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尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

比例区票の検討、実は自公とも前回より減らしたー2022年参院選②

2022年07月13日 22時33分27秒 |  〃  (選挙)
 毎回行っている比例区票の点検作業。今回の比例区の投票総数は5302万7248票だった。全国の有権者は約1億500万人なので、1%違うと100万人ほど違ってくる。19年参院選は約5007万票21年衆院選は約5747万票だった。前回参院選より投票率が高く、その分300万票近く増えた。しかし、参院選は大体衆院選より低くなるので、21年衆院選より440万票減っている。
(22年参院選の結果)
 では各党を順番に見てみる。まず自民党だが、今回比例区で1826万票で、全体の34.43%になる。これは昨年の衆院選の得票率34.66%とほぼ同じである。ここでも安倍元首相銃撃事件は影響を与えなかったことが判るだろう。以下に最近5回の国政選挙の得票数を示す。(参院選後のカッコは獲得議席。)
 16年参院選→(17年衆院選)→19年参院選→(21年衆院選)→22年参院選 
 2011万(19)→(1856万)→1711万(19)→(1991万)→1826万(18) 
 
 6年前は2000万票を越えていたのに、その後は21年衆院選の1991万が最高である。衆院選と参院選は違うと言っても、去年から160万票減らしている。19年参院選は投票率が低く、3年前よりは110万票増やしたが、実は1議席減らしている。なお、6年前まで比例区は48議席だったが、3年前から50議席に増えた。今までの自民党の最多獲得議席は86年衆参同日選の22議席、最少は2010年の12議席である。2013年からは18、19、19、18となっている。今回は自民党大勝利というイメージを持っている人が多いと思うが、実は前回より比例区で減らしているのが事実である。
(個人名1位の自民党赤松健候補)
 公明党618万票ほどで、獲得議席は6議席だった。公明党も前回より1議席減らしている
 753万(7)→(698万)→654万(7)→(711万)→618万(6)
 16年参院選から減り続けていた得票が、21年衆院選で久しぶりに700万票台に載せた。しかし、今回は去年より100万票減らしている。獲得議席も1889年、2010年以来の3回目の6議席となった。まあ重点候補は6人だったが、7人に届かなかったのは痛いだろう。創価学会員の高齢化、コロナ禍で集会が難しい、公明党議員(遠山元衆院議員など)のスキャンダルなどもあるが、最大の要因は選挙区で自民党が堅調だったことだと思う。野党統一候補とし烈な選挙をしている時は、公明支持者をつなぎ止めるため「選挙区は自民党、比例区は公明党」と自民党支持者に訴えると言われる。今回はそれがなかったのだろう。

 次は野党を見る。立憲民主党は6年前にはなかった。6年前は民進党で11議席を獲得していた。
 17年衆院選から見ると、(1108万)→792万(8)→(1149万)→677万(7)
 衆院選では、まだそれなりの力があったものの、投票率が低かった前回参院選より120万票も減らして、議席も1減だから、やはり立憲民主党は敗北と言うべきだろう。原因がどこにあるかは、別に考えたいと思う。労働組合出身の候補は軒並み10万票以上の個人名得票があって、5人全員当選した。前回国民から出て落選した基幹労連は今回立民から出て当選。他には自治労、日教組、JP労連、情報労連である。組合以外の当選者は辻元清美と青木愛だけだった。労組は大切だが、これでは党勢が伸びない。
(比例区で当選した辻元清美候補)
 続けて国民民主党を先に見ると、316万票ほどで3議席。いずれも労働組合出身者で、当選したのは電力総連、自動車総連、UAゼンセン。電機連合の矢田稚子副代表は落選してしまった。3年前から30万票減らしてる。全国組織が頑張る参院選の方が比例票が出る体質なんだろうと思う。取りあえず労組3人ぐらいは当選させられる。だから脱原発の立民にまとまるより、電力総連には国民民主党が居心地良いんだろう。
 19年参院選から見ると、348万(3)→(259万)→316万(3)

 次に「日本維新の会」を見るが、16年参院選は「おおさか維新の会」だった。その時は515万票で、4議席だった。
 515万(4)→(339万)→491万(5)→(805万)→785万(8)
 「維新」は自民党と同じく、著名人を比例区で擁立したが、8人目の青島健太は3万3553票で当選した。これは今回の個人名最少得票当選者である。「維新」は785万のうち、708万が政党名得票だった。実に90.3%にもなる。政党名投票を呼びかけている共産党の91.8%には及ばないが、異例に高い。(なお、どの党も政党名得票が圧倒的に多いのだが、自民党、立憲民主党とも75%ほどである。)つまり、著名人を立てたからではなく、有権者は「維新」そのものに投票しているのである。
(投開票日に辞任を発表した「維新」の松井代表)
 共産党362万票ほどで、3議席
 602万(5)→(440万)→448万(4)→(417万)→362万(3)
 16年参院選から見ると、半減とは言わないが240万票も減っている。4割減である。今回は野党協力が不調で、共産党も全部ではないけれど、33選挙区に候補を立てた。しかし、比例票上積みにはつながらなかった。この党勢低調をどう考えるか、どう打開するか。きちんと党内で自由闊達な議論が行われなければならないだろう。

 れいわ新選組は、前回19年に228万票、21年衆院選は221万票、今回22年参院選は232万だった。数だけで言えば今までで一番多いけれど、220~230万票程度が上限なのかとも考えられる。毎回衆参選挙ごとに、山本太郎が辞任して出馬するわけにもいかないだろう。

 社民党は、2.37%の得票で、一応政党要件をクリアーした。
 154万(1)→(94万)→105万(1)→(101万)→126万(1)
 「福島瑞穂を当選させる会」としては1議席を確保したわけだが、今では「希少生物」になっているのは間違いない。3年後は福島瑞穂に匹敵する著名人を擁立出来るのか。3年後は厳しいのではないか。

 「NHK党」は、19年に152万票で1議席。2022年は125万で1議席。前回は3.02%で、今回は2.36%。どう考えるべきかは判らない。
 そして問題の「参政党」。177万票、3.3%で1議席を獲得した。何と社民、N党より多い。2023年の統一地方選で、地方議会に大量に進出するのではないかと思う。その議員から国政に出る人も出て来る。だが、単なる「極右」というより、「陰謀論」「カルト政党」化する可能性もある。「コロナワクチン反対運動」などを行うかどうか。「維新」はトランプの米共和党に近く、「参政党」はフランスの「国民連合」(旧国民戦線)ではないか。しかし、反外国人労働者の姿勢が「れいわ新選組」とも近く、左右を越えたポピュリズム政党の基盤を作っていくのかもしれない。

 いずれにせよ、自民党、立憲民主党、公明党、共産党がすべて19年参院選より1議席減らしているのをどう考えるべきだろうか。僕にはまだまとまった考えがない。何にせよ、安倍事件の影響はあったとしても、政党選択には影響しなかったと見るべきだろう。 
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意外!事前予測通りの結果だった参院選ー2022参院選①

2022年07月12日 22時44分38秒 |  〃  (選挙)
 2022年7月10日に行われた第26回参議院通常選挙は、選挙戦最終盤に安倍晋三元首相狙撃事件という驚くべき事件が起こった。結果的に自民党が圧勝し、単独過半数を獲得する大勝利となった。そこで、こう思っている人が多いのではないか。「死せる安倍元首相への追悼票が自民党に集中し、安倍氏の悲願だった憲法改正を可能とする議席を改憲派政党が獲得した。」このような言説を外国メディアも報じているし、何となく信じている人もいるだろう。それは本当なのだろうか。
(自民党が勝利した結果)
 どういうことが起これば、その説を証明できるだろうか。僕が思うには、 ①棄権するはずだった有権者が投票に参加して、投票率が上がる。②その有権者が自民党に投票することによって、比例区での自民党当選者が事前の情勢報道より明らかに増える。という二つのことが起きるのではないかと思う。なお、各地の選挙区はもともと自民党候補の優勢が伝えられていたため、安倍氏の事件が選挙結果に影響したかどうかの判定は難しいと思われる。
(投票率の推移)
 そのうち①の投票率に関しては、確かに増えている。今回は52.05%で、前回2019年の48.80%より3.25ポイント増えている。しかし、前回が特に低かったので、上記のグラフを見れば判るように、ここしばらくの「漸減」に戻っただけのようにも見える。細かく調べてみると、やはり地方の自民党の強い地区、つまり「結果が見えている」選挙区では5割を割っているところが多い。一方で、与野党激戦が伝えられた1人区、岩手、山形、新潟、長野、山梨などは軒並み55%ほどを記録している。合区された島根県は高いが、今回自民党候補がいなかった鳥取県は低い。このように選挙区事情により投票率もバラバラである。

 事件が起こった奈良県を中心に、近畿地方の投票率はすべて5割を越えている。しかし、近畿各県では比例区の投票先は和歌山を除き、「維新」が2割を上回っている。大阪、兵庫では第1党である。近畿地方の投票率が高かったのは、安倍事件の影響というよりも、「維新」人気が高かったためなのか判定が難しい。今回は都市部の投票率が比較的高かった。東京(56.5%)、神奈川(54.5%)を始め、愛知を中心に東海から、近畿に掛けて高くなっている。僕は東京がここまで高くなるとは思っていなかった。だから、無党派層がやはり選挙は大切だと思って投票率が上がった可能性はあると思っている。
(自民党本部の岸田首相)
 しかし、それは自民党への「同情票」ばかりではなく、非自民層も投票に行き、特に参政党、NHK党などを押し上げたのかもしれない。実際、3年前に議席を獲得した「れいわ新選組」「NHK党」に加えて、今回初参戦の「参政党」の3党だけで、全比例票の10.06パーセントを占めている。その分、「老舗政党」の獲得議席が減ることになる。「維新」が14.80%なので、4党で4分の1ということになる。今回は全部で10党が比例区で議席を獲得した。今までは9党が最多だったので、今回は新記録になる。

 投票率は確かに上がったが、②で挙げた「自民党への同情票の爆発」は起こらなかったと考えられる。それは今回の結果が「事前予測調査」の通りだったことから判明する。2021年10月の衆院選で、朝日新聞の事前予測はほぼ当たっていた。電話、携帯電話、独自調査に加え、インターネットでの調査を加えたということだった。今回も同様に調査を行ったのではないかと思う。 

 その事前調査の2回目の結果は、7月6日に報道されている。以下の通りである。「下限~上限」で示されている。

自民党  合計(56~65) 当選者63   うち比例区(15~19) 当選者18 
公明党  合計(12~15) 当選者13   うち比例区(6~8) 当選者6 
立民党  合計(12~20) 当選者17   うち比例区(5~8) 当選者7 
維新  合計(10~16) 当選者12    うち比例区(6~9) 当選者8 
国民党  合計(2~7) 当選者5    うち比例区(2~4) 当選者3 
共産党  合計(3~8) 当選者4    うち比例区(3~5) 当選者3 
れいわ  合計(1~5) 当選者3    うち比例区(1~4) 当選者2 
社民党  合計(0~1) 当選者1    うち比例区(0~1) 当選者1 
NHK党  合計(0~1) 当選者1    うち比例区(0~1) 当選者1 
諸派  合計(0~3) 当選者1     うち比例区(0~3) 当選者1 

