックの日付を見たら、1年近く前に立って消えていたのを誰かが見つけて「掘り返した」もの。なるほど、やっぱり不況は1年以上前から始まっていたってことか。アメリカ発で金融危機が勃発したときには、実は1年前から景気後退は始まっていたということだった。そういわれると、サブプライムの危うさが囁かれていたのはそれくらい前だ
ったような。

アメリカに今の不況を4年前に予言したエコノミストがいた。まあ、何年の何月何日に来ると言ったわけではないから、予言と言うよりは警鐘を鳴らしたということだけど、そのときはほとんど信じる人がいなかったという。「自分は園遊会に闖入したスカンクのようなものだった」そう。うん、景気が良かったもんな。株価はどんどん上がるし、ゼロを数えなきゃいくらなのかわからないような金額がメディアのいたるところで踊っていた。庶民もそういう華々しい数字を見ているうちにふところが温まった気分になって、高級化志向。プラスチックのカード1枚で買えてしまうんだから楽なもの。そんなときに危ないと言っても、チキンリトルじゃあるまいしと言われるのがオチ。

結局は当のエコノミスト氏が想定したシナリオの展開になったわけだけど、この人、今度は「警戒的ながら楽観的」という見解を打ち出して、またまたスカンク扱いされているらしい。せっかく「終末思考」に浸っているのに水を差すなということかな。当人は「エコノミストは先が見えないから、景気後退の潮目を見逃した連中は回復の潮目も見逃すだろうよ」と涼しい顔。同感。経済統計だの、企業の実績だの、エコノミストが虫眼鏡で分析する数字はとっくに過ぎた過去の状態を記録したものなんで、下がってきたと気づく頃には実際はとっくに底打ち、上がってきたと気づく頃にはとっくに頭打ちということになる。いっそ、さっさと家に帰って、家族や友だちに「このところ景気はどんな感じ?」と聞いた方が経済の舵取りによっぽど役立つんじゃないのかな。まあ、景気がいいのに「かつかつなんだから、もっと稼げ」という返事だったら、これまた経済政策の手元を狂わせることになるかもしれないけど。

極楽とんぼのカレンダーも、3月はみんな年度末の予算消化に走り回るおかげで月末まで仕事がびっちりだけど、4月から先はどうなることやら。もっとも、フリーランス稼業は景気の風がどっちに吹こうと関係なく明日をも知れない崖っぷちのビジネスで、好景気も不景気も「Been there, done that」だから、明日は明日の風が吹くのにまかせてもいいかなあ。まあ、正直に言えば、人生ひと回りして少しは「年の功」という貯金ができただろうし、しばらく暇になって、仕事に追われてやりたくてもやれずにいたことを飽きるくらいやってみたいなあ・・・

桜が咲いた、春一番

3月20日。ゆうべはカレシがまたウイルスにやられたかもということで、思いっきり夜ふかし。スキャンをしたり、アンチウイルスソフトをランしたり、ご当人は塩辛い口笛を吹き吹き、いっしょうけんめい。ビデオ関係のソフトをいじっていたら、ソフトの画面がみごとに吐き気を催しそうな緑色に変わってしまったらしい。他のソフトは変わっていないのに、これだけはインストールし直してもまだ緑色。思いあまってサポートに聞いたら、「画面の隅のアイコンをクリックして・・・」と返事が来たそうな。なあんだ、うっかり色をカスタマイズするアイコンをクリックして、「急に変な緑色になった!すわ、ウイルス!」とあわくっていたわけか・・・。

春分の日は公式に暦の上で春が始まる日。待ちに待った春初日にしては雨っぽいし、あまり暖かくもない。これじゃあ、道産子の極楽とんぼも、さすがにいつまでも爛漫にならない春にうんざりして来るよなあ。それとも、道産子だからこそ「春を待ち望む」気持が強くて、いつもだったらそう思う前に来てしまう春がなかなか来ないから、忘れていた「は~るよこい」が頭を持ち上げたのかな。ゆっくりでいい金曜日と言うことで、ぼちぼちと仕事をしていたら、突如「ゴロゴロゴロ」と大音声で、雨だか雹だか、窓ガラスをカリカリ。え、今度は雷雨?と思ったけど、雷鳴は1回だけで、おそまつさま。嘘みたいな青空が広がった。これって、夏の天気じゃないのかなあ。

あんまり明るいので、二階へ上がって見たら、向かいの歩道の桜の枝の色づきが少し薄くなっている。双眼鏡を持ち出して、よ~く観察して見たら、ある!こっちにちら。あっちにちら。一分咲きにもほど遠いくらいの「ちら咲き」だけど、まあ5厘咲きってところかなあ。天気予報官がテレビで今年は桜の開花が平年より3週間も遅れていると言っていた。この冬は近年でも極端に低温で、乾燥して、雪の多い、記録的な冬だったそうな。ええ?乾燥して、雪が多くてって、なんだか矛盾していない?2週間くらい湿度が100%なんてときもあったんだけど。それなのに、ノースショアの山並みは積雪量がなぜか平年より少ないとか。水源地が雪不足ということは、この夏は水不足になるのかなあ。なんかつじつまが合わない、狐につままれたような話。

