実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

大飯原発Ⅱ  実戦教師塾通信三百十三号

2013-09-05 22:00:02 | ニュースの読み方
 海外メディアからの疑惑/告発

    ~オリンピック招致(しょうち)~


 1 田中委員長


 大飯原発活断層のニュースはあった、という指摘(してき)を受けた。それでホッとするわけにいかないのは同じことだ。「再稼働(さいかどう)の星」とも言える大飯は、拠点(きょてん)としての役割をまっとうすべく前進している。それでまた大飯原発のことを書くわけではない。3日に青森県東通原発の断層調査があった。そこで、
「これまで通り『活断層の疑いあり』の評価と変わることはない」
と語ったのは規制委員会の島崎邦彦委員長代理だ。田中委員長はどこに行っているのかと思ったら、ブエノスアイレスにいた。記者団の「汚染水問題」についての質問に答えているのだった。ニュースの報道では、
「最大限のことを全力でやっている」
という答だった。確かに一定程度は間違っていない。
 しかし、この招致委員会で論議(ろんぎ)されていることは、福島の事故の「正念場(しょうねんば)」と言っていいものと思えた。それを迂闊(うかつ)にも、そして、またしても事故直後のように、外国プレスから知らされている。


 2 間違ってる奴ら

 間違ってる奴らはたくさんいるが、とりあえずここ数日で目立ったのは日本招致(しょうち)委員会理事長の竹田とかいう奴だ。海外の記者団の質問に答えて、
「東京は安全だ」
と言ってる。歩きながら言ってるのと、正式な席上(日本向けの記者会見?)で、二回聞いたし、見てしまった。記者団は福島原発の汚染問題に言及(げんきゅう)した。それに対し、
「東京は安全だ」
とは奮(ふる)っていると思わないか。どこからどこまでは安全でないのか、そして、その危険なエリアにいるのはどんな人たちなのか聞きたかった! また「東京は安全だ」ったらどうなんだ? だったら何? 「確かに危険なところはありますよ、でもね」って言い方をしてるの分かってる?ってことだ。
 そして、今日の記者会見で、菅官房長官が言った、
「汚染水問題は、国をあげて取り組むから懸念(けねん)する必要はない」
という奴。こいつも度し難い(どしがたい)。どんな根拠(こんきょ)があって「懸念する必要なし」と言えるのだ? なるほど、国が介入するとこんなに違うものか、ということが、少なくとも今まであったとでもいうのか。それとも、これからは違うというのなら、その根拠を分かりやすくいうのが政治家の責任というものだが、それは言わなかった。言えないから言わない。
 汚染問題のおさらいをしよう。
7月22日 5月にすでに指摘(してき)されていた汚染水漏れをようやく東電は認める。
8月6日 経産省か安倍か忘れた。東電への「丸なげ」を認める。そして「これからは国/政府が一丸となって、汚染水対策に臨(のぞ)む。と発言。
9月3日 安倍は「今まで東電任(まか)せにしてきた汚染水対策を政府として真剣に取り組む。国費470億円を投入」を約束する。
9月4日 ブエノスアイレスに到着した日本招致委員は、記者会見。
そして、あの竹田某(なにがし)の
「東京は安全」
発言となる。
 こんな粗削り(あらけずり)なチェックだが、
「東電に丸なげしてきた。これからは政府が取り組む」
をこの一カ月の間だけで二回言ってる。そして、二回目にはあらたまって
「『今度こそ』取り組む」
とはもちろん言わなかった。
 腹立たしいこと限りないが、私たちが福島原発事故で学んだ、
「国を簡単に信じてはいけない。しかしあきらめてもいけない」
ことを忘れてはいけない。


 3 海外プレスから学ぶ

 確認済みの人も多いと思うが、海外記者のブエノスアイレスでの質問やコメントは、いちいちもっともで、耳が痛い。

〔ドイツ〕
東電は原発は制御下(せいぎょか)にあり、危険性はまったくないと説明してきた。東電は本当に事故から学んだのか。

〔アメリカ〕
東電任せにしないと安倍首相が言った二週間後に汚染水漏れ発覚が(はっかく)した。3日(9月)発表の470億の汚染対策費はすでに発表済みのものだ。オリンピック対策としか思えない。