 このように、すべての党が事前予測通りである。比例区でも自民党が爆発的に得票したわけではなかった。事前に予測された調査通りだったということは、自民党勝利の理由は安倍氏の事件ではなかったことを示している。むしろこの間岸田内閣の支持率がずっと堅調だったことが重要ではないか。安倍、菅政権から岸田政権への「擬似的政権交代」が有効だったこと。ウクライナ戦争など「国難」に立ち向かう「戦時下内閣」として政権を支えるムードがあったこと。コロナ禍が3年目を迎えて業界支援のため与党への期待票があったこと。そのようなことの複合として、もともと今回は自民党が好調だった。それがそのまま出たという参院選の結果だったように思われる。各党の盛衰は次回に。
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「日本維新の会」という「古い党」ー参院選比例区の党③

2022年06月29日 22時25分38秒 |  〃  (選挙)
 「参政党」「NHK党」を書いたので、続けて「日本維新の会」(以下「維新」と略)を書いてしまいたい。「維新」については、かつて「大阪維新の会」や「大阪都構想」について何度も書いたのだが、もうずいぶん前になるので覚えている人もいないだろう。なんでこの党が再び勢力を取り戻したのだろうか。「大阪都構想」が住民投票で2回続けて否決されたことで、もう存在意義を失ったのかと思っていたら、2021年の衆院選で大躍進したわけである。

 下のポスターにあるように、「身を切る改革、実行中」をうたうが、身を切りすぎたからか全国でコロナ死者が人口当り最多である。保健所を減らしすぎたのではないかと言われ、橋下徹元市長も認めたと記憶する。それに、テレビで「維新」を代表して政見を述べている松井一郎大阪市長は来年で引退すると公言している。今回の参院選で述べている公約に責任を持てるのだろうか。
(「日本維新の会」ポスター)
 「維新」に関しては以前から様々な疑問を持っているが、NHK党を調べていたら興味深い記述を見つけた。3年前に参議院に当選した立花孝志氏は、「議員会館にテレビを設置し、NHKと受信契約を締結した上で不払いすることを宣言」した。もう少し細かな記述があるのだが、それは省略する。それに対して、松井一郎大阪市長は「現職国会議員の受信料未払いをNHKが認めるなら、大阪市もやめさせてもらう」と述べたという。また吉村洋文大阪府知事も「現職議員が受信料を踏み倒すというのが許されるなら府も払わない」と述べたと出ている。この問題、結局どうなったか知らないけれど、そんなやり取りがあったと思い出した。

 この「維新」ツートップの発言は非常におかしいと思う。まず、受信料に関する立花氏の対応をどう考えるのだろうか。「正しい」と考えるならば、立花氏とともに「不払い」をするべきだろう。一方、「間違い」と考えるならば、立花氏がどうあれ「維新」は受信料を払うと言うべきだ。松井氏、吉村氏が言うのは、「あの子がズルしても先生が叱らないんなら、僕もズルしちゃうから」と駄々をこねている子どもと同じではないか。

 しかし、その問題と別にもっと重大な問題がある。立花氏が言っているのは、国会の議員会館のテレビである。だから、松井氏が「現職国会議員の不払いをNHKが認めるなら」「維新の国会議員も払わない」と言うのなら、理解はできる。しかし、松井氏や吉村氏が言うのは、「大阪市」「大阪府」が払わないというのである。政党は私的な存在だが、府市は地方自治体である。自分たちはたまたま選挙で選ばれて首長を務めるが、そこは「領地」ではない。自分たちの政治的方針で、公的なルールを守らないのはおかしい。(なお、災害対応が避けられない地方自治体がNHKニュースを見ないことはあり得ない。)

 このような「公的感覚の欠如」が「維新」の特徴である。「大阪都構想」もそうだし、2回やった「ダブル選挙」(府知事、市長選を同時に仕掛ける)もそう。公明党の支持を取り付けるため、衆院選で公明が出ている4小選挙区に「維新」候補を立てないのも、何だか小選挙区を「領地」のように考え「陣取り合戦」をする感じだ。かつて橋下市長が卒業式の君が代斉唱を「校長のマネジメントの問題」と述べたのも同じである。立場はいろいろあっても、学校教育はマネジメントの問題じゃないだろう。

 最近の問題では「核兵器の共有」論がある。これは安倍元首相が言い出したが、結局自民党内でも否定された議論だ。善し悪しを論じる前に、絶対に不可能である。そのことを当然「維新」も判ってるに違いないが、あえて掲げるのは安倍氏が掲げた政策なら支持する「超保守派」層有権者を取り込もうという策略だろう。NATOのような集団的防衛組織は東アジアにはない。個別に日米安保を結んでいるのに、日本に「核共有」を認めたなら、当然韓国でも認めよという議論になる。日本が率先してNPT体制を崩すと言うんだから、今後は日本が制裁の対象になりかねない。もちろん、そんなことぐらい判っていて、あえて票のために議論をもてあそんでいると思う。論外だけど、もし判らないで論じているならもっと重大だ。
(「核共有」をめぐる各党支持層の考え)
 これはかつて書いたのだが、「維新」は「問題のある言葉」である。「維新」というから、新しいと思うかもしれないが、実は「維新」というから「古い」のである。「維新」そのものは「これ新た」という新造語で、「明治維新」という官製用語である。人々が旧体制の崩壊を「御一新」と呼んでいたときに、上からの統制用語として「維新」と呼ぶようにしたのである。「大正維新」「昭和維新」「平成維新」と全部あったけれど、すべて保守や右翼の運動だった。だから「維新」と称した時点で、政治史的に自分は右ですと宣言したのと同じである。

 そういう「古い党」だからか、比例区候補を見てみると「昔の名前で出ています」が多すぎる。知名度の高い方で言えば、猪瀬直樹中条きよし青島健太松野明美などである。松野明美は54歳で若いけれど、元五輪選手だから活躍を覚えているのは昔の世代。(その後、熊本県議をしたから政治を知らないタレント候補とは言えないが。)他にも、後藤斎(民主党衆院議員4期を経て、山梨県知事1期)、松浦大悟(元民主党参院議員)、山口和之(元みんなの党参院議員)、木内孝胤(元民主党衆院議員)、井上一徳(2017年に「希望の党」から衆院に当選した)など、「元議員」をたくさん勧誘した。そう言えば、西郷隆盛5代目の子孫(西郷吉之助元法相の孫)、西郷隆太郎という人も出ている。(西郷隆盛総本家敬天会代表だそうである。)
(年収ごとの政党支持率)
 松井代表は政見で「自民党をピリッとさせる」などと主張している。それならば、立憲民主党が提出した内閣不信任案に賛成するべきだ。「岸田内閣は何もしてないから、不信任の理由もない」などと変なことを言ってたが、就任から8ヶ月「何もしてない」なら、当然「不信任」のはずだろう。しかし、実は「維新」の標的は自民党ではない。ホントは立憲民主党である。比例区でも、複数区でも、最後に立民を追い抜いて、「維新」が上回るのが真の目標だろう。共産党と「閣外協力」して政権をねらった立憲民主党を口汚く攻撃する「別働隊」が「維新」の存在意義なのである。

 気になるのは、安倍・菅元総理との関係が深すぎることである。そして鈴木宗男参院議員の「親ロシア」的言動も許容している。「核共有論」を含めて考えると、何だか「反米親ロ」的傾向が見え隠れする。岸田内閣がどのようになるかにもよるが、2025年大阪万博が終わってしまえば「維新」は存在意義を失うと思う。分裂して、強硬派は「弾圧」され、穏健派は自民党に吸収されていくのではないかと考えている。
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「NHK党」とは何だったのかー参院選比例区の党②

2022年06月28日 22時58分50秒 |  〃  (選挙)
 「NHK党」をどう考えるべきだろうか。3年前に「NHKから国民を守る党」として、突然1議席を獲得して驚かせた。その時は党首の立花孝志が個人名1位で当選した。その後、立花孝志は参議院埼玉県選挙区の補欠選挙に立候補したため失職した。その後、立花氏はいろいろと「お騒がせ」があって、党名もどんどん変わっていった。7回も変わったらしいが、書くまでもないだろう。そして、立花氏が失職した後に誰かが繰り上げ当選したわけだが、その人の名前を言える人は少ないと思う。

 参議院議員に繰り上がったのは、浜田聡という医者出身の議員である。一人では活動できないので、「維新」を除名された渡辺喜美議員とともに「みんなの党」という院内会派を結成していた。この間の首班指名選挙では渡辺喜美に入れている。しかし、今年度の予算案には賛成しているので、(国民民主党と同じく)「事実上の与党」として活動していたのである。
(浜田聡議員)
 衆議院では「維新」を除名された丸山穗高を「副党首」に迎えた。(ちなみに丸山議員は北方領土視察時の「暴言」が問題となった。)だから、2021年10月の衆院解散までは衆参で一人ずつ議員がいたわけだが、丸山氏は立候補せず、他でも誰も当選しなかった。党首を務めて、知名度が一番高い立花氏は衆院選も参院選も立候補しなかった。2020年7月の都知事選を最後にどの選挙にも出ていないようである。その理由は何なんだろうか。

 もしかしたら、多くの刑事、民事裁判に関わっていることが理由なのだろうか。立花氏は2021年4月に不正競争防止法違反や中央区議への脅迫などの罪で在宅起訴された。その事件で2022年1月20日に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年、罰金30万円の有罪判決を受けた。公職選挙法違反で公民権が停止されているわけではないから、執行猶予中でも立候補出来るはずである。だが、そうすると刑事裁判で有罪になった事実が大きく取り上げられる可能性がある。それにしても、普通の党なら「刑事裁判で有罪」なら党首を辞任するのではないか。しかし、NHK党は事実上「立花氏個人の党」なんだろう。そんな議論が起きることもない。
(立花孝志党首)
 僕がこの党をどうもおかしいなと思ったのは、2019年の足立区議選だ。「足立区議選、「NHKから国民を守る党」問題」を書いたけれど、「NHKから国民を守る党」から出馬した候補は得票ゼロとなった。区内に住所がなく、被選挙権がなかったのである。今までに「居住実態がない」という理由で、当選が取り消された例はかなりある。しかし、一応は住民票を移しておくものだ。足立区議選では区内に住民票がないのに、カプセルホテルを住所として届けたという。そして当選無効後に住民以外が立候補出来ないのは憲法違反だと訴えたが、最高裁で斥けられた。あまりにも区民をバカにしているのではないか。

 バカにしてると言えば、「同名戦術」もある。2020年4月の衆院静岡4区補選で、野党統一候補として田中健氏が立候補した。(この田中健氏は落選したが、その後国民民主党に入党し、2021年10月の衆院選で東海ブロックから比例で当選した。)その補選に「NHKから国民を守る党」も全く同姓同名の「田中健」氏を擁立したのである。この田中氏は元江戸川区議で、今回も東京都選挙区から立候補している。だから政治家としての活動歴はあるわけだが、静岡で活動していたわけではない。立花氏は当時「同姓同名の候補者が出た場合、どのような票の割れ方をするのかテストしたい」などと述べていた。そして今回は何と比例区に「山本太郎」候補を擁立している。比例区の名簿を見て「れいわ新選組」と間違う有権者が出るのではないか。

 僕が思うのは、これらは単に「バカにしている」「ふざけている」という問題ではないように思う。静岡補選も今回の参院選も、野党候補をジャマするような行動を取っているのである。今回は「年金受給者からはNHK受信料問題を取らない」などと言っている。僕もそれはその方が良いような気がしてくるが、考えてみれば電気代やガソリン代に比べて、NHK受信料の地上波月額1225円は大きくない。受信料がなくなっても、それだけでは焼け石に水ではないのか。それなのに「ワン・イシュー政党」として他の物価問題は論じない。それに何より、受信料以外のNHKをめぐる問題には口を閉ざしてきた。