桜もちらほらなら、2月は小売業の売上や住宅販売が前月に比べて上向いたというニュースがちらほら。厳冬の世界経済にも春の兆しが見えてきたのかな。北米では自動車の販売台数も住宅の販売戸数も増えたそうな。住宅の価格は全体的にかなり下がったし、車のメーカーやディーラーは値下げやリベートで販売に必死だから、このチャンスを待っていた人たちが買い時と見て出てきたんだろうな。倹約するのはいいことだけど、倹約、倹約とマスコミに煽られて、倹約しないヤツは民衆の敵だ、みたいなことになったら、世の中にお金が回らなくなる。使えるお金がそこそこある人は遠慮せずに使ったほうが世のため、経済のためってもの。ただし、無理しないで使える範囲でやってね。使えないお金まで使いだしたら、元の木阿弥だから。

春うららの土曜日だけど

3月21日。それほど暖かくなくてもなんとなく春らしく感じる土曜日。だけど、極楽とんぼは相変わらず仕事、仕事。カレシは久々に外へ出て庭仕事。こっちが変な表現に引っかかっている時にかぎってカレシが入ってきてちょっかいを出したり、水を飲みに立ったときに目が合ったら窓ごしに手を振ってあげたり(遮音用のヘッドフォンをしてiPodを聞いているから、何を言っても聞こえない)、適当にそれぞれのことをしているうちに、いつの間にか時間が流れる。だからといって、空気のような存在になったという感じはしないんだけど、そもそもこの「空気のような存在」の真意がわからないからかもしれない。

おでかけのついでにエコーの運動と思ったけど、あら、またエンジンがかからない。どうやら遠出しそびれているうちにまたバッテリが上がってしまったらしい。どうも近頃のバッテリは一度干上がってしまったら、相当にぶっ飛ばさないと十分に充電されないらしい。またあしたトウトラックに来てもらって、充電してもらうしかない。あんがい、整備工場へ持って行ってもらって、新品のバッテリに取り替えてもらった方がいいかも。カレシはトラックをぶっ飛ばして、たっぷりバッテリを充電してからエコーをジャンプスタートすると言うけど、サービスは7年分払ってあるんだし・・・。ま、しょうがないから、とりあえずトラックでおでかけ。

ガソリンがなくなりそうだと言うから途中で給油。だけど、カレシはキャップが外れなくて悪戦苦闘。極楽とんぼが降りて行って、「ここまで回して、手ごたえがあったら、ちょっと押しながらさらに回して、引っ張る」と、実演入りで指南したけど、どうしてもタイミングがつかめないのか、「外れない!」(そばで給油していたおじさんが笑いをこらえている・・・。)せっかくトラックに戻ったとんぼはまた降りて行って「実演」。ほんとに簡単に外れるんだけど、カレシがやってみるとキャップは頑として外れてくれない。ま、「ほらね」と外してみせては、「はい、やってみて」とまた閉めてしまうとんぼもとんぼなんだけど・・・(一人のときに外せないと困るもんね)。それでも、数回の試行錯誤でめでたくキャップが外れて、給油に成功。

今日のディナーは久しぶりにお気に入りのLe Crocodileで。土曜日だからかもしれないけど、景気が悪い、大恐慌以来の深刻な事態だ、と騒がれている割には閑古鳥が鳴いている様子がない。シェフのお味見メニューがいい。ワインをペアリングする代わりに、ソムリエに全コースに合いそうなピノノワールのワインを聞いて、ブルゴーニュ地方のコートデュボーヌのものを選んでもらった。最初のコースはフォアグラを詰めたうずらのロースト、次はエビと鮭のスープで、メインはビーフのヒレとロブスターの組合せ。マイルドなワインがちょうど良くマッチした。青りんごのソルベで味覚をリセットして、デザートはグランマルニエのスフレ。このスフレがいつもながら「おぉ」と言うほどおいしい。

それにしても、各コースが小皿料理と言うには少々大振りな量なもので、極楽とんぼ亭の5コースディナーよりはずっと多い。これだけ食べたら、もうおなかが一杯。なのに、近くのスーパーに立ち寄って鴨の足や胸肉をどっさり買い込み、本屋に立ち寄って(もう置くところがないのに)また写真のきれいなおしゃれな料理本をどっさり買い込んで、ご機嫌で帰館した春の土曜日・・・。

カナダの国籍は何なんだろう

3月22日。目を覚ましたら、カレシはとっくに起き出したらしく、影も形もない。正午前だし、今日は2つも納品があることだしと、起きてキッチンに下りてみたら、朝食のテーブルはセットしてあるけど、カレシの姿はない。ベースメントまで行ってみたら、カレシは園芸室で水遣りの最中。よく眠れなくて、10時半には起きてしまったんだそうな。ふ~ん、何かがひっかかっているのかなあ。

仕事をひとつ送って、ソーシャルブックマーキングサイトをのぞいたら、ジャパンタイムズにカナダの市民権法改正の記事があった。カナダ国外で生まれたカナダ人の子供にカナダ国外で生まれた子供にはカナダ国籍は認めないと言う内容。前にそんな論議があったのは覚えているけど、いつの間にか議会で可決されて、来月4月17日から施行されるんだそうで、海外に住むカナダ人には大きなショックらしい。たとえば、もしも極楽とんぼとカレシが日本に住むことを決めて、そこで子供が生まれていたとしたら、その子はカナダ国籍を持てるけど、そのまま日本で家庭を持って子供を作ったらその子供は自動的にカナダ国籍になれなくなるというしくみ。

