宇宙のこっくり亭

意識の覚醒に向かって、精神世界を縦横無尽に語る本格派ブログ!!

オサマ・ビンラディン死す

2011年05月08日 | こっくり亭日記
  
またしても、衝撃の(?)ニュースが飛び込んできた。なんと、あの「人類史上最凶のテロリスト」こと、オサマ・ビンラディンが死んだというのだ。

パキスタンに潜伏していた、ビンラディン。アフガニスタンからパキスタンにかけては、ヒマラヤと並ぶ世界で最も険しい山岳地帯が広がっているだけに、山奥にヒッソリと潜んでいるのかと思いきや、大胆にも首都イスラマバードの近郊の、普通の住宅地に堂々と住んでいた。しかも、周囲にはパキスタン軍の軍事施設がたくさんあるところ。これを「灯台もと暗し」と見るべきなのか、それとも、「パキスタン軍がかくまっていた」と見るべきなのか・・・。
 
そんなパキスタンの潜伏先だったのだが、米軍には、何ヶ月も前から「どうやら、ここに隠れているみたいだな」と目を付けられていた。オバマ大統領からの指示のもと、米軍は上空から急襲し、ビンラディンを仕留めた。10年間もテロリストを追い続けた執念が、ついに実った形だ。これについては、「何年かかってもテロリストを追い詰めるという、アメリカ政府の断固たる意思を示すことに成功した」という声が出ている。
 
それにしても、なぜ、生け捕りにしようとせず、殺すことを選んだのか。これについても、いろんな憶測を呼んでいる。それというのも、「空から爆弾を降らせた結果、爆死した」というのならともかく、「ビンラディンの家に突入して、家族の目の前で射殺した」というやり方に原因がある。明らかに、最初から生け捕りにするつもりはなく、殺すつもりだった。
 
「現地住民の話」によると、真っ暗な夜中に、米軍のヘリコプターが畑の中にいきなり着陸して、中から暗視装置をつけた重武装の兵士たちがゾロゾロ降りてきた。暗闇で何も見えない中、兵士たちの銃からはレーザー光線が放たれ、「映画のようだった」という。まさしく、21世紀の戦闘。SF映画が現実化した世界だ。
 
まあ、日本の例でいえば、オウム真理教の麻原彰晃は、あまりにも犯罪が多すぎるので、いつ果てるとも知れぬ裁判が続き、本人は獄中でノウノウと生きながらえているという奇妙な現実がある。「早く死刑になりたくなければ、もっと犯罪を犯せと言うことか」と、世間をアキレ返らせている。最悪のテロリストを裁くのは、これほどまでに難しい。アメリカでも、ビンラディンの裁判が始まったら大変だろう。案外、そういった面で「余計な面倒を避けた」といったところなのではないか。

でも、そこが批判を浴びる原因になっているというから、世の中は難しい。特に問題を複雑にしているのは、「1998年、米大使館爆破事件を共謀したとして、マンハッタン連邦地裁に起訴されたこと」だという。「起訴されている容疑者を、裁判もせずに、いきなり射殺するとは何事か」というわけだ。その上、作戦を事前にパキスタン政府に通告しなかったことにも「国際法上の問題」を指摘されている。
 
オバマ大統領は7月からのアフガニスタン撤退を公約している。イラクに続いて、アフガニスタンからもアメリカ軍が手を引く。その前にケリをつけておきたかったから、グレーゾーンなのを承知で勝負に出たのだろう。はたして、アメリカではオバマ大統領の支持率が急上昇しているという。ホワイトハウスの前には、若者ら数千人が詰めかけ、深夜まで星条旗を振り、「USA」を連呼し続けた。人々は口々に「米国にとって最高の日」、「9・11テロ以降10年間の鬱憤を晴らした」と言い、戦勝記念日のようなお祭り騒ぎとなったという。やはり、昔も今も、アメリカ人には強硬策がウケるということが改めて証明された。これは、今後のオバマ大統領の行動にもますます影響してきそうだ。これからも、アチコチで勝負に出る可能性は高い。
  
あの9.11テロ事件は、まさしく悪夢だった。超高層ビルが爆発して崩れていく、あの映画そのもののようなニュース映像は、今も目に焼きついて離れない。もっとも、このテロを「ビンラディンが起こした」という確証はない。状況証拠から見て、「ビンラディンがやったのだろう」とされているだけだ。あまりにもナゾの多い事件だけに、真相については、さまざまな説が飛び交っている。「本当は、ブッシュ大統領が首謀者だったのだ」という極端な意見まであるくらいだ。
   
ビンラディンは、世界のテロリストの象徴となっていた人物。マムシの頭を叩き潰したことによって、長期的にテロリストの勢力は弱まっていくだろう。でも、短期的には、むしろ報復テロを恐れる声が高まっているので、予断を許さない。中東諸国には、大小のアルカイダみたいな組織が、数え切れないほどあるという。
  
でも、ビンラディンのようなテロリストは、もはや古いタイプとなってきている。最近の中東・北アフリカでは、市民運動による「非暴力革命」が主流になってきた。チュニジアやエジプトの独裁政権がバタバタと倒れた。

もっとも、「非暴力」だからと言って、手放しに称賛できるほど世の中は単純にできていない。リビアでは、非暴力革命は成功せず、悲惨な内戦に突入してしまった。現在、注目が集まっているのは、中東でも最も堅固な独裁国家のひとつ・シリアだ。ここでも、デモ隊に政府軍が銃撃する事件が相次いでいる。一方、非暴力革命が成功したエジプトやチュニジアも、ヘタをすれば「イスラム原理主義勢力に国を乗っ取られ、イランみたいな危険国家になってしまうのではないか」と懸念されている。
 
ロシアの猛暑を始めとする昨年の異常気象が、世界的な食料価格の高騰をもたらした。食べ物の恨みは恐ろしい。民衆の怒りは、遠く離れた北アフリカや中東諸国で爆発した。今度は、この地域での政変が、石油価格の高騰を起こしつつある。こんな具合に、異常気象や災害と、政治・経済の激変が次々にリンクしている。まさに大変な年になってきた。目下、歴史の動きの最前線は中東だ。地球規模の大きなうねりの中で、一人のテロリストが抹殺された・・・。