 この間大きく報道され問題化してきた「かんぽ生命保険の不正販売」を取り上げたNHKの番組に森下俊三経営委員長が介入した問題に対しては、何も言ってない。安倍政権下で政府とNHKとの距離が小さくなり、はっきり言えば「御用報道」化したとよく批判される。安倍政権で起きた森友学園、加計学園、桜を見る会などの問題で、NHKの報道が十分だったとは言えない。というか、長年(テレビをあえて持たなかった一時期を除き)「社会科教員として一応NHKのニュースはチェックする」ことをモットーにしていた僕も、数年前からはもう見る意味がないなと思って見てないから判らないのだが。

 「NHK党」と言いつつ、報道機関としてのNHKにとって一番重大な問題に対して何も言わない。どういうことなんだろうか。そして、内閣提出の予算案に賛成する。立花氏はかつて、衆院選で多数の議席を取ったら「閣外協力」するというようなこを発言していた。しかし、それは実現しなかったし、仮にある程度の議席を取っても自民党は受け入れないだろう。現時点で過半数を大きく超えている与党にとって、問題発言・行動が多い少数党を受け入れることはデメリットしかない。もちろん、今回NHK党が仮に1議席を獲得しても、受信料問題は何も変わらない。これほど小さい党があれこれ言っても影響力がない。むしろNHKの報道内容問題から目をそらさせる意味を持つことで存在しているというのが、僕の見立てである。
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謎の「参政党」、新しい右翼政党に警戒ー参院選比例区の党①

2022年06月27日 23時29分19秒 |  〃  (選挙)
 参議院選挙が公示され、東京都選挙区では34人も立候補している。供託金が諸外国に比べて高すぎるという批判を以前書いたが、とにかく今は選挙区に立候補するには300万の供託金が必要なのである。300万円出して何か訴えたい人がそれだけいる。そして比例区にもずいぶん知らない党が出ている。(比例区の供託金は名簿登載者×600万円。)「ごぼうの党」なる候補者の顔写真を一切載せない不思議な党もある。何と選挙公報にも候補者名や政見が書いてない。どうなっているんだろうか。

 そんな中で、情勢報道で「参政党」なる党に議席獲得可能性があると報じられた。参政党って何なんだと話題を呼んでいるのだが、何しろ全国45選挙区すべてに立候補者を出していることにも衝撃を与えている。比例区には5人立候補していて、5×600=3千万円。45×300=1億3500万円。合計して1億6500万円の供託金が必要になる。一体誰が負担しているのだろうか。いずれ政治資金報告書が公表されれば判明することだが、現時点では謎が多い。ただ秘密のスポンサーがいるというよりも、5億円目標のカンパがすでに3億5千万円も集まっていることに注目すべきだろう。
(参政党メンバー)
 参政党から比例区に立候補しているのは、松田学吉野敏明赤尾由美武田邦彦神谷そうへいの5氏である。普通、誰も知らないだろう。何となく武田邦彦という名前に聞いたような覚えがしたが、他は全く知らない。ところで、松田学という人の経歴を見ると、元衆議院議員1期と出ている。調べてみると、1957年生まれ、東大卒で1981年に大蔵省に入省した。2010年に退職して、「立ちあがれ日本」から参院選に立候補して落選。「太陽の党」を経て旧「日本維新の会」に合流し、2012年衆院選で南関東ブロックの比例単独で当選した。その後、2014年に分裂したときには「次世代の党」に参加したが、同年の衆院選で落選した。
(松田学氏)
 「参政党」を立ち上げたのは、2020年4月とある。「次世代の党」は自民党よりも右の位置取りで成立したが、支持が広がらず「日本のこころを大切にする党」と改名した後、2018年に自民党に合流した。安倍政権が長期化する中で、「より右」の存在意義が薄かったのだろう。候補者を欲しいだろう現「維新」から出ないのは、かつての分裂劇が尾を引いているのだろうか。「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる。」とホームページでうたっている。しかし、今までの松田氏の経歴を見ても、明らかに右派的な政策を持った党であるのは間違いない。

 参政党を検索すると、画面に『国民の眠りを覚ます「参政党」』という電子書籍の広告が出て来る。参政党立ち上げメンバーである吉野敏明神谷宗幣両氏の著作という。吉野氏は今回比例区に出ていて、歯科医だが「西洋医学と東洋医学、医学と歯科医学を包括した治療」をすると広報で述べている。神谷氏は元吹田市議で、その後自民党から2012年の衆院選に出るも「維新」に敗れて落選した。今回は比例区から立候補している。2013年にネットチャンネル「CGS」を開設したという。この本を出しているのは、青林堂ヴィジュアルとある。青林堂と言えば、かつて伝説の漫画雑誌「ガロ」を出していた会社だが、今はヘイト本をたくさん出している。そこから出しているのだから怪しさを感じる。

 武田邦彦氏を調べると、この人も非常に怪しい感じがする。1943年生まれで、すでに79歳。2020年に、あの田母神俊雄氏らとともに参政党アドバイザーに就任とウィキペディアに出ている。選挙違反で有罪となって以後名前を聞かなかった田母神氏の名前を久しぶりに見た。東大を出て旭化成に入社、その後芝工大、名大、中部大で教授を務めているのだから、元々はきちんとした科学者のはずである。しかし、ウィキペディアには、地球温暖化、コロナウイルスやワクチン、喫煙などについて「トンデモ発言」を繰り返していると指摘されている。また愛知県の大村知事リコール問題では、高須克弥百田尚樹有本香竹田恒泰とともにリコールの会の設立記者会見に出席したという。結果的に刑事事件で終わったリコールだが、武田氏も上記のような人たちと同類だった。
(武田邦彦氏)
 このように、明らかに現代日本の極右的な系譜につながる人たちが参加しているのが「参政党」だと考えられる。「日本維新の会」とは一緒にやれない過去を持つ人たちである。そこで自分たちで新たに立ち上げて、すでに地方議員も複数いる。市議会が多いが、ボードメンバーになっている川裕一郎という人は石川県議会議員である。「ボードメンバー」というのは、「党全体のお世話役。全体の方向性をまとめます。」とホームページに出ている。神谷、川、松田、赤尾由美、吉野の5人がボードメンバー。赤尾由美氏はアルミ会社社長というが、元日本愛国党総裁の赤尾敏の姪だという話。
(神谷宗幣氏)
 今まで日本の議会政治の歴史では、共産党より左の党も、自民党よりも右の政党も、長く存在出来なかった。まあ、共産党より左の勢力とは、つまり議会政治を否定し直接的に革命を目指すわけだから、選挙には出ないのだが、地方議会には少しいたこともある。また諸外国に多い環境主義的政党も当選できなかった。参議院に小政党が当選したことは何度もあるけれど、結局は消滅するか、自民党に吸収されていった。その意味では圧倒的に多数を形成する自民党より右側に党を作る試みが成功するとは思えない。参議院で少し議席を獲得しても、何も出来ないからである。それはともかく、ネットやSNSを駆使することで伸びているらしき、怪しげな右翼政党「参政党」は危険かつ怪しいというのが調べた結果である。
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群馬と山口、自民王国の立憲民主党ー立憲民主党考④

2021年11月20日 23時32分23秒 |  〃  (選挙)
 前回に東京8区を見て、「野党協力が功を奏した」選挙区があることを確認した。しかし、日本全体を見れば、そういう選挙区の方が少ないだろう。全選挙区を自民が独占し、さらに野党候補の比例復活を1人も許さなかった県も幾つかある。野球で言えば「完封」というべきか。今回の「完封県」は、青森山形群馬福井岐阜島根山口高知の8県である。保守系無所属が当選した熊本県も事実上の「完封」である。よほど保守的な「自民王国」であっても、誰か1人ぐらいは野党系が比例で当選しているものだが、上記の県には野党の国会議員が衆議院にいないのである。

 そんな県がこれほど多くては、とても「政権交代」どころではない。2009年を調べると、高知県だけは民主党が1人も当選しなかったが、他の県では誰かがいた。今回は岸田文雄安倍晋三麻生太郎二階俊博石破茂岸信夫西村康稔森山裕など西日本の有力政治家の選挙区に立憲民主党の候補がいなかった。そこでは共産党社民党れいわ新選組などが立候補して、一応「与党対野党」という形になっている。しかし、それらの党がが野党統一候補として有力者を破ろうと意気込む地区ではない。要するに自民に太刀打ちできないから、立憲民主党が候補を擁立も出来ない「捨て区」である。

 首都圏では甘利明石原伸晃ら自民党有力者を破った小選挙区もあった。だが西日本では善戦するどころか「不戦敗」がこれほど多いのに、政権交代なんて言うのはおこがましかった。「立憲民主党政権に共産党が閣外協力」がどうのこうの、いろいろ言われたけれど、果たして考える価値があったんだろうか。「数字上の可能性」があるから、政権側(や保守系マスコミ)が大々的に問題視した時に、枝野代表も「そんなに勝つわけない」と自分からは言えないだろう。でも、今回すぐに政権交代が実現出来る客観的可能性はなかった。今回は150議席程度が目標で、そのための「戦術」としての野党協力なんだとずばり言えば良かった。

 東西の自民王国の代表として群馬県山口県を見てみたい。群馬県では1区が公認でもめたが、今回から中曽根康隆、4区が福田達夫、5区が小渕優子とかつての首相の子ども、孫が完璧に世襲王国を築いている。特に5区は今まで一度も比例復活もない。2区はかつて笹川堯元総務会長が連続当選していたが、2009年に石関貴史に敗れた。2012年からは井野俊郎が当選中。石関は2005年に比例で当選し、09年には小選挙区で当選。12年には維新に転じて比例で当選、14年にも比例で当選した。17年には落選、今回も無所属で出たが立憲民主党候補の半分(2.5万)しか取れず落選した。
(2021年衆院選の群馬県立候補者一覧)
 群馬3区は笹川博義が4回連続して当選中。笹川堯の子だが、選挙区が違う。09年以前は谷津義男元農水相が連続当選していたが、09年に柿沼正明が当選した。2012年に落選して、その後の情報が無い。その時はまだ40代だったが、以後の選挙には出ないで政界からは引退したようだ。また群馬1区では、05年までは尾身幸次佐田玄一郎が交互に当選していたが、09年には民主党の宮崎岳志が当選した。宮崎は12年には落選したが、14年には比例で当選。17年は希望の党で落選、今回も維新から出て落選した。つまり、2009年は自民王国の群馬においても5区中3区で民主党が当選していたのである。その勢いあってこその政権交代だった。

 2009年にはもう一人民主党の当選者がいた。群馬4区の三宅雪子である。4区は09年まで5回を福田康夫、以後4回を福田達夫と福田家以外が当選したことがない。(5区も小渕家しか当選者がいない。)フジテレビのアナウンサーだった三宅は、小沢一郎の要請を受けて立候補し福田に肉薄して比例区で当選した。当時は知名度も高く、「小沢チルドレン」の代表格とされた。小沢と政治行動を共にし、12年は千葉4区の野田佳彦の選挙区に回って落選、13年の参院選でも落選した。以後はジャーナリストとして細々と活動していたが、2020年1月2日に水死しているのが発見された。自殺とされている。