法改正の発端は何年か前のイスラエルとレバノンの紛争だった。カナダ国籍を持つレバノン人たちがカナダに救助を求め、政府は何十億円もの費用をかけて何万人ものレバノン系カナダ人を救出したんだけど、サービスが遅いと愚痴るは、食事が悪かったと愚痴るは。おまけにカナダで働いて税金を払っているカナダ人がむかついているのに、紛争が終焉したとたんにどっとレバノンに帰ってしまった。もちろん、カナダのパスポートを後生大事に抱えて。つまり、カナダ国籍は「旅行保険」みたいなものというわけで、特に出身国に戻ったままカナダに帰って来ない「不在カナダ人」に何世代も市民権を与え続けるのはおかしいということなのだ。

海外に移住たした日本人たちも、日本国籍を手放さずに外国籍を取れるように日本に二重国籍を認めるように働きかけているそうな。重国籍の容認は世界の流れだと。ところが現実には、人口順に並べた世界100ヵ国のうち70ヵ国が重国籍を認めていないか、継続に制限を設けているそうな。移民してきてカナダのパスポートを手に入れたら、後は自国へ帰って○○人として暮らし、都合の良いときだけ「カナダ国民の権利」を主張するというのは、たしかにいいとこ取りで虫が良すぎるし、何よりもその人たちを受け入れたカナダとカナダ人だけでなく、カナダに帰化して、いっしょうけんめい働いて次世代のカナダ人を育てている人たちまでもバカにしていると思う。それに、親の代からずっと住んでいる国で子供に「カナダ人の誇り」を押し付けるのは、その国をばかにしているような感じもするんだけど。

ついでに、移民でもない人の子供にまで、たまたまカナダ国内で生まれたというだけで自動的に国籍を与える「生地主義」もおかしい。香港の中国返還直前には臨月の大きなおなかを抱えた香港女性が次々とやってきて、産科病棟が満杯になったという噂が流れた。これは子供がカナダで生まれて国籍を持ったからといって親がすぐに移民できるわけではないとわかって、下火になったらしい。まあ、カナダにいるカナダ人としては、カナダのことを何も知らず、カナダの言語も話せず、カナダ市民の義務も果たさず、カナダにちっとも貢献していない人が、「ひいおじいちゃん」がカナダから来たんだから自分もカナダ人。ならば「カナダにめんどうをみてもらう権利がある」と言って来ても、なんだかなあ。まるでひいおじいちゃんの隠し子が遺産の分け前を要求して乗り込んでき
たみたい・・・

英語でゆるキャラと言うと

3月23日。案の定、夕べは時間が切羽詰ってしまって、そろりとベッドにもぐり込んだのは午前5時。正午になる寸前に目を覚ましたら、今日はうって変わって雨。せっかくカレシの腕枕でいい気分なんだけど、午後8時期限の仕事があって、これがまだ手も付けていない。警報が鳴り渡る月曜日・・・。

ねじり鉢巻をきりりとしめて、いざ仕事!と思ったら、先週やった仕事で変な質問が来ている。ふむ、日本語と比べてどうのこうのと言われても、英語は日本語じゃないからなあ。英語でなら「りんごとオレンジを比べる」と言うところ。元から比べようのないものの喩えだけど、それでも比べてどうのこうのと言わないと気がすまない人が多いらしい。根底にあるのはある種の「人間不信」なんじゃないかと思えてくる。日本が違うのはあたりまえ。英語をしゃべる国だって違っていてあたりまえ。もう、東は東、西は西ってことでいいじゃん!と、むかつきながらも、英語ではああだこうだと説明。でも、春のそよ風のごとく、きっと右から左へなんだろうなあ。やれやれ。

所属する協会のメーリングリストではちょっとしたさざなみが立っていた。日本の人名や地名の読み方についての質問に、英語人のメンバーから回答がたくさん来た。もちろん日本語人メンバーも、日本人という強みから解説つきの回答が来た。そこまではいつものことなんだけど、「日本語ネイティブじゃないのに、難しい漢字が読めるんですねえ」とひと言よけいの発言。街角で出会った外国人が相手なら外交儀礼ですむけど、相手は漢字が読めなくては商売にならない日英翻訳者。何十年も日本に住んで、「日本人より日本人らしい」と言われそうな古参もかなりいる。猛烈な勢いでメールが飛び交い、英語と日本語が入り乱れての異文化論を戦わせて、一応は大人の決着。だけど、「外国人が日本の習慣/日本の文化/日本語を理解するのは難しい」という潜在的な観念がぽろっと露呈したという印象は否めないような。それにしても、暇なヤツが多いなあ。景気のせいじゃないといいんだけど。

午後8時の期限にぎりぎりで滑り込み。次の仕事の入稿が遅れて明日の夜ということで、今のうちにちょっと息抜き、とジグソーパズルを始める。自分で画像を集めて来て、好きなように作れるという優れもの。まとめて作っておいたのをながめて、どれからやろうか。そこで目に付いたのが「ゆるキャラ」とかいう、各地のマスコットが勢ぞろいしたイベントの画像。ふむ、日本語で「ゆるきゃら~」と言えばなんとなくゆったりしたリラックス効果がありそうだけど、北海道語では「しんどいこと」を「ゆるくない」(=きつい)と言うから、道産子の耳にはなんかリラックスできない感じだなあ。これを英語に訳すとしたら、「loose character」。おいおい、イメージがぜんぜん違ってしまうよ。Looseには「だらしない」という意味があるし、「尻軽」という、なんとも品のない意味もある。ところ変われば品変わるというけど、ゆるキャラの日本代表みたいな「ひこにゃん」もさぞかし赤面てところかな。いやあ、異文化を比較するって、突っ込みどころが満載で楽しいじゃないの。

