黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『廓の与右衛門控え帳』中嶋隆(小学館)

2008-02-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
吉原で人斬り稼業に明け暮れていた御家人・大木歳三。ある日、誘拐された惣名主である庄司又左衛門の娘・三笠太夫を救おうとするが、自身も斬られ重傷を負う。三笠太夫の看病により、一命を取りとめた歳三は、その後、京都・島原に上がり、その遊郭の番所に詰め、そこの者が代々名乗る“与右衛門”の名で呼ばれる。刀を捨てた彼は、廓内で起こる厄介ごとを次々に解決してゆくことに……

10章からなる連作短編っぽい感じなのですが、各章ごとにあらすじを書くと、それからの展開にも触れてしまうので(最後の方の章で)省略。
個人的に、この本の厚さだったら、短編4編くらいの収録にして1編をもっと細かく描いてくれた方が良いかなぁという気が。あとは地の分でいきなり現代視点が入ってきたりするのが、ちょっと興ざめかな;

<08/2/29>

† 新刊情報(08/02) †

2008-02-28 | 新刊情報
<2月>
2/7
三浦しをん『むかしのはなし』幻冬舎(文庫)

加納朋子『てるてるあした』幻冬舎(文庫)

2/9
石神茉莉『人魚と提琴 玩具館綺譚』講談社(ノベルス)

2/中
楠章子『古道具屋ほんなら堂~ちょっと不思議あり~』毎日新聞社

2/22
宮木あや子『白蝶花』新潮社

恩田陸『猫と針』新潮社 

2/23
桜庭一樹『赤×ピンク』角川書店(文庫)

近藤史恵『桜姫』角川書店(文庫) 

森博嗣『森博嗣の道具箱』中央公論新社(文庫)

2/下
朱川湊人『スメラギの国』文藝春秋

2/28
三浦しをん『夢のような幸福』新潮社(文庫)

川上弘美『古道具 中野商店』新潮社(文庫)

米澤穂信『犬はどこだ』東京創元社(文庫)

2/29
綾辻行人『深泥丘奇談』メディアファクトリー


日付不明
野梨原花南『マルタ・サギーは探偵ですか? 6 オスタスの守護者』富士見書房(文庫:ミステリー) 

金城一紀『SP 警視庁警備部警護課第四係』扶桑社



『春期限定いちごタルト事件 前』饅頭屋餡子/米澤穂信(スクウェア・エニックス)

2008-02-28 | 読了本(漫画)
高校入学を機に、それぞれの理由で“小市民”たらんと志す、小鳩常悟郎と小佐内ゆきは、互恵関係にある。
ある日、小鳩の元に友人・堂島健吾から電話が。1-Bの吉口佳奈のバッグが教室から盗まれた為、一緒に捜して欲しいという。結局見つからず、その場は解散となったが、話が大きくなる前に何とかしたい小鳩は密かにバッグを捜すことに……『CASE1,2 羊の着ぐるみ(前・後)』、
小佐内から、ケーキ店・アリスの春期限定いちごタルトを買うのに付き合って欲しいと頼まれた小鳩。何とか最後の2つを手に入れたのもつかの間、自転車ごと盗まれてしまった小佐内は呆然。そんな中、健吾から美術部に残されている卒業生の作品について相談を受けた小鳩。その絵を書いた先輩は、“高尚な絵”だといっていたというのだが、そんな風には見えず……『CASE3,4 For your eyes only(前・後)』、
盗まれた自転車が泥棒の犯行現場から見つかったことが原因で、学校で怒られた小佐内は意気消沈。その気分転換の為に、甘いものを食べに行こうとしたところで、健吾から連絡が入り、家に遊びにこないかと誘われる。訪ねた2人は彼から手間のかかるおいしいココアを出されるが、台所にはそれに必要な鍋も出ておらず、シンクも濡れていない。果たして彼はどのようにしてココアを入れたのか……『CASE5 おいしいココアの作り方』を収録。

米澤さんの『春期限定~』が漫画化されたもの。
原作にかなり忠実ですが、健吾は思った以上に、ごついというかおっさんな感じに…;

<08/2/28>

『月のころはさらなり』井口ひろみ(新潮社)

2008-02-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
高校生の少年・悟は、母・園子と共に御千木の母の実家である祖母の家を訪ねた帰路、立ち寄るところがあるという母に同行し、訳もわからぬまま山奥にある庵へとやって来た。そこには“おんば様”と呼ばれる老女がおり、その昔、母はそこに“預かり子”として世話になっていたことがあったらしい。
そんな中、母が足を挫いて怪我をし、おまけに体調を崩して寝込んでしまい、しばらく庵に滞在することに…。彼女が山でなくした靴を、代わりに探し回っていた悟は、そこで庵に預けられている美少女・茅と、生意気な小学生・真に出会う。彼らは“鈴鳴らし”や“魂振り”という不思議な能力を持っているというのだが……

第3回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
最初に思ったほどにはファンタジー色は強くなかったかも(特に後半はだいぶ)。
読後感は、さわやかでよい感じ……特に、悟につっかかってくる真が、ちょっと微笑ましくて可愛いかったです(笑)。

<08/2/28>

『マリア様がみてる キラキラまわる』今野緒雪(集英社)

