鍼は何本使う？

治療中、おばあちゃんに尋ねられました。

「先生は１回に何本くらい鍼使ってるの？」

昨日テレビで鍼治療の様子を放送していたそうなのですが、おばあちゃんが言うには「美容に良いんだとかって言ってよぉ、若い芸能人が顔に太い鍼をい～っぱい刺してたんだけんどもさぁ、ここの鍼よりもいやいやずいぶん太かったなぁ、あれはあんなに刺してどうすんだかねぇ」って。

僕はその番組観てませんけどね、鍼の太さはいいとしてもそんなにたくさん刺さってましたか（・＿・；）

１回の治療で使用する鍼の本数ですが、僕は多くても８本程度です。２ケタ使うっていう事はまずないなぁ。妊婦さんやお子さんであれば１本で治療する事も多いですし、平均すると４～６本くらいでしょうか。そんなに多くは使いません。

・・・別にケチってるわけじゃなくてね（＾＾；）

鍼が多いと「数打ちゃ当たる」になってしまって、結局は何が効いているのかわかりにくくなりますよね。数打って当たらなかったらもう最悪で（笑）、それ以上は手も足も出なくなってしまいます。治療内容を振り返るにしても非常に困難になりますし、再現性を期待するためには再び多くの鍼を使用する事になります。それでは非常に効率が悪い。

鍼が少なければ何が効いたのかがわかりやすいですし、抜き忘れ等の事故防止にもなります。
何よりも僕は、鍼の本数が少ないほど良い治療ができている証拠だと思っているんです。

ここも、あそこも、こっちも、あっちも、あ～どんどん鍼が多くなっちゃう・・・ってなるのは、治療前に東洋医学的な病理状態の把握がしっかり出来ていないからだと思うんですね。僕も昔は鍼の本数多かったもん。
考察さえきちんとまとまれば、数本でも非常に良い治療が出来るようになるものです。

たくさん鍼を使用する事自体は悪くないと思いますよ。ですが、自分の治療の意図を第３者に論理的に説明できるかどうか、これは非常に重要です。それが出来ないとその治療自体が論理的ではないっていう事になりますからね。