もしかして1.75リンガル

3月24日。雨。桜の開花もさっぱり進んでいない。地球温暖化なんて誰かの作り話で、ほんとうは氷河時代に向かっているんじゃないのかな。科学は絶対じゃないし、環境活動家なんてのは明け透けに偽善的なのもいて、ほんとに何が動機なんだかわかったもんじゃないし・・・。ふむ、指を突き出して、暖かいか、冷たいか、ちょっと風向きを探ってみようか。

遅れていた原稿が送られて来て、束の間の「休み」は終わり。頭脳集団とかいわれるところらしいから、書いた人も世界を相手に最前線で問題の快刀乱麻の解決法を考える頭脳明晰なエリートなんだと思うんだけど、「だけど」。日本語の文章がおかしいのではない。証券マンやお役人が書く文章と比べたらずっと明快で、ノー学歴の極楽とんぼにだってちゃんと理解できる。ちゃんと理解できるから、お役所文学にてこずって半徹夜したばかりの極楽とんぼは鼻歌まじりでサイトラ。目が日本語の文字を追い、指先が英文を打ち出す手法で、思考回路は目から入る日本語の方に重心が傾いているきらいがあるから、編集の段階で英語思考に重心が移ると、カルチャーショックのような現象が起きることがある。

最終的には英語中枢がOKを出した文章になるけど、すると、日本人の校正担当者から質問が飛んでくることがある。英語生かじりのような発注元からの質問と違って、校正者から来る質問はかなり鋭い。そのたびに脳の中のシナプスの迷路をたどって行って、自分の思考の経緯を説明するはめになる。なんだかパズルを解くようでおもしろいんだけど、言ってみれば自己洞察でもある。極楽とんぼの英語は「学んだ」と言えるものではなくて、34年間日常の言葉として吸収したものだから、まさに「空気」のような存在。その空気の流れを説明しろと言われても「That’s the way it is(そういうことになってるの)」で片づけたくなる。だけど、英語を生業の種とする身としてはそういう逃げもままならず、自分の思考を客観的に解きほぐすはめになるわけ。いっそのこと、頭を外して、蓋をパカッと開けて、脳みそのしわしわをかき分けて、この目で確かめられたらいいのに。

大学でちゃんと英語を勉強した人たちなら、さくさくと説明できてしまうんだろうなあ、とふと思うのはそんなとき。なぜって、極楽とんぼが正式な英語教育を受けたのは中学1年から高校3年まで。40年以上も経った今となっては、文法だの何だの教えられたことはほとんど忘れてしまっている。裏を返せば、日本語教育も小学校から高校までの12年間だけで、社会人日本語の習得も20代半ばで止まったことになる。敬語の正しい使い方に自信がないのはそのせいかな。その後の日本で若者の敬語が混乱したことに助けれられているようなところもなきにしもあらずだけど。これって、バイリンガルじゃなくて、1.5リンガルくらい・・・?

それにしても、大学の英語ってどんなことを教えるんだろうな。行きたいと思った外国語大学ではどんなことを勉強しただろうな。あちこちの大学院にあるらしい「翻訳科」ではどんなことを教えるんだろう。修士号をくれるくらいだから、きっとすごく高度な理論や手法を教えてくれるんだろうなあ。語学も翻訳もきちんと学校で勉強しなかったとんぼには未知の世界がたくさんあるってことだけど、最高学府で学ぶってどんな感じがするか、いつかちょっとのぞいてみたい気もする・・・

鏡よ、鏡・・・

3月25日。おお、いいお天気。やっと本格的に春のお目覚めというところかな。今日は「納期」の赤いマークが付いていないから(といってスケジュールが緩んだわけじゃないけど)、朝食もそこそこに買出しに。まず、酒屋。地下鉄の工事も終盤で、掘り起こした道路の再建工事。きのうはOKだった左折が今日は禁止になっていたり、2車線が急に1車線になっていたりで、もうあと少しの我慢とは言え、あいかわらずイラッと来る。予定を早めて9月頃には開業するという話だけど、さっさと片づけて、市民の生活を早く元の日常に戻してくれ。

酒屋の次は野菜の仕入れ。「リストを忘れてきた」とカレシ。靴を履くまでは持っていたのに、ひょいとおいてそのままらしい。「みんな必要だからリストはなくてもいいか」と。ほんと、いつも買っている常備の野菜類が全部必要なんだったら買い物リストは要らない。今日はメキシコ産のアスパラガスの束が3つで5ドルと安い。束といっても手で握りきれないくらい大きいから、3束を食べきるのに何日かかるやら。カレシはジュースにするといって果物を大量仕入れ。この前は結局食べてしまったけどな。いつも大量買いするもので、レジのアンジェリーナとはすっかり顔なじみで、他愛のないおしゃべりをしながらお勘定。

