黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『夢違』恩田陸(角川書店)

2011-12-31 | 読了本(小説、エッセイ等)
夢をデジタル録画して、第三者が見られる“夢札”という技術が発明された、近未来。
夢の研究者である野田浩章は、ある日、十年以上前に死んだはずの古藤結衣子らしき人影を目撃し、驚愕する。
かつて浩章の兄・滋章の恋人であり、浩章が密かに思いを寄せていた相手でもあった結衣子は、日本で唯一、予知夢を見る能力を持つと認定されていた人物だった。だが、彼女自身が予知していた大惨事に巻き込まれ、その遺体は発見されぬまま、死亡とされていた。
そんな中、G県の小学校で発生したという、集団パニック事件について調査することになった浩章。子供たちは、何かが教室に侵入してきたという同じような白昼夢を見ており、やがて各地で同様の事象が起きていることを知る。そしてその夢の中には結衣子の姿が。
結衣子の葬儀で昔出会った男に似た、警察庁の人間・岩清水慧が浩章の前に現われ、彼女の生存を匂わせる。何かの予兆のように聴こえてくる『亜麻色の髪の乙女』、そして桜。
夢の源を追い、奈良吉野へと向かった浩章だったが……

舞台は他人の夢を可視化できるようになった近未来。死んだはずの初恋の相手を見かけた浩章は、その後たびたび彼女の影を見るようになり…というお話。
じわじわと怖さが迫ってくるホラーのような印象だけれど、どこか曖昧模糊とした終わり方が夢っぽいかな。

<11/12/30,31>

『羊くんと踊れば』坂井希久子(文藝春秋)

2011-12-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
8月15日。一人暮らしをする90歳の祖父・飯田満治の巣鴨のアパート<白連荘>を訪ねた、女子高教師・浅野薫は、そこで亡くなっている祖父の遺体を見つける。
死因に問題はなかったが、その下腹部には見覚えのない刺青…梵字と“百合子”という名が刻まれていた。
さらに強烈な伯母・唯子に圧され、祖父の銀行口座から死の直前に消えていた600万円の謎も追うことになった薫。
数年ぶりに再会した、かつて彼に告白したことのある元教え子・楠本翠とともに、葬儀に来ていた戦友会の小泉や、見つかった囲碁サロン『空』の会員証、出金と同じ一週間前の花屋のレシートなどを手がかりに、祖父の謎を探るべく、聞き込みを開始するが……

自分に思いを寄せる元教え子(ダンサー)と一緒に祖父の謎を追うことになった、高校教師(羊系の性格)のお話。
タイトルと表紙からして、ポップな青春恋愛物?……と思いきや、コミカルな部分はありつつも、アングラな感じのかなり濃ゆい世界が展開されてます。

<11/12/29>

『くちびるに歌を』中田永一(小学館)

2011-12-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
長崎・五島列島。中学校の合唱部の顧問であった松山ハルコが出産と育児の為、一年間休職することに。代わりにやってきたのは、ハルコの同級生だったという柏木。元神童で自称ニートの美人な彼女を目当てに、これまで女子ばかりだった合唱部に男子生徒…三年の向井ケイスケと三田村リクらがやってきた。そんな様子を男子嫌いの仲村ナズナは、苦々しく思う。
自閉症の兄・アキオを持つ桑原サトルは、影の薄い男子。これまで兄の世話をする為に、部活動をせずにいたのだが、密かに思いを寄せる長谷川コトミのいる合唱部に、ひょんなことから入部することになってしまう。
NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)の中学校の部の、今年の課題曲は『手紙~拝啓十五の君へ~』。
その内容を理解してもらう為、ハルコから未来の自分あてに手紙を書くという課題が出される。
皆で練習に励むことになったのだが……

五島の中学校の合唱部を舞台にした青春モノ。ナズナとサトルの視点で描かれています。
ハルコ先生が実は命の危険を伴う出産だったり、それぞれにいろんな悩みを抱えたり、といった部分を未来への手紙というモチーフを使いつつ、うまく描かれています。

