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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2017年度予算案の焦点⑦ 文教 加配教員を基礎定数化

2017-01-26 14:11:41 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点⑦ 文教 加配教員を基礎定数化

文教関係予算は4兆428億円(16年度比0・2%減)、科学技術予算などを加えると5兆3097億円(同0・2%減)です。

批判を受けて改善を認める
義務教育の教職員について、毎年度予算で措置してきた「加配定数」(約6・4万人)の約3割を今後10年間で法律上の根拠を持つ「基礎定数」にします。
17年度は発達障害のある子どもなどへの「通級指導」や外国人の子どもへの指導などが基礎定数に組み込まれ473人増です。財務省は教員削減を主張してきましたが、日本共産党をはじめ関係者の批判を受けて基礎定数改善を認めざるを得なくなったものです。
また加配定数については、いじめなどに対応して395人増え、基礎定数と合わせて教職員定数は868人増です。ただし、少子化や学校統廃合に伴う自然減があり、全体として3282人減です。
今回の基礎定数化にとどまらず、棚上げとなっている少人数学級(現在、小学1年生のみ)の拡大をはじめ教員定数の抜本改善が求められています。



「ゆきとどいた教育を求める全国署名」の集約集会で署名数を報告する高校生ら=昨年12月9日、東京都内

17年度の教員定数改善計画
基礎定数(義務標準法を改正)
17年度分(人)
加配定数
通級指導1:13の割合+452児童生徒支援+150
外国人児童支援1:18の割合+47研修等定数+10
初任者研修体制1:6の割合+75養護教諭、栄養教諭等+20
指導方法工夫改善約4.1万人のうち約9500人を基礎定数化-101(少子化に伴う自然減)事務職員+50
   指導方法工夫改善+165
合計 +473 +395


返済が不要の奨学金を導入
大学生らに返済不要の給付型奨学金が導入されます。学生や保護者、教員らの運動の成果ですが、対象が非課税世帯(1学年約2万人)と極めて狭く、17年度の先行実施もわずか2800人です。
無利子奨学金は51万9千人(4万4千人増)に貸与。資格があるのに予算枠が足りず借りられなかった残存適格者を解消します。日本共産党が強く求めてきたものです。
所得に応じて返還額を決める所得連動返還型奨学金を導入。ただし、所得ゼロでも月2千円の返済を迫られる問題を抱えています。
非課税世帯の高校奨学給付金は、第1子の年額5・95万円(国公立)を7・58万円に増額。日本共産党が求めていたものです。私立小中学校に通う年収400万円未満の世帯(約1・1万人)に年額10万円を支給する制度を新設します。
20年度からの大学入試制度変更や高校生の基礎学力テスト導入に向けた試行テストに57億円を計上。過度な競争に拍車がかかると懸念されています。
18年度から小学校で教科化する「道徳」の教科書の無償配布に向け20億円を計上しました。国家が愛国心など特定の価値観を押し付ける危険性を抱えています。
国立大学運営費交付金は1兆970億円(25億円増)ですが、交付金の1%(約100億円)を国の方針に沿う大学に再配分するため、研究費や人件費に使える基幹経費は16年度比24億円減。再配分で86大学中45大学が減額となっています。
私立大学等経常費補助は、16年度と同額の3153億円。このうち教職員数や学生数に応じて支援する一般補助は約13億円減の2689億円となっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月25日付掲載


行き届いた教育ができるように教員の「加配」がされているところが「基礎定数」になるってことは良い事ですね。
全学年での少人数学級の実現にむけて、さらに充実してほしいものです。
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2017年度予算案の焦点⑥ 社会保障 自然増圧縮で負担増す

2017-01-25 13:18:07 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点⑥ 社会保障 自然増圧縮で負担増す

2017年度予算案の社会保障関係費は、16年度比4997億円増の32兆4735億円(1・6%増)です。毎年1兆円程度ある自然増分を3年間で1・5兆円程度に抑え込む方針のもと、6400億円に抑えた概算要求額からさらに1400億円を削減。第2次安倍政権発足後の13年以降、毎年5000億円規模の削減となります。