最後はスーパーで必需品の買い足し。魚の売り場にいつもよりふっくらして見えるヒラメがあった。食材を解凍するのを忘れて来たから、今夜は久しぶりにヒラメで行こう。ついでに冷凍のベトナムナマズも。カレシが郵便をとりに行っている間に、レジに並んで、そばのゴシップ新聞の一面を横目で立ち読み。いつもながら想像力のすごさには感心する。売れるからいつも置いてあるんだろうけど、こういうの、どんな人が買うんだろうなあ。

買い物が全部終わって、いざ帰館。3時半なのにもうラッシュが始まっている。右側を猛スピードで追い越していった車。カレシだって制限速度を10キロオーバー(一応はフツーの速度)なのに、どんどん追い越しがかかる。「いくらスピード出しても必ず競争しないと気がすまないバカがいる」とカレシ。ハンドルを握ったとたんに性格ががらっと変わる人もけっこういるけど、被っていた猫が取れるのかなあ。みんな普通のスピードで走っているのに追い越しをかけるのは、やっぱり競争心のなせることなんだろうけど、この競争心にも「勝ちたい」と「負けたくない」の二通りの動機があるからおもしろい。両者を競争させたら、どんな結果が出るのかな。

人間の二面性は表と裏の関係なのか、実像と虚像の関係なのか。鏡を見ている自分が実像で、鏡に映った自分は虚像なのか。それとも、鏡の中の自分の方が実像なんだろうか。鏡に映っている自分の「顔」が、写真の「顔」より格段に美しく、輝いて見えるのは、どうしてなんだろう。鏡よ、鏡、この難問の答はいかに?ふむ、哲学やってるヒマがあったら仕事を終わらせなって。

長距離ランナーのありかた

3月26日。仕事に精を出すべきなのに、さっぱり気分が乗らない。何となくくたびれているのかもしれないな。考えたら、旅行から帰ってきてすぐに仕事ラッシュだったから、旅の疲れが今頃出てきているってこともありかな。見かたによっては、楽しく遊びすぎて、気分的に「仕事の鬼」モードに戻れないでいるということもありえるけど・・・

この後に予定の仕事の原稿がまだ入ってこないのをことに、たらたら。ふと、いつ来るんだっけ、とメールをチェックしたら「27日に入稿」。あちゃ、日本時間ではもう今日じゃないの。さっさと進行中のを終わらせておかないと、またぞろ週末に大汗をかくことになりそう。少しはあわてた気分になって、さあやるか~と一念発起しているうちに、4月の仕事が入ってくる。4月かあ。そうだ、所得税の確定申告の月。ちゃんと決算をして書類を揃えておかなくては。4月は極楽とんぼの誕生日の月でもある。鼻息の荒いおうし座なんだから、ちっとはダッシュしなきゃ、ねえ。

心を入れ替えて、仕事にかかったのはいいけれど、もうあたりまえのことで死語になったと思っていた日本にハイテク時代の波が押し寄せた頃のキーワードがずらりと並ぶ作文。惰性で使っているのか、わかっていないからいつまでもひとつ覚えで使っているのか、今ひとつわからない。そこへして「~のありかた」という、まるで禅問答みたいな常套句が出てくるから、あ~あ。日本の文書ではよく「提言」のイメージで使われるらしいけど、「あるべき姿」は描いても、それを実現するための具体的な「提案」がなんにもない。お役人が好んで使うわけだなあ。「Talk is cheap」というんだけど。だけど、これくらい「ありかた、ありかた」と言われると、うるさいなあと言う気分になって来ないんだろうか。ふむ、この「~のありかた」という言い方と、常識だのマナーだのと「であるべき」を押し付ける心理とは、どこかうんと深いところでつながっているような気もするなあ。だから虫が好かないのかもしれないけど。

二つの言語を操るのはそう難しいことではないけど、水と油みたいな言語文化の間を取り持とうという「太鼓もち稼業」はしんどい。おもしろいもので、この世の中には初心者でいるうちが花と言えるものが多い。なんでも初めのうちはどんどん覚えられるから、おもしろくてやる気満々。もっともどんどん覚えられるのは、そもそもやさしい「初級レベル」をやっているからにすぎないんだけど、それでも「な~んだ、思ったより簡単じゃん。あたしってけっこうできるんだ」とつい悦に入ってしまうのが人間。それが動機付けになって、さらに進歩すれば、水はどんどん深くなる。

つまり、深入りするにつれて当然レベルが上がるから、どんどん難しくなって「あれ?」ということになる。伸び悩みを自覚するのもこのあたりかな。いったん学習曲線が上向いたら、その先は永遠に胸突き八丁のような坂道が続く。やっかいなのは、上っても、上っても、「ここを過ぎたら、あとは楽々ゴールへ向かって快走だからがんばれよ」という、その「ここ」が見えてこないこと。それでも、ずいぶん遠くまで走ってきてしまったから、今さら「や~めた」も何もないしなあ。後は楽々で行けるという「ここ」という地点は、道ばたで「あともう少しだ、がんばれ~」と旗を振っている仮想的応援団の空想の産物に違いない。山のあなたの空遠く・・・(どこま~でも、行こう~)。

平穏でない方の金曜日

3月27日。金曜日は週の終わりなもので、何にもない平穏なときもあれば、いろんなことがまとまって起こってわやわやになこともある。今日は、一見平穏に始まったけど、3月最後の金曜日なのかどうか、いろんなことが立て続けに起きる・・・。