2008-02-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
『三年生を送る会』の翌日。祥子の呼びかけにより、みんなで遊園地に行くことになった薔薇さま関係者たち。
しかし待ち合わせ時間は決めずに、現地で自由集合ということになり、祐巳は祥子と、そして柏木と祐麒とともに車で出発……しかし、その車を運転するのはなんと祥子。
余裕を見て出発したはずが渋滞に巻き込まれ、予定していた開園時間よりも30分遅れて到着した祐巳たちだったが、既に到着しているものと思っていた他の面々も何故か遅刻。しかも、令と由乃、志摩子と乃梨子、それぞれの間に微妙な空気が流れていて……

祥子さまの謎の行動の理由は、あっさりと明らかに(笑)。
それぞれの組でいろいろあって楽しかったですが、蔦子さんたちのエピソードがなかなか微笑ましく良い感じでした。

<08/2/27>

天神菓子@東京屋菓子店

2008-02-26 | スイーツ
 菅原道真公に学業や字の上達などを願う、“天神講”(2月24、25日くらい?)の為のお菓子。
 デザインは鯛、海老、松竹梅などのおめでたいものが一般的。(煉切の)生菓子か、粉菓子のどちらかで作られます。
 画像は生菓子の方で、中はこしあんです(大きさは30cm弱くらい?)。
 間が抜けてるのは、わたしが写す前に誰かが食べたから(笑)。
   
 東京屋菓子店:新潟(見附)


『二つの月の記憶』岸田今日子(講談社)

2008-02-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
オートバイに乗って少年はやってきた。住宅街の、どうということもない二階家の前で止まり、その後ろにひとつの体を乗せて、再び走り出したが……『オートバイ』、
ヒーローものの人形で遊びながら、月が二つあった頃、“わるもん”は“いいもん”だったんだよ、と語るこども。その言葉に、母親は月が二つあった自分の小学3年生の頃のことを思い出す……『二つの月の記憶』、
姉に誘われ、知人のUさんがいるというK村の老人ホーム・K村やすらぎの里にやってきた“わたし”だったが……『K村やすらぎの里』、
雌豚P夫人はイノブタを産んだ。秋に出会った猪との子供らしい。また秋が来て、豚小屋からP夫人を連れ出したのは、酋長と呼ばれる、昨年と同じ雄の猪だった……『P夫人の冒険』、
赤い帽子をかぶり、タンタンの元にワインを届けることになったあたしは、その途中の駅でオオカミに出会い……『赤い帽子』、
変わった写真を撮るという20代の女性カメラマンM・I作品に魅せられ、何とか助手になったが……『逆光の中の樹』、
ポーランドの演劇祭に行った15年前。そこで演出家N氏にであった“わたし”は、今度一緒に仕事をしましょうといわれたが……『引き裂かれて』の7編収録の掌編集。

先般亡くなられた女優・岸田今日子さんが、メフィストに連載されていたという掌編をまとめたもの。
ちょっとエロティックで毒も含みつつ、おかしみもあり、何となく岸田さん御自身の姿というか声が聞こえてきそうな作品でした。

<08/2/26>

『本泥棒』マークース・ズーサック(早川書房)

2008-02-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
1939年。実の母に連れられ、弟と共に里子に出されることになった少女リーゼル・メミンガー。しかしその途中で弟は亡くなり、彼女はその埋葬の最中に初めて本を盗んだ……読めもしない『墓掘り人の手引書』を。
そしてたどりついた、ドイツの田舎町モルキング、ヒンメル通り。そこに住むフーバーマン夫妻……優しくアコーディオンが得意なペンキ屋・ハンスと、口は悪く厳しいローザの元に引き取られた彼女は、隣家の少年ルディ・シュタイナーらとの友情をはぐくみつつ、ハンスから読み書きを教わり、町長夫人の図書室で本を読み、次第に彼女の世界は広がってゆく。
そんなある日。彼らの元に現れたユダヤ人青年、マックス・ヴァンデンブルグ。彼は、ハンスがかつて世話になった恩人の息子で、ナチスの粛清の手から逃れてきたのだった。そんな彼を地下室に密かに匿うことになった彼らは……

死神が語る“本泥棒”の少女のお話。
描かれている時代が時代だけに、どうしても切なさの影がつきまとうのですが、それだけに言葉というものの重み…その良い面も悪い面も感じられる、素敵な作品でした。

<08/2/24,25>

『蟲師 9』漆原友紀(講談社)

2008-02-24 | 読了本(漫画)
ギンコが出会った老婆・みかげ。彼女は夕焼けの日になると“帰る”といって家を抜け出すのだという。昔の記憶がない彼女は、ある日この里に突然現れたらしい……『残り紅』、
船に乗っていたギンコは、口笛で蟲“とりかぜ”を呼ことができる船乗りの見習いの少年・イブキと出会う。そんな彼に、夜は口笛を吹かないようにと注意したギンコだったが……『風巻立つ』、
ずっと夜ばかりが続く家で、ひとりで遊ぶ少女・イズミ。彼女は井戸に落ち、“こっち側”にきてしまったのだった……『壷天の星』、
冷たい体の少年・湧太と出会ったギンコ。彼の中には“雨蠱”という蟲がいる為らしい。そんな息子を心配する母は……『水碧む』、
山で行き倒れていた少年・ギンコ。そんな彼は、蟲師・スグロに拾われ助けられた。そんなある日、彼は山のヌシの卵を発見して……『草の茵』の5編収録。

最後の『草の茵』はギンコが少年時代のお話。
今日の彼の蟲との関わり方の理由を垣間見れるような興味深い一編でした。

<08/2/24>