千の天使がバスケットボールする

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「エフゲニー・オネーギン」チャイコフスキー

2005-11-30 13:34:08 | Classic
ドイツの冬は早い。夕方5時にベルガモン博物館を出てタクシーに乗った時は、すでに夜の帳がおりていた。ブランデンブルグ門をぬけ、6月17日通りを、戦勝記念塔の金色の像を眺めながら30分ほど走って、 Deutsche Oper Berin に到着する。このホールは、特別歴史があるホールではなく、外観も内装も重厚というよりも庶民的で収容人数も2000人弱という程度だろうか。今日は午後4時から5時半までは、こども対象のチャイコフスキーの演奏会もある。この企画の協賛はメルセデス・ベンツ。また平日午前中にもプロコフィエスなど、こうしたこどもたち対象の教育目的の演奏会が催されているのは、さすがにドイツといえよう。ほぼこの会場では、連日オペラかバレエの催しものがあり、一般的には、午後7時半開演が多い。

座席は内容(プログラム)によってD(高)~A(安)の4ランクあり、更にイエローゾーンから緑のゾーンまで価格が分かれている。日本と違うのは、1階最前列~5列、2階の前2列が最も高く、後に行くほど安くなっている。今回は二番めに安いBプログラムで前から13列めの14番。会場のほぼ中央でオペラを鑑賞するには、ベストな位置である。チケット代金は、わずか50ユーロ(約7250円)。あとひとつ後ろになれば40ユーロ、最も安価な席は17ユーロとかなり安く、気軽にオペラに脚を運べる環境を実感する。

さてオペラだが、原作がプーシキンの「エフゲニー・オネーギン」である。
1820年代、地主の館で繰りひろげられる恋愛劇である。タチヤーナは、妹オリガの婚約者レンスキーの友人であるエフゲニー・オネーギンに恋をする。つのる想いを手紙にしたためて告白するが、オネーギンは厭世家で家庭を持つ気などさらさらなく、すげなく断る。
やがて歳月が経ち、今やグレーミン公爵夫人となって再会した田舎娘だったタチヤーナが、美しい貴婦人となっていることに驚くのだが・・・。

舞台装置と演出は洗練されているはいるが、チャイコフスキーの素朴さを失うほど前衛的ではない。真っ白でなだらかな床が、雪原になったり、あるときは舞踏会の会場になったり、人物と衣装が映える。特に村娘たちの収穫をする場面では、民族衣装のロシア的な鮮やかな赤との対比が素晴らしい。歌手たちも声がよくなかなか値段の割には質が高いと感心した。原語のロシア語で歌っているため、ドイツ語の字幕がついていた。会場はほぼ満席で、比較的年齢層が高い。世界的な若者のクラシック離れをここで実感する。平服の方もいるが、ドレスやスーツ姿のドレスアップしている女性も多い。
休憩が30分なので、ワインと軽食を楽しむ独特の華やかさにホワイエは満ちている。さすがにツーリストらしき日本人は見かけなかった。来月は季節柄オペラ「ヘンデルとグレーテル」や「くるみ割人形」のバレエが多い。こうして音楽が、いつも身近に存在するのがベルリン、ドイツなのだ。

2005.11.27  Deutsche Oper Berin にて。指揮者:ミハイユ・ズロフスキ

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