最近の精神世界関連の論調を見ていて、気になることの一つは、「東北の大地震は、一部のアメリカ人が地震兵器を使って人工的に引き起こしたのだ」という話が、静かなブーム(?)になっていることだ。
率直に言って、それは有り得ない。中小の群発地震ならともかく、あれほどの超巨大地震を引き起こすのは、いくら「アメリカ人」でも無理だ。アメリカが保有する核兵器を一つ残らず三陸沖に打ち込んだって、ああはならないし、そんなことをすれば別の副作用が確実に起きるから、すぐバレてしまう(笑)。人工地震を引き起こすのは「超磁力兵器」だそうなのだが(未来少年コナンですな・・・)、これまた、アメリカ中の磁石を全部、三陸沖に集めたって無理だ。普通に考えれば、それは分かるはず。
ここ数年、巨大地震は、日本だけでなく、チリやインドネシアでも起きている。中国でも頻発している。その前は、カリフォルニア州でもかなり大きな地震が起きた。みんな、古来から地震が起きやすい、地球規模の地震帯で起きたこと。太平洋の沿岸で大地震が起きるたび、津波が太平洋の向こう岸にまで押し寄せる。チリの地震では、東北にも津波が来た。今回の地震でも、アメリカ西海岸で津波による死者が出ている。津波による原子力発電所の事故は、世界全体を揺るがせている。いまや、大事件の影響が一国にとどまることなど、まずないと言ってよい。日本だけをピンポイントでターゲットにするのは、無理なのだ。
それにしても、なんで、「アメリカの影の政府」が、同盟国の日本でわざわざ人工地震を起こすのか。それは、「アセンションの中心である日本を破壊することにより、人類の進化を妨害すること」なのだという。
これについても、以前から何度も書いていることなのだが、そもそも「アセンションの中心は日本」という考えに無理がある。アセンション思想そのものが、アメリカで発祥したものであり、何十年もたってから日本に伝わったものだ。アシュタールやラー文書を初めとするチャネリング、かの有名な「大集合」に初めて言及したロバート・モンローなど、アセンション思想の元祖と言えるものは、みんなアメリカから出てきた。少なくとも、この分野に関する限り、どう見てもアメリカが世界のセンターで、日本はローカルだ。もっとも、その日本も、アメリカと比べるから後進国に見えるだけで、それ以外の国々と比べたならば、格段に先進的な考えが浸透して先端の議論が行われている。もっとも、これは精神世界に限らず、ほかの多くの分野にも言えることなんだろうけど・・・。
唯一、アセンション思想の萌芽が見られる日本の古典と言えば、やっぱり「日月神示」だと思うのだが、中矢伸一氏によれば、その「日月神示」にさえ、「まず外国の臣民が気づきて、それから日本の臣民にも伝わるのざぞ」と書いてあるのだそうだから、まず間違いあるまい(笑)。
それにしても、「アメリカ人が引き起こした」はイカガなものか。言い方は悪いかもしれないが、百年近く昔の関東大震災のときの「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んで死者が増えた」というデマを連想する。「朝鮮人」が「アメリカ人」に代わっただけで、得体の知れない外国人が不幸の元凶であるというメンタリティには変わりがない。言ってる本人に悪気はないのだろうが、典型的な危険思想だ。
もっとも、「アメリカの影の政府」の攻撃目標が、日本だとは限らない。彼らは、世界全体を破壊しようとしているのかもしれない。日本だけでなく、チリやインドネシアで地震を起こしているのも、彼らのシワザだとしたらどうか。
それにしたって、やっぱりおかしい。というのも、これらはいずれも、「アメリカの影の政府」にとって、破壊してもメリットのない地域ばかりだからだ。彼らの目標が地球人類を混乱させることにあるのだとすれば、もっと狙うべき問題地域がいくらもある。モスクワや北京で地震を起こしたほうが、よほど混乱は大きい。アメリカを中心とする世界秩序にとって、より脅威なのは、チリよりはベネズエラだろうし、インドネシアよりはイランだろう。彼らが狙っているターゲットは、ひどくズレている。
ただし、影の政府の狙いが、単純に地球人類を混乱させることだとは限らない。ベンジャミン・フルフォード氏によれば、「影の政府の目的は、原子力発電をストップさせて、火力発電に回帰させることにより、石油価格を釣り上げることなのだ」という。
でも、それならそれで、ターゲットはやはり日本ではない。狙うべきなのは、日本よりも遥かに原子力発電への依存度が高い国、フランスだろう。それ以上に有効なのは、日本よりも格段にエネルギー消費量が多い国、アメリカと中国だ。でも、そういう間接的なやり方より、大産油国のサウジアラビアで地震を起こした方が、よほど石油価格の釣り上げに効果的なのは間違いない。もっとも、中東・北アフリカがこれだけ政治的に混乱する中で、サウジアラビアを破壊するためには、人工地震など起こさなくても、政治的工作を仕掛けるだけで十分な成果が上がるだろう。
影の政府の目的は、本当に謎ばかり。誰でもいいから、論理的に納得のいく説明をしてくれないものか・・・。