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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

北原白秋と山田耕筰の友情物語 映画「この道」 自由に表現できない時代への危惧 監督・佐々部清さん

2019-01-13 13:36:46 | 映画について
北原白秋と山田耕筰の友情物語 映画「この道」 自由に表現できない時代への危惧 監督・佐々部清さん

童謡が生まれて100年。佐々部清監督が新作映画「この道」を撮りました。数々の名曲を生んだ詩人・北原白秋と音楽家・山田耕筰の友情物語です。フィクションを交えながら「偉人伝ではない音楽と詩と人間のドラマ」に仕上げました。
板倉三枝記者



撮影・橋爪拓治記者

白秋役は大森南朋さん。耕筰役はEXILEのAKIRAさん。「ハチャメチャな男とまっすぐな男の対比でやれば面白いと思いました」と佐々部さんは語ります。
時代は明治末期から昭和初期。白秋は才能に恵まれながらも、自由奔放で恋多い生活を送っていました。そこに、『赤い鳥』を創刊(1918年)した鈴木三重吉から童謡を書くことを勧められます。三重吉の仲介で、西洋音楽を学んだ耕筰と出会った白秋は、関東大震災を機に、二人三脚で「からたちの花」や「この道」などをつくります。
しかし日本は戦争へと大きくかじを切り、2人は時流に合わせた音楽づくりを余儀なくされます。



数々の名曲を生んだ(左から)北原白秋(大森南朋)と山田耕筰(AKIRA)
1月11日から全国で公開。105分

大戦に向かう中、時流に合わせた音楽余儀なくされる
「2人が生きたのは大きな震災があり、日本が大戦に向かう時代でした。この数年、同じような状況を迎えている気がします」
印象的な場面があります。軍への協力を拒む白秋に家族が節を曲げるよう詰め寄るのです。一方、反戦派から戦争擁護派に転じた与謝野晶子でさえ「日本はどこに向かおうとしているのか」と治安維持法への懸念を口にします。国策協力を主導した耕筰が、軍服姿で白秋に「自由に書ける時が来たらまた一緒に歌をつくろう」と話す場面は、現代への警告のようにも思えます。
「6年前、秘密保護法案に日本映画監督協会が反対声明をあげました。自由に表現できない時代がくるのではないかと。
万人がクスクス笑ってポロっと泣いてくれる映画の監督でありつつ、そういう危惧も伝えたい。

戦争伝える
自分の映画で心がけていることがあります。「映画は何を撮るかではなく、何のために撮るかだ」。そう教えてくれたのは高倉健さん。高倉さん主演の特攻映画「ホタル」(降旗康男監督)の助監督をしていた時でした。
その後、山田洋次さんの勧めで人間魚雷を扱った「出口のない海」(脚本・山田洋次)を監督。以来、「夕凪の街 桜の国」など、映画で戦争の悲劇を伝えることも大切なことだと思っています。
「僕らは戦争を体験していないけれど、戦争を知らない世代ではない。
僕には山田さんや降旗さん、高倉健さんから受け継いだバトンを若い助監督たちにつなぐ責任がある。この映画はエンターテインメントですが、どこかに自分の宿題を入れたかった。脚本家の坂口理子さんに相談しながら、僕の味付けでまぶしてもらいました」

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年1月13日付掲載


戦後、白秋没後10周年の記念コンサートで山田耕筰が「この道」の指揮。
取材する記者に、最初は白秋の事を語ることを固辞していたが…。
語り終わった最後に「一緒に歌を作ろうと約束したのに先に死んでしまいやがって」と泣き崩れる場面。


戦争と表現の自由が密接にかかわっていることが、歯に衣を着せずにしっかりと語られています。
良い映画です。

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