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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

この人に聞きたい 作家・落合恵子さん 第4回 子どもの本専門店「クレヨンハウス」開店 幼いころから「ないなら作る」

2020-12-20 07:32:24 | 政治・社会問題について
この人に聞きたい 作家・落合恵子さん 第4回 子どもの本専門店「クレヨンハウス」開店 幼いころから「ないなら作る」
〈子どもと女性の本の専門店・クレヨンハウスは今年で45周年。東京店と大阪店で計100人余りのスタッフがいます〉
新しいスタッフの名前を間違えないよう、気を遣っています。めっきり記憶力がおとろえていますので。
スタッフを抱えているというよりは、私がスタッフに支えられている感じです。組織が苦手な私が会社をつくり、45年も続いたなんて自分でも不思議です。ずっと「今」に向かい合ってきたので私には、20年くらいしかたってない感じ。進歩してないのかな。(笑い)
一匹おおかみが好きな私は、クレヨンハウスがなかったらどこへ飛んでいったか分かりません。クレヨンハウスが日々の重しになっていることは確かです。
おかげで、スタッフの向こうにいる家族から見た現実へと、視野が広がったと思います。私には子どもはいませんが、子育ての大変さや、出産後の職場復帰の難しさなども実感でき、教わることがたくさんあります。



クレヨンハウスの子どもの本売り場で、自らデザインした服「Ms. Crayonhouse」を着て(撮影・神ノ川智早)

自分の好きな本
〈子どもの本の専門店の発想の原点は幼少期の暮らしから〉
戦後の何もない時代に生まれ育ちました。それで、子どものころから「なければ作る」。遊び道具も、板切れとかハギレで工夫して遊んだりしました。
おとなになっても、ほしいものがなければ作るという考えが身にしみています。クレヨンハウスもそうでした。子どもの本の専門店が、「ないなら作る」なんです。
〈クレヨンハウスでは出版事業も展開。自分がほれ込んだ作品、どうしても出版したい海外の本などは、採算度外視…では困るのですが、…版権をとります〉
営利事業だったら、もっと安定した仕事を選んだでしょう。
最近、翻訳したのはドイツの実話をもとにした『あの湖のあの家におきたこと』という絵本です。ナチスの時代を知る家を主人公にした作品です。分断がすすむ世界で、いまこそ読んでほしくて翻訳しました。
スタッフもよく勉強しています。クレヨンハウスでは返品しないシステムなので、仕入れの選書は真剣です。毎月送られてくるたくさんの絵本のなかからどれを入荷したいか、スタッフが会議で話し合って決めています。責任は重いけれど、自分が好きな本をしっかりとお客様の手に届ける。新しい本のことは、私よりスタッフがよく知っているでしょう。
〈返品しない書店は例外的存在です〉
他の書店を見ていて感じたのは、書店員が本を読んでいないということです。問い合わせても、内容を知らない。書店そのものが大変な時代ですが、特に子どもの書店には、タイトルを知らないとか、作家の名前を忘れたというお客さんが多いのです。「ウサギが出て来てね、ウサギが山に行って…」なんて(笑い)。それにこたえるためには内容を覚えていなければならない。だから、スタッフも経営的にもハードだけど、返品はしないと決めたんです。

お試しも飲食も
〈近年ようやく普及した、書店内のイスや机などの座り読みのスペースも45年前の開店当初から設置しました〉
書店はこういうものだという思い込みにとらわれず、自分で風穴を開けていくしかないですから。当初は座り読みでは、絵本が汚れるのでは、という声もありました。でも、子どもは伝えることで本は汚しません。むしろおとなの方が雑だったり。
私は昔から本を買った後、書店内でコーヒーを飲むのが好きなので、飲食スペースも実現させました。先日は、中学のころからここに通い、ここでプロポーズして、子どもがこんなに大きくなりましたというお客さまから手紙をいただきました。とてもうれしかった。
私には、植物も音楽も絵本も元気の素(もと)。こんな危うい時代に、元気の素は必要ですね。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日曜版 2020年12月13日付掲載


なければつくると始めた「クレヨンハウス」
「一匹おおかみが好きな私は、クレヨンハウスがなかったらどこへ飛んでいったか分かりません」と落合さん。
「自分が好きな本をしっかりとお客様の手に届ける」
この姿勢が良いですね。

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