 続いて西の自民王国、山口県を見る。明治の元勲までさかのぼらなくても、戦後だけでも岸信介佐藤栄作安倍晋三と山口県選出議員が20年も首相をやっている。山口4区では1996年以来、全9回すべて安倍晋三が当選していて、比例当選者も出していない。ただ7回連続して10万票以上を集めていたのだが、今回は8万票と前回より2万票以上減らしたとちょっと話題になった。今回は共産党も出ずに、対立候補はれいわ新選組だった。山口3区も前回まで河村建夫が当選を続けて比例当選も許さなかった。今回参議院から林芳正が転じて、立憲民主党の女性候補に圧勝した。得票率で4分の3を占めている。
(山口県の自民党候補者)
 このように山口3区、4区は今まですべて「完封」を続けている完全なる自民王国だが、山口1区に関してはすべて高村(こうむら)正彦、正大父子が勝利しているのだが、2009年だけは高邑(たかむら)勉が比例で当選した。高邑は12年総選挙前に辞任して山口県知事選に出て落選。その後は維新に移って、14年衆院選に出たが落選した。以後は立候補していないようである。山口県はこのように自民が圧倒しているのだが、山口2区だけはちょっと事情が違う。96年には佐藤栄作の次男、佐藤信二が当選したが、選挙には強くなかった。2000年に民主党の平岡秀夫が当選し、03年も維持した。05年は福田良彦に敗れて比例で当選したものの、福田が岩国市長選に出るため辞任すると補選で勝利。09年も勝利し、民主党政権では法務大臣を務めた。

 しかし、平岡は2012年の選挙で岸信夫に敗れ、14年にも続けて落選して政界を引退した。岸信夫は安倍晋三の実弟だが、岸信介の子ども夫婦の養子となって岸家を継いだ。その事は本人には長く知らされなかったという。2004年に参院選に出馬して当選し、12年に衆院に転じた。現職の防衛相ということもあり、今回は共産党候補に3倍以上の大差を付けている。こう見てくると山口県の自民王国は今後も続くのは明らかだろう。2009年でも民主党は小選挙区で1人、比例区で1人だったのだから。それでも有力な候補者が少しでもいなければ、政権交代どころではない。

 日本を変えたい、自民党政権を変えたいと思っている人でも、じゃあ、福田達夫や小渕優子、あるいは安倍晋三や林芳正の対抗馬になってくれと言われたら、了解することは難しいだろう。「落選確実」なのだから、野党から出てしまったら生活が成り立たなくなる。学者や公務員、大企業に務めている人は仕事を続けていた方が有利だ。落選しても次まで活動できるような生活保証は立憲民主党には出来ないだろう。本来なら党職員や党に近いシンクタンクなどが受け皿になれればいいのだろうが。山口2区の平岡秀夫は弁護士で、その後も死刑廃止運動の集会などで話を聞いている。弁護士や医師など落選しても影響の少なそうな資格を持つ人に出て貰うしかないのだろうか。

 今回書いたのは、首都圏だけ見ていてはダメで、地方の「自民王国」を検討すれば、とても立憲民主党が政権を取るなどという段階には達していないという冷厳なる現実である。右だの左だのと言うレベル以前に、地方議員も少ないし地方組織が弱すぎる。どんなところでも自民党内閣の政策に問題を感じている人はいるだろう。そのような現場の声を拾っていく苦労、工夫をもっと続けるしかないだろう。少なくとも、もっと西日本で強くなるにはどうすれば良いか、西日本対策本部を作って対応しないとまずいと思う。
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東京8区のケーススタディー立憲民主党考③

2021年11月19日 22時43分42秒 |  〃  (選挙)
 現在の選挙制度は衆議院も参議院も矛盾を抱えている。衆議院は小選挙区比例代表区があるが、小選挙区では「各野党が選挙協力をする方が有利」だが、比例代表区では「各野党がそれぞれの独自の主張をする方が有利」である。どっちも重要ではあるが、政権交代を実現しようというならば、全国の小選挙区の半分以上で勝利する必要がある。比例ではその特性から、大きな差は付きにくい。だから小選挙区で大差を付けないといけないのである。2009年衆院選がそうだったし、参議院で自民党が大敗したときも「1人区」の敗北が全体を決めたのである。そこで小選挙区で協力しようという動きが出て来る。

 今回首都圏では選挙協力によって野党が勝った選挙区がいくつもあった。その中で自民党元幹事長で(小なりといえど)派閥のトップだった石原伸晃を破った東京8区(杉並区の大部分)を取り上げて見たい。(投票率61.03%)
 吉田晴美(立憲民主党) 13万7341票 (48.45%)
 石原伸晃(自由民主党) 10万5381票 (37.17%)
 笠谷圭司(日本維新の会) 4万0763票 (14.38%)
 8時の開票速報開始とともに、吉田晴美の当確が報じられた。石原伸晃は比例で復活も出来なかったぐらい(3万票以上)差を付けられた。だが、よく見てみれば吉田晴美の得票率は過半数に達していない。これを逆に見れば、自民・維新の「保守協力」があれば、結果は変わった可能性があるのかもしれない。
(東京8区で当選した吉田晴美) 
 では、同じ東京8区の2017年の選挙結果を見てみたい。(投票率55.42%)
 石原伸晃(自由民主党) 9万9863票 (39.22%)
 吉田晴美(立憲民主党) 7万6283票 (29.96%)
 木内孝胤(希望の党)  4万1175票 (16.17%)
 長内史子(日本共産党) 2万2399票 (8.80%)
 円より子(無所属)   1万1997票 (4.71%)
 斎藤郁真(諸派)      3850票 (1.15%)  
 これを見れば、「次回は吉田晴美にまとまれば石原伸晃に勝つんじゃないか」と思うのも当然だろう。前回の立民と共産の票を合わせれば、ほぼ石原票と同じになる。もっとも前回の希望の党と今回の日本維新の会は、ほぼ同じ4万票を獲得していて、「非共産票」もあるんだろうと思う。それにしても接戦予想が出たことで、投票率が5%も上昇した。石原伸晃も前回より5千票以上上乗せしているが、増えた分の大部分は吉田票になったと思われる。(なお諸派の斎藤は「都政を革新する会」で、中核派系である。円より子は元民主党参議院議員で、2012,14年に東京8区の民主党候補だった。今回は東京17区で国民民主党から出馬して維新、共産にも及ばず4位だった。)
 
 次に東京8区の比例票を見てみる。主要政党のみ。( )内は2017年。【 】は2019年参院選(対象は杉並区全体)
 自由民主党  8万5703票  (7万6828票)  【7万9037票】
 立憲民主党  6万5028票  (7万3471票)  【5万1138票】
 日本維新の会 3万6311票   (8552票)   【2万0790票】
 日本共産党  3万0998票  (2万8076票)  【2万7395票】
 れいわ新選組 2万2687票           【2万8364票】
 公明党    1万9855票  (1万8297票)  【1万8445票】
 国民民主党  1万4752票           【1万1854票】
 社会民主党    4346票   (2631票)    【4999票】
 希望の党          (4万1014票)

 比例区票の見方はなかなか難しい。僕が驚いたのは、この地区では(今回の得票順で見れば)公明党が第6党だということである。東京でもそういう地区があるんだ。今回の自民+公明票はほぼ選挙区の石原票である。つまり、自民、公明票は固めたが、それ以外には浸透しきれなかった。一方、維新+国民民主は、選挙区の維新票より1万票ほど多い。国民民主党票も、吉田晴美に流れた方が多いと思われる。立憲民主党は前回より減らしているが、19年参院選より多い。前回衆院選にはなかった「れいわ新選組」に流れている可能性が高い。東京8区は2012年に山本太郎が初めて選挙に立候補したところで、なじみがあるところである。

 東京8区は1996年の小選挙区導入以来、8回連続して石原伸晃が当選してきた。ただし、石原が得票率で5割を超えているのは、実は2003年、2005年の2回だけだった。恐らくその頃が石原伸晃の最盛期で、だから2009年の野党転落後の自民党で幹事長を務めて、次期総裁の最有力候補と思われていたわけだろう。対する民主党は2003年、2005年には30代の鈴木盛夫という人が立候補していた。2回とも比例当選も出来ず、2009年には社民党の保坂展人(現世田谷区長)を擁立して敗れた。その後は円より子が2回、吉田晴美が2回立候補した。今までも反石原票がまとまったならば小選挙区で勝てたという選挙が多い。

 こういう風に見てみると、今回吉田晴美に(維新以外の)野党がまとまったのは、自然な流れのように思われる。首都圏には非自民系無党派層が多く、国民民主党を支持する大企業の労組票も少ない。(本社は多いが、工場が少ない。)自民党に対抗するためには、立憲民主党と共産党が「共闘」とまでは言わずとも、「棲み分け」することへの抵抗感は他ブロックより小さいだろう。北海道、東北、甲信越なども比較的同じような傾向がある。一方で、大工場が多い東海ブロック、維新が圧倒している近畿ブロックは全然違う。中国、四国、九州では自民が圧倒的に強い。日本も全国共通ではなく、アメリカや韓国のような「地域的な政党支持の違い」のある国になっている。首都圏だけの感覚でみてしまうと、違和感を持つ人も出てくるのだろう。(本当はここで西日本の状況を検討するつもりだったが、結構長くなってしまったので、ここで一旦終わりにして置きたい。)
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立憲民主党に定年はないのかー立憲民主党考②

2021年11月17日 22時51分17秒 |  〃  (選挙)
 立憲民主党に対して、民主党政権以来同じ顔ぶればかりが出ているという批判がある。なるほどそうも見えるだろうが、それは酷な感想だと僕は思っている。同じことは自民党にも言えて、麻生太郎二階俊博など80代になっても選挙に出ている。05年の郵政解散、09年の民主党政権交代、12年の自民党政権復帰と大きな選挙ドラマを生き抜いた、強力な地盤を持つ西日本の議員が政界の中心を占めているのである。安倍晋三、岸田文雄、石破茂、麻生、二階など皆09年でも小選挙区を勝ち抜いた政治家だ。

 民主党系の場合、09年に大量に当選した議員の多くは、12年以後に生き残れなかった。今回代表選に出馬意向が伝えられる逢坂誠二西村智奈美もその時には落選している。泉健太大串博志小川淳也などは比例区で当選したが小選挙区では敗れた。この時は元首相の菅直人、衆院議長の横路孝弘、衆院副議長を2度務めた赤松広隆、今回落選した辻元清美なども比例当選だった。

 2012年に小選挙区を勝ち抜いた民主党議員は、枝野幸男安住淳長妻昭前原誠司玉木雄一郎玄葉光一郎らである。民主党内閣で閣僚を務めたほどの知名度がなければ、安倍政権下を生き延びられなかった。(付け加えれば、他にも松本剛明山口壮(現環境相)、長島昭久細野豪志ら今は自民党所属の議員も当選した。)2009年の総選挙では、民主党だけで143人もの新人議員が当選したが、そのうち2021年の衆院選でも当選したのは玉木雄一郎大西健介山岡達丸後藤祐一岸本周平奥野総一郎ら(他に維新で当選した議員を入れても)14人しかいない。(玉木デニー沖縄県知事、本村賢太郎相模原市長など自治体の首長に転じた者もいる。)

 名前ばかり挙げてしまったが、09年には多くの女性新人議員も民主党から当選したのだが、生き残れなかったのである。今回も立候補したものの落選した人もいる。山尾志桜里のように引退した人もいる。結局ほとんどの人は政界から遠ざかってしまった。立憲民主党には中堅の人材が少ないとか、女性議員が少ないと言っても、それは有権者が自民党男性議員を当選させてきたのである。生き残った人が中心にならざるを得ないから、立憲民主党には民主党政権時代からずっとやっている人ばかりになってしまう。だから僕はそれを批判するのは酷だと思うわけである。

 しかし、それはそれとして、立憲民主党の小選挙区の候補はいつまで同じ人なんだろうか。別に同じ人でもいいんだけれど、それは「当選している限り、本人が自ら辞めない限り永遠に現職を優先して公認する」というルールがある場合である。立憲民主党は前回選挙時にバタバタと立ち上げなければならなかった。そういう事情から枝野代表など創業メンバーの個人商店的な色彩が強かった。他党にあるルールなども決まってないことが多い。例えば、自民党は「比例区は73歳定年」というルールがある。

