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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

エネルギーの未来 政府計画案を読む② 原発27基の稼働ねらう

2021-09-11 07:09:57 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
エネルギーの未来 政府計画案を読む② 原発27基の稼働ねらう
菅義偉政権のエネルギー基本計画案は、原発について「実用段階にある脱炭素技術」「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なべースロード電源」と位置づけ、2030年度の電源構成比を現行計画と同じ20~22%としました。さらに50年を展望して「必要な規模を持続的に活用する」と宣言しました。新型原発の開発を進めることも書かれています。
福島原発事故後、21基の原発が廃炉となり、27基(建設中2基含む)が原子力規制委員会に新規制基準への適合審査を申請しました。これまでに10基が再稼働しましたが、電源構成では約6%(19年度)です。政府案が示す20~22%は、審査中のものも含めて27基すべてをフル稼働させることに椙当します。
この高い目標を実現するために、政府案は再稼働への取り組み強化を掲げています。立地自治体などの理解を得るため、国が前面に立つとともに、規制委員会の審査などへの対策として産業界連携で「再稼働加速タスクフォース」を立ち上げます。定期検査の検査期間短縮や検査間隔延長など稼働率引き上げの取り組みも進めます。
しかし、27基のうち12基は30年までに原則40年という法定運転期間を超過します。すでに4基(高浜1号・2号、美浜3号、東海第2)が60年運転への延長を許可されていますが、8基は電力会社の延長申請もない段階です。政府案が示す電源構成は、電力会社の経営判断を棚上げし、国民世論を無視するものです。



原発ゼロ基本法の制定を求めてパレードする人たち=4月4日、東京都中央区

●また安全神話
政府案には、新増設に関する明文での記述はありませんが、審議会では、産業界などが原発の新増設を書き込むよう強く求めました。自民党の総合エネルギー戦略調査会事務局長の山際大志郎衆院議員・元経産副大臣は、「必要な規模を持続的に活用」という表現で「原子力はゼロにならないことを今回宣言した」と語り、運転期間上限の廃止にも言及しています。(「電気新聞」7月28日付)
「必要な規模を持続的に活用」という表現には、原発の新増設、運転期間上限の廃止など、原発をいつまでも使い続ける狙いが込められています。
政府案は、「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた」原発の稼働を進めるとしています。安倍晋三前政権以来の決まり文句です。炉心溶融物保持装置(コアキャッチャー)など炉心溶融が生じた場合の対応設備もなく、事故時の避難計画が運転要件にもなっていない日本の基準は、欧米より「厳しい」とはとても言えません。規制基準適合を「安全」のお墨付きとするのは、新たな「安全神話」にほかなりません。

●ゼロへの潮流
経済の実態をみれば、原発はビジネスとして成り立たなくなっています。
東芝が米原発メーカーを買収して大赤字を出し、日本企業の原発輸出計画はすべて失敗しました。経済産業省の新しいコスト計算では、原発は太陽光発電や風力発電より高コスト(新設で比較)となりました。
既設原発も、規制基準対応の追加コストが5・5兆円(「東京」3月3日付)となるなど高コスト電源となっています。ちなみに、福島事故前の54基の総建設費は13兆円です。(「赤旗」日曜版11年9月18日号)
福島第1原発事故は、原発が「実用段階にある」技術などではないこと、ひとたび重大事故を起こせば暮らし、生業(なりわい)、文化など地域社会を破壊することを明らかにしました。今、原発は電源としても補助的役割しか担っていません。原発から撤退し、原発ゼロの日本をめざすべきです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月9日付掲載


菅義偉政権のエネルギー基本計画案は、原発について「実用段階にある脱炭素技術」「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なべースロード電源」と位置づけ、2030年度の電源構成比を現行計画と同じ20~22%としました。さらに50年を展望して「必要な規模を持続的に活用する」と宣言しました。新型原発の開発を進めることも。
しかし、現時点でも原発は電力供給でも補助的な担い手でしかありません。処分の仕方も保存方法も確立していない放射性廃棄物を生み出す原発から一刻も早く撤退し、省エネルギーと再生可能エネルギーで希望ある未来へ向かいましょう。
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