まず、カレシは州営の酒屋に2ヶ月前に特別注文を入れてあったマラスキノリキュールの入荷がどうなっているのか問い合わせ。最初は良かったけど、「折り返し電話します」の後がいけなかった。さっぱりかかってこない「折り返し電話」に業を煮やして、フォローアップ。そばで聞いていると風雲急を告げそうな口調。どうやら酒屋とワイン業者が共催するワインフェスティバルにでかけてしまったらしい。で、デスクに戻るのは月曜日。カレシの頭から湯気が立つのが見える。一つ上のレベルの責任者につないでもらっても埒があかないと見えて、カレシは近くの旗艦店へ直談判しにでかけた。やっぱり民営化した方がいいような気もするけど。

カレシが出かけている間に、来週の芝居の席を予約しておく。こっちはきわめてスムーズで、比較的いい席が取れた。と、思ったら、今度はバンクーバー交響楽団。そっか、来シーズンの売り込みの時期。シーズンが始まる前に地下鉄が開業するということなので、数年間保持して来た大学構内でのバロックシリーズから、ダウンタウンの土曜日シリーズに切り替え。思い切ってドレスサークルを頼んだら、最前列のど真ん中。どうやら最後列の4列目が一番人気があるらしい。どうしてって聞いたら、後が通路で人がいないのが好まれるとか。へえ、カレシは通路側の席にこだわるし、ほんとに人の好みっていろいろだなあ。さて、久々にダウンタウンでのコンサート、ドレスサークルだからおめかしして行かなくちゃ。イブニングドレスを着られるように、ちょっと贅肉を落としとこうっと・・・。

さて、仕事に集中しなきゃ、と意気込んだところで、遅れていた原稿が入っている。予想よりずっと少なくなって助かるけど、現在進行形のと納期が同じ日曜日の午後5時。まだ明日1日があるけど、し~らない。そんなところへカレシが帰ってきて、まあ、どうにか責任感のありそうな人と話ができたらしい。今度は電話で「免税限度以上の酒類の持込について問い合わせ。ここでは店頭に並ばない特別注文の商品だけど、シアトルに行けばワシントン州の酒屋に在庫がたっぷりなことはネットで調べて確認済み。あれあれ、復活祭の週末にでもシアトルまでトラックを飛ばそうなんて言っている。あ~あ、4月もあわただしくなりそうな予感・・・。

今日と明日で仕事をほぼ片づけておかないと、期限まで徹夜状態になりかねないから、ここのところはおいしいもので腹ごしらえをして・・・と、冷蔵庫から出した赤ピーマンは、ステロイド肥り・・・?

DINE-INスペシャル第10回

3月28日。さて、仕事は今日と明日の午後がホームストレッチ。その後はもう4月。少しは遊べる時間ができるといいなあ・・・とあれこれ白日夢が浮かんでは消えして、仕事のペースが落ちる。もう10回目になった極楽とんぼ亭のサタデイナイトスペシャル・・・

ロールモップスのバッテラ風。友だちのブログからアイデアを拝借。ロールモップスはピクルスを巻き込んだニシン漬け。すし飯を作っている間に冷水でちょっと酢抜きして、サランラップで細い押し寿司にする。他のコースの下ごしらえの合間に、時々形を整えながら手でぎゅっと重しをかける。彩りにラディッシュと濡れたペーパータオルに包んで電子レンジ数秒の絹さや。

豚挽き肉の豆腐カップ詰め、タイ風ソース。光ものの押し寿司からフランスの田舎料理につなぐのに、はたと思案。ニシンの生臭い後味をなんとかしないと。豚のひき肉はまだ表面だけ解凍。解けた部分だけを取り出して、残りはまたフリーザーにポン。豆腐を4センチ角くらいに切ってゆでて、四角に繰り出して「枡」。そこにさっと炒めたひき肉と赤ピーマンを詰めて、タイの赤カレーの残りをソースに仕立ててかけ回し。ピリッとしたスパイスで味覚がリセットされた感じ。ふつうサイズのフォークは大きすぎて食べにくい、とカレシ。たしかに・・・

鴨の足のコンフィ、チェリーブランディリダクション、温野菜(アスパラガス、ポテト、カリフラワー)添え。メインコースは大好物の鴨の足のコンフィ。したくを始める前からオーブンに入れておく。お酒を置いてある棚の奥で見つけた、少しだけ残ったチェリーブランディ。前のコースを食べている間に火にかけてリダクションに。蒸した野菜の方にちょこっとかけ回してみた。特にポテトにはチェリーの甘さがよく合った。

 カレシ特製のサラダは、グリーンにトマト、黒オリーブ、山羊のチーズにラズベリー酢のビネグレット。

デザート(バニラアイスクリーム、いちごシロップ、フルーツ)。フルーツの在庫が過剰気味ということで、デザートはキウィといちごと青ぶどう。これにカレシ特製のバニラアイスクリームを砂糖入れの丸いスプーンで丸くすくって3つ。これまたカレシ特製のいちごシロップをアイスクリームにたらたら。うん、美味・・・

等(など)化的日本語論

3月29日。目が覚めて寝ぼけ眼で時計を見たら、午後12時半。大変だぁ、午後5時までに終わらせて送る仕事があるんだぁ、起きなくちゃぁ、といい気分で高いびきのカレシを起こして、1日が始まった。PCが立ち上がるのを待っている間にちょっと外へ出て見たら、おお、あったか~い。(最高気温は10度だったとか・・・たったの10度?)