 もっとも個別事情で「例外」もあって、近畿ブロックの奥野信亮は77歳、九州ブロックの今村雅弘は74歳でそれぞれ単独1位になって当選した。福岡10区の山本幸三元地方創生相は73歳で名簿に掲載されなかったため、城井崇(無所属)に負けた後に比例で復活できなかった。惜敗率95%以上だったから、載っていたら当選だった。これでは不公平だと不満が出るのも当然だろう。甘利明の場合は、72歳なので辛うじて定年制に引っ掛からず、比例名簿に掲載されたため当選できたわけである。

 それに対して立憲民主党は例外なく、小選挙区立候補者を比例名簿1位にしている。比例単独候補も少しいるが、すべて小選挙区候補の後であり、年齢制限もない。だからこそ、79歳の小沢一郎(岩手3区)、73歳の篠原孝(長野1区)が当選できたのである。高齢者の声を届ける議員も確かにあっていい。だけど、小沢一郎菅直人海江田万里中村喜四郎など、「余人をもって代えがたい」のかもしれないが、いつまで議員をやるつもりなんだろうか。横路孝弘は2014年の選挙時に73歳で、17年の選挙には出ずに引退した。赤松広隆は2017年の選挙時に69歳で、今回立候補せずに引退した。

 何歳までならいいかは決めがたいが、現実に小沢一郎は「政権交代より世代交代」を訴える38歳の藤原崇に小選挙区で初めて負けてしまった。藤原は2012年の選挙で29歳で比例区に当選し、小沢に挑むこと4回目で小選挙区を制した。これは(政治的立場を抜きにして考えれば)、香川1区の小川淳也以上に「快挙」なんではないだろうか。若ければ良いというものではないのは、自民党の2012年初当選組が「魔の○回生」と呼ばれ続けてきたのを思い出せば判る。だけど、旧民主党立ち上げから政権奪取、野党への転落から10年近く、ずっと同じような顔ぶれだと言われれば、全くその通りだと思う。 
(小選挙区で敗れた小沢一郎)
 高齢だからダメと言ってしまっては、高齢者だけではなく、障がい者や病者も議員として活動できるのかということになってしまう。社会の多様化を進める政党は、議員の多様性も具現化しなければいけない。ただし、どうしても小選挙区では日常活動や知名度が欠かせない。高齢議員は日常活動が鈍っても、知名度で長く当選してきた面が多いだろう。それでは政治が停滞するのも無理はない。ある程度高齢になったら、自分がまだ元気なうちに後進を育てることも大切だと思う。

 それでもいつまでも政治に関わっていたいと思う場合は、参議院の比例区に回って貰うのはどうだろう。参議院の性格上、長い政治体験を生かした活動が期待できる。解散がなく6年間続けられるし、途中で病気、死亡などの場合も次点者が繰り上がるので問題ない。小沢一郎、菅直人レベルなら全国で数万票は期待できそうだから、当選するのではないか。高齢者にしてみれば、みんな若い人になると知らない候補者ばかりになる。長いこと知っていた人が出ていれば、全国的に党勢拡大にもつながるんじゃないか。非拘束名簿式なんだから、個人名投票が多ければ当選、少なければ落選というだけで、これならいくら高齢で立候補しても何の問題もないだろう。
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「保守本流」枝野路線の破綻ー立憲民主党考①

2021年11月16日 23時04分32秒 |  〃  (選挙)
 衆議院選挙の問題に戻って。今度は政党について考えたいが、全部の政党を論じても仕方ない。先に自由民主党の派閥史を書いたから、今度は野党第一党立憲民主党について考えることにする。与野党のそれぞれ第一党に関しては、どの国でも考えることがいっぱいある。アメリカなら民主党と共和党、ドイツならキリスト教民主同盟と社会民主党…といったように。関心が無いという人もいるだろうが、それは「関心がない」というあり方で関与しているのだと思う。

 2021年の衆院選は立憲民主党が負けたというよりも、「自民党が勝った」という選挙だった。細かい数字は別に書くが、ともかく野党第一党だった立憲民主党は議席を減らした。その責任をとって枝野幸男代表が辞任した。今後党員も参加した代表選挙が行われるが、まだ立候補者も確定していない。衆院選に関しては、共産党と選挙区協力を行ったことに象徴されるように、枝野代表の方向性が「左過ぎた」という批判がある。それが「定説」になってる感じもあるが、僕はそれには疑問を持っている。
(辞任を証明した枝野代表)
 立憲民主党は小選挙区ではそれなりの力を発揮したが、比例区で振るわなかった。それを素直に解釈すれば、有権者が政権交代を望まなかったということだ。その証拠に朝日新聞の最新世論調査では、自民過半数獲得の結果を「よかった」が47%「よくなかった」が34%という結果になっている。それは何でだろうと考えてみると、「地力の差」が大きいと思う。

 コロナ禍で2年近く地域の祭りなどもなくなり、大規模な集会や決め細かな集票活動も出来なかった。今回は直接会って投票を依頼する運動が難しかった。そうなると、もともと持っていた「地力」が出てしまう。最終盤の「維新」などは勢いで伸びたと思うが、他党の場合は概ね「こんなもの」という結果ではないか。小選挙区で野党系が勝ったところも、前回選挙で立民+共産が自民を上回っていたところが多いと思う。結局日本の政党の力具合が正直に出てしまったように思う。

 また参議院で多数を持っていなかったことも大きい。衆議院が優先する憲法の規定で衆院選で勝てば総理大臣になれるけれど、参議院で大きな議席差がある以上、公約した政策は進まないのが目に見えている。今まで自民党が政権を奪われたことは2回あるが、いずれも参議院で自民党が大敗する選挙の後だった。89年参院選に自民党が大敗し、92年は堅調だったけれど、合計すれば参院では自民が過半数を割っていた。そして93年に細川政権が誕生して自民党は野党に転落した。2007年参院選にも自民党は大敗し、民主党が過半数を占める「ねじれ国会」となった。政治が進まないことへの国民の答えが、2009年衆院選で民主党への政権交代だった。

 コロナ禍を受けて、与野党ともに経済対策を訴えたが、すぐに実行できるのは参院で過半数を持っている自民党であることは明らかだ。政策の中身を検討すれば、もしかしたら野党の訴えたものの方が優れていたかもしれない。しかし、それは参院を通過できない以上、「絵に描いた餅」になってしまう。そう有権者が判断したのではないか。日本の政治では、憲法上衆議院が優先するとはいえ、法律の制定においては衆参が同等の力を持っている。そして参議院は解散がないので、一端大敗すると6年間は回復が難しい。その意味では「第二院の力が大きい」という特殊性を持っている。だから、今後もまず参議院で先に与野党逆転が実現しない限り、政権交代は難しいのではないだろうか。

 もうひとつ大きな理由としては、直前に岸田政権が成立したことを無視できないと思う。枝野代表は2021年5月に文春新書で「枝野ビジョン」を刊行している。そこでは「左に寄る」ことではなく、むしろ正反対に「保守本流を目指す」と言っていたはずだ。これは安倍政権が長すぎて、政治の物差しが「右に寄りすぎた」という判断がある。憲法や歴史認識などで国民全体より右寄りの路線が当然のように続いて、その結果「ど真ん中」の政治勢力が無くなってしまった。そういう認識から、あえて「保守本流」を掲げて、政治・経済運営の「常識」を取り戻そうと訴えたわけである。

 ところが岸田内閣が成立して、「新しい資本主義」を掲げて「分配重視の経済政策」を訴えるようになった。安倍政権とそれを受け継いだ菅政権の評価を争うはずが、梯子を外されてしまったのである。もっとも岸田首相も安倍政権のもとで、ずっと外相、政調会長を務めてきた。甘利幹事長の人事を見ても、どうも自民党最大勢力の安倍派(細田派から代わって安倍派になった)に配慮している感じがする。だけど、菅政権で無役だったため、菅政権のコロナ対応に直接の責任を負わないこともあって、枝野氏の目指した政治が宏池会出身の岸田氏に「上書き」されてしまった。もっとも岸田氏は安倍、菅政権の「負の遺産」にちゃんと向き合う意思が感じられない。そうなんだけど、一般有権者には受けない論点だったと思う。
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立憲民主党は果たして本当に負けたのかー2021衆院選③

2021年11月08日 22時52分31秒 |  〃  (選挙)
 2021年衆議院選挙に関して、結果と比例票の推移を書いたままになっている。間が開いたが、次に各党の結果と置かれた状況を自分なりに考えてみたい。まずは立憲民主党から。立憲民主党は議席を13も減らして、100議席を割り込んで96議席となった。自民党も15議席減らしているのだが、元々の議席数が多く過半数を大きく超えているから、減らした感じがしない。菅内閣の支持率が低迷していたから、岸田内閣に代わって「よくこの程度の減で済んだ」と思われている。一方の立憲民主党は悪くても「多少は増える」と予想されていたので、大敗イメージになった。その結果、枝野代表が辞意を表明して、今後特別国会後に代表選が行われる。
(「変えよう」と訴えていた立憲民主党)
 議席を大きく減らしたんだから、立憲民主党は「敗北」には違いない。開票直後の記事でもそう書いた。もう政権交代も近いようなことを言ってたんだから、話が大分違ってしまった。しかし、今さらにはなるけれど、立憲民主党は果たしてどの程度負けたのだろうか。それをきちんと検証しなければいけない。

 衆議院選挙は小選挙区比例代表区だから、それぞれ検討してみたい。
 前回の2017年衆院選は、なかなか開かれなかった臨時国会を開いたと思ったら、安倍元首相によって何の審議もないままに冒頭で解散されてしまった。何だかんだ言っても野党の不意を打ったということだろう。さらに小池都知事を中心にした「希望の党」が国政に参入し、「民進党」がそれに合流するという展開になった。しかし、希望の党は民進党全員ではなく、「選別公認」の方針を打ち出したため、公認を得られない議員を中心に「立憲民主党」が結成された。そういう経緯があったため、小選挙区では自民党が圧勝したのである。
 【2017年衆院選の小選挙区=総計289】
 自由民主党=218 公明党=8 与党226
 立憲民主党=18、希望の党=18、維新=3、共産=1、社民=1、無所属=22 野党・無所属計63

 無所属や希望の党で当選した議員の中には、その後立憲民主党に移籍した議員が多い。
 希望 階猛大島敦笠浩史下条みつ、渡辺周、大西健介泉健太佐藤公治、白石洋一、大串博志 以上10名
 無所属 小沢一郎、安住淳金子恵美玄葉光一郎、中村喜四郎、福田昭夫野田佳彦江田憲司、中島克仁、黒岩宇洋、菊田真紀子、篠原孝、重徳和彦、中川正春、岡田克也、平野博文、広田一、原口一博、玉木デニー(屋良朝博) 以上19名。

 玉木デニーが知事選に出た後の後継を含めて、総計29名が立憲民主党に加わった。先の18議席に加えると、37議席を持っていた。ところで今回立憲民主党は小選挙区でいくつ勝ったのだろうか。それは57議席である。希望や無所属から加わった議員も、上で下線を付けた議員は小選挙区で勝った。僕も小沢一郎中村喜四郎が小選挙区で落選する(比例で当選)するとは思っていなかった。中村喜四郎は立民とは共同会派に止めて無所属で臨んでいたなら勝てたのではないだろうか。

