黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『マタタビ潔子の猫魂』朱野帰子(メディアファクトリー)

2010-03-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
黒髪と色白なだけが取り得の、28歳の地味な派遣社員・田万川潔子。
そんな彼女の飼い猫・メロは、実は猫魂。潔子は、はるか昔から連綿と受け継がれてきた憑物筋の血筋で、先祖は多くの猫魂を使役してきたが、今では末裔は彼女だけ。おまけに力もない上に、普通の人間としても気弱すぎ、言いたいことも言えない彼女は鬱屈を抱えつつ、怪しげな占い師・天道辛彦の格言を心の支えにする日々を過ごしている。
そんなある日、職場の先輩である鬼桐ひとみに、帰り際、飲みに行かないかと誘われた潔子。酒も強くなく、金欠であることから断るも、断りきれずに出かけることに。ところがひとみは金の心配をする潔子を他所に、ほとんどひとりで飲み食いした挙句、潔子に割り勘させるのだった。そんなことが毎日のように続き、ストレスを溜めた潔子は……“第一話 鬼海星(オニヒトデ)”、
潔子の上司である課長の御手洗タクマは、異常なまでに綺麗好き。
給湯室のシンクの清掃を…しかも人が使うたびに…、細かく命じることから、他の仕事がおろそかになり、部長に怒られる始末。そればかりか、アンケートに書いたバスタオルの洗濯頻度をあげつらい、同僚たちの前で恥をかかされて……“第二話 洗熊(アライグマ)”、
大学時代の同級生・西浦英子に呼び出された潔子。
そこには、かつて同じサークルのメンバーだった洋子、公恵、菊菜が子連れで勢揃い。今では4人とも専業主婦になっており、しきりに結婚のよさを潔子に語る。逃げるように帰った潔子に追い討ちをかけるようにメールが届き、おまけに夫の同僚だという男まで家に連れてきて……“第三話 西洋蒲公英(セイヨウタンポポ)”、
潔子の前勤めていた会社からの後輩である、愛らしい容貌の崖板ナナが、同じ会社に派遣社員としてやってきた。
一見潔子を慕っているかのような態度のナナだが、その言葉には微妙な棘があり、イライラが蓄積する潔子。おまけに彼女は飼っているフェレットを自慢して……“第四話 欧羅巴毛長鼬(フェレット)”を収録。

第4回ダ・ヴィンチ文学賞受賞作。
潔子が普段溜めてる鬱屈が限界に達すると、猫魂であるメロがとり憑いて美人に変身(単に化粧に時間をかけるか否かで、素材は変わってない…)、相手に復讐…というか相手に憑いてるモノを食べちゃうお話。妖怪退治モノな割に小規模で地味にまとまってますが(潔子のキャラの所為もあるでしょうが/笑)、それだけに身近で共感できる部分が、多々あるかも。
……それにしても、憑いてるモノがユニークですね(タンポポって…/笑)。

<10/3/18>