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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

危機のフランス公共医療② 体制強化へ議論深めて

2022-03-12 07:07:48 | 国際政治
危機のフランス公共医療② 体制強化へ議論深めて
病院の中庭に、ウイルス研究所で働くアドリアンさん(25)の姿がありました。フランス各地の公立病院で毎週金曜日に行われる「1分間の黙とう」に参加します。「文字通り死につつある公共病院を追悼する。マスクや手袋のような基本的な、装備さえ不足し、集中して仕事ができない現状を変えたい」
この運動は今年1月から、公立病院の有志でつくる「病院間共闘組織」が呼び掛けて始まりました。予算拡充や人材確保を求め、医師や看護師が病院のホールや中庭で黙とうします。4月の大統領選まで継続し、医療体制強化に向けた議論が深まるよう促しています。
参加者が読み上げる声明には、こう書かれています。「医療従事者の肉体・精神的な努力だけではもう不十分だ。すべての人が利用可能な公立病院は、劇的な変化がなければ消滅する」



北西部アブランシュの病院で黙とうする医療従事者ら(「病院間共闘組織」のツイッターから)

病床10万超削減
パリ北部ビシャ病院に勤める労働総同盟(CGT)のシモン・シアロニー書記(59)によると、フランスでは1993~2018年に、約10万3000の病床が削減されました。医師・看護師の減少が、病床削減に拍車をかけたといいます。
リストラや専門部門の統廃合が相次いだほか、医学生の定員を限定したことで、医療従事者の減少が加速しました。パリ近郊ですら専門病院がない状態で、3人に1人が医療を受けることを諦めています。
シアロニー氏は「治療では不安を抱えた患者の話を聞き、人間的な関係を築くことが大切なのに、労働条件の悪化で不可能になってきている」と強調しました。
17年に誕生したマクロン政権は、富裕税廃止や法人税減税で富裕層や大企業を優遇する一方、公共医療の弱体化を進めました。そこに、新型コロナ禍が直撃しました。
呼吸器系に強いビシャ病院には患者が殺到し、治療室に入る前に息を引き取る患者が続出しました。防護服やマスクが足りず医師や看護師も多数感染。うつ病になって辞める人もいたといいます。
医療体制強化を求める声が高まる中、マクロン氏は20年7月14日の革命記念日に医療従事者を招待し、謝意を示しました。

「国の役割」は…
しかし、シアロニー氏は「ほんの少しの待遇改善と感謝の言葉だけだ」と政府の対応を批判します。「大企業や富裕層がしっかり税金を払い、それが公共医療に回れば状況はいくらか改善したはず。公共医療を守り、万人への医療アクセスを保障することこそが、国の役割だ」
シアロニー氏は大統領選に向け、公共医療の強化がより大きな争点になるよう望んでいます。1分間の黙とうにかける思いをこう語りました。
「私たちの使命は、人種や立場にかかわらず、万人の治療をすること。将来に向けて公共医療を充実させることは、社会にとってもプラスになると訴えていきたい」
(おわり)(パリ=桑野白馬)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月11日付掲載


フランスでも、日本の地域医療構想の様に病床削減がやられているのですね。
マクロン大統領が医療従事者を慰労したとしても、やってる感だけだはダメだよね。
公共医療を守り、万人への医療アクセスを保障することこそが、国の役割です。

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