 立憲民主党は前回よりメンバーが増えて衆院選に臨み、前回より大幅に増えた57議席を小選挙区で得た。その大部分は野党間の選挙協力があった選挙区である。もちろん、300近い小選挙区の中で57程度では政権獲得にはほど遠い。でも僅差の敗北も多かった。いわゆる惜敗率が90%以上を「接戦」と考えるならば、全国では32選挙区が接戦だった。何かちょっとしたことが違っていたら(例えば菅内閣のままで選挙が行われたとか、選挙中に大きな失言が相次愚とか)、自民党を30議席減らせた潜在的可能性はあったのである。ただ、それは自民党が単独過半数を割るというだけのことで、公明党を加えれば与党で過半数になる。それを覆すためには、現在のように西日本の小選挙区でほとんど勝てない現状のままでは政権獲得は難しいだろう。(近畿以西では12議席だけ。全部で113小選挙区。)
 
 以下に示す世論調査に見るように、国民の半数近くが「与野党伯仲が望ましい」と答えていた。しかし、比例区の投票先を聞くと、圧倒的に自民党が多い。与野党逆転を望む人よりも、与党が野党を上回ることを望む人の方が3倍ほど多い。伯仲を望む人が挙って野党に投票しない限り、与党は圧勝するはずである。野党間の選挙協力を評価しない人が評価する人より多いことも注目点である。このように、小選挙区はまずまず健闘したものの、比例票で圧倒されたのが今回の衆院選で野党が負けた原因だった。
(共同通信の世論調査)
 では、比例区票を確認してみよう。今回と同じく「国民民主党」や「れいわ新選組」が存在したのは、2019年の参院選だけである。だから2回の選挙の比例票を比較してみる。参院選は全国集計だし、個人名も書ける。衆院選はブロック別に行われ、政党名しか書けない。また参院選の方が投票率が低くなるのが普通である。だから、両者を簡単に比べてはおかしいのだが、他に材料がない。

        (2019年参院選)      2021年衆院選
 投票率     (48.79%)         55.93%
 自由民主党   17,712,373       19,914,883
 公明党      6,536,336        7,114,282

 立憲民主党   7,917,720        11,492,115
 日本維新の会   4,907,844        8,050,830
 日本共産党    4,483,411        4,166,076
 国民民主党    3,481,078        2,593,375
 れいわ新選組   2,280,252        2,215,648
 社会民主党    1,046,011        1,018,588

 面倒くさいと思うだろうが、この数字をよく見てみると、5割も行かなかった2019年参院選と比べて増えてない政党が多い。実は立憲民主党以外の共闘した野党は皆票を減らしている。今回参院選よりも増えたのは、自民、維新、公明、立民なのである。立憲民主党は参院選よりも350万票以上増やした。それに伴って、前回は37議席だった比例区で39議席を得た。増えているのである。しかし、自民党や維新の会の票の増え方が大きかったので、「比例」であるから増え方が限定的だった。

 小選挙区では20議席増やし、比例区では350万票以上増やした。「立憲民主党は果たして本当に負けたのか」とタイトルに掲げたのも、なるほどと思ったのではないだろうか。
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比例票に見る各政党の勢力ー2021衆院選②

2021年11月02日 22時47分39秒 |  〃  (選挙)
 毎回書いている比例区票の点検作業。2005年衆院選から2019年参院選までは「比例区票の時系列的検討ー2019参院選②」(2019.7.23)に書いたので、今回は時系列点検は止める。面倒な上に、要するに17年衆院選、19年参院選との変化を中心に見れば良いだろうと思うからだ。それ以前は折に触れて数字を振り返る。

 その前に今回の投票率を見てみたい。今回の投票率は55.93%で戦後で3番目に低い。しかし、一番低い2014年、2番目に低い2017年に比べて見れば上がっている。昔を振り返ると、大平内閣の1979年衆院選では台風と重なって68.01%と、その前の75年より5%も下がって自民党が激減した。その後で大平・福田の有名な「40日抗争」が起こり自民党が真っ二つに割れた。しかし、今になってみると昔はずいぶん高かったんだなと思う。最近60%後半になったのは、2005年、2009年だけ。しばらく、あるいは二度とないのではないか。

 今回は自分はあまり盛り上がりを感じなかったのだが、それも道理で自分の選挙区(東京13区)は50.88%で、東京で一番低かった。東京で一番高いのは東京8区の61.03%。ここは立民の吉田晴美が石原伸晃を破ったところで、その他にも東京5区、東京6区、東京19区など、立民・共産の選挙協力が行われて自民を破った選挙区はいずれも60%に達した。立憲民主と共産の協力は(全国的な評価は別にして)、東京では選挙の盛り上がりをもたらし、野党の勝利に結びついたと言えるのではないか。

 今回の比例区の総得票数は5746万5978票だった。全国の有権者総数は約1億500万人なので、1%違うと100万人ほど違ってくる。17年衆院選は5575万票で、19年参院選は5007万票ほどだった。つまり、前回衆院選より2.2%ほど投票率が高かったので、その分200万票近くが増えている。

 では各党を順番に見てみる。まずは与党から。自民党は今回比例区で1991万票を得た。約2千万票で、全体の34.66%になる。16年参院選からの票数は、2011万→1856万→1711万となっている。2005年の小泉郵政選挙の2500万票越えには及ばないが、今回は非常に支持が厚かったのである。菅内閣時には確かに内閣支持率が下がったが、政党支持率はずっと堅調だった。比例区の投票先を聞く調査でも、圧倒的に野党を引き離していた。それは何故なのかこそ、野党は厳しく問う必要がある。
(開票中の岸田首相)
 公明党711万4千票ほど。16年参院選から振り返ると、753万→698万→654万と減り続けていた。かつては800万票を越えていた時もあるが、次第に落ちていたのは創価学会や協力する自民党支持団体などが高齢化して、昔ほどの集票力がなくなったなどと言われる。今回は1年半続くコロナ禍の中で、きめ細かな集会などが開けない中、票の出方が注目されたが、結果的には5年ぶりに700万票を回復した。今回自公が勝利したのは、今までの世論調査を素直に見れば納得の結果である。選挙制度やマスコミのあり方には問題があるが、それはともかく全国で自民党、公明党と書いた有権者が多かったという事実の上に選挙結果がある。

 次は野党を見る。立憲民主党は1149万2千票ほどなので、およそ1150万票である。17年衆院選は1108万、19年参院選は792万だった。17年は希望の党が968万票ほどあった。その時に当選した議員は国民民主を中心に、自民、維新などに分かれている。だから全部は来ないわけだが、それにしても4年間に前回無所属や希望、前回衆院選は小沢一郎らは「生活の党と山本太郎と仲間たち」という党だったのだが、まとまって大きくなったはずが42万票しか増えていない。結果的にそれが議席を減らす最大要因になったと言える。前回の比例当選が37名、今回が39名なので、前職議員が増加した分に見合わなかった。「比例は共産」「比例はれいわ」などと言ってた激戦区もあったらしいからそういう影響もあったかも。
(辞意を表明する立民の枝野代表)
 国民民主党を先に見ると、259万票ほど。今回善戦したイメージもあるが、19年参院選は348万票だったから、減らしている。参院選より投票率が高く票数が700万も多くなったのに、300万票も行ってない。前回の参院選では3人しか当選出来ず、労組の擁立議員も落選した。このままでは2人当選も危なく、連合も立民を批判するだけではなく、国民民主党もこのままでいいのか、しっかりと検証するべきだろう。

 共産党は今回416万6千票ほどで、9議席だった。16年参院選から見ると、602万→440万→448万となっていて、600万票から大分減っている。前回は比例区で11議席だから、32万票減らして2議席減らした。今の法律では小選挙区に出ないと選挙運動がやりにくい。今回は相当に候補を取り下げた影響からか、比例区の票も減らしてしまった。協力先の立憲民主党も減らしたんだから、何のためにわざわざ自党の候補を取り下げて協力したのかと党内でちゃんと議論しなければおかしい。

 れいわ新選組221万票で、3議席を獲得した。東海ブロックで1議席を確保したが(小選挙区の得票が少なかったため)、当選にならなかった。事実上は4議席獲得と同じである。しかし、19年参院選では228万票だから、実は減らしている。まあ衆院選では中国、四国や北海道、北陸信越など定数が少ないブロックがある。そういうところでは小政党に入れても当選可能性がないため、小党の場合は全国1区の参院選の方が集票しやすい。それにしても、山本太郎を当選させるという目的を果たした後で、22年参院選ではどうなるのか。

 社民党は101万票だったが、どのブロックでも当選者を出せなかった。だが、実は17年衆院選の94万より増えている。19年参院選は105万で1議席。2022年は福島みずほの改選なので、1議席を獲得できる可能性はある。意外なことに社民党はなくなってしまうのではないかというほど減らしていないのである。

 さて、問題の「維新」だが、比例票は805万だった。25議席獲得。17年衆院選は339万、19年参院選は491万なので、倍増とまでは行かないがそれに近い。かつて「みんなの党」が2010年参院選に794万票を獲得したことがあるが、かつての公明、共産以外に全国で800万票を超えた第3党はないと思う。どこから出て来た票かよく判らないけれど、立民、共産、社民は前回衆院選と大きく違わない以上、前回1000万票近かった「希望の党」から国民民主と維新増加分が出て来たということではないか。
(激増した「維新」)
 こうして見ていくと、自民、公明が支持されたという大きな傾向が見える。マスコミはいろんな政策を言うが、「憲法改正」とか「選択的夫婦別姓」などを重視する人は、もう与野党どっち側に入れるかは判断済みだろう。「共産党の協力」などを重視する有権者もいるだろうけど、実際にはそんなに多くはないと思う。僕はコロナ禍の苦難に対して「大型経済対策」「子どもに10万円」と言った与党が支持されたのではないかと思っている。参院でも多数を持ってるからすぐに実行できる。それに対し「消費是減税」を言う野党は実現可能性が疑わしい上に、実現しても小売り業には面倒。いずれ戻すときも大変だしと思われ、政策として練れていなかったと思う。路線問題より、経済政策で与党が勝ったのではないか。
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与党が絶対安定多数を確保した選挙ー2021衆院選①

2021年11月01日 23時10分18秒 |  〃  (選挙)
 2021年10月31日に衆議院選挙が行われた。岸田首相は「与党で過半数」が目標と言っていたが、まあそれは「衆院選は政権選択選挙だから」という建前である。自民党の公示前勢力は276人、前回の当選者は284人なのだが、前回は「希望の党」をめぐるゴタゴタがあって自民は出来すぎとも言える。今回は事前予想では自民単独では過半数が難しいという報道(読売等)もあって、単独過半数(233)は何とか越えて、出来れば絶対安定多数(261)に迫りたいというあたりがホンネの数字だった。

