それにしても、ルドルフ・シュタイナーの、「物質界の知覚は、自分の意識の外側から情報が入ってくる。霊界での知覚は、自分の意識の内側からやってくる」という話には、すっかり感銘を受けてしまった。まさに、逆転の発想だ。まるで、裏口入学みたいな話ではないか。しかも、「情報は、自分の外側から入ってくるもの」という、物質界での経験からくる思い込みが、知覚の拡張をさまたげているという。筆者もシュタイナーに習って、知覚を拡張したいものだ。ただし、限られた時間の中で・・・。そのためには、どうすれば良いものか・・・と思ったものだ。
すると、「(自分は)言語能力に依存しすぎている。頭の中の言葉を止めよ。言語より、音を聴け。意識を集中して、音を聴け」という考えが、心の中から浮かんだ。
タイミングからしても、「これがいわゆる、『潜在意識から浮かび上がってきた情報』か?」と思ったのは、言うまでもありません(笑)。その一方では、「これは、以前に読んだ本の一節をたまたま思い出しただけなのかもしれない」というような疑惑も起きてきた。そういえば、「頭の中の言葉を止めよ」という辺りは、エックハルト・トールの著書を思わせる。思わず、ああでもない、こうでもない・・・と、いろんな考えがグルグルと回り始めた。こういうのを、「頭の中の言葉」と言います。まずは、これを止めることが第一歩・・・!?
なんとなく、クリシュナムルティの本を手にとって、ページをパラパラとめくりたくなった。本屋で買ってはみたものの、まだ読んでいなかった本だ。なんと、次のような記述が、目に飛び込んできたではないか。
>君たちは、何にも注意を固定せず、集中しようと努力せず、本当に静まりかえった心で、ごく静かに坐ったことがありますか。そのときには、あらゆるものが聴こえるでしょう。遠くの音とともに近くの音も、ごく身近な音もただちに聴こえます。・・・このように聴き、楽に緊張なく聴けるなら、 自分の中でとてつもない変化が起きていることに気づくでしょう。・・・そして、その変化には大いなる美しさと洞察の深みがあるのです。
>いつか、それをやってごらんなさい。今、やってごらん。私の話を聴きながら、話だけではなく、まわりのあらゆるものを聴くのです。あれらの鈴や鐘・・・牛の鈴、寺院の鐘の音を聴きなさい。遠くの列車や道の荷車の音を聴きなさい。そして、もっと近づいて、私の話も聴くならば、聴くことには大いなる深みがあると気づくでしょう。
>あらゆるものを深く聴いているために、心は静かです。このように楽に巧妙に聴けるなら、心の中、頭の中で驚くような変化が起きていることに気づくでしょう。君の考えたこともない、決して想像したことのない変革です。
(クリシュナムルティ著 藤仲孝司訳 『子供たちとの対話』より)
偶然の一致なのか、それとも、本当に潜在意識が呼び寄せたのかは知る由もない(笑)。とはいえ、それがシンクロニシティというもの。このようなシンクロでもなければ、この一節がこれほど印象に残ることはなかっただろう。(実際のところ、クリシュナムルティの著書は、普通に読んでも、何も頭に残らないことが少なくない。もともと、頭に残すために読むようなものではないので、仕方ないのだが・・・)。
さっそく、移動中の車内で、頭の中をカラッポにして、周囲の音に耳を傾けてみた。車が走る音、道路上の騒音、どこかから聞こえてくる音楽、人々の話し声・・・。そういうものが、意識に流れ込んでくる。
音に意識を集中していると、たしかに、あれだけ垂れ流されていた「頭の中の言葉」が、ピタリと止まってきた。これは、珍しいことだ。基本的に筆者は、文筆と弁舌の徒。文章も大量に書き流すけど、しゃべる方も、機関銃のようによくしゃべる。いや、「機関銃のように」ではカッコよすぎるので、「蛇口から水を出しっ放しにするように」とでも言うべきか・・・。周囲の人々からも、「最初は、『また、しゃべりだしたか。うるせえな』と思うのだが、気がつけば、話に引きずり込まれていることが多い」と言われ、なかなか好評だ(?)。それはともかく、このため、頭の中では、常に言葉が渦を巻いている。どうやら、今の筆者にとっては、心を静め、「音を聴く」というのが重要であるみたい。
周囲の音に耳を傾けていたとき、ふと、あるイメージが浮かんだ。それは、自分の身体の、心臓の辺りが光り始め、その光が胴体へ、手足へと広がっていく・・・というイメージ。それが、鮮明に浮かんできた。ふと、「知覚情報だけではない。生命エネルギーもまた、自分の意識の内側から入ってくるのだ」という考えが浮かび上がってきた。
そういえば、今までは、「生命エネルギーというのは、天から降り注いでくるものだ」という固定観念にハマッていた。自分の頭の中の声(?)のおかげで、そうとも限らないということに気づいた。この先、疲れがたまってきたときは、意識の内部から生命エネルギーを取り出して、疲労回復することにしようか(笑)。
ついでに、「2012年、地球にアセンションは起きるんでしょうか?」という質問を、自分の意識の内部に向かって問いかけてみた。すると、「今は、それを気にしても仕方がない。地球のことより、まずは、お前自身がやってみろ」という考えが浮かんだ・・・。
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