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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

一国で止めても収束ではない ワクチンないと世界のどこかで再燃

2020-05-16 08:50:29 | 医療・福祉・介護問題について
一国で止めても収束ではない ワクチンないと世界のどこかで再燃
感染情報共有、渡航制限 国際協調が不可欠

WHOシニアアドバイザー 新藤奈邦子さんに聞く

新型コロナウイルスをめぐる世界と日本の状況をどうみるのかー。新型インフルエンザやエボラ出血熱など感染症の危機管理の最前線に立ってきた世界保健機関(WHO)シニアアドバイザーの進藤奈邦子(しんどう・なほこ)さんに聞きました。
宇野龍彦記者




新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がりました。
新しいウイルスなので、感染の有無を調べる診断薬も一からつくっていかなければなりませんでした。またアジア以外の諸国では当初十分な危機感がなく、多数の死者が出て、世界で都市封鎖(ロックダウン)や外出制限に踏み切らなければならなくなりました。

ウイルス遺伝子変化していない
新型コロナの遺伝子を調べている研究者によると、このウイルスは遺伝子がほとんど変化せずに人から人に広がっています。
ウイルスの遺伝子が変化する主な理由は、ウイルスがみずからの形を少しずつ変えて、「強敵」である人間の免疫をくぐり抜けながら生き延びていかなければならないためです。
新型コロナの遺伝子が変わらないということは、人々の中にまだ免疫がないということです。このウイルスにとって人は、けっして「強敵」ではないのです。そして、世界が国境を超えて深く結びついた現代だからこそ、ウイルスは短期間に世界中に広がりました。もともと動物由来と考えられている新型コロナですが、今のままで人から人に効率よくうつることができるので、「居心地のよい世界」だと言えます。
このウイルスとの付き合いは、長期にわたると考えなければならないでしょう。新型コロナ後の世界は、「もう元の世界には戻れない。すでに始まったことが新しい日常になっていく」という意味で、「新常態」になったと思います。



新藤さん(ジュネーブ大学病院で)

いまのところ日本での1日の患者確認数は多くても数百人にとどまっています。一方、イタリアなどでは、多いときには1日に5千~6千人もの感染が確認されていました。なぜイタリアで、これほどたくさんの感染者が出てしまったのか。関係者に聞くと「とにかく人の動きを止めることができなかった」と言います。
イタリアからヨーロッパ中にウイルスを拡散したきっかけは、2月半ばに開かれた「ミラノファッション・ウイーク」という国際的なイベントであるといわれています。非常に活動的な人たちが多数集まるイベントでした。各地の医師は、帰国者が風邪のような症状を呈していても、新型コロナに感染しているとは思いませんでした。これらの人たちは中国と直接の関連がなかったし、通常の風邪やインフルエンザも流行していたからです。
今後、感染拡大が収まってきた国々では、移動制限や外出規制を徐々に緩和していくことになります。しかしいったん国の中で感染拡大の火を止めても、それで収束とはなりません。
たとえば、シンガポールや香港では、一度は感染拡大が収まりました。ところが、海外から帰国した人たちがウイルスを持ち込んで、再び火が燃え上がりました。
いまのところ、子どもは新型コロナに感染しても重症化しにくいようです。子どもが感染して抗体を持ち、成長につれ何度か感染して免疫を強めていけば、おとなになった時には新型コロナは何でもない病気になっているかもしれません。これには何十年もかかります。
ですから、このウイルスの免疫を獲得できるワクチンができないかぎり、今後も流行は再燃すると考えなければなりません。
世界のどこかで再燃する新型コロナの流行を抑え込むには、国際協調が欠かせません。
国際的な連携を強め、互いに情報の透明性を高めていって、ある都市で流行が再燃すれば流行地域としてWHOに届け、WHOが世界中に周知する。流行が収まるまで、その地域に不要不急の渡航は避けるなどの対策を取って、世界的流行を起こさないようにすることが重要になってきます。

地域や職場での周りの支援必要
地域でも学校でも職場でも、個人が感染を明らかにしたとき、周囲がそれを受け入れ、感染者を守ってあげなければいけません。このウイルスは、コミュニティーのサポートがないと克服できません。新型コロナへの対応を通じて地域や学校や職場が変わり、働き方も変わることになるでしょう。
日本のみなさんは衛生観念がしっかりしています。個人が自覚を持って行動して、みんなで協力すれば必ず乗り越えられると思います。

「しんぶん赤旗」日曜版 2020年5月17日付掲載


新型コロナウイルス。感染で広がっていく中でも、遺伝子が変化していない。
人々の中にまだ免疫がなくって、ウイルスにとって人間は「居心地の良い世界」。
これから、長期的な取り組みが求められる。ワクチンができるまで、感染情報の世界的共有が大事。

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