 フタを明けてみれば、自民党は追加公認二人を加えて261議席と絶対安定多数を確保した。NHKの選挙速報が始まった時点では、210~250台後半という幅がある数字だった。当初は「単独過半数が焦点」かと思われたのである。ところが公明党32人を加えて、自公で293人と与党が圧勝した。もっとも小選挙区ではし烈な激戦区が多く、なかなか決着が付かなかった。午前1時を過ぎても決まってない小選挙区が幾つかあった。
(総選挙の結果)
 立憲民主党共産党を中心に選挙協力が行われたが、両党ともに議席を減らした。立民の枝野代表も、共産の志位委員長も、協力には「一定の成果があった」と言っている。しかし、それは裏を返せば「一定の成果しかなかった」=「大きな成果には結びつかなかった」ということでもある。その問題は別に考えたいが、東京8区(石原伸晃落選)や神奈川13区(甘利明が小選挙区で落選)は野党の選挙協力なくしてはありえなかった。その結果甘利幹事長は辞任した。自民党の権力構造に影響を与えたのは間違いない。
(甘利幹事長が辞意)
 それにしても立憲民主党は公示前勢力110人を大きく割り込んで、96人当選と100人に達しなかった。小選挙区は全289区の中で57議席、比例区は39議席と前回の37議席とあまり変わらない。比例での復活当選が少ないので、次回の期待も難しい。比例区は全176議席中、自民が72議席公明が23議席と合計で95議席も獲得している。だから「小選挙区制度だから勝てない」と野党支持者が言うのは間違いだ。選挙制度を比例中心に変えても、負けるのである。それは何故か、じっくりと検討する必要がある。
(落選した石原伸晃)
 共産党は10議席(公示前12)、国民民主党は11議席(公示前8)、れいわ新選組は3(公示前1とあるが、これは立民から除籍された高井崇志が滋賀3区から出たものなので、実質は公示前ゼロ)、社会民主党は沖縄の小選挙区を守って1議席である。これらは小政党なので、はっきり勝った負けたと言いにくい部分がある。はっきりしているのは「立憲民主党は敗北」で、「日本維新の会」が大勝利ということだろう。

 「維新」は小選挙区で16、比例区で25、合計で41議席も獲得して、一躍第3党になった。もっとも2012年に「大阪維新の会」が国政進出に当たって「立ちあがれ日本」と合同した「日本維新の会」というのがあって、56議席を獲得したこともあったが。(なお、旧「維新の会」は石原慎太郎と橋下徹が共同代表を務めていた。)その後、いろんな経緯があって、維新にも浮き沈みがあって前回は小選挙区で3(うち1つは丸山穗高)、比例で8の計11議席だった。しかし、今回は大坂の小選挙区では公明党が出ている4つを除く15議席も当選した。

 それは何故なんだろう。今回は比例代表区で東京、北関東、南関東、東海では2議席、九州と北陸信越でも1議席と関西ローカル政党という範囲を超えつつある。特にビックリしたのが東京12区。ここは東京唯一の公明党擁立区で、広く名前が浸透していた太田昭宏が引退して、比例北関東から当選3回の現職岡本三成が立候補した。一方で立民も出ずに、共産党元議員の池内沙織が出ている。池内は毎回立候補しているので名前も通っている。朝日新聞26日付の情勢報道では「岡本と池内が互角」と出ている。「維新新顔の阿部司が懸命に追う」とある。

 開票結果を見てみると、以下の通り。
  岡本三成 101,020
  阿部 司  80,323
  池内沙織  71,948
 どこが「互角」なんだと思うが、実は最終盤に吉村洋文大阪府知事が東京12区に入って、かなり密着して細かく回ったという。その結果、無党派の池内票を引き剥がしたのだと思う。前回2017年は太田票が11万2千票なので、実は1万票以上減らした。池内は8万3千票だったから、こちらも1万1千票も減らしたのである。他の選挙区ではこんなに違っているところはない。調査時点では確かに岡本、池内互角に近い結果だったのだろう。吉村効果が東京でも出るのである。反自公だけど、共産じゃない票がやはりあるのだ。

 この「維新」をどう考えるのかも、また別に考えたい。他に無所属で10人(自民党追加公認2人を除く)が当選した。与党系が3人、野党系が6人、他1人ではないかと思う。与党系は静岡5区の細野豪志、岡山3区の平沼正二郎、熊本2区の西野太亮の3人。平沼は平沼赳夫の次男。西野は野田毅を破った。どっちも自民公認が得られないが保守系。細野も今さら野党系には戻れないけど、岸田派の自民党吉川赳も比例区で当選したから、自民党に入るのも大変だ。どうするんだか知らないけど、首班指名では岸田と書くのは間違いない。

 野党系はあえて政党公認なしで退路を断って臨んだ人が多い。茨城1区の福島伸享、新潟5区の米山隆一、京都4区の北神圭朗、福岡9区の緒方林太郎、大分1区の吉良州司の5人で米山以外はかつての民主党議員である。もう一人鹿児島2区の三反園訓(みたぞの・さとし)がいる。非自民系の支持で知事に当選したが、任期中に自民に近づき2期目を目指す選挙は自民の推薦を得ながら落選した。しかし、今回は自民党前議員がいる選挙区で出馬して当選した。首班指名でどうするんだか、僕には判らない。

 今回の結果については、概ね朝日新聞の情勢報道に合っていた。朝日は近年下限と上限を示しているが、自民党は251~279、立憲民主党は94~120になっていた。自民は真ん中に近いが、立民は下限に近い。公明25~37、国民民主8~12、共産9~21だから、どの党も合っているが、共産は下限に近い。一方で維新は25~36なので、上限を突破している。朝日予測は野党に厳しく、逆に読売予測は与党に厳しかった。普段の支持傾向と逆なんだけど、もちろんわざとしたわけではないだろう。読売は投票率を高く見積もりすぎたのかと思う。立民、共産も予測範囲内だったが、予測の一番下に近かった。それは最終盤になって維新に予想以上に取られたということ以外に考えられないと思う。

 なお、書く気にはならなかったが、自民党の堅調は予測しないでもなかった。首都圏では無党派が多く、共産党や公明党関係の人も多いから、選挙協力にもあまり違和感がない。だから立共協力がある程度成果を挙げそうなムードも間違いなくあったと思う。だがそれだけで日本全体を判断してはいけない。愛知県の立憲民主はトヨタの選挙撤退で大きく減らした。また選挙直前にあった北と南の出来事は僕には暗示的だった。北は北海道旭川市長選で、15年ぶりに自民系市長が誕生した。士別市長選でも自民系が勝った。それを受け衆院選でも立民が持っていた議席を立民から立った前旭川市長が守れなかった。

 南では沖縄で「オール沖縄」勢力にほころびが生じ、地元資本の金秀グループが抜けた。その結果もあってか、沖縄の4選挙区の内、半分で自民党が勝利した。負けたのは3区と4区で、どちらも立憲民主党だった。比例区でも復活できず、「オール沖縄」の打撃は大きい。北と南で別々に起こった問題だが、各地方では立憲民主党が難しい情勢にあることを何となく予感させる出来事だった。単に直前に岸田内閣に衣替えして有権者の目をそらしたというだけの問題ではない。
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問題は「立共」より「自公」ではないのか

2021年10月21日 22時22分22秒 |  〃  (選挙)
 立憲民主党共産党が一定の「選挙協力」を行っていることに、自民党などから「反共攻撃」が激しくなっている。甘利幹事長など「政権選択ではなく、体制選択」などと言っているようだ。しかし、きちんとした協力というほどのものではなく、共産党などが候補を取り下げて立憲民主党が「事実上の野党統一候補」になっているという程度の話である。自公が過半数を割ったとしても、立憲民主党内閣には共産党は入閣せず閣外協力に止まるという。実際上どの程度効果があるものなのか、やってみないと判らない。

 立憲民主党と共産党とは、例えば日米安保条約に関して違いがある。立憲民主党は安保条約を認めているが、共産党は廃棄して日米友好条約にすると言っている。そういう違いが将来大きな問題になる日が来るかもしれないが、今回の選挙に関しては何か大騒ぎする意味があるのだろうか。もともと「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」と立憲民主党、共産党、社会民主党、れいわ新選組の4党派が「市民連合と立憲野党の政策合意にあたっての声明」で共通の合意に達している。(9.8日)国民民主党はその合意に加わらなかった。
(市民団体と4党の合意)
 そういう合意がある訳だから、その範囲において各党が協力するのは当然のことだ。合意内容は詳しくはリンク先に掲載されているが、幾つかを挙げてみれば以下のような項目がある。
安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する
核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する
コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う
最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす
再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する
ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める
森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う

 僕にはおおよそのところ、反対するところが全然ない政策合意である。他の項目もあるわけだがこの、政策合意に賛同する人は合意した政党の候補が一人だったら、その候補に投票すれば良い。反対するのは自由だが、共産党が入っているから反対なんて理由だったら、いつの時代だよという感じだ。自民党には何か特に共産党だけには知られたくないことがあるのかもしれないが、一般有権者には関係がない。

 中央政治では共産党が与党になったことはないけれど、地方政治だったら半世紀前には「社共共闘」の「革新自治体」がいっぱいあった。しかし、その後自民党に取り戻されてしまった自治体ばかりだ。共産党の首長も今までに何人かいたけれど、結局のところ「だから、何?」というあたりだろう。先駆的な政策もあったし、あまり意味がなかったこともあるだろう。もし共産党に問題があったら次の選挙で交代して貰うだけのことで、大騒ぎするようなことでもないと思う。

 それを言うなら、自公連立はどうなんだというのが僕の感想。自民党は今回「日本で初めて共産主義のイデオロギーに立つ党が政権に影響を与えるかもしれない選挙」なんて言っている。でも公明党と連立を組むときは、「宗教的な背景がある党と連立を組んで大丈夫なのか」と自民党内でも反対がいっぱいあった。特に創価学会と対立してきた親自民系の宗教界からは、非常に厳しい反発があった。でも連立を組んで20年、国家政策が宗教的にゆがめられたわけでもないだろう。要するに高度に発達した情報社会では、一党一派の影響は限定的なんだろう。

 連立を組んだ当初は自民党が参議院で過半数の議席を持っていなかった。そこに連立の意味があったわけだが、近年では自民党一党で衆参両院の単独過半数を持っている。だから連立する意味はないはずだが、もうお互いに連立を止めることは出来ない。多くの自民党議員が野党候補との票差が厳しい状態で、各選挙区で平均2~3万票程度あるとされる公明票抜きでは小選挙区が厳しい。9つの小選挙区と大臣1ポストを渡す代わりに、小選挙区で安心感を得ている。公明票は確実に出る(その地区の自民候補に投票する)ことで知られている。公明党にしても、自公で協力しない限り小選挙区では勝てない。比例区だけだと第3党の地位が危うくなるかもしれないのである。だから、相互依存が恒常化してしまって、今さら抜け出せない状態かと思う。
(岸田総裁と山口代表の連立合意)
 だが選挙後も「自民が単独過半数獲得でも自公連立」と決まってるなら、本来は「連立2党の政権公約」を決めるべきではないのか。今は独自に公約を発表していて、公明党は「18歳以下の子どもに10万円支給」と打ち出している。(しかし、ゼロ歳児に預金口座があるはずもなく、当然親に出すんだろうから「子育て家庭に支給」と言うべきだろう。)この公約の是非は置いといて(僕には疑問が多いが)、実現するんだったら自公の共同公約にするべきだ。公明党だけでは実現出来ないなら、公明党の独自公約って何なのだろう。

 公明党は自民党の公約にかなり批判をしている。「防衛費をGDP2%に増強」「敵地攻撃能力」には山口代表が苦言を表明しているし、選択的夫婦別姓制度にも公明党は賛成していて、反対しているのは自民党だけである。立憲民主と共産を「野合」などと批判している場合じゃない。このように基本的政策が異なる党が連立していて良いのだろうか。「夫婦別姓」などは本来公明党が連立離脱を覚悟して、国会で党議拘束を外して採決すべきだと自民党に迫っていれば、ずっと前に解決していたのではないのか。安保・防衛政策でも、集団的自衛権を容認した時でさえ反対できなかったのだから、今後も連立離脱カードを切って阻止することはないだろう。

 ということで、僕は「立共」の協力問題をあれこれ言ってるヒマがあったら、現実に20年も続いている「自公」連立の意味を検討する方が先だと思っている。ただし、今回は連合からの批判など労働組合の問題を書いていない。そこでもう一回、国民民主党と立憲民主党の全面的選挙協力が何故出来ないのかを考えたい。
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勝者なき都議選ー2021東京都議会選挙

