日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

村上春樹編・訳「セロニアス・モンク」のいた風景」

2014-10-09 07:01:51 | 読書
村上春樹が編集・翻訳した「セロニアス・モンクのいた風景」を読みました。



この本は、ジャスミュージシャンのセロニアス・モンクについて村上春樹が文章を書き、海外のジャズ評論家、プロデューサーなどセロニアス・モンクと親交のあった人達が書いた文章を村上春樹が翻訳して集めたアンソロジーです。



セロニアス・モンクはジャズ界に燦然と輝く巨人です。ピアニストで作曲家としても活躍しました。「ラウンド・ミッドナイト」「ストレート・ノーチェイサー」などの名曲は彼の作品です。彼は奇行の人としても有名でした。ステージで突然立ち上がってその辺を歩き回ったり、1時間の演奏でドラムに45分のソロを取らせたり、彼の逸話は枚挙にいとまがありません。



そんなモンクのあれこれを村上春樹は拾い集めて本にしました。でも、これってかなりすごいことだと思います。モンクはもちろんジャズの歴史では巨人ですが、一般的にそれほど認知されているわけではありません。そのモンクに関するエピソードだけで本にするというのは、村上春樹だからこそ出来たことだと思います。彼が新潮社の編集者にこの企画を持ち込んだときに、編集者は「えっ、モンクですか?」と文句の一つも言いたかったことと思います。(すみません、おやじギャグで)



僕はジャズ批評の出している定本シリーズのセロニアス・モンクの号を持っていて、読んでぶっとんだ記憶があります。ジャズ界には奇人変人が掃いて捨てるほどいますが、彼はその中でも一番です。スティーブ・ジョブズの伝記を読んだときも思いましたが、天才たちのとんでもない奇行の数々を読むのは楽しいですが、つくづく近くにいたら迷惑だろうと思います。

村上春樹はこの本の表紙を長らくコンビを組んできた安西水丸さんにお願いしていたそうです。ところが安西さんが帰らぬ人となってしまって、彼はジャズ本を一緒に作ってきた和田誠さんにお願いすることにしました。この表紙のイラストは、安西さんがニューヨークでモンクのライブを見に行ったときに、モンクからタバコをくれと言われて、持っていたハイライトを一本渡したときのものです。奇しくもハイライトのパッケージを担当したのが和田誠さんです。裏表紙は水丸画伯自身のイラストが使われていました。
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