春の陽気は横においといて、とにかく仕事を終わらせるのが先決。まあ、決算報告は前年度のものをカンニングできるから、けっこう楽。おまけに、経費節減ということで、前年度と違う部分だけを抜き出してくれたから、実際の作業量は全体の20%くらで大助かり。たぶんTradosを使ったんだろうけど、こういうご利益もあるのだ。極楽とんぼはTradosが大嫌いだけど、シドニーの会議で同僚が発表したプログラムは使えそうな感じがする。機械翻訳ソフトではなくて、コンピュータ援用翻訳(CAT)ツール。うん、手が空いたら沖縄にいる彼にメールして、聞いてみようっと。まあ、2つのファイルを別々の客先に送信したら、午後4時半。終わった、終わった、終わった~。

それにしても、日本語の「化け語」はこわい。表意文字の漢字はアルファベットにないすごい造語力がある。それを取り入れて、何でも「化かして」しまえる日本語もすごい。もちろん表意文字ならではの芸当なんだけど、この「お化け語」は極楽とんぼにはこわ~い存在。毎日のように、「等」、「的」とともにお目にかかるのが「化IT化、一般化、計画化、構想化、エコ化、環境化。日本企業は「合理化」が好きだし、みんな「国際化」が大好き。まあ、言語にはそれを使う民族の「考え方」が現れているもんだけど、リサイクリングに「再資源化」を当てた人は偉いと思う。まさに「化け語」は言葉の錬金術師とも言えそう。」。「日本語の等(など)化的な用法について」なんて論文を書いてみたいような。

だけど、化け語の概念が必ずしも英語化した語から浮かぶイメージと一致しなくて、満足できる訳語が見当たらないこともあるから、そうそう感心ばかりもしていられない。もちろん、辞書を引けば「~化する」のは「-ize」で名詞の「~化」は「-ization」というパターンが出てくるから、一応対応する訳ということになるんだけど、「IT化」を「ITization」と訳したって意味をなさないから困る。パソコンとインターネットの普及で情報の処理や利用が「コンピュータ化」されたのが情報化ということでなんとか折り合いをつけるけど、結局は同じことを言っているとはわかっていても、日本語の軸足が「もの」にあるのに対して、英語のは「行為」にあるように思える。つまり、視点がまったく別のところにあるような感じがしてしかたがない。すなおに辞書の言う通りにせずに、よけいなことを考えてしまうから、とんぼの脳内回線はショートしてばっかりなんだなあ。

外来語のカタカナ表記もけっこうやっかいなしろもので、おまけに、元のままではせっかちな日本人は長すぎると感じるのか、あっという間に数文字の短縮語になって、やがてそれが「カタカナ語」として定着し、日本語として日常化(!)する頃には元の言語とは意味が違っていたり、幅広い意味合いを持っていた語が「ひとつおぼえ」になっていたりする。せっかく漢字と言うすごい造語力のある表意文字を持っているのに、なんでわざわざ意味不明の記号みたいな言葉にするんだろうなあ。軽いノリで言いやすいから?耳に響きが良く聞こえるから?漢字と違って読みやすいから?外国語でかっこいいと思うから?All of the above?None of the above?それとも・・・

左利きの陰謀?

3月30日。一転して雨もようの月曜日。道路向こうの桜の木には淡いピンクの点々が増えているのが肉眼で見える。本当に今年の春は遅い。到着も遅ければ、足取りも遅い。フライトが遅れた上に、税関でひっかかっているようなものかな。ふむ、持ち込み禁止のやっかいもの(豪雨とか遅霜とか)を見つけられて足止めされているわけじゃないだろうなあ。

さて、残っている仕事は1週間もあればできる量で、納期まで3週間。ここでえいっと羽を伸ばさない手はない。新しい仕事が入ってこなければ、今週いっぱいは休みを取りたいなあと思うけど、とりあえずデスク周りの整理。シュレッダにかける紙類が山とある。雑誌やカタログの山もリサイクルに持って行かないと「ごみ屋敷」になってしまいそう。だけど、カレシは雨だからと、工作室で菜園作りの準備で庭に立てる格子を製作中。なんともせっかちなトンカチの音がして来る。まるでキツツキ。短い釘なんだから、ハンマーのハンドルの端を持って、頭の重みを利用してガン!とやれば、極楽とんぼの腕力でだって2回で入るのになあ。要はスィートスポットを当てることなんだけど、カレシはハンマーの頭の方を握って、ガンガンとがむしゃらに叩く。釘が曲がるのは、出来損ないだからじゃないんだけど・・・。

今日はゆっくりおいしいものを作ろうとフリーザーを点検したら、ふだんの食材はかなり減っているのに、在庫全体はちっとも減っていない。どうやらご馳走の材料を貯め込みすぎたらしい。常備の肉類のバスケットを出して見たら、うわっ、魚の類がある、ある。ナマズにティラピア、スナッパー、オレンジラフィーにオヒョウ、マヒマヒ、ハマチにマグロ、カジキに鮭にイワナにチカに白魚。エビ、タコ、イカに、アワビとホタテとムール貝。スモークサーモンにスモークのぎんだら、サーモンキャビアにまさごにとびこ。そこいらの魚屋より種類豊富。おまけに鴨の足がいっぱいで、ラムもキジも。これではビーフもチキンもポークも居場所がない。珍しいものを見ると買ってしまうからなんだけど、ま、せっかく手が空いたことでもあるし、カレシを(実験的)ご馳走攻めにしてしまおうか。