2021年07月06日 23時06分20秒 |  〃  (選挙)
 2021年7月4日に東京都議会議員選挙が行われた。結果をどう考えるかは悩ましい問題だが、まず投票率が低かったことを取り上げたい。前回(2017年)の51.28%から、今回は42.39%に下がった。区部では港区の33.78%を最低に、中央、渋谷、江戸川が30%台になった。多摩地区でも立川、青梅、府中、昭島、福生、羽村、あきる野、武蔵村山、東久留米等で3割台で、最低は瑞穂町の31.23%。地方議員選挙は一般的に投票率が低くなりがちで、コロナ禍で選挙運動が全般的に低調だったから、僕も低投票率を予想していた。東京は数日間梅雨寒が続いていて、当日も小雨が降り続いていた。そのような様々な事情があったとしても、3人に一人しか選挙に行かないというのは危機的な状況ではないか。
(都議会選挙の結果)
 いつもなら東京の新聞は翌朝トップで都議選の結果を報じるが、今回は熱海市で発生した大規模な土石流がトップ記事だった。その横でおおよそは「自公で過半数ならず」を見出しにするところが多い。大方の事前予想では、「都民ファーストの会」が大幅に落ち込む見込みで、自民党は良ければ50台に届くかも、全員当選で23議席の公明党と合わせれば、過半数の64議席(定数は127議席)は堅いと思われていた。自民党は結局33議席で、第一党にはなったものの公明党と合わせても56議席に止まった。都民ファーストの会は31議席で、現有議席から15も減らした。しかし悪くすれば一ケタという予測もあったのだから、健闘したという評価も出来る。

 公明党は何とか全員の23人が当選したが、かなり厳しく最後に滑り込んだ選挙区もいくつかあった。出口調査では数議席は危ないと出ていたが、これは公明党支持者に期日前投票の利用者が多いことを考えると、そんなに落ちるとは思わなかった。低投票率による当選ラインの低下に助けられた要因が大きいと思うが、総選挙に向けて厳しい状況だろう。なお、公明党の総得票数は63万票ほどで、前回の73万票から10万票減らしている。
(日本テレビ系の出口調査)
 一方、共産党は19議席と1議席増となった。堅調な選挙区もあるが、細かく見れば全都で勢いがあったとまでは言えない。立憲民主と選挙区調整を行ったこともあるが、総得票数は前回の77万から63万に減らしている。立憲民主党は15議席で、8議席増となった。しかし、都議会第5党でかつて民主党時代に都議会第一党、第二党だった頃の勢いを取り戻したとは言えない。各選挙区を見ると共産がトップ(新宿、文京、大田)、立憲民主がトップ(中野、立川、三鷹)などもあるが、ほとんどのところでは都民ファーストの会の方が上になっている。

 7つある1人区を見てみる。常に自民党が勝つ島部を除くと、残りは好調な党派が独占することが多かった。2009年は民主党、2013年は自民党、2017年は都民ファーストの会である。しかし、今回は都民ファーストの会=3(千代田、青梅、昭島)、自民=2(中央、島部)、立憲民主=1(武蔵野)、無所属(立憲民主、共産等の支持)=1(小金井)で、見事に各勢力で分け合っている。なお、無所属が4人当選しているが、小金井は今見たように国政野党系の共闘、品川、江戸川、府中は都民ファーストの会の離党組である。
(2009,2013,2017年の都議選結果)
 自民党は「それなりに底堅い」とは言うものの、中野、豊島などでは3人区の中で4番目に落ち込んだ。品川、目黒のような複数擁立の共倒れもあるが、他の複数擁立区では江東、板橋、葛飾、江戸川などで僅差で一人が落選した。(中野、豊島では2千票差ぐらいで落選したが、3位の当選候補はいずれも公明党だった。もう少し投票率が高かったら自民と公明が入れ替わったのかもしれない。)自民党は選挙戦略だけとは言えない「不人気」があったように思われる。菅内閣の支持率が低い以上当然とも言えるが、選挙中の「ワクチン職域接種の受付中止」が影響したとも言われる。それとともに小池知事の入院、それを「自業自得」と評した麻生財務相発言が「都民ファースト支援効果」になった可能性が高いと思う。自民党の「自業自得」である。

 「都民ファーストの会」は小池知事が最終日に演説はしないながら応援に入った。これは僕の予想通りで、減りすぎては困るということだろう。自公で過半数を取れず、議長をどこが出すか(常識的には第一党の自民党)、今後の都議会も混乱が予想されるが、自公で過半数となるのは知事として困るということだろう。都民ファースト現職が男女で複数いた選挙区では、世田谷、足立のように女性候補しか再選されなかったところがある。小池知事支持の女性票(恐らく中高年)があるのではないか。ただ八王子のように自民二人が当選して、都民ファーストの現職2人が共倒れしたところもある。今回の結果は一概には言えない。

 共産党立憲民主党は「棲み分け効果」を一定程度発揮したが、反政権票の受け皿として総選挙に弾みが付いたとまでは言えない。前から強かったところで底堅いが、新たな勢いがあるという感じはしなかった。それでも「議席を増やした」ところに注目すれば健闘なのかとも思うが、政権奪取の見通しは難しい。僕が困ったなと思ったのは、立憲民主党が「五輪を中止・延期させる最後の機会」などと呼びかけていたことである。正直言って、もうこう言うのは止めて欲しいと思う。都議会に中止させられる権限があるとは思えないし、あったとしても時間が遅いだろう。

 そういう問題もあるが、今回立憲民主の立候補者は全部で28名しかいない。中止を求めている共産党は全部で31名の立候補だった。島部のように絶対当選できない選挙区も含めてである。もし全員が当選したとしても全部で59名だから過半数に達しない。都議会で「五輪中止派」が過半数を取れないことが事前に判っているのに、どうして都議選で五輪を中止出来るのか。都民ファーストは「無観客開催」を主張していたので、東京新聞は共産、立民と合わせて「五輪見直し派が過半数」と報じている。これはどう見ても「牽強付会」と言うべきだろう。「自民・公明・都民ファースト」で「開催支持派が過半数」と言うならまだ判るけれど。「中止」と「無観客」を同等に見るのは論理的に無理だ。データを自分の見たいように読むのは止めたいと思う。
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都知事選「泡沫候補」の世界

2020年06月30日 22時14分21秒 |  〃  (選挙)
 東京都知事選挙をやっている。僕は今回の選挙について今まで何も書いていない。今回もちゃんと書く気はしない。そこに自分の意見表明があると思って貰っていい。東京都民は石原慎太郎氏を知事に4回も選んだ有権者である。都民であっても、「都民の判断」に納得できたことがない。それでもちょっと書いておきたいことがある。ついでに「泡沫候補」の世界をガイド。

 まず立候補者数である。なんと22人で、史上最多である。前回の21人というのも多かったが、なんでこんなに立候補するんだろう。鹿児島知事選にも過去最多の7人が出ている。同時に行われる都議補選が4つあるが、それも結構出ている。(北区都議補選は、自民党と「都民ファーストの会」が激突し、立憲民主、維新に加えて「ホリエモン新党」まで全員女性候補が出ている。ここは都知事選と違って、票の出方が要注目である。)

 何でそんなにたくさん立候補するんだろう。タダじゃないのである。日本の選挙は供託金が異例に高いということは指摘してきたが、都道府県知事選挙は300万円である。有効投票数の10分の1を超えないと没収される。東京都の有権者数は約1144万人で、投票率を50%とすると572万。50%は行かないと思うけれど、とにかく50万票ぐらいないと没収である。それは主要4候補(と言われている人)以外は不可能だろう。ほとんどの人は300万が戻ってこない。それでも出る。全部で5千万円以上になるけど、コロナ対応に使えるんだろうか。

 ところで、当初マスコミは「主要5候補」と紹介していた。5人の中で現職以外は国政政党の公認、推薦を得ている。前参議院議員の山本太郎は「れいわ新選組」公認だが、同党は参議院に2議席を持っている。しかし、「ホリエモン新党」から出た立花孝志は、国政政党「NHKから国民を守る党」党首でもあり同党推薦を得ている。同党は(丸山穗高なる議員を抱き込んだので)衆参に一人ずつ議席がある。山本太郎と立花孝志は国政政党党首として同格になる。

 世論調査の結果を待つまでもなく、22人の中で数十万票を見込める候補は4人である。だから終盤になって「主要4候補」という記事も多くなってきた。4人の中でも「法定得票」に達しない(=供託金没収)人が出ないとは限らない。それはともかく、今回は22人中、12人が無所属である。残りの10人が「諸派」になる。「会派」に所属すれば「諸派」に入ると考えれば、自民党だって「諸派」だろうが、普通は国会に議席を持たないミニ政党をまとめて「諸派」と呼んでいる。

 その中で「ホリエモン新党」が立花氏を含めて、3人を公認している。全員選挙公報が同文である。上の画像にあるポスター掲示板では、2段目にまとめて3人が貼ってある。抽選すればバラバラになるはずで、それを避けるために主要候補が立候補を済ませた後に3人一緒に手続きをしたという。そして立花氏以外の二人はポスターに候補の名前がない。党首(?)の堀江貴文氏の顔が載っている。立候補者以外の顔を掲載するのは違法ではないかと都選管に多数の問い合わせがあるという。それは違法ではないが、これでいいのか。

 しかも、一人しか当選しない知事選挙に3人を公認するとは、いくら何でも有権者をバカにし過ぎではないだろうか。どうせ当選しないんだし、お金持ちの道楽なんだから、どうでもいいのか。自民党系で複数が出てしまうような時もあるけど、その場合も公認は一人、あるいはどちらも公認しないだろう。国政選挙に向けた宣伝なんだろうけど、知事を選ぶのが都知事選の目的なんだから、最低限のルールには則って欲しいと思う。

 さて「れいわ新選組」「ホリエモン新党」の他に、諸派としては「幸福実現党」、「日本第一党」(元「在特会」創設者桜井誠が前回10万票獲得)が割合有名。それ以外に「スーパークレイジー君」(という党名らしい。「現職か、俺か。」と主張し、「風営法の緩和」を掲げる)、「トランスヒューマニスト党」(一夫多妻、一妻多夫、多夫多妻合法化)、「庶民と動物の会」(庶民と動物に優しい東京に)、「国民主権党」(コロナはただの風邪)など多彩な主張をする党が存在する。

 無所属候補では、主要候補以外でも割合穏当な主張をしている人が多い。(例外もいるが。)中では「新型コロナウイルスの治療薬と予防薬を発明しました」という候補がいる。ホントなら、都知事になるより他にすることがあるだろ。「未来の薬局を目指します」という薬剤師の候補もいる。都知事になっても仕方ないと思うが。ちなみに「やくざいし」の「ざ」にアクセントを付けないで、平板に発音するニュースがあって「ヤクザ医師」に聞こえてしまう。

 まあ誰でも立候補する自由はあるわけだが、「消費税ゼロ」とか都知事になっても実現できない公約をなんで掲げる人がいるのか。しかし、国政選挙で比例区に出るには供託金が高すぎる。小選挙区に出ても、選挙区が小さいからポスターや広報、政見放送などの機会が限られる。ある意味、300万ムダにする気になれば、都知事選は「日本一注目される選挙」なんだろう。

 都知事選と言えば、昔は赤尾敏東郷健秋山祐徳太子、近年もドクター中松マック赤坂らの「有名泡沫候補」がいたものだ。マック赤坂は2019年に港区議選に当選してしまい、もう都知事選は卒業である。今回は候補者名を書いてないが、全員ホームページやツイッター等を持っているようだから、関心がある人は自分で調べて欲しい。
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