<11/12/28>

『月蝕島の魔物』田中芳樹(東京創元社)

2011-12-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
1857年、ヴィクトリア朝のイギリス。
スコットランドの近海、ヘブリジーズ諸島の一つである月蝕島の近くで、氷山に閉じ込められた謎の帆船が発見され、話題になっていた。スペインで行方不明となっていた、無敵艦隊のうちの一隻であるらしいという。
一方、クリミア戦争から奇跡的に帰還を果たしたエドモンド・ニーダムは、唯一の肉親である姪メープル・コンウェイとともに会員制貸本屋<ミューザー良書倶楽部>で働くことになった。
社長に命じられ、文豪ディケンズと、彼の元に滞在を続けるデンマークの童話作家アンデルセンの世話をすることになったふたり。
彼らに振り回される日々をおくるニーダムたちだったが、さらにディケンズが件の船を見に行くと言い出して……

YA向怪奇冒険譚。実在した歴史上の人物や史実を織り交ぜつつ書かれているのは、ここから興味を持って調べてみよう、という子供たちの意欲を起こさせようという意図なのかも。
それぞれのキャラクタは個性的で楽しいのですが、タイトルの魔物の存在が、だいぶとってつけた感じになってるので(最後の40~50ページあたりに、いきなり登場って;)、ちょっと残念;

<11/12/26,27>

りんごのタルト@スズキ食堂車

2011-12-25 | スイーツ
 いただきもの。
 薄切りのりんごがたくさん入った、タルト。
 ほのかに甘酸っぱく、食感がおもしろい感じ。
 
***** ***** ***** *****
 スズキ食堂車:新潟(新潟)

 軽食(サンドウィッチや飲物、スイーツ類等々)を、移動販売…走りながら売るのではなく、車を店舗にして、いろんな場所で販売…しているお店。
 一度買いに行きたいと思いつつも、なかなか遭遇できません;


『祝もものき事務所 2』茅田砂胡(中央公論新社)

2011-12-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
本人に全くやる気はないが、動けば必ず事件の手がかりに当たる特殊能力(?)を持つ、探偵もどきの百之喜太朗が営む事務所にやってきた依頼人の男・宿根栄。依頼内容は、自分が助けたかもしれない人物の安否確認、というちょっと変わったものだった。
曰く、新宿の『cascada』という店でランチを食べていた彼は、店内で糖尿病患者が倒れるという場面を目撃。その人物が糖尿病であると知っているらしい男により、インスリンが注射されようとする寸前、宿根は制止し、代わりにグルコースを投与したのだが、その結果が知りたいのだという。宿根の糖尿病の知識は、飼猫が糖尿病だった為に知っていた事柄で、果たしてその判断が正しかったのか不安になったものの、事情が事情だけに自分が確認に行くことも憚られているのだという。
早速、秘書の花祥院凰華と調査に出かけた百之喜だったが、その患者に該当する人物…店の同じビルにテナントで入っている、山根コーポレーションの小林という人物という話だったのだが…は存在しなかった。
だが後にそれが、周コーポレーションの樺林の勘違いだと判明。樺林慎本人も自分のことあろうと認めたが、宿根が目撃したような行為は医学的にありえないと知り合いの医師に確認した凰華は、彼が何者かに狙われているのではないかと、密かにボディガードをつける。
その心配が的中し、三度の未遂事件が発覚したものの、Ⅰ型糖尿病である以外はごく普通のサラリーマンらしい彼が狙われる動機がわからない。
調べていく中で、病の床に伏している樺林の実父・服部順一の相続問題、樺林の婚約者・海老原優姫の元夫であるエリート御曹司・仁礼崎馨の問題などが明らかになってくるが……