高齢者を狙い連続的な計画
医療保険見直しで高齢者を狙い撃ちにするなど連続的な負担増を計画しています。
医療費の自己負担上限(高額療養費制度)は、70歳以上で住民税を払う1400万人が負担増になります。年収370万円未満(1240万人)は、外来の上限を8月から1万4000円へ2000円値上げするなど国費224億円を削減します。
75歳以上の後期高齢者医療では、低所得者への保険料の特例軽減を縮小し、187億円削減します。所得に応じて払う所得割は5割軽減から2割に縮小。元会社員の扶養家族などの定額部分も9割軽減から7割へ縮小します。
65歳以上の療養病床の居住費は10月以降、1日320円から370円へ値上げ。症状の重い患者も新たに1日200円を負担させ、17億円を削減します。
介護保険では、自己負担の月額上限(高額介護サービス費)を7000円増の4万4400円へ引き上げ、13億円を削減。40~60歳の保険料収入に応じた「総報酬割」を3年かけて導入し、17年度は443億円を削減します。健保組合や共済の保険料が引き上げられ、協会けんぽへの国の補助金1600億円が削減できるとしています。他産業より約10万円低い介護職員の給与は、経験などに応じ加算するものの月額1万円にとどまります。



「いのちをまもれ」と声を上げる「憲法・いのち・社会保障まもる国民集会」の参加者=2016年10月20日、東京・日比谷野外音楽堂

年金3年ぶりマイナス改定
社会保障の「充実」に、1・84兆円を充てていますが、4900億円は15年度からの制度改悪で浮いた財源です。新たな実施は、年金支給資格発生期間を25年から10年へ短縮しますが、予算措置は256億円だけ。低年金者への最大月5000円の上乗せなどは見送られました。
年金は「特例水準の解消」を行った14年度以来、3年ぶりのマイナス改定(マイナス0・1%)で、医療・介護で負担増となる低年金者に追い打ちをかけます。
保育の受け皿整備では、「隠れ待機児」が6・7万人いるにもかかわらず、4・6万人分の整備にとどまり、認可外施設の「企業主導型保育」に513億円増の1313億円を計上。保育士の処遇改善は、月額6000円程度です。経験に応じて月5000~4万円の上乗せをするものの一部にすぎず、全産業平均より10万円低い、賃金改善には程遠いものです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月24日付掲載


高額医療費の自己負担額や介護保険の月額負担の上限をアップ。月にすれば数千円ですが積もれば大きい。
弱者いじめの政治は許されません。
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2017年度予算案の焦点⑤ 公共事業 大規模開発さらに推進

2017-01-24 11:59:09 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点⑤ 公共事業 大規模開発さらに推進

2017年度予算案の公共事業関係費は、16年度当初予算比26億円増の5兆9763億円です。5年連続の増加となっており、「成長力」を口実にした大規模開発事業を引き続き推進しています。これとは別に財政投融資(財投)から計3兆円(17年度と18年度に分けて、それぞれ1・5兆円ずつ)をJR東海への融資に充て、リニア中央新幹線の全線開通を最大8年前倒しします。


外環道・大泉ジャンクションの工事現場=1月15日、東京都練馬区

道路や港湾の整備予算増額
16年度に3155億円増額され、総事業費1兆5975億円になった東京外かく環状道路(練馬―世田谷間)を含む三大都市圏環状道路や、空港・港湾等へのアクセス道路の整備推進に16年度比6・5%増の2529億円を充てています。大深度の地下トンネル掘削工事では、地下水の枯渇や土壌汚染が懸念され、生活環境や自然環境への影響が指摘されています。
国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)の機能強化に同2・5%増の766億円、港湾の大型クルーズ船の受け入れ能力拡充のため同66%増の137億円を付けています。
整備新幹線には16年度と同額の755億円を計上。地元自治体などの負担分を含む総事業費は2630億円で、北陸新幹線金沢―敦賀間(113キロ)に1340億円(16年度900億円)を重点配分し、22年度末までの開業を目指しています。予算案には「小浜・京都ルート」の調査費用として11億円を盛り込みました。


