監督:ニキ・カーロ 原作:ビンガム&ガンスラー「集団訴訟」
出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン他
1989年後半、故郷のミネソタ州の鉱山に仕事をもとめて女性、ジョージがひとりやっててきました。父親の異なる男の子と女の子の子どもがいて、夫の暴力から逃れての離婚歴がある様子。親子3人の生活を続けていくために、父親の働く鉱山に自身も就職。
ところが男職場のその企業では、仕事がきついのはもちろんですが、男の仕事に割り込んできたことへの反発、露骨な性的いやがらせが日常茶飯事でした。
企業はもとより 組合も似たりよったりで、女性労働者をそうした嫌がらせから守る姿勢など微塵もありません。男同士がかばい合い、女性労働者は我慢と忍耐の日々。ジョージは余りの仕打ちに訴訟を起こそうとします。しかし、同調する人は女性労働者のなかに、むしろそのような行為をすることで嫌がらせがより深刻になると、逆に彼女を白い目で見る始末です。
ジョージは思いあまって、男性の弁護士に相談します。最初は冷ややかだった元アイスホッケー選手の弁護士も、彼女の熱意を受け、弁護活動に入ります。訴訟を起こすには3人以上の同調者(集団訴訟)が必要です。始め誰もが無視していたのですが・・・・。
最後の法廷での場面は、感動的です。セクシャルハラスメントの禁止、女性労働者の労働条件の改善。炭鉱のこの企業の取り組みは、彼女の勇気ある闘いの最初の一歩から「集団訴訟」へ、その後の大きな運動へと発展していくことになりました。
不運な人生を背負った女性が、挫けそうになりがちな気持ちを自ら励まし、諦めないで戦おうとする姿が美しい。リーダーシップをとる勇ましい女性の物語というのではなく、父親や子供との絆、鉱山で働く友人たちとの関係のなかで前進していく彼女に拍手。