【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

石井代蔵『大相撲親方列伝』文春文庫、1993年

2008-11-04 20:15:23 | スポーツ/登山/将棋
石井代蔵『大相撲親方列伝』文春文庫、1993年
         

 懐かしい四股名がずらりと並んでいます。大ノ海(花籠)、若乃花(二子山)、栃錦(春日野)、千代の山(九重)、北の富士(九重)、増位山(三保ケ関)、北の湖(一代年寄北の湖)、鶴ヶ嶺(井筒)、琴桜(佐渡ケ嶽)。

 登場する親方は、春日野以外、小部屋からスタートして、無名の若者を発掘し、育て、隆盛にまでもっていったひとたちです。

 本書は「親方列伝」ですが、現役時代の活躍もだいぶ書き込まれています。わたしは世代的には、栃錦VS若乃花からです。千代の山の相撲はラジオで聞いていたことがあったような。壮絶な若乃花VS千代の山は、ラジオの実況中継で聞いた記憶がかすかにあります。

 印象に残ったのは現役時代もろ差しの名人としてならした鶴ヶ嶺が3人の兄弟を、奥さんの急逝という悲運のなかで育てたこと(美男で関脇まで昇進した「寺尾」はこのお母さんの死で角界入りを決意。母の旧姓の「寺尾」を四股名にしました)。

 三保ケ関部屋がもともと大阪相撲に拠点があったとは知りませんでした。千代の山が年寄出羽の海を襲名できず、一門から追われて九重を襲名し、北の富士が九重に従ったこと、琴桜が佐渡ケ嶽襲名がむずかしかったところ、佐渡ケ嶽の急逝でその襲名を実現できたことなど、土俵の外での相撲界の確執が書かれていて興味深かったです。