2017年度予算案に含まれる主な大型開発
事業名16年度17年度増減(16年度比)
三大都市圏環状道路等の整備2375億円2529億円154億円増(+6.5%)
国際コンテナ戦略港湾の機能強化747億円766億円19億円増(+2.5%)
大型クルーズ船の受け入れ能力拡充83億円137億円55億円増(+66%)
首都圏空港の機能強化145億円147億円2億円増(+1.2%)
整備新幹線の整備755億円755億円変化なし
国土交通省資料から作成


財投を活用しリニアを推進
国が資金調達し、長期・固定・低利で民間事業などに融資する財投計画の総額は、16年度の当初予算比で12・2%増の15兆1282億円と4年ぶりに拡大しました。財投の財源は国債の一種である財投債の発行などで調達した資金です。
リニア推進は安倍政権の経済対策の目玉の一つ。首都圏・中部圏・近畿圏の三大都市圏を結んで一つの巨大都市圏をつくる「スーパーメガリージョン」構想の中核です。
財投の活用はリニアにとどまらず、凍結されてきた大規模開発を復活させ、継続事業を前倒しするための布石であり、加速させるものです。
道路・河川管理施設等の老朽化対策予算は、前年度の5061億円から5409億円となり、6・4%増額されました。しかし適切な維持・管理の前提になる道路や橋りょうの点検が全体の34%にとどまっており、対応が急がれます。
頻発する風水害・土砂災害や大規模地震・津波に対する防災・安全交付金として、同0・5%増の1兆1057億円を計上しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月21日付掲載


公共事業なら、道路・河川管理施設等の老朽化対策などに重点的にするべき。
元々、自分の会社で造るって言ってたリニア新幹線に財政投融資するなんて許されない。
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2017年度予算案の焦点④ 雇用 「働き方改革」唱えるが

2017-01-23 14:23:43 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点④ 雇用 「働き方改革」唱えるが

厚生労働省の2017年度予算案(一般会計)社会保障関係費のうち、雇用関連は433億円です。同省の社会保障費のわずか0・1%。16年度比では1271億円減、74・6%減の大幅な削減です。雇用保険の国庫負担率を大幅に引き下げたためです。
雇用保険の国庫負担率は、失業給付の場合、雇用保険法の本則で25%と定められています。現在「暫定措置」として13・75%に下げられていますが、さらに17年度から3年間、2・5%に引き下げます。16年3月、早期に本則に戻すよう国会で付帯決議があがったにもかかわらず、安倍晋三政権は国庫負担を大幅に削減します。
また、17年度予算案で労働保険特別会計は3兆5469億円(16年度比201億円増)です。



朝、職場へ向かう人たち=東京都内

事業主助成も 生涯派遣に道
予算案は、安倍政権が掲げる「働き方改革」に重点を置いています。「非正規雇用労働者の正社員転換・同一労働同一賃金の実現に向けた待遇改善の取り組み」に608億円(232億円増)を計上しました。事業主に対するキャリアアップ助成金の拡充が主な内容です。
その一方で、安倍政権は労働者派遣法を改悪し「生涯派遣」「正社員ゼロ」に道を開きました。また、「多様な働き方」の名で不安定な非正規雇用を拡大しています。「待遇改善」を言うのであれば、雇用のルール破壊をやめるべきです。
予算案は「多様な働き方の普及・拡大」に7・5億円(0・2億円増)をあてます。勤務地や職種を限定した「限定正社員」や短時間正社員などを増やすため、企業向けセミナーの開催、就業規則の作成支援などを行います。
「長時間労働の是正」には85億円(8億円増)を計上しました。月80時間を超える残業が疑われる事業所への監督強化や「三六協定」の「適切な締結」の徹底などに10億円をあてます。労働基準監督官は50人の純増です。
勤務間インターバルを導入する中小企業に助成金を出しますが、対象は就業規則の作成やタイムカードの改修など導入費用への補助金にすぎません。その一方、安倍政権は、残業代を払わずに長時間働かせることができるよう労働基準法の改悪を狙っています。




