黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学(筑摩書房)

2010-03-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
小学一年生になった元気な女の子・かのこ。同じクラスのすずちゃんの存在が気になるけれど、何故か彼女に避けられて、なかなか話しかけることができない。
そんなある日、クラス内でどれだけ難しい言葉を知っているかという競争が、男女対抗で始まり、男子のたくくんに対し、女子代表になっていたのが、すずちゃん。彼女が行き詰ったところで、“いかんせん”と助け舟を出したかのこ。そんなこんなで、いつの間にか“ふんけー(刎頚)の友”となった二人は、かけがえのない日々を過ごす。
一方、半年前のゲリラ豪雨の日、ふらりと現れ、かのこの家の猫になったアカトラの雌猫。
その毛色からマドレーヌと名付けられた彼女は、外国語が話せるという。猫にとっての外国語とは、犬語。しかしすべての犬と話せるわけではなく、かのこの家の老犬・玄三郎限定。種族は違えど、彼らは夫婦なのだった。近所の猫たちの集会に加えてもらうかわりに、その能力を示したマドレーヌは仲間入り。その物腰からマドレーヌ夫人と呼ばれる。
老いた玄三郎は、ドッグフードを食べるのもひと苦労。そんな彼に夫人は今まで食べた中で、いちばん美味しかったものを訊ねると、おばあさんからもらった赤身の生肉だという。
その後、玄三郎から猫股の話を聞いた夫人が、寝て起きると尻尾が二本に。おまけにたまたま行き会った「かとりさん」に化けていて……

小学一年生のかのこちゃんとすずちゃんの日常と、猫のマドレーヌの周辺のちょっとファンタジーなお話がそれぞれの視点で語られています。
かのこちゃんたちの微笑ましいエピソードの数々にほのぼのしつつも、ちょっと切ない別れのお話で、今までの万城目作品とはずいぶん違う雰囲気でしたが、とても素敵でした♪
ちなみに、かのこちゃんの名前の由来は、お父さんが「鹿に言われたから」名付けられたらしいのですが…あの人でしょうか(笑)。

<10/3/24>