黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『Invitation』江國香織ほか(文藝春秋)

2010-03-20 | 読了本(小説、エッセイ等)
夫・準之介は二十年連れ添った房子を捨てて、他の女に走り、家を出た。
突然現れた鉢植えの行商を断りきれず、おまけにいわれのない中傷を受けた彼女は、今日が、“何もかもうまくいかない日”だと確信する。
しかし彼女にはその日、準之介の弁護士との話し合いと、義妹・遙と食事するという約束が入っていた。しかたなく彼らに会うが……江國香織『蛾』、
“巨人”が来日することになった。しかし、巨人研究の第一人者のW先生が食中毒になり、弟子の“私”が通訳を引き受けることに。おまけに英語を話せるという巨人の通訳も都合が悪くなり、心もとない。
巨人はなぜかはっきりと話さず、言葉が聞き取れないことから、通訳に四苦八苦する私。しかし彼はふたりだけになると、はっきりした口調になるのだった……小川洋子『巨人の接待』、
二十数年前、大学時代に半年ほどに関谷と交際していた葉子。彼は別れた三年後、結婚したものの、部下との浮気で別れ、離婚していた。
一方作家となった葉子は、当時肉体関係を持たなかった彼の存在が気にかかり、忘れられずにいた。二人きりであってみようと思い立った葉子は……川上弘美『「天にまします吾らが父ヨ、世界人類ガ、幸福デ、ありますヨウニ」』、
日本を離れ、天竺の海辺の町・ゴアにやってきたヤジローは、日本人の老人に出会う。
彼の家に招かれたヤジローだったが、気がつくと縛られており、水も与えられぬまま、老人の話を聞くことに……桐野夏生『告白』、
地元では誰もが知っている建設会社の跡取息子と結婚した女は、夫が出張に出て留守の間に、マンションを出ることを決める。
以前知り合った廃品回収業専門会社に勤める若い男に手伝ってもらい、東京に引っ越すことに……小池真理子『捨てる』、
介護施設で働く谷本由美は、老女・庄田ミツ子の世話をしている。
ミツ子は、若い頃の恋愛の思い出だという珊瑚のブローチを持っているが、その相手は名の知れた書道家・八束洋三だという。
やがて彼に連絡がとれ、車椅子に乗ったミツ子を連れ、由美はたびたび彼の別荘に出かけること……高樹のぶ子『夕陽と珊瑚』、
先輩警官から聞いた話を、手紙に過去の話を綴る元警察官。
彼が二十代の頃、その先輩がふらりと現れ、六十代の男・山田某と名乗る男の話をした。彼は三万円の入った財布を拾い届けていたのだが、山田某は実際はその財布の持ち主を見ていたのだという……高村薫『カワイイ、アナタ』、
初孫ができるのを機に、未知果は愛人・近藤との関係を清算しようと考えていたのだがか……林真理子『リハーサル』の8編収録。

女流作家8人によるアンソロジー。
内容にあまり統一感はなく、幻想的なものありミステリ的なものありで、それぞれの持ち味の現れた感じになってます。
個人的には、小川さんのが好きかな(ちなみに“巨人”は、肉体的ではなく、業績的な意味)。

<10/3/20>