J3でともに戦うライバルチームである藤枝MYFCが、株式譲渡交渉を進めていることが明らかになりました。非常にユニークなクラブの成り立ちの経緯を抱えているクラブですけれど、ここに来て大きな転換期を迎えることになりそうです。
『J3藤枝株式譲渡へ 主要スポンサーと交渉、地域密着再出発』(アットエス)
藤枝は世界で2例目となるネットオーナーシステムという運営法を採用。全国からオーナーを集うという、Jリーグの理念である地域密着とは間逆の方針でクラブ運営を開始しました。
当初はネットオーナーによる議論や投票で戦術、運営、強化方針、人事などを決定するとしてにわかに注目を浴びました。事実、斉藤俊秀氏が監督に選出された際にはネットオーナーによる投票結果が反映されていたそうです。しかしその後はクラブ運営の中核を担う事案への参加はほとんどなくなり、実際に参加できるのはグッズデザインの投票程度だったようです。
2010年に静岡FCを吸収合併しファンクラブを設立したあたりからネットオーナーへの対応がおろそかになりはじめ、2015年にはネットオーナーシステムが事実上の廃止扱いの休止。そしてこのたびの株式譲渡により地域密着型クラブへの完全移行となりました。
こうなるに到った経緯には様々なことが考えられますが、インフラ整備の交渉や集客に対して限界が生じ、地元に愛され地域に必要とされるクラブになるべく方針を転換せざるを得なかったというのが一番の要因だったのではないでしょうか。
今後は地元政財界の理解を得ながらJ2ライセンス取得に必要なスタジアムの改修を行い、金銭的なバックアップを受ける基盤を整備し、集客力の向上とチーム強化を目指すクラブ運営をして行くことになると思われます。
ネットオーナーシステムとはちょっと違いますけど、完全な地域密着型ではないクラブとしては、日本では横浜FCがクラブ立ち上げからソシオ制度を採用していました。ところがJリーグ参入と同時期に様々な問題が持ち上がり、
ソシオ横浜の公式サイトも2008年1月を最後に更新が途絶えている状態です。
バルセロナのようなソシオ制度は非常に面白い制度である一方、クラブ運営はなかなか難しいです。結局はJリーグの理念である地域密着型がクラブ運営にとっては一番理想的な姿なのです。やはりサッカークラブの運営において『地域密着』という課題は避けては通れない部分なのだと思います。
経営の話といえば、栃木SC公式サイトにこんなリリースがありましたね。
『デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社発表 「Jリーグマネジメントカップ2016」J3部門ランキング1位の評価を頂きました』(栃木SC公式)
我らが栃木SCは橋本社長が就任して以降、様々な改革を断行。経営状況が非常に安定しています。外部調査によってもそれが証明された形です。
旧経営陣がクラブに居座る形でのスタートとなった橋本体制に当初は不安も拭えませんでしたが、いい意味で期待を裏切る素晴らしい経営手腕を発揮してくれています。橋本社長には感謝しかありません。今後とも地域に根ざし、地元に愛されるクラブ運営を心掛けて欲しいです。