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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

廃止が決まった「教員免許更新制」 安倍教育「改革」の大失敗

2021-09-22 07:12:24 | 政治・社会問題について
廃止が決まった「教員免許更新制」 安倍教育「改革」の大失敗
山田稔
やまだ・みのる 滋賀県民主教育研究所副理事長。著書に『教育のあり方を問う』

「教員免許更新制」が、早ければ2023年度から廃止される。制度の発足前からその不当性を批判し、「一日も早く廃止すべきだ」と主張してきた筆者は、感無量である。この機会に、改めて、制度の問題点と経過を整理しておきたい。

教師の多忙化いっそう拍車
教員免許更新制は、幼稚園から小中高までの教員すべて(約120万人)が、10年に1度、大学などで30時間の更新講習を受け、試験に合格した上で、都道府県教育委員会に申請手続きをしなければ免許が失効するというものだ。受講の申し込みからその後の手続き、受講料その他の諸費用まで、すべて自己責任、自弁である。
第1次安倍内閣が教育基本法を改悪した後、教育「改革」の目玉として、2009年度から実施した。しかし、10年ごとに1回、30時間の更新講習を受ければ「教員の資質能力が抜本的に向上する」などと信じていた教育関係者は一人もいないだろう。
結果はどうか。教師の「多忙化」にいっそう拍車がかかった。更新講習を受け、単位は取得したが教委への申請手続きを忘れたために資格を失う人も出てきた。更新講習を受講しないまま退職した人も多く、産休教員等の代替がなかなか見つからない。教員志望者の減少さえ招いてきた。矛盾が顕在化し、現場教員だけでなく、管理職や教委関係者からも廃止を求める声が高まり、ついに廃止せざるを得なくなった。
安倍教育「改革」の大失敗である。

子どもたちにしわ寄せいく
免許更新制の実施上の矛盾と問題点として、私は次の諸点を指摘してきた。
①毎年、約12万人の該当者が無事に受講できる制度的な保障が全くない(文科省や地教委は実施について何の義務も責任も負っていない)②受講者の物理的・精神的負担が極めて大きく、子どもたちにもしわ寄せがいく③主に夏期休暇中に講座を開講する大学側の負担も大きい④文科省によって、教師の「洗脳」がすすめられるおそれがある⑤免許を広く、かつ柔軟に授与する「特別免許状」活用の方針とも相いれない。
さらに、私は免許更新制の不当性と反教育性として、次の3点を指摘したい。①「教員の身分は尊重される」との教育基本法の大原則を踏みにじっている②「資質向上」のためであれば、既にいろいろな研修制度がある。また、一人ひとりが、自主的・自発的に、日々、研修(研究と修養)に努めている。(多忙化で思うに任せないのが現実だが)③どの職業であっても、経験を積むに従って力量が伸びる。従って免許はほとんどが終身制である。教員免許だけ10年ごとに1回、「更新」させる理由も根拠も全くない。

不当な政治的圧力があった
導入に際してさらに見過ごせないのは、免許更新制が政治的圧力によって不当に導入されたことである。
免許更新制はもともと、2000年12月の教育改革国民会議が提起した。これを受けて文科相は中央教育審議会に「免許更新制の可能性」の検討を求めた。中教審は02年、いくつかの問題点を指摘し導入見送りを答申。代わりに「10年経験者研修」の新設を提起した。
10年経験者研修は03年度から制度化され、免許更新制導入後も存続した。初任者研修、中堅教員研修などの各種「任命研修」も継続している。免許更新制が、「屋上屋を架す」ものであることは明らかである。
04年10月、河村健夫文科相は教員免許制度の導入について再度、中教審に諮問した。同じ案件の再諮問は極めて異例である。中教審は05年、3年前に自分たちが指摘した問題点の解明はしないまま「導入の方向」で答申。07年に具体的な制度設計を答申した。そこでは、教員の資質・能力は「本来的に…更新が図られるべき性格を有して」いるとしている。
終身制の教員免許制度は1900(明治33)年以来続いてきたが、その間、国は本来的に必要なことをやってこなかったという暴論である。まさに、教育行政が完全に政治の下僕と堕していたと言わざるを得ない。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月21日付掲載


既にいろいろな研修制度がある。また、一人ひとりが、自主的・自発的に、日々、研修(研究と修養)に努めている。(多忙化で思うに任せないのが現実だが)
その上に、30時間もの講習と試験をうける必要があるのか?
免許更新制が政治的圧力によって不当に導入されたこと。10年経験者研修は03年度から制度化され、免許更新制導入後も存続した。初任者研修、中堅教員研修などの各種「任命研修」も継続している。免許更新制が、「屋上屋を架す」ものであることは明らか。必要のないものだ。

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