シリーズ第2作。今回は、助けた糖尿病患者の男性の安否確認のはずが、実は何者かに狙われていた彼が、何の問題に巻き込まれて狙われたのかを探っていくお話。
彼の実父が、再婚した相手とかその連れ子とか、いろいろ容疑者は浮かび上がるものの、みんな遺産を必要としないくらい稼いでいたり(笑)。
いつもの如く、ステロタイプな人(悪、というか自分の行動がどこまでも正しいとしか考えない人)はとことんベタに描かれていて、そんな人々に対して手厳しいくらいな視線(笑)。

<11/12/25>

本なお茶会・その8

2011-12-25 | おでかけ

 今回のテーマは『レッツ冬ごもり!冬に読むならこの一冊』。
 参加者は4名でした。

 冬が出てくるお話あり、これから読んでみようという本ありでバラエティに富んだ本が集まりました。
 ちなみにわたしは、いしいさんの『雪屋のロッスさん』(文字通り“雪”が出てくるので)と、諏訪さんの『領域』(これから読もうと思って、借りてきた本。装丁が山下陽子さんで、素敵なのです~♪)。
 


 今回のおやつは、白根のル・ポワロン・ビスのケーキ(フランボワーズとチョコの)。おまけで、同じく白根のパン屋さん『きょうというひ』のスコーン(雑穀入り?)も。


『金色の獣、彼方に向かう』恒川光太郎(双葉社)

2011-12-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
人里離れた山の裾野にある草庵に住む元僧侶・遼慶のところに、ひとりの男の客がやってきた。この辺で妙なことはなかったかと問う男に、泊まっていくことを勧める。
その晩、男・任風が語ったのは、彼の数奇な人生だった。
対馬の農家の四男に生まれた彼は、その性格を買われ、南宋の商人・陳の養子となり船に乗る。通訳をしていたが、ある時、仲間とともに無実の罪で捕らえられ、あちこちをさすらう羽目に。
元の諜報部員として、はからずも故国日本を攻撃する手助けをすることになってしまった任風。
その部隊には、リリウという鼬を連れた、巫術師だったという女・鈴華がいて……『異神千夜』、
樹海近くで、<レストラン&宿・フォレストパーク>という店を営む“私”。
ある時、男女六人の客があり、そのうちのひとりの若い女だけが泊めて欲しいと戻ってきた。
月野優と名乗る彼女は、道に迷った末に彼らと出会い、行動をともにしたのだという。曰く、彼らは“風天孔参り”をする集団…風天孔という現象が起こる場所を見つけて、天へ向かうことを望む集団だった……『風天孔参り』、
ナツコという娘に憑いた、稲光山のサクラという森の生き物が語る。
東京に出てきたナツコは、銀座の“カサブランカ”というレストランで働き始めた。森の夢を見せているサクラの影響で、その光景を絵に描くナツコ。やがて女給仲間で、小説を書いているというユリと親しくなった彼女は、鼬行者という占い師に未来を見てもらうが……『森の神、夢に還る』、
ある日、少年・大輝は、鼬に似た一匹の獣に出会い、樹海の方に住んでいるという少女・千絵と親しくなる。
ルークと名付けたその獣を飼い始めた大輝だったが、人語を解するかのようなその賢さを不審がる祖母は、上流の山奥の村にいたという鼬行者という存在について語る。
やがて、ルークは、彼にあるビジョンを見せるようになり……『金色の獣、彼方に向かう』の4編収録。

最初の1編は元寇の時代あたりを描いた中編で、他は現代が舞台の短編。ちょっとダークなファンタジー。
それぞれは全然関係がないお話なのかな、と思いきや、鼬つながり?

<11/12/23,24>

クリスマスケーキ(苺三重奏)@カネギフルーツ

2011-12-23 | スイーツ
 とちおとめ、紅ほっぺ、あまおうの3種の苺が山盛りなクリスマスケーキ♪(別添えでクリスマスの飾りや蝋燭もあったのですが、うっかりそのまま食べてしまいました…)
 スポンジの間にも、ちゃんと苺が挟まれています。
 5号(15cm)。 

 カネギフルーツ:新潟(三条)