〔韓国〕
安全宣言がIOCを意識したものだとすれば、日本は原発を安全に管理する能力も良心もない国だ。

〔フランス〕
情報を公開せず、疑惑(ぎわく)が浮上(ふじょう)すると全否定。ほとぼりがさめた頃、事実を認めるやり方は、日本人や日本のメディアの忘れやすい気質(きしつ)を利用している。

これは原発事故での会見ではない。IOCオリンピック招致委員会の記者会見の席上で出されたものだ、ということに私たちは驚きと恥(はじ)を感じないわけにはいかない。


 4 知らずにいること

 汚染水問題が浮上した時、韓国が日本食品の全面禁輸(ぜんめんきんゆ)を国内で提案したことを覚えているだろうか。まだある。日本に荷物を運んだ韓国船のバラスト水を、この8カ月間さかのぼってチェックするべきだ、という提案だ。バラスト水とは、自国(韓国)から日本に荷物を運び終えて軽くなった船が、バランスを保つために海水を船内に入れて重くする、その水のことだ。

 知らないといけない、そして忘れてはいけない。国は隠す(かくす)。
 例えば、あの福島第一原発の二号機だけ建屋(たてや)が無事である理由を、一体私たちのどれだけが知っているのだろう。
「一号機が爆発した時、二号機の壁に穴を開けたから」
だ。その穴が二号機建屋内に充満(じゅうまん)した水素を大気中に放出したのだ。私はこのことを『政府事故調査・検証委員会』の報告で初めて知った。買って読んだのだ。あの「フクシマフィフティーズ」の由来(ゆらい)もそれで知った。
 中には報道をつぶさに点検して知っている人もいるのだろう。しかし、そういうことではない。こういう大切でシビアな内容は、私たちの中で繰り返し思い起こされる必要がある。それが「事故から学ぶ」ということだ。そのための姿勢や報告が、どこで私たちに保障されていたのだろう。
「ちゃんとこういうこと(『事故調』)で政府は報告しているのだな」
などと、納得してはいけない。私たちは
「事故から学ぶ」ことで
「先に進む」
のではなかったのか。今の日本が言っている
「事故を乗り越えて」の方向は、
「事故から学んだ」
向こう側のことではない。一体、福島の原発の処理をどうするのか。さっぱり先が見えない状態であることを、私たちはこの数日のブエノスアイレスで、あらためて知らされたのだ。
「再稼働より汚染水だろ」
という金曜官邸前(かんていまえ)デモのプラカードは明瞭(めいりょう)に語っている。

 ほら来た。地下水が汚染されている、というニュースだ(今日午後8時20分)。シロウトが考えても分かる。地下から湧(わ)いてくる水が、汚染水と混ざったのは分かった。しかし同時に、汚染水が地面を標的(ひょうてき)にして、下にしみ込まないはずがない。海に漏れたという報告はあった。しかし、とうとう地下に到達したようだ。いや、そう認めざるを得ないところまで来た、と言うべきかも知れない。
 信じてはいけない。でも、あきらめてもいけない。


 ☆☆
いやあ、ブログの少しピッチが早いです。でも仕方ない。絶望的なことばかりで、うーむ…困った。この原発って奴、世界中で隠そう・守ろうってスクラム組んでますからねえ。先月、台湾の原発汚染水漏れ事件が報道されましたが、実は三年前からだったんですもんねえ。もう、希望はやっぱり、子どもを持った若いお母さんたちですね。この人たちがあきらめたら、もうおしまい。お父さんたちはって? 男って、う~ん…思いますねえ。

 ☆☆
天気がなんかヤですね。今日、中学校は体育祭予行練習の予定だったところが多い、と聞きます。どこも出来なかったみたいです。応援練習は、体育館はひとつのブロックしか出来ない。あるいは体育館を二つ三つに区切って練習したかな。でも、日を追って子どもたちの表情と動きが変わっていく。それが耳に入ってきます。
頑張れ~!

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1 コメント

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そんな女絶対に嫌だ! (そえきん)
2013-09-06 10:03:00
子供をもった若いお母さんたちが、貧しい生活や、
苦しい生活を選択出来るようになった時に、
きっと世代交代されるんだろうなぁ…
女王の誕生だね
いつになることやら…
さあ今日も一日がんばりましょう!期待しないで…
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