goo blog サービス終了のお知らせ 

尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

2025都議選、「納得」と「驚き」ー自民惨敗、「都民ファースト」が第一党

2025年06月24日 21時49分42秒 |  〃  (選挙)

 2025年6月22日に東京都議会選挙が行われた。今までの都議選の記事を探してみると、何と前回2021年だけだった。それは『勝者なき都議選ー2021東京都議会選挙』で、4年前は7月4日だった。もう言われてみないと忘れているけど、それは「東京五輪」の直前で菅義偉内閣時代だった。コロナ禍真っ只中ということもあり、投票率は42%ほどだった。なんか忘れてるよねえ。

 今回は自民党が過去最低となり、公明党がなんと3人も落としてしまった。その分「都民ファーストの会」が堅調で第一党になった。しかし、そうは言っても全127議席中の31人で、4分の1ほどしかない。もはや世田谷(8人区)を除き複数当選はない。練馬区(7人区)では2人いた現職のうち1人は落ちている。小池百合子知事の支持率は今も高く、特に選挙前に打ち出した「夏季の水道基本料金無償化」(なんとなく水道料がタダになるかのように思っている人がいるかもしれないが、基本料金だけである。一般住宅では2~3千円程度。)それでも他党より支持が集まったということになる。

 今回の投票率47.59%だった。下のグラフを見れば判るように、投票率は一回ごとに増減を繰り返している。ダイエットのリバウンドのような状態になっているが、これまでは下がった次は5割になった。今度はそこまで行かなかったが、それでも体感的には結構増えた気がする。直後に参議院選挙もあるし、いろいろ話題の新党も参戦し、それなりに話題豊富だったということか。国政与党と国政野党の間で、地域政党である「都民ファーストの会」が票を集めたが、参院選ではその票はどこに向かうのか?

(都議選投票率の推移)

 自民党は今回都議会でも「裏金」(政治資金報告書不記載)問題があった。そのため現職議員でも非公認者が6人出ていた。「裏金」議員全員ではなく、都議会自民党幹事長経験者に絞って非公認とした。無所属で戦った6人のうち、3人が当選、3人が落選だった。しかし、告示当日に井上信治都連会長が非公認の大田区鈴木章浩、世田谷区三宅茂樹の応援に行っている。二人とも落選で、応援の効果がなかったというより、むしろ逆効果だったのかも。いきさつはともあれ、「非公認」とした以上「会長」が応援に行ってはいけない。石破政権の給付金が不人気と言うが、僕は井上会長のふるまいが「無反省」だったことも大きいと思う。

(自民党は歴史的大敗)

 都議選は「参院選の前哨戦」と言われたが、これに対し「再生の道」の石丸伸二氏がNHKで噛みついていた。どの党が言ってるんですかというけど、どの党もそう思ってやっている。それは時期が近いとか、「首都決戦」が全国に波及するなどの理由もあるが、一番大きいのは「1人区」から「8人区」まである都議選の仕組みが参院選に似ているからだろう。また東京だから都市部ばかりかというと、そんなことはない。地域のつながりが強い23区東部、リベラル系が強い23区西部から多摩地区東部、農山村地帯や離島まであって、全日本の縮図といっても良い。そういう事情で次の国政選挙を占うには最適の選挙になるわけである。

 その「1人区」は7つあるが、島部は自民党の裏金「非公認」議員(追加公認)が国民民主党候補にダブルスコアで圧勝した。これは何回やっても同じで、当選した三宅正彦氏は最大の伊豆大島出身で、次点の伊藤奨氏は島の学校を転々として八丈高校卒業という事情が絡むのである。その他の6つは「都民ファーストの会」が3(中央、青梅、昭島)、「無所属」が3(千代田、武蔵野、小金井)である。無所属の内2人は野党系推薦で、もはや自民党は1人区で勝てないのである。また野党系は上手に「共闘」すれば健闘できるのだ。千代田区の無所属当選者は実は今回最大のサプライズで、もう一回別に考えたいと思っている。

(小池知事と「都民ファースト」第一党に)

 今回の情勢を象徴するような選挙区が「北区」である。都民現、公明現、共産新が当選で、次が自民新、維新新だった。新人だからかもしれないが、今回議席を減らした公明や共産にさえ自民が及ばない。「豊島区」はもっと凄くて、都民現、共産現、公明新が当選で、次点が再生新、一番下が自民新である。「再生の道」にさえ及ばなかった。4人区、5人区で候補を一人に絞った地区は、さすがに当選しているけれど、少なくとも今回に限っては自民党は大敗北である。このように地方議員が減ることが、今度は国政選挙でもボディブローになってくる。手足になって働く議員、支持組織が細っていることを示している。

 公明党は前回23人当選のところ、22人を擁立して最初から守りの姿勢だった。長らく全員当選を続けてきたが、今回3人も落選したのは驚き。特に新宿区で現職が立憲民主党新人にわずか257票差で競り負けた。ここは公明党や創価学会の本部がある地区なので、まさかのまさかという感じである。上は自民、共産、国民民主で、自民、共産候補が固い個人票を持つ中、国民民主党が割り込んできた。大田区は現職2人が共倒れ。故池田大作氏の出身地で公明党が強い地区だったが、もはや複数当選は厳しいのか。僕の住む足立区は2人当選したが、5位と6位だった。それも25,806票と25,332票で差がない。浮動票が少なく身内票をまとめた感じ。

 立憲民主党は17人当選だが、推薦した無所属が複数当選しているので、統一会派を組むことが出来れば公明党を上回り、場合によっては自民党会派に並ぶ可能性もある。それを考えれば、一応「批判票」の受け皿になったのかと思う。共産党は品川、葛飾、江戸川、八王子、町田で現職が落選し、前回19人が今回14人当選にとどまった。選挙区事情が違うが、国民民主党が入っている地区が多い。共産党の不振は公明党の事情と似ていて、支持者の高齢化が進んで集票力が落ちてきているのかと思われる。

 最後に「再生の道」を書くつもりだったが、止めておく。政策を掲げないこともあるが、同じ地区に2人立てる(かなりあった)など当選させる気が初めからないとしか思えなかった。そういうムードが有権者にも伝わって広がらなかったのか。参院選にも立てると言うが、どうなることか。国民民主党はゼロから9人だから大躍進である。だけど当初は支持率がもっと高く、目標が11議席だったので何だか大勝利感がない。だけど今も一定の強い支持があるのである。しかし、都政では「小池与党」になるだろう。その意味では国民民主党票は「保守」「小池支持」であり、自民減少の理由の一つだったのではないか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高妍『隙間』第4巻(完結)で... | トップ | 都議選、台頭する「排外主義... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

 〃  (選挙)」カテゴリの最新記事