きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

地球~イトカワ 宇宙60億キロの旅① みんなの知恵 実った挑戦

2011-05-05 23:05:18 | 科学だいすき
地球~イトカワ 宇宙60億キロの旅①
みんなの知恵 実った挑戦


 昨年6月、小惑星の砂を地球に持ち帰るという、人類初の快挙を成し遂げた小惑星探査機「はやぶさ」。7年間、60億キロの往復飛行は困難の連続でした。満身創疲になりながら地球に帰還したはやぶさの冒険は、人々の感動を呼びました。計画の責任者、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎教授に、はやぶさ探査を振り返りつつ、科学・技術や宇宙探査の意義について聞きました。
聞き手 中村秀生
小惑星探査機はやぶさ責任者 川口淳一郎さんに聞く


かわぐち・じゅんいちろう
1955年、青森県弘前市生まれ。工学博士。JAXA宇宙科学研究所教授。京都大学工学部機械工学科卒業、東京大学大学院工学研究科航空学専攻博士課程を修了。旧・文部省宇宙科学研究所(現JAXA)に入った後、ハレー彗星(すいせい)探査機、火星探査機など数々の宇宙探査ミッションにかかわり、はやぶさ計画では責任者を務めました。


~東日本大震災の被災者のみなさんに、困難を乗り越えたはやぶさ責任者として、励ましのメッセージを。
川口 はやぶさは一時、通信が途絶えたりエンジンが停止するなど、もうダメかと思うことがありました。でも、がまんして続けていたら何とか地球に帰って来ることができました。被災者の方々には想像を超えるようなご苦労があると思いますが、ぜひ、がんばっていただきたいです。



地球大気圏に突入し、流れ星のように発光する小惑星探査機「はやぶさ」(JAXA提供)


小惑星イトカワに着陸するはやぶさ」の想像図(池下章裕さん)


~原発事故では、英知の結集が求められています。研究者としてどうお考えですか。
宇宙開発と原発
川口
 今回、科学・技術が無力だと感じたことが二つあります。
 一つは、直前に前兆と思われる地震がありながら地震予知ができなかったりしと。もつ一つが原発の問題です。科学・技術の産物であり、自分たちで作ったものが制御できないむなしさを感じました。
 宇宙開発と原発は、似た構造的な問題を抱えています。どちらも外国からの技術導入で始まっているものが多く、リスクが大きいために実績のあるものが最優先にされます。2代目は1代目がなぜそうなっているのかを問わずに導入し、違うことをやる度胸が多分備わっていないのです。
 原発のことは断片的にしか知りませんが、(地震・津波によって機能しなくなった)電源やポンプの位置などに“なぜ”がなかったのか。コピー文化の悲しさを感じました。
 宇宙開発は、その場に行って修理できないことを前提に考えられていますが、原発がそうではないことに驚きました。宇宙開発の考え方をもってくれば、より安全なものがつくれるはずです。分野横断的な取り組みなど、科学・技術が役に立っていくべきです。

~はやぶさが、オーストラリア上空で燃え尽きてから、1年近くたちます。いま振り返っての気持ちを改めて聞かせてください。
太陽系の起源は
川口
 燃え尽きたときの映像は、私の中で止まったままですね。1年たったとはとても思えない。ダメだと思った後に奇跡的に復旧するなど、最後までハラハラさせられましたが、いろんな機能があって飛行を完遂できました。はやぶさは良い子であり、指令をすべて実行してくれた良きパートナーでした。




はやぶさが地球に持ち帰った、小惑星イトカワの砂粒の電子顕微鏡写真。サイズは0.1ミリより大きめ(JAXA提供)

~小惑星イトカワの砂の本格分析はこれからです。砂粒にどんな価値がありますか。
川口 私たちが手にしたのは、出身地がわかっている試料です。初めて、限石との関係や地球の起源について確かな情報が見え始めました。時問をかけて分析することで、太陽系の起源や年齢がわかると期待しています。
 私にとっても、人生の中で最も貴重なものの一つです。砂粒でしかありませんが、かけがえないものです。

~探査の成功に導いたチームワークとチャレンジ精神についてお聞かせください。
川ロ プロジェクトの設計・構想というのは、いろんな分野の人がそれぞれに挑戦するというブレンド(調合)作品なんですね。自分の分野で最善を尽くす意欲が最初から全員に備わっています。
 それと、プロジェクトをつくりあげるのは自分たちだという意識です。他から指示されるのではなく、設計や運用の会議で自分たちの意見が何かを決めることに結びつくと。そういう意識があればこそ、積極的な提案が出てくると思うのです。

~危機に瀕して、いろんなアイデアが出てきましたね。
川ロ イトカワヘの着陸は、あらかじめ考えた方法ではできなかった。それで臨機応変に着陸や小惑星表面への誘導の方法をみんなで考えたのです。光の圧力を使って探査機の姿勢を制御することなど、言いだせばきりがないほど、いろんな工夫がありました。
(つづく)

「はやぶさ」の軌跡
 小惑星の岩石試料を地球に持ち帰るという目的を掲げて、JAXAが2003年5月に鹿児島から打ち上げた宇宙探査機。2005年に小惑星イトカワに到達し、近傍からの科学観測、2度の離着陸に成功しました。ところが、その直後に燃料漏れで姿勢が乱れ、地球との通信が途絶。奇跡的に復旧したものの、地球帰還は3年延期。途中でエンジン停止などの困難を乗り越えて、地球への帰還を遂げました。
 2010年6月に地球大気圏に突入し、着陸カプセルがオーストラリアに軟着陸。母船は燃え尽きました。同年n月には、カプセル内の微粒子がイトカワの物質であると判明し、人類は初めて小惑星の物質を直接手にしました。
 小惑星は、太陽系が誕生したころの様子をよくとどめており太陽系の化石と呼ばれています。微粒子は今後、本格分析にかけられ、太陽系の過去の環境や惑星の成り立ちなどを解き明かすことが期待されています。
現在、イトカワとは別のタイプの小惑星をめざす「はやぶさ2」計画が進行中です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年5月5日付掲載