自分の持ち場のサラダつくりをさっさと終えて、ディナーができあがるのを待つ間にTIMEを読んでいたカレシ。「ね、この写真、変だよね」と開いたページを忙しいシェフの鼻先に突きつける。よく見たらオバマ大統領がボーリングをしている写真。何か変て・・・どこも変なところないけどなあ。だけど、どうしても納得がいかないらしかったカレシ、しばらくして素っ頓狂に「オバマは左利きなんだ!」 そうだけど、それが何か?そういえば、近頃はアメリカは左利きの大統領が多いなあ。クリントン、ブッシュ一世、レーガン、フォードとみんなぎっちょ。トルーマンも左利きだった。オバマの対立候補マケインも左利きなもので、オバマが大統領になったときはワシントンポストが冗談めかして「左利きの陰謀か」なんて書いたくらい。う~ん、左利きには右利きにない何かがあるんだよねえ。プラスアルファってやつが・・・

盛り付けたディナーの写真を撮っていて、ふと思った。これって左ぎっちょの盛り付けなのかなあ。右利きの人の目には「この写真、なんか変だよね」なんて映っていたりして。それよりも、左利きのシェフっているんだろうか?

宇宙人のサンペイ君

3月31日。とうとう弥生3月、最後の日。いいお天気なんだけど、やっぱりまだ「暖かさ」が足りないような・・・。せっかく天気だし、いつ束の間で終わるかわからない休みだし、ということでエコーの運動がてらグルメショップまで「衝動買い」しに行くことにした。いつもはレストランの帰りに立ち寄る程度なので、ゆっくり見て回る時間があまりないから、今日はゆっくり心行くまでおもしろいもの探し。

ところが・・・またまたエコーのエンジンがかからない。この前バッテリが上がってトウトラックに来てもらってから1週間しか経っていないのに。やっぱりバッテリに問題があるんだよ。まあ、とにかく即24時間サービスに電話して、整備工場に連絡。1時間後に到着した差し回しのトウトラックに今度こそ整備工場まで持って行ってもらった。今回は要入院。保証期間は去年の夏で切れているから、だいぶかかるだろうなあ。近頃のキカイって、保証期間が過ぎたとたんに故障続きになるから不思議。あんがいそういう風に設計されているんじゃないかと勘ぐりたくもなる。昔テレビのドラマで、極秘の任務を説明したテープが「5秒で自動的に消滅する」ってのがあったけどなあ・・・

しょぼんと鼻面を引かれて行くエコーを見送って、トラックに乗り換えて「衝動買い」。カレシはオリーブ油にシャンペン酢、イギリス輸入のジャム。極楽とんぼは乾燥したラベンダーの花とビン入りの鴨の脂とココナツ、レトルトのスープ2種類。ブランドを見たら、バンクーバー市長のオーガニック食品会社じゃないの。まあ、スープがおいしかったらそんなのどうでもいいか。

それにしてもなあ。先週やはり出かけ際にエンジンがかからなかったときは、どう考えてもバッテリがおかしいから、取り替えてもらおうと言ったのに、ジャンプスタートしてもらってちょっと走ってくれば大丈夫さ、なんて言ったのは誰だっけなあ。まあ、買い物でも「○○はいる?」と聞くと「まだあるから、いらない」と却下しておいて、帰って来てから「○○がない。買ってくればよかった」と言い出す人だから、車に関しても同じことか。どうやら意識の奥深いところで「人の言うことなんぞ聞くもんか」と固く決意しているらしい。

そんなカレシと重なって見えたのが読売小町で人気上位の「サンペイ」さん。「理想の女性と結婚しましたが、家事をしてくれません」というのが悩みで、結婚するのが夢だった職業の女性との結婚にこぎつけたのはいいけど、奥さんは家事をしない。39才で「潔癖症」のサンペイ君は家事全般をこなしているけど、どうしたら家事を負担してもらえるだろうか?ふむ、フルタイムで働いて家事全般を負担・・・かっての極楽とんぼみたい。さぞ小町の女性陣に同情されるかと思いきや、サンペイ君への風当たりは強くなるばかり。相手の職業の「優しくて働き者」のイメージに恋をしたようで、この辺は「日本女性」のイメージに恋をして、とんぼのことは目に入らなかったカレシとそっくり。夢を描くこと自体は悪いことじゃないだろうけど、ラベルや条件に寄り目になってしまって、「生身の人間」が見えないと、夢のシャボン玉はパチンとはじけるもの。

それにしても、アドバイスへの一見まじめそうで、元の相談事からずれにずれて行くレスを読めば読むほど、「どこぞの宇宙のお方でしょうか」といいたくなるくらい、「人間感」のない無機質な人が浮かんでくる。人の話を聞かないこと、共感力のないこと、(実際は浮気性らしいのに)自分は女性に対して誠実だという思い込みが強いこと、「のぼせ」と「愛」の区別がつかないらしいこと・・・どれをとってもカレシより何枚も上手。トピックを立てて1ヵ月後には「離婚しました」。すぐに婚活を始めて「反応がいい」。今度は「優しくて素直な普通の女の子がいいです」なんだと。いやもう、サンペイ君はすごい。でもこれ、ほんとうに本当のことなのかなあ。なんだか創作じゃないかという気がしてしょうがないんだけど・・・。