ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

認知症の夫と向き合って

2014年01月14日 | 認知症の夫と向き合って
 ☆ 思わずカッとして
先日薬味のねぎを刻もうとして、野菜室を見たが、どうしても見つからない。
確かに買ったばかりなのにと、夫に聞いたら「ここに入っているよ」と出したのは
冷凍でコチンコチンになったねぎだった。
 思わずカーッとなった。「もう何度言っても分からないのだから」と私はねぎを
流し台に叩きつけた。すると真っ白で太いねぎはまっ二つに折れたので、私は二本の
ねぎをばんばんぶつけたら、少しは気持ちが晴れたが、夫は「そんなことすると
流しがこわれるよ」ニヤニヤしている。

今は野菜がとても高い、勿体なくて捨てられない、まして私の最も大好きな長ねぎ
だ。急いでお湯を沸かし、叩きつけて鍋に入る位に短くなったねぎと、同じように
コチンコチン小松菜を茹でながら、昨日のことを思い出した。
一旦買い物から帰り、もう一度足りないものを買いに行くため、沢山の買い物を
夫に「これ冷蔵庫に入れておいてね、お願い」と言って家を出たのだ。
 冷蔵庫は買い換えてから一年半経つが、以前は野菜室が一番下で、真ん中が
冷凍室だったので、それが以前の場所が彼の頭にインプットされているようで
実は何度も野菜を冷凍にしたのだが、それをうっかり忘れて、私が出ていったので
それを忘れた私が悪かったのかもしれないと少々反省した。

あんなに腹が立ったことは最近あまりないが、でもしばらくして冷静になって
から考えた。夫は認知症と診断され治療を受けてから、この三月で満三年になる。
金銭管理もできず、日にちの感覚がなく、短期記憶はほとんどできず、判断力も
衰えているのは明らかだが、今現在は日常生活にはほとんど不自由はない。
ただ、毎日治療のための薬を飲ませるのが、とても大変だが、やはり夫を介護して
いる友人の電話では、最近おむつをしているが、それが漏れて大変だと聞いた。  
それに比べたら、夫は穏やかでまだ家事も手伝ってくれるし、友人達との交流関係
も大変良い。昔のことはシッカリ覚えているし、誰にでもキチンと対応できるので
他人には彼が認知症とは気がつかない人が多いようだ。
 ☆ 家に帰ってみると
 でも今日はお昼の食事を準備し、早い夕食にもし間に合わなければと、夕食も
ほとんど用意して出かけたが、途中で何度電話をしても出なかった。
7時ごろ家に帰ったら、お昼は食べてキチンと片づけてあったが、夕食はすました
様子がない。寝ていたので「夕飯は食べたの?」と聞いたら、「食べていない、お腹は
空いている」と言った。すぐに準備し起こしたが、何時に寝たのか聞いても分か
らないし、ペットにえさをやったのかも覚えていない。

 何を聞いても「覚えていない」と一点張りで、会話ができず、ずっと一人で鼻歌
を歌っている。私が見ている番組も、気に入らないと突然替える、とにかくあまり
機嫌が良くないのは確かだ。彼の精神衛生には、私が何時も家にいた方が断然良い
ことを改めて実感した。これからはだんだん長時間家を空けられなくなるかも知れ
ない、すると「現在の私の生活様式は変えざるをえないのだろうか?」と、初めて
暗然とした気分になった。でももしかしたら、三年も経過したのに、何とか自分の
生活パターンを維持できただけでも幸せなのかもしれないと、自分をなだめた。

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