はやぶさ2に期待がかかりますね!わくわくします。

それにしても、原発事故で同じ科学者として、「宇宙開発は、その場に行って修理できないことを前提に考えられていますが、原発がそうではないことに驚きました」と語っているように、安全対策は万全ではなかったのですね。
原発は、宇宙ほどではないにしても、「近づけない」ことに対応できるスペックはもともとなかったのですからね。
 
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「原発」収束なしに復興なし 地元の産業と住民の「こころ」を元に戻して!

2011-05-02 23:06:07 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
「原発」収束なしに復興なし 地元の産業と住民の「こころ」を元に戻して!

危機が進行中の原発事故、長びく避難生活…被災地は未曽有の災害からのたて直しに懸命です。市内が危険度で三つの区域に分割された福島県の南相馬市の桜井勝延市長に、実情と思いを聞きました 田中倫夫記者

福島 南相馬の桜井市長が語る



 福島第1原発の事故で、政府から最初に「屋内退避」「自主避難」地域と定められたことで、外からの物資が一時期まったく入らなくなりました。インターネットの動画サイト(YouTube)でも窮状を訴えて、大きな支援を国の内外から受け、海外マスコミ数十社からも取材を受けました。
 震災前に7万人いた市民は、避難先からかなり戻ってきましたが、まだ4万から4万5千人です。就学児童は震災前の30%にとどまっています。

地域で格差を生じさせない
 先日、政府は新たに原発から20キロ圏を「警戒区域」とし、「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」を定めました。このために、南相馬市は三つの区域に分割されてしまいました。東電の仮払金や、義援金の受取額にも、地域で差が出ることになってしまいました。
 この線引きは、私たちがしたわけではありません。市民は地震・津波や原発の恐怖を等しく受けています。本来ならば、補償も義援金も、全市民が等しく得て当然のものです。地域で格差を生じさせないように市が補てんすることはやむを得ないと思います。放射線量も一時期から比べると減っているのに、なぜこういうことをしなくてはいけないのか、納得できません。
政府は「復興構想会議」の会合を進めていますが、そのためには、福島第-原発の事故が収束するということが大前提です。原発事故の収束なしに「復興」はあり得ません。
 市内のある企業が、全体の7、8割を市外に移転するといってきました。こういう会社は何社かあります。やはり原発があるからです。
 「復興」という言葉に逆行しているのが現実なんです。東電も国も、この現実を見てほしい。復興構想会議のみなさんも、ここまで来て、この現実を見ていただきたい。
 問題は震災でずたずたになった生産基盤と市民の「こころ」を元にもどさなくてはいけないということです。津波で親やきょうだいをなくした子どもたちや、仕事を全部なくした人たちの「こころ」をどう元に戻すのか。そこまで本当にケアできないと、東京電力の責任を果たしたことにはならないと考えています。





 「復興」で大事なごとは、主役は被災した地元の住民だということです。よそから入ってきて、ブルドーザーでガンガンやって、コンクリートで建物を建てたところで、そのメーンの仕事が大手ゼネコンとかにもっていかれたのでは何にもなりません。
 住民は避難したままそれを見ていて、できたものに入ることになれば、「復興」などではないと思います。
どこの地域もそれぞれに特色があり、生活や文化に長い歴史があります。どういう復興をするのかは、それぞれの地域にまかせたらどうかと思うんです。そうすることで、住民の働くことに対する喜びとか誇りが出てくるのではないですか。
 被災者一人ひとりが、自分が社会的にも地域的にも認められているという実感がないと、本当の意味では、復興にはつながっていかないと思います。
 復興構想会議で財源の問題が出ています。地震、津波被害の復旧は、国が「激甚災害」の指定をして、国家財政を使うのは当然でしょう。しかし、原発事故は、まず東京電力が、財政的にも責任を負うべきです。東京電力は「お見舞い」ではなくて、当然支払うべき対価を地域に支払い続けるべきだと思います。

消費税増税の主張は論外
 「復興」財源に消費税増税だというのは、論外です。日本の大企業はバブル期以上のもうけを出しています。全体的に貿易は毎年10兆円以上経常黒字を続けている。その金がどこに回っているのか。貧困化が進んでいるのは地方です。いままで潤沢に稼いできた黒字を、いまこそ地方のための事業として、景気対策としてはき出すべきで、それは大企業にも返ってくるものです。
 われわれは千年に1度の災害にあい、全世界から注目を受けています。でも逆に考えると、震災復興と原発からの脱却という社会づくりに、世界の知恵と資金、資材を引き込むことができるのではないか。世界に目を向けたそういう「復興」ができないものかと考えています。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年5月1日・8日合併号



NHKスペシャルなどにも登場している桜井市長です。
本当に、「復興」で大事なのは地元の意思で青写真を描いて創って行くものです。ゼネコンがよそからやってきてガンガンやって造ったって、仕事は地元に来ないし、地元の産業に合った復興はできません。
財源論でも、バブル期以上の黒字をだしている大企業に「地方のための事業」「景気対策」としてはき出させるって考えは共感します。

これからも、ネットやマスコミなどでもガンガン発信していって欲しいと思います。

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