最賃引き上げ抜本策はなし
「最低賃金・賃金引上げ等の支援強化」として100億円(73億円増)を盛り込みました。人事評価を改善して2%以上賃上げした中小企業に50万円を助成する制度を新設するなど「環境整備」をめざします。ただ、助成は「経営力強化・生産性向上」への支援が中心です。「いますぐどこでも時給1000円以上の最賃」を求める労働者の要求にこたえるにはほど遠いものです。最賃引き上げには社会保険料の負担減免や賃金助成など思い切った中小企業支援が欠かせません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月20日付掲載


最低賃金引き上げのための中小企業支援も限られた予算になっている。
その一方で、「多様な働き方」の名で不安定な非正規雇用を拡大しています。
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2017年度予算案の焦点③ エネルギー・中小企業 除染費用に国費を投入

2017-01-22 10:56:13 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2017年度予算案の焦点③ エネルギー・中小企業 除染費用に国費を投入

2017年度のエネルギー関連予算案は、東京電力福島第1原発事故の国や東電の責任をあいまいにし、際限ない国民負担に道を開こうとしています。

核燃サイクル 破綻後も固執
除染費用は、東電が全額負担するという原則を投げ捨て、帰還困難区域の除染費用として309億円を盛り込みました。環境の原状回復費用は、汚染者が負担するという大原則に反するものです。
安倍政権が16年12月に策定した「福島復興指針」に基づき、原子力損害賠償・廃炉等支援機構への交付国債発行限度額を9兆円から13・5兆円に増額。17年度の支援機構への交付金を16年度比120億円増の470億円に増やします。
廃炉を決めた高速増殖炉「もんじゅ」の維持・管理に179億円を計上。フランスが実施している高速炉研究の委託研究費として52億円を盛り込み、破たんが明らかな核燃料サイクル構想にしがみついています。
途上国を中心に今後も原発需要が高まるとして、「海外におけるウラン探鉱支援事業費補助金」にも3億円を計上しています。
世界が脱化石燃料に進む中、「石油・天然ガス、石炭の権益確保を推進」するとして、16年度比44億円増の762億円を計上。メタンハイドレートの研究開発等委託費として新規に242億円を盛り込みました。「先進的な火力発電技術等の海外展開推進事業」にも新規に16・6億円を計上。地球温暖化対策に逆行する姿勢に、環境団体は批判を強めています。



廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」=福井県敦賀市



わずかに0・3% 史上最低更新
中小企業対策費として、16年度比0・8%減の1810億円を計上しました。一般歳出に占める割合はわずか0・3%と、史上最低を更新しています。
小規模事業者の命綱である日本政策金融公庫の低利融資や、信用保証協会を通じた債務保証など、資金繰り支援のための予算が16年度比で3・8%減の950億3000万円になりました。
東日本大震災で被災した中小企業への予算も減額されています。施設の復旧・整備にかかる費用のうち、75%を上限として国や県から補助を受けられる「グループ補助金」は、28%減の210億円になりました。
小規模事業者の経営支援や販路開拓などを手助けする小規模事業対策推進事業は、4・3%減の49億円に削られました。
経営者の高齢化などに対応するための事業引き継ぎ支援事業に4・6%増の61億円。取引の適正化を図るための対策事業として40%増の13億9000万円を計上しています。
14年には、日本企業の99%を占め、雇用の7割を支える小規模企業の「持続的発展」を位置付けた小規模企業振興基本法が制定されています。しかし、予算はその趣旨に見合う内容になっていません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年1月19日付掲載


廃炉が決まった高速増殖炉「もんじゅ」ですが、廃炉まで維持管理費が必要。なのに、新たな高速炉研究にも予算をつぎ込むとはどういう精神か?
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